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現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?その83 墓守の救出その1


強固な記憶改竄が施されている者の救出。ただ倒すよりも遥かに難易度が高い事ではあるが、レイ達は引こうとはしなかった。
彼女の姿は、あり得たかもしれない自分達の末路。もし蒼空邪軍に敗北していたら、こうなってしまう可能性は極めて高い。
だからこそ、倒して終わりになんか、したくなかった。これまでも少なくない数の蒼空戦娘達を救ってきたのだ。やらないという選択肢はない。
特にレイは、その思いが非常に強かった。もう一人の自分。憎しみのみを糧にして突き進んでしまった、あり得た可能性の高かった自分の末路。
だからこそ救いたい。憎しみと絶望以外の道がある。彼女に『自らを傷つけながら、憎しみでその身を燃やし尽くす必要なんてない』、そう伝えたいと。

だが、流石に言葉だけでは無力化は困難だ。こうしている間にも、地上や水上(近くに流れている川)に激しい攻撃を加えており、負傷者が続出しているからだ。
最早一刻の猶予も無い。早期に無力化しつつ彼女を正気へと戻す。レイ達は武器を手に、レイ・ゲルトナーに挑みかかる。
互いにレーザーブレードを切り結びながら、レイが懸命に叫ぶ。


レイ「お願い!武器を収めて!貴女は奴に・・・トラー・ゲルトナーに、記憶を改竄されているの!!」

R・G「何を戯言を!言った筈だ!この星に再び争いを持ち込んだ貴様達の、速やかなる殲滅!それこそが私の望みだと!!」

レイ「違う!そもそも貴女達は、奴等に・・・蒼空邪軍に殺されただけでなく、生体兵器として利用されているの!!」

R・G「訳の分からない事を言うな!!『奴等は確かに殲滅した』!『そして平和が訪れた』!それが事実だ!!」

R・G「沢山の人達が眠るこのアクアリスを、再び戦場にしたのだ!・・・それだけで、貴様達を殲滅する万の理由となる!!」

レイ「馬鹿な事を言わないで!貴女とは、今ここで初めて出会った!なのに、再び戦場にしたと矛盾した事を言っている!そのおかしさに、何故気付かないの!!」

R・G「邪悪な敵の分際で、どれだけの同胞を殺して来た?そして今、何をしようとしている!?」

レイ「貴女を、奴の支配下から・・・『歪められた記憶と憎しみで戦い続ける貴女と言う存在』を救う為に戦っている!!」

R・G「手前勝手な戯言を抜かすなと、言った筈だ!!」

695: 194 :2022/07/18(月) 19:00:59 HOST:ai126146222047.53.access-internet.ne.jp
そう叫びながら、月光と月明のリミッターを解除。巨大なレーザーブレードを形成して、レイへと斬りかかるレイ・ゲルトナー。
必死に切り結ぶが、出力の桁が違い過ぎ、斬邪丸が限界を迎えつつある。
防ぎきれない!本能がそう叫ぶが、成す術がない。・・・が、横合いから援護が入った。


カイ「サセナイッ!!」


レイ・ゲルトナーの視覚外から、二振りのレーザーナイフで斬りかかるカイ。
レイ・ゲルトナーが回避し、牽制しつつ一旦距離を取る。


カイ「レイッ、大丈夫!?」

レイ「カイさん!助かりました!!」

カイ「全ク・・・何テ化ケ物ナノ!?」


息を整えつつ、身構える二人。
だが・・・レイ・ゲルトナーが何やら驚愕していた。


R・G「・・・貴様、何故その機体を!?」

カイ「・・・?」

R・G「・・・それは、かつて私が搭乗していた機体。何故貴様なんかが、それを艤装として身に纏っている!!」


レイ・ゲルトナーが驚愕したのも、不思議ではない。
何故ならカイの艤装は、生前のレイ・ゲルトナーが搭乗していた決戦兵器。戦闘攻撃機であるCFA-44の残骸を再利用した物だったからだ。
激怒しながら、カイへと襲い掛かるレイ・ゲルトナー。その一撃を、カイはレーザーナイフで受け止める。

696: 194 :2022/07/18(月) 19:01:29 HOST:ai126146222047.53.access-internet.ne.jp
R・G「貴様は私の・・・私の勝利の記憶すらをも侮辱するのか!!」

カイ「・・・ッ!!コノ艤装ハ、私ガ蒼空戦娘ニサレタ際ニ再利用サレタ物。ソンナ由来ガ有ッタナンテ、今知ッタワ!!」

R・G「・・・許さない!私の過去を侮辱した罪は重い!八つ裂きにしてくれるわ!!」

カイ「・・・貴女コソ、コノ矛盾ニ何故気付カナイノ!本当ニ勝利シタト言ウノナラ、『何故敵デアル私ガ、貴女ノ愛機ノ艤装ヲ身ニ纏ッテイル』トイウ、オカシナ現実ニ違和感ヲ感ジナイノ!!」

R・G「・・・ッ!!??」


カイの言葉に、レイ・ゲルトナーの脳内にノイズが走り、頭の痛みに顔を歪める。
頭を過ったのは、かつての記憶。愛機と共に、奴等を叩き潰し続けた在りし日の記憶。
何か・・・何か、忘れているような気が・・・?
一瞬、その様な言葉が頭を過ったが・・・人類と戦娘への憎悪が、その言葉を塗り潰していく。


R・G「・・・許さない!!過去を侮辱するだけでなく、矛盾だなんだと惑わしてくる!やはり貴様達は、倒すべき怨敵だ!!」

レイ「駄目なの!?・・・あの娘を救う事は、本当に出来ないの・・・!?」

カイ「弱気ニナラナイデ!・・・一瞬ダケド、顔ヲ歪メテ動キヲ止メタワ!記憶ト現実ノ矛盾ニ気付イテ、動揺シ始メテイルワ!」

カイ「マダ希望ハ残ッテイル。最後マデ、諦メナイデ!!」

レイ「・・・はい!最後まで・・・最後まで諦めません!!」


一周弱気になってしまったレイだったが、カイの叱咤激励で再び気力を取り戻す。
再び襲ってきたレイ・ゲルトナーと切り結ぶ。

697: 194 :2022/07/18(月) 19:02:06 HOST:ai126146222047.53.access-internet.ne.jp
R・G「許さない!この星を戦場にするだけに飽き足らず、我々を惑わし、侮辱までして来る!恥知らずな痴れ者がぁぁ!!」

レイ「何故矛盾から目を逸らすの!?どうして本当の記憶から、必死に目を逸らそうとするの!!」

R・G「これ以上喋るな!耳が腐る!!」

レイ「貴女がしなきゃいけない事は、『偽りの記憶に逃げて、憎しみの赴くままに戦う事』じゃない!どれだけ辛い記憶だろうと、本当の記憶と向き合う事なの!!」

R・G「・・・ッ!??!?」


再びノイズが、それも先程よりも大きなノイズが脳内に走り、痛みに顔を歪めて動きが止まる。
あの日・・・奴等との最終決戦が行われたあの日。膨大過ぎる数の奴等の前に、仲間が堕とされ・・・飛行場が破壊されて帰還不可能になって・・・
それでも、奴等に勝利・・・!?・・・敗北!?・・・一体、どうなっている・・・!?

先程よりも大きく動揺しているレイ・ゲルトナー。だが、憎しみと破壊の感情がそれ等を押し潰していく。
息を荒げながら、それでも憎悪の炎を宿した瞳をレイに向け、再び斬りかかって来る。


R・G「消えろ・・・消えろ、消えろ、消えろ!今すぐに死ね!!消え去れ、居なくなれぇぇぇ!!」

レイ「自分の記憶から逃げないで!!どれだけ辛い過去だろうと・・・偽りの記憶に逃げていい事にはならない!立ち向かって、克服するの!!」

R・G「黙れ黙れ黙れ!!これ以上、私を惑わせるな!!私の過去を、悍ましい色に塗り潰そうとするなぁぁぁぁぁぁ!!??!???!?!?!」

レイ「お願い!!逃げずに戦って!!偽りの記憶に、あんなマシーンの支配なんかに、負けないでぇぇぇ!!」


互いに切り結びながら、互いの想いを叫ぶ二人。
片や拒絶と死を望む叫びを。片や偽りの記憶の支配を断ち切れと言うエールを。
再び距離を取り、それぞれの武器を構え直す。レイ・ゲルトナーは徐々に正気を失いつつあり、瞳に宿す狂気が強まっている。
レイの方も、これ以上は言葉だけではなく、実際に無力化しなければ救えないと判断。覚悟を決める。
数奇な運命の元で、巡り合った二人の少女。その決着が、もう間も無く付こうとしていた。

698: 194 :2022/07/18(月) 19:02:54 HOST:ai126146222047.53.access-internet.ne.jp
以上です。今回はセリフマシマシな回となりました。
レイ・ゲルトナーの救出を目的とした、決死の戦い。
激しい攻撃で全てを拒絶するかのように戦うレイ・ゲルトナーですが、自身の偽りの記憶と現実の矛盾を前に、少しづつでは有る物の脳内のノイズと頭の痛み、それ等に起因する動揺が見られ始めます。
ですが、そのせいで徐々に正気を失いつつあり、色々とヤバい状態に陥っています。
レイの方も、言葉だけでは完全に救う事は困難と判断。実際の戦闘力を奪う事で無力化を図ります。
双子と言っても過言では無い二人の、運命的な戦い。その決着は次回付く事となる予定です。それでは。
wiki掲載は、自由です。

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最終更新:2022年07月29日 09:43