719: 194 :2022/07/20(水) 18:40:29 HOST:ai126197005130.18.access-internet.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?その85 偽りの夢の終焉
半ば自滅に近い形で決着が付いた、二人の少女の戦い。
少し離れた所に落ちた斬邪丸を拾う為に、地面へ着陸するレイ。だが、立っていられず膝を付いてしまう。ここまでの戦いのダメージの蓄積が大きかったからだ。
それでも斬邪丸を拾い、杖代わりにして立ち上がる。そこに、人型特重機動戦艦・大和から転送してきた横手が現れ、レイを支える。
横手「・・・よく頑張ったな、レイ。だが、無茶し過ぎだ。心臓が止まるかと思ったぞ」
レイ「・・・ごめんなさい、平文さん。でも・・・それでも、あの娘に刃を向ける事は、出来なかった」
横手「・・・」
レイ「沢山の蒼空邪軍を屠っておいて、身勝手かもしれないけど・・・。それでも、あの娘の事は絶対に、救いたかった」
レイ「もう一人の自分が・・・絶望に飲まれたまま、一人で終わりを迎える。そんな、そんな悲しい結末になんか、させたくなかった。だから・・・」
横手「・・・身勝手な事じゃない。レイ、君は正しい事をした。それは、俺が保証する」
レイ「・・・平文さん」
と、その時。少し離れた所から呻き声が。
その呻き声の主は・・・レイ・ゲルトナー。気絶したと思われた彼女だったが、まだ辛うじて意識が有ったのだ。
R・G「・・・グッ・・・ガァァ・・・」
レイ「あの娘、まだ意識が!?」
駆け寄ろうとするレイ。だが、直ぐに膝を付いてしまう。
ダメージは未だ回復しておらず、駆け寄る事は出来そうになかった。
720: 194 :2022/07/20(水) 18:40:59 HOST:ai126197005130.18.access-internet.ne.jp
横手「レイ、無茶をするな。まだダメージが残っているんだ」
レイ「で、でも・・・あの娘の事を放っては・・・」
横手「いいから、安静にしているんだ。・・・俺が、彼女の元に向かう」
レイ「!?・・・ま、待って下さい!!危険すぎます!!」
横手「皆、ここまでの戦いでダメージを受け過ぎている。無理はさせられない」
レイ「でも!!」
横手「それに・・・皆が散々危険を冒しているのに、隊長であり夫でもある俺だけが、危険から逃げる訳にはいかない」
レイ「平文さん・・・」
横手「皆、聞いての通りだ。彼女の元へは俺が向かう。彼女を刺激しないよう、全員武器を下げるんだ」
ヒト「なっ!?平文さん!?」
キュウ「・・・危険すぎる!!」
横手「根拠らしい根拠は無いが・・・どうか、俺の事を信じて欲しい。では、行って来る」
レイ「平文さん!!」
止めようとする彼女達を置いて、レイ・ゲルトナーの元へと向かう横手。
体を起こして、横手を見るレイ・ゲルトナー。その顔には怒りや憎しみは無く・・・代わりに、酷く怯えている様だ。
R・G「あ・・・・・あ、あ・・・・・!?」
自己修復を無理矢理中断させて、拳銃を右手に生成するレイ・ゲルトナー。
激痛を堪えて、拳銃を横手へと向ける。
721: 194 :2022/07/20(水) 18:41:29 HOST:ai126197005130.18.access-internet.ne.jp
レイ「平文さんっ!!」
レイが悲鳴を上げると同時に、レイ・ゲルトナーが銃を発砲。最悪の結末が頭を過るが・・・銃弾が横手を捉える事は無かった。
何せ体中に大きな損傷を負っている状態であり、右腕も曲がってしまっている。しかも激痛と怯えで体中が震えている状態でもある。これでは当て様が無かった。
それでもレイ・ゲルトナーは、射撃を止めない。悲しそうな顔をしながら一歩一歩近づいてくる横手に、彼女は怯える。
来るな!
こっちに来るな!
私が・・・私が私で無くなってしまう!!
そんな思いで頭が一杯な状態となるレイ・ゲルトナー。持っていた拳銃が遂に弾切れとなる。
だが、彼女はそれにすら気付かない。体を震わせ、自身の胸の中の恐怖に抗うかの様に、何度も引き金を引き続ける。
R・G「・・・あ・・・・・あ、ああ・・・・・」
遂に自身の元へとたどり着いた横手の姿に、レイ・ゲルトナーが怯えと絶望の表情を浮かべる。
一方の横手も、今にも泣きそうな顔をしていた。ここまでボロボロになり、怯えや恐怖を抱きながら尚も抗おうとする。その事実が・・・堪らなく悲しかった。
横手は腰を落とし、彼女との視線を合わせる。そして・・・涙を流しながら、彼女の体を優しく抱きしめた。
R・G「・・・!??!?!?」
722: 194 :2022/07/20(水) 18:41:59 HOST:ai126197005130.18.access-internet.ne.jp
突然の事に、パニックになるレイ・ゲルトナー。
そんな彼女に、横手は優しく語り掛ける。
横手「・・・もう良い。もう良いんだ・・・」
R・G「・・・!?」
横手「君はもう、十分以上に戦った。こんなにボロボロになるまで・・・恐怖に抗って戦った。だけど・・・もう良いんだ」
R・G「・・・?」
横手「もうこれ以上・・・自分自身を傷つけて戦う必要は、もう無いんだ。ここで武器を置いても、誰も君を攻めたりなんかしない。だから・・・もう戦うのをやめるんだ」
R・G「・・・・・」
久しく感じた事が無かった、人のぬくもり。優しい暖かさが、彼女の心を解きほぐしていく。
書き換えられて記憶がひび割れ、音を立てて崩壊していく。
R・G「あ・・・・・あ・・・あ・・・・・」
彼女の記憶は戻った。書き換えられた偽の記憶ではない、本当の記憶。
だが・・・それは余りにも残酷な記憶だった。大切な人達を殺され、その恨みを晴らす為に、憎しみだけを糧に戦い続けたかつての自分。
だが、最終的に自身は戦死し、アクアリスの人類は敗北して滅亡。奴等の使い捨ての道具にされてしまった。
恨みを晴らせなかった。
誰も救う事が出来なかった。
後に残ったのは、死んでいったアクアリスの人々の躯と、兵器型生命体へと変えられた人々の魂。
その悲しく残酷な現実に、レイ・ゲルトナーの心は押し潰されかけていた。
723: 194 :2022/07/20(水) 18:42:29 HOST:ai126197005130.18.access-internet.ne.jp
R・G「・・・私は・・・私は、何て愚かな事を・・・」
横手「・・・?」
R・G「・・・大切な人達を殺されて・・・その敵を討つ為に、我武者羅になって戦って・・・」
R・G「でも・・・私は負けてしまった・・・。敵を討てず・・・誰も救えず・・・残ったのは、人々の躯と・・・兵器型生命体にされた人々の魂だけ」
横手「・・・」
R・G「なのに・・・私は、偽りの記憶を心から信じ込んで・・・死んでいった人達に報いる事が出来たと、本気で思い込んで・・・」
R・G「私を・・・こんな私を救おうとしてくれた人達に、刃を向けた・・・。こんな・・・こんな馬鹿で、罪深い私が・・・生きている資格なんか・・・」
横手「そんな事は無い!!」
R・G「!?」
涙を流しながら、レイ・ゲルトナーを叱咤する横手。
横手「君には・・・君には、背負うべき罪なんて一つも無い!!その罪は・・・君を、アクアリスの人々を滅茶苦茶にした、トラー・ゲルトナーが背負うべき罪だ!!」
R・G「・・・え?」
横手「君は、大切な人達の敵を討つ為に、残された人々を守る為に、全てを投げうって戦ったんだ!その事実は、誰が何と言おうと消す事なんて出来ない!!」
R・G「・・・」
横手「・・・確かに、君は敵を討てなかった。人々を守る事が出来なかった。だが・・・君はまだ生きているんだ!!」
R・G「・・・!!」
横手「生きている限り、君は前へと進まなければいけないんだ!大切な人達に、アクアリスの人々に報いたいと思うなら!!」
横手「君が本当に背負うべきものは、罪の意識じゃない。死んでいった人々の思い・・・それこそを背負って、前へと進まないといけないんだ!!」
横手「だから・・・生きている資格が無いとか・・・そんな悲しい事を、言わないでくれ」
724: 194 :2022/07/20(水) 18:42:59 HOST:ai126197005130.18.access-internet.ne.jp
涙を流し、最後は力なく語る横手。
気付けば、レイ・ゲルトナーは涙を流していた。
R・G「私は・・・私は、生きていてもいいの?こんな・・・こんな私が・・・!?」
横手「・・・言っただろう。君は、生きなければならないと・・・」
横手「一人が辛いというのなら、俺達が傍に居る。皆の敵を討ちたいというのなら、俺達も手を貸す」
横手「だから・・・共に歩んでいこう。未来へ」
R・G「あ・・・・うぁ・・・・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!」
横手の胸の中で、子供の様に泣きじゃくるレイ・ゲルトナー。
ずっと・・・ずっと・・・誰かに辛さを吐き出したかった。
心に溜まった物を、誰かに受け止めて欲しかった。
今まで積み重なっていた思いを吐き出すかのように、彼女は唯々泣いていた・・・。
それから少し経ち、いつのまにかレイ・ゲルトナーが泣き止んでいた。というより、気を失っていた。緊張の糸が切れたのだろう。
その二人の元に、レイが歩み寄る。
725: 194 :2022/07/20(水) 18:43:29 HOST:ai126197005130.18.access-internet.ne.jp
レイ「平文さん、無茶し過ぎです・・・」
横手「・・・すまない。だが・・・どうしても放って置く事が、俺には出来なかった」
レイ「・・・まぁ、それでこそ私達の平文さんですけどね」
苦笑しながら、そう返すレイ。
苦笑を返しながら、レイ・ゲルトナーを見る横手。だが、何か様子がおかしい。苦しそうにしている。
彼女の額に手を当てる横手。明らかに高い温度だった。
横手「・・・凄い熱だ!医療ルームへと連れて行かないと!」
レイ「は、はい!!」
急いで人型特重機動戦艦・大和へ連絡を入れ、艦内の医療ルームへと連れて行く横手達。
そこでの治療を通じて、トラー・ゲルトナーの傲慢その物の非道ぶりを再確認する羽目となる。
726: 194 :2022/07/20(水) 18:43:59 HOST:ai126197005130.18.access-internet.ne.jp
以上です。レイ・ゲルトナーの救済、その結末でした。
何かよく見るような展開で大変恐縮ですが、自分にはここらが限界でしたorz
ですが、横手のセリフはレイ・ゲルトナーに対する筆者の嘘偽りの無い感情でした。書いてる途中で、こっちも泣きそうになる位には(涙)
次回ですが、彼女に施された改造の数々にメンバー達が憤怒すると共に、お約束通り蒼空戦娘として編入される事になります。
彼女の新しい名前も次回出てきます。ケッコン?デフォで有るに決まっているだろ、いい加減にしr←殴
最強の敵との戦いを終え、いよいよ次回から敵本拠地である塔へと殴り込みをかける事となります。あと、これに前後して人類連合の各部隊の展開や塔周辺での攻防。
後何故か最終決戦の生中継をするべく、超大陸世界のわくわく動画の佐古田さんと、甲世界のニヤニヤ動画の角田さん(佐古田さんの同位体)が
人型特重機動戦艦・大和に乗り込んできたりもします(ヲイ)。お楽しみに。
wiki掲載は、自由です。
8/1 一部修正
- 横手「・・・身勝手な事じゃない。レイ、君は正しい事をした。それは、私が保証する」
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- 横手「・・・身勝手な事じゃない。レイ、君は正しい事をした。それは、俺が保証する」
最終更新:2022年08月01日 20:14