82: 635 :2022/08/06(土) 09:56:58 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その八 空を飛べ、海をゆけ
『クソ!俺たちも欧州へ行ければ!!』
『ぼやくな。銃後を守るのも立派な仕事だ。対馬の二の舞いをさせないためにもな。』
二機のF-15が飛行する。そのパイロットらの視線の先には一隻の宇宙艦艇があった。
現在機動巡洋艦【扶桑】を名乗る重航宙護衛艦ふそう、彼女を領空ギリギリまでエスコートするために彼らはいた。。
彼女は日本が早急に動かせる唯一の機動艦艇として戦闘の真っ只中である英国への救援として出撃していた。
現在、砲艦アルテミスは大陸への警戒に当たり、
カグヤはパリに眠る祭神と対馬後に座礁した妖精國の者の情報からヘスティアの火とティアマトの水を用いて日本中の鍛冶神らが集まり急ぎ鋳造されるモノを欧州へ輸送するために完成まで待機せねばならなかった。
『神崎島からも艦娘以外にも援軍来て合流するんだったな?』
『ああ肉体持ってるから日本の外でも活動出来、フリーハンドである蛭子様に加えティアマト様の娘、機械仕掛けの竜アルビオンだな。』
『アルビオン動けるのか…確か伊邪那美様の影響で第一子だから肉塊として生まれちまったから柏木大臣に泣きついたんだったなティアマト様…。』
『ああそこでオリュンポスで回収した機神の残骸使った機神計画の産物で身体作ってある種のサイボーグにしたとか。』
『ついでに機神みたく人間大のアバターも出来たそうだがその姿は…っと。この反応来るぞ。蛭子様とアルビオンだ!』
F-15の遥か後方より高速で飛来する物体があった。
それは瞬く間にF-15の隣に来る並走を開始し、F-15のパイロットはその姿を見る。
青い鎧を着た銀髪の小柄な女性の人影、機竜アルビオンのアバターだ。
それは暫しF-15と並走するとニコリとパイロットに笑いかけ手を振りパイロットも敬礼で返すと満足したように笑う。
そしてその身を機械仕掛けの白き竜の躯体に転じると翼を翻し再度加速、F-15を置き去りふそうへと向かった。
それを見送るパイロットらはまた話だした。
それはその姿について知っていたからだ。
その章実装前にその章の人ら来ちゃったと政府から知らされた制作サイドが徹夜で早期実装した某スマホゲーで彼らは見た。
なお戦争なのにゲームとかどうなのかという叩けるものがないので叩いてきた自称有識者の的外れな批判もあったがこんな時こそ日常は必要というティ連や大戦経験者の主張と同調する国民の声で埋もれていった。
83: 635 :2022/08/06(土) 09:57:35 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
『やっぱりあの姿あれだな…。』
『徹夜とブラック作業で実装した妖精な國の妖精騎士で炎の厄災・白verやな…次は蛭子様だろうが…レーダーに映る影でかいなあ…。』
『だけどどうやって来るんだ?鯨の姿で空飛ぶのか?』
『いや案外同じ海神でアトランティスで回収された機神のボディかも知れんぞ?』
まあそんなパイロットらであるが第六章そのままがパリに埋まってたり妖精國関係者いることなど知る由もなかった。
そして続き飛来するものがあったのだが、二人は目を疑った、それは二人も見たことある姿だったからだ。
『ああ来たか…へっ???』
『何だアレがここに???』
現在の蛭子命の姿、それは凄まじい巨体であったがかつて平安期に謳われた一対の羽を持つ常世神の姿であった。
羽を羽ばたかせF-15の側を飛行するが直ぐ側の戦闘機に対して気にする素振りも見せずそのまま通り過ぎるとふそうと並走を始めた。
そして空間振動波放つふそうは蛭子命と共にそのまま加速し呆然とするパイロットらの視界から消えた。
(この子達一人助けられないのね…。)
ジェーナスは溜息をつき、それは泡となり海上へと昇る。
しかしジェーナスは逆に堕ちていく、崩れ落ちた己の残骸と共に暗く深い海へと。
彼女のいつもは白く嫋やかなその腕、今は黒く呪いに侵された腕の中には意識を失った幼子達が抱きしめられていた。
あの桜花に乗せられていた子らだ。
全員の身体がその齢ではあり得ない程細く、身体の至る所に暴行を受けたと思しき傷跡がある。
その惨状に怒りを覚えるがどうしようもない自分は沈んだのだから。
幼子達を抱きしめる手の力を強め口から再び漏れた溜息もジェーナスがあった海の上へと戻りその泡を目で追うもその顔も黒く染まりつつあった。
竜骨を圧し折られ、船体が真っ二つとなり呪いに侵されるジェーナスに対し幼子らの命に別状はなくその身が呪いに侵されることもなかった。
それはジェーナスと共にあった妖精達(ありし日の軍人達)がその全力を以て幼子達を守り抜いたからだ。
桜花直撃当初、妖精達は駆逐艦ジェーナスの艦体を保全する為に応急修理要員として消費される筈であったがジェーナスがそれを止めた。
それは桜花の中に制御システムとして組み込まれながらも幼子達の無事を願う子らの親と幼子の命が失われれば完成する蠱毒が存在を感知したからだ。
蠱毒が完成すればブリテンはおろか世に厄災を振りまく。
ジェーナスは幼子達を守り抜くことを優先し蠱毒の不完全な呪いに加護とシールドが突破された時点でダメコン全てを幼子らに回した。
結果、蠱毒の完成を防ぎ幼子の命を守れたがジェーナス自身を守ることは出来ず呪いに侵されながら海の底へと沈むこととなった。
84: 635 :2022/08/06(土) 09:59:54 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
「ごめんなさい……。」
謝罪の言葉が漏れる。その言葉にはたくさんの意味が込められていた。
助けた命を守りきれなかったこと。ジャービスの忠告があったのに沈んだこと。
そして何より愛する夫を残して逝ってしまうこと。
せめて子供達だけでも助けて欲しいと願う彼女の瞳から涙が溢れ水に溶けていく。
しかしその想いを無視し無慈悲にジャービスは沈んでいく。
在りし日のHMSジェーナスは地中海に沈み自分とアンツィオ棲姫が生まれた。
ならば艦娘である自分が沈めばどうなるのか…。
そんなことを考えながら沈むジェーナスは永劫にも思える時間を沈みながらふと上を見上げると幾つかの光が見えた。
どんどんとジェーナスへと近づく光、それにジェーナスは手を伸ばし触れると周囲を光が包む。
ジェーナスの視界が光で満たされ意識が薄れる。
『ローマ!』『大丈夫だ。問題ない。』
『お前ら静かに出来ねえのか?』『『(呆れた様なため息)×2』』
意識を失う間際、なんか色々聞こえた気がする。
良い香りが鼻を擽りジェーナスは目を開く。
暗く冷たい海ではなく青い空と白い雲が目に入り彼女は起き上がる。
「どこ…ここ…?」
気付けば花畑の中にジェーナスはいた。
遠くには銀泥…白ポプラの木々がちらほらと見える草原の広がる牧歌的な光景が広がっていた。
85: 635 :2022/08/06(土) 10:00:48 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
なお常世神としての蛭子命の姿、分かる人には分かると思われ。
最終更新:2022年08月07日 00:29