417:194:2022/08/20(土) 11:35:31 HOST:ai126149096215.54.access-internet.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?その102 とある銀河の文明との接触・その3
法外な報酬と引き換えに、ゼルネームへと是非来て欲しいという要請に対するレイと麗華の答え。
彼女達がどう答えるのか、世界中から注目が集まっていた。
だが、答えは初めから決まっていた。
レイ「私達の答えですが・・・断固拒否します!貴方達の下へは、絶対に行きたくありません!!」
タラダック「・・・理由を聞かせて貰っても?」
レイ「まず、私達の大切な人達を生み出すとか言っていますが・・・貴方達は、命を何だと思っているんだ!!」
一方的かつ傲慢な態度を取り続けていたゼルネームに、レイが怒りを爆発させる。
レイ「最終決戦で死にかけた時・・・私は、家族の魂をこの目ではっきりと見た。家族の下へと行こうとしたら、『来るな』と止められた」
レイ「お父さん達は・・・ここで死なずにまだまだ生きる様に言ってきた。それは、今でもはっきりと覚えている」
タラダック「・・・」
レイ「過去ではなく今と未来に生きろと望んでいたお父さん達が・・・そんな形で蘇るなんて事、本人達は絶対に望んでいない!」
レイ「何より、貴方達がどう言おうと・・・あの世と魂が存在しているのがはっきりとしている以上、貴方達が生み出す物は、どこまで行っても紛い物だ!!」
レイ「まるで神の様な振る舞いで、死んでいった人達の思いを平気で踏み躙る様な行為を、私達は望んでいない!!そんな物なんていらない!!」
レイ「それに・・・あの戦いは、確かに悪夢では有った。・・・でも、悪い事だけでは無かった!!」
タラダック「・・・」
418:194:2022/08/20(土) 11:36:01 HOST:ai126149096215.54.access-internet.ne.jp
レイ「ティ連や並行世界の日本の皆は、私達が一番苦しかった時に手を差し伸べ、希望と未来を見せてくれた!艦娘や深海棲艦の皆も、種族が違う私達に親身になって寄り添い、沢山の力を貸してくれた!!」
レイ「蒼空戦娘の皆と共に戦う様になって、私はかつての憎しみを乗り越えて、共にこの戦争を終わらせると誓い合える様になれた!」
レイ「そして・・・最終決戦時に沢山の人達が、生まれた世界も、星も、種族も、人種の違いや宗教の宗派と言った違いや対立をも乗り越えて、心を一つにして、私の復活と私達の勝利を祈ってくれた!!」
レイ「私は・・・三途の川の畔でその光景を見て・・・涙が止まらなかった。もう一度・・・自分達の世界で生き抜いていこう、そう思わせてくれた・・・かけがえのない奇跡の光景だった!!」
レイ「それを・・・それを、『長すぎる悪夢』と称して無かった事にするなんて、私には絶対に出来ない!!」
レイ「貴方達の提案は・・・沢山の人達の思いを踏み躙って無かった事にする、最低最悪の提案だ!!そんな物、糞くらえだ!!私達を・・・人類を舐めるな!!」
涙を浮かべながら、全ての思いの丈をぶつけるレイ。
それを見ていた三世界の人達は、ある人は涙を流しながら、またある人は何度も深く頷きながら、彼女へ惜しみない拍手を送る。
ネット上でも・・・
731: 名無しさん@未知との遭遇 投稿日:~
よく言った!よく言ってくれた!!
732: 名無しさん@未知との遭遇 投稿日:~
流石だよこの娘・・・
それでこそ、戦娘達のリーダーだわ・・・
733: 名無しさん@未知との遭遇 投稿日:~
何でだろう・・・?
眼から熱い汗が出て止まらないのだが・・・(´;ω;`)
734: 名無しさん@未知との遭遇 投稿日:~
733
奇遇だな。俺もだ・・・(´;ω;`)
419:194:2022/08/20(土) 11:36:39 HOST:ai126149096215.54.access-internet.ne.jp
最終決戦時に行動を起こしていた面子を中心に、彼女の決断を支持するコメントで溢れていた。
さて、今度は麗華の番だ。
麗華「私も勿論、お断りさせてもらうわ。理由はレイと同じ。・・・言いたい事は大体レイが言ってくれたから、私からは一つだけ・・・」
そう言って、深呼吸する麗華。
次の瞬間、人を殺せるような視線をして、低い声で言い放つ。
麗華「・・・もしアクアリスや地球を襲った悲劇を、データ欲しさに別のどこかで再現でもしてみろ。その時は、私達は絶対に許さないし、ティ連も黙ってはいない!」
麗華「宇宙に害悪を撒き散らす存在として、私達は貴様達を断罪しに行く。その事を、よく肝に銘じて・・・今後の振る舞いに十分注意しなさい!」
ドスの利いた声でそう言い放つ麗華。
科学至上主義な彼等の事だ。場合によっては、今回の悲劇を意図的に他種族にやる可能性も十分に考えられた。
あんな悲劇は、自分達だけで沢山だ。他へと拡散するのは絶対に許さない。その事を、はっきりと言い放った。
しばしの沈黙。お互いに睨み合う形となる。そして・・・
タラダックが深々と溜息をつく。その表情は・・・「やはり、こうなったか」というのと「寧ろこうなってよかった」と言うのが入り混じった、複雑な物だった。
タラダック「・・・やはり、私の予想通りの回答となったか」
麗華「・・・『私の予想通り』?」
タラダック「我が種族は、元々排他的な所が有ってね。他種族の気持ちを汲む事を苦手としていてね」
タラダック「言い訳に聞こえるかもしれないが、議会で『この条件でスカウトしてみよう。誰もが幸せになれるクールな提案だ』と言う声が出た時、私は内心頭を抱える羽目になったよ」
レイ「・・・そうなのですか?」
タラダック「ああ。『お前達は彼女達をスカウトしたいのか、それとも喧嘩を売りたいのか、どっちなんだ』ってね。だが、立場上議会の声を無視する訳にもいかないし、私も他の言葉を思い付かなかった物でね」
タラダック「いずれにせよ、君達には不快な思いをさせてしまったね。申し訳なかった」
420:194:2022/08/20(土) 11:37:10 HOST:ai126149096215.54.access-internet.ne.jp
そう言って、頭を下げるタラダック。これには流石にレイ達も慌てた。
幾ら非がアチラ側にあるとはいえ、仮にも国家元首がこういう場で頭を下げるというのは色々とマズいからだ。
レイ「ちょ!?タラダック閣下、頭を上げて下さい!」
麗華「流石にそこまでしろなんて、一言も言ってませんから!」
タラダック「いや、議会の声を止められなかった以上は私にも非が有る。これ位は当然だろう」
レイ「ですが・・・流石に政治生命的にまずいのでは?」
タラダック「君達がそれを心配するとはね。なに、ここで政敵に倒されるようでは、種族の意識改革など、夢のまた夢という奴だ」
麗華「・・・失礼ながら、かなりの変わり者と言われているのでは?」
タラダック「・・・まぁ、その自覚はあるね。かつて技術士官だった時に、ある言葉を聞いたのがきっかけだった」
レイ「・・・『ある言葉』?」
タラダック「・・・先程話した、極端な浄化主義を掲げていた帝國が、全てを敵に回して滅んだという話は覚えているかな?」
麗華「ええ」
タラダック「当時の私は、その国の技術の接収の為に連中の首都星へと降り立ったのだが・・・処刑場へと連れていかれようとしていたその国の軍高官が、アレコレ叫びながら暴れていてね」
レイ「・・・はぁ」
タラダック「戯れに、彼を取り押さえようとしていた兵士達を静止して、聞くだけ聞いてやろうとしたのだよ」
レイ「・・・何と言われたんですか?」
タラダック「・・・『貴様達は我々を悪と断じて滅ぼしたが、貴様達と我々にどれ程の違いがある!?他種族を屈服させ、実験の名の下に好き放題に弄んでいるではないか!』」
タラダック「『そんな貴様達が、我々を悪と断ずるだと!?笑わせてくれる!一度鏡を見る事を勧めるぞ!』」
タラダック「『我々は破れ、国家としての独立は二度と出来そうにないが・・・今日の我々の立場が、明日の貴様達の立場で無いという保証は、どこにも無いのだぞ!』」
タラダック「『私は処刑されるが、貴様達が滅びたら心の底から大笑いしてやろう!貴様達が無様な最期を見せる瞬間を、地獄の底で楽しみにしているぞ!!』とね」
タラダック「・・・正直、その言葉にはハッとさせられたね。明日の自分達が、奴等と同じ立場にならないという保証はどこにも無いのだ」
タラダック「事実、シュラウドの脅威には今でも手を焼いている。・・・その言葉で、遅まきながらも自分達が如何に歪なのかを思い知らされたよ」
421:194:2022/08/20(土) 11:37:42 HOST:ai126149096215.54.access-internet.ne.jp
自嘲気味にそう語るタラダック。
恐らく、これまで圧倒的な技術力で優位に立てていたからこそ、自分達が銀河の支配者に立てていただけであり、それが未来永劫続くという保証はどこにも無い。
だが、彼の反応を見るにそれを自覚している者がどれだけいるのだろうか。彼の反応は、問題の根の深さを語るに十分な物だった。
レイ「・・・閣下も、相当苦労しているのですね」
タラダック「・・・まぁな。だが、座して問題を放置する事だけは出来ない。私も、この国自体は愛しているのでね」
麗華「・・・そうですか。貴方達との再接触が何時になるかは分かりませんが・・・少しでも変わってくれている事を、期待しています」
タラダック「・・・ありがとう」
その後、柏木が連合防衛総省長官としての立場から、彼等が手を焼いているというシュラウドについてあれこれ聞くと共に、様々な事実が判明する事になるのだが・・・
それは、本編終了後の番外編にて描いて行く事としよう。
タラダック「さて、それでは『テラフォーミング・ナノマシンの暴走による、銀河外星域及び異次元に対する消極的複合観測研究』の目的達成を此処に宣言する」
タラダック「本研究に関わり、我々に新たなる知見を齎してくれたアクアリス人類、地球人類、ティエルクマスカ連合の君達に、改めて心からの感謝を」
タラダック「それと・・・個人的に、艦娘と深海棲艦達にも感謝を述べたい」
タラダック「全ての霊的存在が、この世界に生きる種族に害悪を齎すと言う訳では無い。手を取り合える霊的存在も、確かに存在している事を教えてくれた。その事を、心から感謝する」
タラダック「またいつの日か、君達と出会える日を楽しみにしていよう」
感謝の言葉と共に、通信が切られる。
こうして、今度こそ全てが終わった。今回の通信も含め、様々な波紋を呼ぶ事となるが・・・それは次回以降に描写して行く事としよう。
422:194:2022/08/20(土) 11:38:13 HOST:ai126149096215.54.access-internet.ne.jp
以上です。ゼルネームとの接触・最終章と相成りました。
ゼルネームのラブコールですが、予想通り断固拒否しました。まぁ自分が同じ立場でも、同じ事をしますね。生命を弄び過ぎていますし(汗)
そして、ゼルネームで代わり者扱いされているタラダックの過去もちょっとだけ描写。これはクローサー様の原案とは別に、自分が書き加えました。
技術とそれに裏打ちされた国力で勝っているからこそ、傲慢な態度とかも通用していた訳ですが、それが未来永劫続くという保証はどこにも無いですからね。
彼の苦悩はまだまだ続く事でしょう。・・・裏で神崎提督辺りが
「他人とは思えない」
てな感じで、涙を流していそうなのが(ヲイ)
次回からは、戦後の様子とかを随時書いていく事になるかと思います。お楽しみに。
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最終更新:2022年09月04日 13:23