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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その九 母刀自は春の風とともに



「どこ…ここ…?」


花畑の中で眠っていたジェーナス、見上げれば鳩が一羽だけ空を舞っていた。
花畑と草原の広がる牧歌的な神話に謳われる楽園の様な光景。
それに対し黒く呪いに侵された自分が異物の様で酷く惨めで涙が溢れてきた。


「お前も縁深い常世の一つ、いや最果ての常春の國って言った方が分かりやすいか?」


声の方を向くと見たこともない黒い角髪に無精髭を生やし上代の服を着た神性を感じる男性始め数人の男性達がこちらを見ていた。
他の男性はどこかで見たことある姿でありこちらも神性を感じる。
黄金色の髪にキトン着た問題ないとか言いそうな男性に片目を眼帯で塞いだ青い髪につばの広い帽子と槍を持つケルトのドルイド、
そして髪も肌も白く見事な顎髭持つ彫像の様なギリシャ風の男性と黄金の鎧纏った色黒の青い髪の男性。
というか後者二人は戦艦ローマに降りたギリシャの軍神や月女神に似た気配があるから確定的に明らかだ。
先の男性、角髪の男性もその気配は良く知った天照大御神、アルテミス…月夜見命に似ている。
そして死者の国の大神である伊邪那美命や常世を治める蛭子命に近しい神威、ということは一柱しかいない。


「そうか貴方は天照大御神様の弟で伊耶那美様の息子の…。」

「お、分かるか。」

「成人してからもマザコン拗らせて父親に実家から放り出されたヒトね!!」

「何だその覚え方!?」


ジェーナス、色々と問題のある認識の仕方に絶句する男、もとい素戔嗚命だった。
なお残り四柱は肩を震わせ笑うの我慢したり、大爆笑したり、ローマだったりした。




「で、姉の職場でやらかした根の国の祭神(DQN)と話を聞かない天の書記官(アホ)と首吊り自殺しかけた北欧の大神(おバカさん)、
ギリシャ神話きっての子だくさんな雷霆神(種付おじさん)とローマでローマな神祖(ローマ)が揃いも揃って没んだ艦になんの用事かしら?
出来っこないだろうけど私に降りてくれるのかしら?」


ブスっとした表情でじろりと神々を睨め回しながらも愛らしいジェーナスの姿と言葉の裏の悪態に主神や主神に比する神々も苦笑する。
白きギリシャの雷霆神が唇を開く。


「既に分かっているか…我らオリュンポス船団に似て非なる者、かつてと姿も形も違えどテセウスの船たる者、
そして考える葦たる者よ。
その方の言葉の通り我らは汝に降りることは出来ん。降りるために来た訳でもないが。」

「分かってるわよ…私達欧州の艦娘は日本の艦でもあるけど大八十島とその八百万の神、
ましてや貴方方とも縁が深い存在ではないわ。
強いて言うならそこの天界の書記長くらいかしら?
対馬の時の様に名を背負うことでもしない限り習合したとてしても貴方達や八百万の神を降ろすことは出来ない。そもそも今の状況じゃそんなこと出来ないしね。」


ジェーナスの言葉に頷く雷霆神。
次は北欧の大神が口を開く。


「お前さん枠は文化や郷里的にゃ聖書だからなあ。
ま、例外はあるがな例えば今セクアナ(セーヌ川の女神)降ろしてるあのガリア(フランス)の嬢ちゃんやローマの嬢ちゃん。」

「リシュリューは例外中の例外、規格外もいいところよ。並行存在がフランスの神なんだから。ローマは…まあローマだからね。」

「あの嬢ちゃんらは色んな意味ですげえなw。後資格持ちは勇気と尊厳の代名詞となった【戦争を忌む】嬢ちゃんか…。」


「え?」

「ああまだだったか…ま、これは後々分かることさ。」


そして三貴神の末弟が言葉を紡ぐ。


「だがな俺らがここに居てお前さんと会えたのは降りれない筈のその神様とお前さんが縁深いからだ。」

「どういうことなの?」

「それは私(ローマ)から話そう。科学(ローマ)より生まれし子(ローマ)よ。」


神祖(ローマ)が話を引き継ぐがローマローマ連呼しても意味が何故か分かるのでジェーナスは頭を抱える。
あと艦娘ってローマ枠に入るのか。

124:635:2022/08/07(日) 15:57:28 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp


「Janus(ヤーヌス)、我が後継ヌマ・ポンピリウスにより奉られし門と平和の守護者、
そして内と外、古き年と新しき年、すべての境界を司る者の名を受けた者よ。
その名故に私(ローマ)は汝と縁が出来た。その名を持つ汝が願った故に繋がりが生まれた。
その名故に汝とこの最果ての境界たる常春の國でまみえることが出来た。」

「ついでにヤヌスは日本で言えば年神に当たる。その中でも大年神は俺の子だ。」


神祖の言葉を三貴神の末弟が補足する。
こじつけにも近いが子供の様なもんだと言う。


「そしてそこな日本の神は嵐神、ローマの神祖は雷神、故に縁を繋ぎ私と北欧の大神はここに在る。」

「そいうこった。そしてそこの天界の書記官は地上に降りてる聖書の主の代理人故にここに居られる。そして主神の代理人だからな主神の俺らと繋げられた訳だ。」


天界の書記長が歩み出る。


「神は言っている…ここで死ぬ運命ではないと。」

「そのセリフ貴方が言うの!?」


別な意味で驚くジェーナスを他所に天界の書記官は話を続ける。


「神は全てを愛する。故に神は嘆かれた。
異教ですら無き呪いの為に罪なき子らの命が投げ捨てられることを、故に私を寄越した。」

「貴方が私に降りてくれるの?」


誰かを救う力、それを求め縋るように切望するように問うジェーナスに天界の書記長は首を振る。


「私もローマの神祖も北欧の大神もギリシャの雷霆神も日本の嵐神もそれはしないし出来ない。
先程貴女が言った通り今の貴女の名にその器はなく。今の貴女にそこまでの縁もまたない。」


その返答にジェーナスは救えないのかと頭を垂れ涙を流す。
しかし、だがと天界の書記官は言葉を続ける。


「神は言っている、その手で救える全ては救えると。」


北欧の大神が、ギリシャの雷霆神が、三貴神の末弟が続く。


「絶望するにはまだ早いぜ?」

「降りれずとも力を貸すため、その道を示す為に我らはここにいる。」

「そうだともお前に力を貸すことの出来る者はまだいるのだから。」


そしてローマの神祖が声を掛ける。


「Janus(ヤーヌス)よ。最も子ら(ローマ)に近きローマの神の名を与えられた艦(フネ)の娘よ、見上げるがいい。」

「……星……?」

「Janus(ヤーヌス)、そしてお前の同胞らに助力する者達だ。」


その言葉に涙を瞳に浮かべたままのジェーナスが空を見上げれば青い空なのに幾つもの輝きがあった。
幾つも…ではない、もっとたくさんの優しい煌めき。


「あれらは人(ローマ)と共にある者達。いつの時代、何処であろうともあの者らは共に在った。」

「現代では守護霊などとも呼ぶがそれは霊などという単純な括りで纏められるものじゃねえ。」

「あれらには死者、精霊、妖精、動物或いは零落した神もいるやもしれん。」


気づけばそれはジェーナスの周囲も覆い漂い、その煌めきは彼女へと吸い込まれていく。
ジェーナスの瞳から再び涙が溢れる。

125:635:2022/08/07(日) 15:58:27 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp



「ああ…あああああ…!!!」



ジェーナスにそれらが宿り、融合し正体を知った。
ジェーナスや艦娘、深海棲艦達が守った守れなかった人々とジェーナスらが守ろうとする大地の人々を守護してきた者達。
ギリシャではダイモーン、北欧ではフィルギャ後の時代はワルキューレともされ、聖書では守護天使とも呼ばれる人に寄り添い守り続けた幻想達。
ジェーナスに宿れば幻想らはその意思も存在も失う。しかし幻想達はそれに構わずジェーナスにヒトを守り続けた礼を言うとその身と一つとなる。
そして訴えた、人を守り続けて欲しいとどうしようもないほどの願いを込めて。

煌めきが一つずつ吸い込まれるごとに呪いが消え白い肌に戻るジェーナスの身体、その身は輝きに覆われる。
それを満足そうに見る神々、ローマの神祖が口を開く。


「さて我らより贈り物をするとしよう、私(ローマ)からは全てを拓く手を守るものを…。」



ギリシャの雷霆神が言葉を紡ぐ。


「私からは悪しきを焼く雷の大槍を…。」



北欧の大神がルーンを刻む。


「俺からは空を駆ける白鳥の翼を…。」



天界の書記官が祝福を紡ぐ。


「私からはその身を罪に侵されぬ鎧を…。」



三貴神の末弟が言霊に力を乗せる。


「俺からは如何なる嵐にも負けぬ護りを。」



そしてジェーナスは新たなる姿を得た、煌めく白き鎧と黄金の小手、雷の槍を携え背には嵐すらも超える白き翼。
その姿は正しく伝承にある母刀自、北欧の戦乙女か或いは聖書の守護天使か。
ローマの神祖が祝福の言葉を掛ける。


「お前の同胞にも同じ物を与えた。さあJanus(ヤーヌス)、平和を守る者の名を冠する者よ征くが良い。
世界(ローマ)を国家(ローマ)をそして人々(ローマ)を守るのがお前に託され、お前が生まれた願いである。なればその使命を十全に果たせ。」


ジェーナスはその言葉に頷く、そしていつの間にか天界の書記官は何かを抱いてこちらに歩み寄り抱いていたものを差し出す。
それはジェーナスが守り抜いた小さな幼子達、ジェーナスはその子供たちを受け取ると大事そうに抱えた。
望の大地より旅立った。

126:635:2022/08/07(日) 15:59:54 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
125失敗したので訂正




「ああ…あああああ…!!!」



ジェーナスにそれらが宿り、融合し正体を知った。
ジェーナスや艦娘、深海棲艦達が守った守れなかった人々とジェーナスらが守ろうとする大地の人々を守護してきた者達。
ギリシャではダイモーン、北欧ではフィルギャ後の時代はワルキューレともされ、聖書では守護天使とも呼ばれる人に寄り添い守り続けた幻想達。
ジェーナスに宿れば幻想らはその意思も存在も失う。しかし幻想達はそれに構わずジェーナスにヒトを守り続けた礼を言うとその身と一つとなる。
そして訴えた、人を守り続けて欲しいとどうしようもないほどの願いを込めて。

煌めきが一つずつ吸い込まれるごとに呪いが消え白い肌に戻るジェーナスの身体、その身は輝きに覆われる。
それを満足そうに見る神々、ローマの神祖が口を開く。


「さて我らより贈り物をするとしよう、私(ローマ)からは全てを拓く手を守るものを…。」



ギリシャの雷霆神が言葉を紡ぐ。


「私からは悪しきを焼く雷の大槍を…。」



北欧の大神がルーンを刻む。


「俺からは空を駆ける白鳥の翼を…。」



天界の書記官が祝福を紡ぐ。


「私からはその身を罪に侵されぬ鎧を…。」



三貴神の末弟が言霊に力を乗せる。


「俺からは如何なる嵐にも負けぬ護りを。」



そしてジェーナスは新たなる姿を得た、煌めく白き鎧と黄金の小手、雷の槍を携え背には嵐すらも超える白き翼。
その姿は正しく伝承にある母刀自、北欧の戦乙女か或いは聖書の守護天使か。
ローマの神祖が祝福の言葉を掛ける。


「お前の同胞にも同じ物を与えた。さあJanus(ヤーヌス)、平和を守る者の名を冠する者よ征くが良い。
世界(ローマ)を国家(ローマ)をそして人々(ローマ)を守るのがお前に託され、お前が生まれた願いである。なればその使命を十全に果たせ。」


ジェーナスはその言葉に頷く、そしていつの間にか天界の書記官は何かを抱いてこちらに歩み寄り抱いていたものを差し出す。
それはジェーナスが守り抜いた小さな幼子達、ジェーナスはその子供たちを受け取ると大事そうに抱えた。

127:635:2022/08/07(日) 16:01:52 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp

子らを抱え常春の國より飛び立とうとするジェーナス、しかしふと立ち止まるともう一度神々の方を向き最後に一つだけと尋ねる。


「なんで貴方達は私達を助けてくれたの?素戔嗚命やロムルス、メタトロンは分かるわ。」

「ま、俺は母やすぐ上の二人、役目押し付けてちまった長子が頑張ってんだ。何もしないわけにはいかねえからな。」

「子(ローマ)を守るのが我が役目なればそれは当然である。」

「神は言っている…全てを救えと。」


三貴神の末弟、ローマの神祖、天界の書記官の言葉に頷くジェーナスは残り二柱に問う。


「でもゼウスにオーディン…貴方達が助けてくれたのは何故?」


雷霆神が答える。


「私はヒトに絶望してはいない。そして図らずとはいえ汝らに遠き世界の我らが負債を押し付けてしまったことへの謝罪。
加え我が姉と娘を幸福に至らしめてくれたことのせめてもの礼だ。」

「ああ、ヘスティアとアルテミスはそのままだと結婚無理だったしねえ…。オーディンは?」


北欧の大神の言葉。


「今は何を言っても時間がねえから言わねえが…今もそしてこれからも色々とウチの連中が世話を掛けるからだ。」

「???、どういうこと?」

「細けえトコは後でお前の旦那から聞いてくれ。」

「ちょっとどうい「Janus(ヤーヌス)よ時間が迫っている。急げ。」ああもう!分かったわよ!!提督に聞けばいいのね!?じゃあ行ってくるわ!!」


神祖の言葉にジェーナスはその背の翼を広げ光を纏い大地を飛び立つ。
空の上はジェーナスを先導する様に一羽の白い鳩が羽ばたく、そしてジェーナスと同様に大地より幾つもの光達が昇る。
よくよく見ればそれは自分と同じ姿をし、子供達を抱えたジャービスやアンティオ棲姫ら艦娘や深海棲艦の姿。
そして後ろ髪を引かれもう一度だけ常春の、希望の大地を振り返ればこちらを見送る神々の姿。


「行ってきます…。」


一言呟くとジェーナスは前を向く、もうその瞳に迷いは無い。ジャービスは翼をはためかせると常春の國を離れ一陣の風になる。
終わらない冬などない。冬が終われば春の風は必ずやって来る。風は希望の大地より旅立った。

128:635:2022/08/07(日) 16:02:57 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ

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最終更新:2022年09月04日 21:25