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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その十一 蠱毒の竜


鳳翔達は救出した子供達を抱え脱出するとそのままふわりと海面に降り立った。
残る幼子らもティ連による転送やジェーナス達の魔術により救出され犠牲となった者は誰もいない。
ジェーナス達は子供らを抱え大型艦である神鷹や米国の強襲揚陸艦イオージマなどの艦艇に降りて子供を預けていた。

爆散したA400Mに乗っていた者達は空いた穴から圧力の差により投げ出され海に落ち命からがら機体の残骸にしがみつく。
そしてドイツの戦闘機や機動兵器も撃墜されつつありパイロットごと海面に叩きつけられていた。
しかし全員の息はまだあった。
まあそれも肺を焼かれたり、戦闘機の部品が内蔵を突き破るなどしていたがそれらも船に引き上げられていた。


「カフッ…!何故…!何故祝福された我々がこの様な目に合わなければならないのだ…!!」


指揮官であった者は機体の残骸にしがみつきそんな事を言うがその顔は海面に映る影が自分の上に来ると恐怖に変わる。
怒りに燃えるリアッサの乗る旭龍が目の前に現れたからだ。


『コノ外道共メ…!アノ鳩ガオ前ラナゾ祝福スル筈モナイダロウガ!!』

「リアッサさん殺しては駄目ですよ。最低限延命して戦後に裁判に掛けて責任を取らせなければならないのですから。」

『鳳翔…無論分カッテイル。フン、命拾イシタナ…!』


リアッサを嗜める鳳翔しかしリアッサのその言葉に更に恐怖が増す。


「そんな!裁判等に掛けられれば私は…!」

「ええ極刑になるでしょうね。で…それが何か?」

「そ、そんなことの為に延命処置をするのか!?人道に反している!!」


溢れた言葉にそれがどうかしたのかと夜食のメニューでも聞くかの様に言う鳳翔に絶望する指揮官。
その間にその他の者らも罪を償わせる為に各国の船に回収されていく。
リアッサと鳳翔は話を続けるがそこに近づく影が。


「多くの命を弄び、罪もなき人々に罪を重ねさせた者が今更人の道を説きますか…。」

『ソレダケノ事ヲシタノダ。自業自得トイウモノダロウ。
アア、オ前ノ死体ハ蠱毒ノ製作デ呪イト穢塗レダカラ浄化モアルカラ焼クダロウヨ。千年王国、ダッタカ?ソレガ来ヨウトモ復活出来ナイカラナ。』

「身体が残っていたとしても貴方方のその魂を裁くのは主でも天使でもありません。異界を彷徨うことになるか…っ!!皆さん下って!!」

「何やこれ!?」

『鳳翔!コッチヘ!!』


鳳翔が叫び皆が飛び退きリアッサの旭龍が鳳翔らを手に乗せその場を飛び去る。


「ヒ、ヒィ!!何だこいつら…!!」


もう仄暗くなった海面、機体の残骸にしがみつくドイツ人指揮官の周囲を人影が取り囲む。
いや指揮官だけではない、他のドイツ人達の周囲にも同じ様な影が存在した。
空中でそれを見る旭龍の周りにジェーナス達も集まる。
そして彼女らの眼前でドイツ人達は折り重なる様に集まる影に飲み込まれていく。
それを見て鳳翔は険しい表情をして唇を噛む。


「ホウショウ…アレは…。」

「ええジェーナスさん…迂闊でした…呪いの術としてこそ完成してませんが呪いは呪いでありそこに在った筈なのにそれを忘れてただなんて…。」


鳳翔は早口で捲し立てる。


『鳳翔、アレハ何ダ?カオナシカBTミタイダガ…。』

「リアッサさんにはそう見えますか…。アレは恨み辛みと施された術故に呪いとなった元人間の集合体…。
呪物として積まれていた機体が破壊され解放され海に拡散し混ざり合い、機体の破壊と同時に死を得た加工されていた人間も取り込み…そして…。」

744:635:2022/09/04(日) 08:31:06 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp


鳳翔は心を落ち着ける目を瞑り息を吐き再び瞳を開く。


「蠱毒として完成した…。」


言葉に成らない声を上げ飲まれ水中に没んでいくドイツ人達、生きたまま呪いの海にゆっくりと溶けていくだろう。
そしてそれら呪いは完成し一つとなりその姿を現す。
海中より現れるに出来立てほやほやの生の呪い、対馬で使われたもののように事前に準備され扱えるようにされていた様な生易しいものではない。
解放された蠱毒そのもの、常人が触れればそれだけで死ぬような瘴気を発し続ける。
それを見てジェーナスと同様に翼を生やし鎧纏いジェーナスの隣に浮かぶジャービスは思った言葉を出す。


「あれは…トカゲの頭したCentipede…いえ…Centipedeの甲殻付いたWyrm…!?」

「多分どっちでもあるんやろうな。百足は蠱毒に使われるモンの代表格や…で、ワイアーム、西洋の竜は罪の象徴と…。」


その姿はジェーナスの言葉通りむ百足の甲殻に蟲の翅を持つワイアーム(竜)。竜はその口より呪詛の毒の込められた息を吐く。
その息はまだ生き残っていたドイツの機体に触れその瞬間に機体全てを侵食する。


『!?ギャアアアアアアアアッ!!』


無線に痛みを感じるパイロットの絶叫が木霊する。
しかしその声は直ぐに人の声で無くなる。


『アアアァァァァァaaAAHaaaa"a"a"!!』


蠱毒の呪いがパイロットを侵食汚染しその身体をボロボロに機体ごと溶かし機体は塵となり崩れ去る。


「蠱毒吐く竜…正しく毒竜ですか…。」

「鳳翔!あれ見い!」


龍驤が叫ぶ。
見れば今度はドイツの機体を複数その口で纏めて吸い込み全て呑み干した。


「空気による吸引…?」

『違ウゾ!!周囲ノ空間ゴト重力デ引キ込ンデ呑ミ込ンデイル!!ヤツニ呑ミ込マレタ機体ノ反応消失!!」

「あの口…あまりの呪いの密度に異界の穴になってるんや!やっこさんこっち向きおった!!」


今度は旭龍の方を向くと旭龍と鳳翔らを吸い込み始めた。
旭龍は空間振動波機関を起動させ離脱しようと試みるが段々と口に引き寄せられていく。
ジェーナス達も引きずり込まれまいと背中の翼を羽ばたかせ、或いは反撃を試みるが効果なし。
それを見た水上の艦艇や戦闘機も鳳翔らを助けようと攻撃を始めるが竜に全く効果がない。


「クッ!リアッサさん!!」

『駄目ダ!旭龍ノ推進力ヨリヤツノ吸引力ノ方ガ上ダ!!ゲームノ戦艦棲姫ノ方ガ攻撃スレバ沈ムカラマダマシダ!!』

「吸引力の変わらないって、そうじゃないやろ!?」






「本艦の攻撃効果ありません!」

「クソ!打つ手はないのか!!」


鳳翔達を助けるために気を逸らそうと砲撃を加える英本国艦隊の駆逐艦、彼らの目に映るのは旭龍が全推進機関を全力で稼働させてもその上をいく竜の吸引力。
他の艦艇や戦闘機達も各々の出来ることをしているが相手は竜、というか呪いそのもの。純粋な物理攻撃が通じる筈もない。
レベルを上げた物理ならば通るやもしれないが。

それでも彼らは竜に抗う。
鳳翔やジェーナス達は希望だ。絶望沈まんとした彼らに届けられた星(希望)だ。
自分らも希望を鍛たんとする。それは生命の生きようとする意思、星の輝き。
しかしその輝きは飲まれんとしている。
そして奮闘虚しく竜の口部、異界の穴に旭龍が飲み込まれた。


「あああ…。」

「そんな…。」


絶望する人間達、竜がそんな彼らにその顎を向ける。
その口より蠱毒が吐かれた…皆は呪いを受ける自分の姿を想像し身構える。

745:635:2022/09/04(日) 08:31:46 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
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最終更新:2022年09月04日 21:30