240:奥羽人:2022/09/01(木) 20:25:16 HOST:sp1-75-231-235.msb.spmode.ne.jp
近似世界 2022年 IF
日本による直接的軍事介入




史実通り2022年上旬に始まった“連邦”軍による東欧某国(以下“U国”)への侵攻は、日本にとって許容できるものではなかった。

この世界においては、“U国”が“旧連邦”から受け継いだ核兵器を放棄する代わりに、他の核保有国が“U国”の安全を保障する…………という「合意」に、核保有国である日本も調印しているからだ。
なんらかの法的拘束力がある訳ではないものの、核拡散防止の観点、そして日本という国家のイメージ戦略の観点から見た場合、何か行動を起こさない訳にはいかない。

勿論、2014年の危機の際にも動く機会はあった。
しかし、地球にとって数年程度は誤差なのか……
……遅れてやってきた東日本大震災を受けて、一時的に身動きが取れなくなっていたのだった。

震災の被害は大きかったが、幸いにも、鳩山(有能化)→安倍のバトンを上手く渡す事に成功し、日本を再成長路線へと押し上げることができたが、肝心の危機への介入は、時期を逸してしまい出来ずに終わっていた。




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「U-連邦国境付近における連邦軍の集結は地域の不安材料となっており、不安定化が懸念される」

「連邦によるU国侵攻の意図は明白である。我々はいかなる侵略戦争も擁護することは無く、連邦には強く自制を求める」
──開戦前、日本政府関係者のコメント






「我々を殊更に敵視することを止めよ。我が連邦はいかなる脅威となることも行わない」
──開戦前、連邦大統領による欧米および日本に対する声明



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【もし開戦した場合、日本の介入を支持する?】
  • 支持:26%
  • 限定的支持:43%
  • 不支持:19%
  • その他、未回答:12%

──開戦2週間前 新橋駅前街道アンケート



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「我が国は、U国の自由と安全に重大な脅威を与えている“連邦”の「合意」に反する短慮な行動を強く非難する。これ以上の軍事的行動は“連邦”の孤立を深め、不利益になるだけである」(米国代表)


「アメリカ政府は我が国に言いがかりをつけている。そもそもNATOを拡大させ我が国へ重大な脅威を与えているのはアメリカの方である。
日本も、かつての東西中立姿勢を思い出し、アメリカへの過度な荷担を止め中立的な立場として判断することを期待する」(連邦代表)


「我が国の中立は世界の平和と安定の為であり、明確な侵略行為に同意する為のものではない。現状の緊張は“連邦”の手によって産み出されているものであり、我が国は“連邦”に責任ある大国としての賢明な行動を求める」(日本代表)



日本・アメリカ・“連邦”の3か国間では、積極的な話し合いの場が持たれたものの、日米と“連邦”の主張は平行線を辿るだけだった。




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241:奥羽人:2022/09/01(木) 20:27:00 HOST:sp1-75-231-235.msb.spmode.ne.jp


『海軍空母部隊、欧州へ』
(開戦前、新聞記事より抜粋)

本日正午、日本海軍の欧州派遣が決定したとの発表があった。
派遣されるのは海軍インド洋艦隊所属の艦艇から編成される、複数の空母を含む任務部隊であるとされる。

目的は、NATO諸国への親善訪問であるとされているものの、実際は最近不穏な動きを見せている“連邦”への牽制の意図が含まれていると有識者によって予想されている。





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「我々も、責任ある大国である以上、地域の平和と安定に尽くすことが重要であると認識している。」

「日本政府としても、中華人民共和国の節度ある賢明な判断を歓迎する。」


──開戦前、日中首脳会談
地域の平和と安定にむけて努力する事を互いに確認するものの、“連邦”への姿勢についての明言は避ける形となった。
中国にとっては、露骨な侵略に味方するのは日本との関係悪化を招く為イメージ的に避けたいものの、反米の盟友たる“連邦”との関係を拗らせるのも憚られる為、難しい舵取りとなった。
会談中、中国共産党主席には常に歯切れの悪さと苦々しい表情が見てとれていた。



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──では、もし仮にU国が侵略を受けた場合、日本もU国を助ける。そういった協定があるということですか?


「そうですね。正しくは協定ではなく合意であり、条約ほどの法的根拠はありませんが……U国の非核化と引き換えに、核保有国各国はU国の安全を保障する、との合意がなされています」


──条約ではないのだとすれば、内容を履行する義務は無いという事ですか?

「はい……まぁ、それはそうなのですが、もし仮にこの合意を無視した場合、また別の問題が起こると考えられます」

──別の問題、ですか?

「はい。U国は、自国の安全保障と引き換えにして、核兵器を放棄しました。しかしここで、U国が侵略を受けて、合意締結国がこれを見過ごした場合……U国は、都合良く核兵器だけを放棄させられた……という形になる訳ですね」

──なるほど。合意締結国への信頼が損なわれると。

「そうです。それだけではなく、もし仮に諸外国がこれを、非核化したから侵略された……と受け取ってしまう事も考えられます。そうなれば、各国は自国の安全保障の為に核開発へと走る可能性があります」

──ということはつまり、合意を無視した場合、第三国の自助努力の意識が高まり、それが結果的に核拡散へと繋がる、という事ですか。

「最悪の場合には、そういった事態も十分に考えられるでしょうね……。他にも─────」



民放、昼間に放送された政治バラエティ番組の有識者対談より抜粋

242:奥羽人:2022/09/01(木) 20:28:39 HOST:sp1-75-231-235.msb.spmode.ne.jp


2月半ば
日米首脳の電話会談が行われ、両国が世界の平和と安定の為に協力するとの確認が成された。

これに前後して、両国は“連邦”に自制を求める声明を発表したものの、“連邦”政府はこれに強く反発している。

米国はNATO諸国と協力して状況に対応したいと考えているものの、天然ガスを始めとする資源を“連邦”からの輸入に頼っているドイツなど一部の国が慎重な姿勢を見せており、NATOの足並みは未だ揃わないでいる。

STOにおいても、インド等は慎重な姿勢を見せているが、これは厳しい姿勢の日本と融和的な姿勢のインドという、陣営2国を使った“良い警官・悪い警官”戦略であるとされている。



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「“連邦”軍が“U国”東部国境を越えました。開戦です。」

「…………やはり、始まったか」


2月末、遂に“連邦”陸軍がU国へ全面的な侵攻を開始した。
“連邦”軍は有力な機甲部隊と、それに先発する多数の空挺部隊を用いて陸空より大規模に侵攻。
更に、動員を宣言して大々的に兵力を増強するなど、史実と比較すれば遥かに腰の入った“軍事行動”を行っている。
とはいえ、それでもU国全土を素早く一息に征服する程の力は無いと予想され、ここに日本の介入の機があると考えられた。


「それで、これからのプランは?」

「先ず、“U国”への支援物資の輸送を始めます。この支援についてはまだ秘密とし、期を見て正式に発表することとします。また、アンドロイドから編成される特殊任務部隊で連邦軍後方を攪乱します。」

「海軍としては、ポーランドとトルコの空域通過許可が取れ次第、北海および地中海へ派遣した艦艇より巡航ミサイルによる攻撃を行います。この攻撃は、U国東部の連邦占領地域に存在する兵站ラインに標的を限定し、我が国の介入意図を示します。」

「これでも連邦が翻意しない場合、目標を連邦軍駐屯地や空軍基地、通信基地に拡大させ、更なる圧力を加えます」

「その次の段階へ至った場合、空軍を派遣し、作戦地域をU国領内に限定した航空作戦を実行する手筈となっております」

「分かった、ありがとう」




「しかし……まぁ、なんだ。“前のところ”なら、もっと思い切りの良い行動に打って出る事もできたかも知れないな」

「そうですね。まぁ“この世界”じゃ、最後通牒を叩きつけて問答無用……という手段をとるには面倒事が多いですからね。
順序良くエスカレーションの段階を踏んでいくしかないでしょう。それもまた覇権国のやり方です」


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243:奥羽人:2022/09/01(木) 20:32:31 HOST:sp1-75-231-235.msb.spmode.ne.jp
以上となります。

少し考えてみたのですが、この世界では日本海軍への対抗上、中国は早期に米支援のもと正規空母を保有すると思われるので、わざわざU国から旧式を買うことはないと考えています。
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最終更新:2023年08月28日 22:40