219:モントゴメリー:2022/08/29(月) 20:53:44 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
Etoile de Brest(ブレストの輝ける星)

フランス連邦共和国(以下、FFR)には「我らが指揮官」リシュリュー以下女神たちに捧げる歌が数数え切れぬほど存在している。
その中で一際特異なものに「Etoile de Brest(ブレストの輝ける星)」というものがある。
知名度では最上級であるのに公の場で歌われることが極端に少ないという謎めいた歌である。

まず、この歌の由来を辿ると第二次世界大戦中のフランス水兵たちから自然発生的に生まれたようだ。
アイルランド民謡の曲にフランス語の歌詞を付けたのである。
確認できた最古の歌詞を以下に記す。


ブルターニュのブレストのそば
去年の初夏のある朝の事さ
ボカージュの陰から愛らしいフランス娘が出てきて
そして通りがかった俺に微笑みかけたんだ

ああ、彼女のそれは素敵だった
二本の真っ白い足からblond platineの髪の先のきらめきまで
こんなにも魅惑的な妖精に俺は衝撃を受けた
俺が見たものは現実かと

デン・ヘルダーからスカパ・フローを通り
ノーフォークから横須賀へ行ったとしても
この美少女ほどの乙女はあるまい
俺がブレストで逢った娘ほどのは


彼女は走り去り、俺は頭をかきむしり
心を高ぶらせて彼女を見つめていた
俺は聞いた、彼女の付き人に尋ねたのさ
「あのblond platineの娘は誰なんだい?」

その幼女は誇らしげに言った 言ったのさ
「あれこそがフランスの勝利の女神
ブルターニュから来た戦艦リシュリュー
彼女こそがブレストの輝ける星!!」

デン・ヘルダーからスカパ・フローを通り
ノーフォークから横須賀へ行ったとしても
この美少女ほどの乙女はあるまい
俺がブレストで逢った娘ほどのは

220:モントゴメリー:2022/08/29(月) 20:54:23 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
軽く解説すると、擬人化した戦艦リシュリューをあらん限りの言葉で称揚し
さらに、デン・ヘルダー(蘭)やスカパ・フロー(英)、ノーフォーク(米)そして横須賀(日)。
すなわち世界の列強海軍全てを見渡してもリシュリューに勝る艦は存在しないのだと声高に宣言しているのである。
また、敵に占領され帰ることがかなわない故郷の風景を懐かしむ心も垣間見える。
興味深いのは、FFR開闢以前の戦時中には既にリシュリューへの信仰の萌芽が見いだせることである。
この歌は前述の通り水兵たちから始まり当時のフランス海軍全体に広まった。
そして、戦後直後からFFR体制発足までの期間にフランス本土でも広く歌われるようになった。

しかし、この歌はリシュリューが神格化していくに従い徐々に歌われなくなっていく。
三世代を経る頃には、進んで歌うものは成人にはほとんどいなくなっていた。
別に封印されたわけではない。「我らが指揮官」の歩みの中で重要な地位を占める歌であるし、歴史記録映画の中では普通に流れている。
歌詞自体を知らぬフランス人はいないであろう。幼少期には皆が歌ったはずだ。
では何故か?
他国の者は「歌詞がリシュリューへの不敬に当たるから」だと予測し、フランス人たちもその説を否定しない。
しかし真相はもっと深刻でかつ単純なものである。

———「羞恥心」だ。

考えても見て欲しい。
自分の『お母さま』のことを「この美少女ほどの乙女はあるまい」と公衆の面前で歌って恥ずかしさを覚えない大人が世界にどれだけいるであろうか?
それを成せるのはあの戦争を彼女と共に戦い抜いた者たち、戦前世代の者たちのみだった。
いわばこの歌は我らが指揮官の『戦友』たちの象徴でもあるのである。

221:モントゴメリー:2022/08/29(月) 20:55:04 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。
ジャン・バール(多分)実装記念でございます。
昼休みに「Star of the County Down」を聴きながら寝ていたら天啓が降りたので必死にメモを取り、帰ってから仕上げました。

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最終更新:2022年09月27日 23:09