824:635:2022/09/07(水) 00:00:54 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その十一 海峡に集う
「呑まれましたか…。」
旭龍の手の上で鳳翔が呟く。
彼女の視界には何処までも続く闇があった。
『時空間座標不明、量子通信ハ通ジルヨウダガ脱出出来ルノカ?』
「呪いで異界の口んなった穴の中やからなあ…ある種の変色海域に近い…羅針盤ありゃ脱出出来るんやが…。」
「今回使うと思わず誰も持ってきてませんしね…。」
妖精の羅針盤があればという龍驤の言葉に天城がそんなものはないと言う。
そんな中艦娘達に抱えられた幼子達が目を覚ます。
周囲を見回し雲龍と目が合う。
「ううん…ここは…?」
「あら起きたのね。」
「おねえちゃん達だれ…?ここ…どこ…?」
「私は雲龍、艦娘よ。ここは竜のお腹の中。」
「???」
「雲龍姉ぇ…簡潔過ぎるよ…。」
雲龍の言葉に白黒する子供とそんな姉に呆れる葛城。
「対星・空間級の兵装があれば撃ち抜けるやもしれませんが…。」
「ウチら空母やで?霧の強襲海域制圧艦みたいなのはない…いいとこ艦載機の広域重力子魚雷くらいやし。」
対策を話し合う鳳翔と龍驤、その言葉に不安がる幼子達。
「私達折角お母さん達の分まで生きれるのにここで死んじゃうの?」
「一緒にいたお父さんは?」
「お家に帰りたいよう…。」
終いには泣き出す子までいる始末。
鳳翔らは泣き出す子らをあやすがその涙を止める術がない。
『上下左右奥行キモ時空間・次元座標モ不明ダカラドウシヨモ…イヤマテ!』
「どうしましたリアッサさん?」
『時空間ニ変動ヲ確認!空間ニ穴ガ開クゾ!!』
その瞬間暗く何処までも続いていた異界の闇に光が差す。
空間に亀裂が走り穴が開いた。
「あれは…。」
毒竜のブレスが最初に襲いかかったのは最も毒竜に近かったフランスのフリゲート。だが彼女は退避行動に移ろうとしなかった。
その後方には神鷹やイオージマ、救われた幼子らが乗る艦がいる。
彼女と乗員達は自ら盾になろうというのだ。
それは【フランス人】達フランスを護ろうとする"彼女ら"の姿に彼らの瞳が焼かれたからだ。
それ程眩しく映ったのだ。【フランス人】である誇りを踏みにじられフランスを護れなかった彼らにとって。
あそこにはフランスの子もいる。彼らにとって再び護れず彼女達に恥じる自分達の姿は【フランス人】足り得なかった。
眼前に迫る呪いに【フランス人】達は覚悟を決め笑っていた。
「ああ今日は良い日だ…。フランスを護り死ねる、今日は死ぬには良い日だ…!」
「あの方も王妃も聖女もいらっしゃる。フランスという国家の未来に後顧の憂いはなし…!」
「「「Vive la Richelieu!!(リシュリュー万歳!!) Vive la Marie Antoinette!!(マリー・アントワネット万歳!!) Vive la Jeanne d'Arc!!(ジャンヌ・ダルク万歳!!) Vive la France!!!(フランスに栄光あれ!!!)」」」
彼女らの名を唱和し彼らは目を瞑る。呪いで天に昇れなくなろうとも悔いはないと。
825:635:2022/09/07(水) 00:02:06 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
一秒
ニ秒
暫し経っても何も起こらなかった。
ゆっくりと目を開くとそこには二重の光輝に覆われたガラスの宮が広がる。
それは艦隊を、何より【フランス人】の乗る艦を呪いより護っていた。
艦橋の前に誰か立っている。
「主よ、どうか国の為、世のため、再びこの旗を掲げることをお許し下さい…。」
「愛すべき輝きは永遠に続くわ…どれだけ世界が国が変わろうとも…!」
【フランス人】が彼女らを何者かを認識し歓喜に震える。
ああ、そうだ彼女らは【フランス人】が危機に陥れば顕れた。それはこの度も。
あの方はいないがあの方は花の都で一人、祭神の呪いと戦い続けているからであろう。
王妃アントワネットと聖女ジャンヌ・ダルク、だけではない。
船先に片腕をサイボーグ化させたイゼイラ人が降り槍を構える。
「護ることこそ私に力を貸して下さる彼の方の本懐ならば!!九英雄の槍よ!我に守護の力を授け給え!曲がらず屈せず全てを射貫け!」
放たれた槍は竜を射抜きその一部を吹き飛ばす。
それだけではないもう二撃、毒竜の身体を吹き飛ばす。
それは強襲揚陸艦イオージマより放たれた。
「弓でココからあの竜を射貫いたってのか…?」
「南無八幡大菩薩。」
「我が矢の届かぬ獣はないが空飛ぶ竜はちと管轄違うんじゃねえかなあ。」
イオージマの海兵隊員が唖然とする。
航空甲板にいるのは弓を構える半裸の二人の男、俵藤太・藤原秀郷とオリオン。
日本とギリシャきっての怪異・魔獣殺し。
そしてさらなる追撃。
赤き一閃!
『なんとか間にあたったわね…!』
呪いを吐く竜の頭が落ちる!!
それを成したのは赤き人型。
『父、ゼウスよ御照覧下あれ!!貴方が力を授けし我らオリュンポスの後継たる星の海渡る艦と血を引く子らは絶望と呪いに抗いたり!!
ならば我も父と他神話の神に続こうぞ!!』
『ちょっとアレス!!艤装の外部音声制御系統に割り込まないでちょうだい!!』
『ちょっとしたお茶目だ。許せ!!』
『お茶目って貴方…。』
スラスターを翻し彼らの前に降りるは赤き機神、オリンポス十二機神が一柱軍神アレス!
正確には太陽系防衛計画オリュンポス計画の人型機動艦アレスのパーツを用いて人型攻撃戦艦に改装された戦艦ローマと彼女に降りた軍神アレス。
「ウソだろ…。」
しかしさらなる驚愕が艦隊を襲う。毒竜が再生を始めたのだ。
神一柱と英雄三人分の攻撃を受けてなお再生出来るのかと。
再生を終え頭が現れ再びブレスを吐く、しかしそれは再び届かない。
何処からか風が、穢と罪を祓う神の風が吹き出したからだ。
826:635:2022/09/07(水) 00:03:27 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
そして海域に轟音が響き渡る。ジェットの排気音にも似た音。
大気の壁も音の壁すら超えてソレは姿を顕す。
竜にも似た姿だが所々機械の様にも見える白いソレは極光の輝きにも似たブレスを吐くと一撃で毒竜の半身を消失させた。
すると半身が消し飛んだ毒竜より旭龍が毒竜の身体より出てきたではないか!
だが喜ぶことなくこの場にいる者達は皆緊張していた。
そして艦隊の眼前に背を向け毒竜の方を向き浮遊すると白き竜はその姿を見せた。
それを成した白い竜が何者か分からない、いやそれが何に似ているのか知る者がいるからだ。
「炎の厄災…。」
イオージマの艦橋で誰かが呟く。
遠き異なるブリテンを焼き滅ぼした機体、それに竜が酷似していたからだ。
だが皆に日本の特撮好きと知られる艦長が言うアレは味方だと。
「何故です艦長!?」
「アレは炎の厄災純血竜アルビオン!妖精國を焼いた機体にそっくりですよ!?」
「対馬のティアマトみたいにゲームと似たようなことを起こせるなら…!!」
悲鳴にも似た声にも艦長は動じない。
何故ならアレが共にいる。空中より神の風を吹かした存在が降りてくると言う。
空を見上げる艦橋の乗員達、そこには艦長の趣味に付き合わされ見慣れた存在がいた。
その姿に極彩色の翅に皆安心感すら覚えた。
艦橋が歓喜に爆発する。
それは常世神としての蛭子命の姿、古き昔その姿は蝶や蛾であるとされた。
それらより遥かに巨大であったがその姿は確かに地球を守護する者の似姿であった。
「モスラ…。」
「モスラ…!地球の守護者だ!!」
「じゃああのアルビオンは味方なんだ!!」
海域に彼女、白き竜の声が響き名乗りを上げる。
その声は異なるブリテンの守護者たる妖精円卓最強の騎士と全く同じ。
魔力炉心と縮退炉…二つの竜の心臓の膨大な出力に伴う排熱の為に光、赤外線と赤よりの可視光に変換し外部装甲より放射されることで、
そして彼女は護るべき者達を傷付けた存在への怒りで彼女は白きその身を赤く染める。
機体の各部から莫大な余剰熱量が含まれる水分と共に水蒸気となり排出される。
「私の名は機竜アルビオン!ブリテンを護る竜アルビオン!!」
希望を鍛つ者達の為、現在(いま)を生きる最後に生まれたブリテンの竜は境界たる海峡に降り立った。
827:635:2022/09/07(水) 00:07:37 HOST:119-171-248-234.rev.home.ne.jp
以上になります。転載はご自由にどうぞ。
次回、SUMOU海峡場所開幕
最終更新:2022年11月14日 22:44