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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その十二 SUMOU海峡場所開幕
ロシアという国の日本人の想像するロシア(サンクトペテルブルク・モスクワ)以外の人間が日本、そしてティ連という国を真に認識したのは結局の所この戦争からであろう。
「ビルが立ったよ…。」
「昨日まで原野だったのに…。」
「道路も全部舗装されてるぞ…。」
シベリアの地方都市、黄色に緑で安全第一の十字マークのヘルメット被ったロシア人たちは眼前の光景に呆然とする。
目の前では六角形の柱が光線放つ度にニョキニョキと建物が生え、大量の重機が瞬く間に昨日まで泥だらけで泥濘んでいた道路を舗装していく。
こういった光景はロシア各地方都市で最近よく見られる光景だった。
東欧よりの避難民達を収容するため、またロシア後方の国土を強靭化させる為に工場やら建物やら各種ライフラインがティ連工作艦隊と日本の土建屋、神崎島工兵により次々に作られていく。
またモノはどうにかなるが中身は猫の手も借りたい程であるので日本円での給料や各種福利厚生で顔を引っ叩き未だに続く不況に苦しみ喘いでいた地方の失業者を労働者として尽く飲み干していく。
そして余裕が出て日本円を得て懐の温かい労働者はその財布の中身を日本製品や地元での食事その他に消費していく。
お陰で戦中ということもあり日本からの輸送では足りずに現地で工場作って地元民雇って現地生産するという有様であった。
故に戦地となっているロシア東部に比べ他の地域は未曾有の好景気に湧いていた。
ロシアどこでも平等な生活を享受出来るようになったのだ。ここからであろう漸くロシアがロシアとして纏まったのは
そして衣食住足りて、という言葉があるがその通りに衣食住足りたロシア人達は漸く認識したのだ。
これを成したのが敗戦国であるとロシアより格下とソ連時代より教えられてきた日本であり、今の日本はロシアより各上にあると。
ロシアは日本の下っ端になったのだ。
「まあ、だからといって俺らの生活変わる訳でもないし?」
「とにかく俺らの生活が良くなればヨシ!(現場猫並感)」
「この状況齎したドイツ万歳!ヤポンスキーの皇帝陛下万歳!ロマノフ皇女殿下万歳!ってか?」
「ドイツはヤバイ…秘密警察に目付けられっぞ?」
「取り敢えず仕事終われば飲めるから仕事終わらそうぜ?」
「仕事中飲めなくなったのだけは納得出来ねえ…。」
それでもロシア人(呑兵衛)はやはりロシア人(呑兵衛)だった。
毒竜が動けばアルビオンがその身を消し飛ばす。
毒を吐こうとすれば人型機動艦艇と化した軍神アレスでもあるローマが顎を切り落とし、蛭子命が神風を吹かせ穢を押し流す。
ただその繰り返し、千日手なのではなくリアッサの乗る旭龍が安全な所へ退避するまでの時間稼ぎだ。
その間に旭龍はイオージマへ着艦、鳳翔達が保護した桜花に乗せられていた幼子らは待ち構えていた海兵隊員が用意したタオルや毛布に包まれ抱きかかえられる。
そして鳳翔や藤原秀郷…俵藤太らは竜へと身体を向ける。
暴れる毒竜を見て憐れみ秀郷は呟きその弓に矢を番える。
「大百足にして毒の竜たる者よ。お主は愛する者を護る為に化生にされ、それ故に愛する者を護れず苦しめた…苦しかろう、辛かろう…。」
憐れみながらもその弓はしっかりと毒竜に矢先を合わせ隣でオリオンもそれに同調する。
俵藤太、藤原秀郷は伝説に謳われる彼の神田の公を殺した日ノ本随一の怪異殺しにして龍神すら喰らう大百足を退治した逸話の持ち主。
彼とありとあらゆる獣、キリスト教言う悪を狩るオリオンも合わせれば人の成った大百足の竜など瞬く間に屠ることが出来るだろう。
痛みも感じさせず殺すのがせめてもの慈悲と自慢の弓に力を込める。しかしその矢が放たれることはなかった。
秀郷は困った顔で己の足元を見る。隣のオリオンも同様の表情。
二人の視線の先には足に群がり涙を浮かべた瞳で二人を見上げる幼子達、皆桜花に乗せられていた子らだ。
皆が訴える。竜を殺さないで皆を助けて、と。
「すまんが俺は殺す以外にあいつらを解放する方法を知らん。」
オリオンは申し訳なさそうに子らに言い幼子の涙が増える。
幼子達も分かっている、それが一番の救いになると。
特攻機で繋がっていた故に幼子らには死して呪詛の竜となった母や父、大勢の人々の悲鳴が聞こえる。
(殺してくれ!生き残った我が子を、幼子らを殺してしまう前に解き放ってくれ!)
しかし理解と感情は別物、眼の前で両親であったモノが殺されるなど容認出来るものではない。
戦い続けるアルビオンも嘆願する。
『私からもお願いする。』
「アルビオン…。」
『救う方法など私には分からない。だけど同じ竜種としたあれの存在は余りにも悲し過ぎる…。』
しかしと秀郷は首を振る
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「あの竜となった者達を救うな「出来るぞ。」…対州姫。」
秀郷の言葉を遮ったのは対州要塞姫、対馬の嘆きの姫にして死者に報いるモノ(神)。
「ここには日ノ本の者と海兵隊がいるイオージマがある。
相手は毒竜、そして八百万の神々がおる。徳高き聖女がおる。俵藤太、いや藤原秀衡竜に請われ大百足でを鎮めたお主がおる。」
対州要塞姫が歩み出る。その言葉に何か合点が行くような顔をする秀郷。
オリオンは訳が分からないという顔をする。
「一体どういうことだ…?」
「ここは貴き方が鎮まぬ者を鎮めた地ということだ…【仇討たで野邊に朽ちじ吾は又、七たび生まれて矛を報らむぞ】。」
秀郷は呟く。
「【慰霊地は今安らかに水をたたふ如何ばかり君ら水を欲りけむ】…。」
それに応える涼やかな声が響く、その言葉に込められた力を聞いた途端に毒の竜はその動きを止める。
聖女ジャンヌ・ダルクとアインビルを伴った王妃マリー・アントワネットの声。
「その歌に応えるのは私でも大丈夫かしら?」
「私も少しばかり救いの一助となるのならば…。」
「無論、王配そして聖女の助力あれば心強し。」
マリー・アントワネットとジャンヌ・ダルクの問に応える秀郷。
「しかし、時間を稼ぐ必要がある。軍神アレスや蛭子様はこれより執り行うこと故に戦えぬ。」
「それは妾に任せよ!」
『私も努力しよう!』
対州要塞姫とアルビオンが言う。
その瞬間、言霊の力が切れ毒竜が再び動き出す。
「だけど対州要塞姫やアルビオンの攻撃では強すぎれば消滅させてしまう恐れがあるんじゃ?」
葛城のその言葉にアルビオンはその身をヒト、妖精騎士の似姿へと転じさせる。
「この姿ならば大丈夫でしょう?」
アルビオンはにこりと笑いながら手甲より爪を伸ばし毒竜を切り裂く。
対し対州要塞姫はイオージマより水面に降りると大声で喚ぶ。
彼らは国を愛する者を護る為に散った。ならば国を、愛する者を護る戦いならば彼らもまた応えるだろう。
「靖国そしてアーリントンに眠るもののふ(兵)らよ!妾の声を聞け!
悪意により化生となり子を殺めんと苦しむ死者がおる!呪いにより親を失い涙する幼子がおる!
もののふ(武士)ならば戈を止める為に来たれ!!」
ここは硫黄島(イオージマ)、日ノ本の大地。ならば死者に応える日ノ本の姫が彼らを喚べぬ筈がない。
その声に応え姫の背後に幾つもの、いや数万人規模の人影が顕れる。
手に三八式歩兵銃やM1ガーランドを手に持ち或いは九七式中戦車やM4シャーマンに乗り、
旧大日本帝国陸軍或いは第二次世界大戦時のアメリカ合衆国の野戦服を纏う軍人達。
硫黄島で戦い死んだ。或いは戦い抜いた英霊達。
ザッ、数万のそんな音が聞こえそうな程に一糸乱れぬ整列をする。
その整列の最前列に共に翻るは旭日旗と星条旗、先の大戦で相搏った者達の御旗。
「総員!掛かれ!!」
対州要塞姫の号令と共にラッパが鳴り響き雄叫びと共に日米の軍人達は竜に向かい進撃を開始する。
海の上であるのに陸を行くが如く。
姫に呼ばれた者達には加護がある。彼らならば嵐の海すらも山を超える様に踏破出来るだろう。
突撃する彼らの銃弾が竜の鱗を穿ち、砲弾が竜の殻を粉砕する。
だが英霊であるが竜に比べれば余りに矮小な人の身、その身の身動ぎで或いは毒気で忽ち倒れ伏す。
だが倒れても倒れても何度でも起き上がり、毒竜に暇を作らせない。
その身が罪なき者の、同胞を救う最後の盾であることを分かっているからだ。
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それらの光景を見て秀郷は時間が稼げると頷くと近くの海兵隊員に話しかける。
「そこな海兵隊員殿、この船にお主らの長の将軍閣下がいるだろう。連れてきてはくれまいか?
それから布を、シーツでも何でも良い。腰に巻けるほどの大きさのものを頼む。」
困惑する海兵隊員にその上官はさっさと行くように言う。
部下の何故との問に上官は答える。
「まあ多分また儀式するんだろう。」
「ほう!察しがいいな!」
面白げに笑う秀郷に上官は対馬の時の日本をテレビで見ていて日本での勤務経験もあるという。
そしてどうやって竜に囚われた者達を救うのかと問う。
「ここはやんごとなき方が荒ぶる者達を鎮めた救い給もうた島の名を持つ!貴き血の王配がここで言の葉を紡いだ!
十字の僧であり聖女である娘がおる!西洋の破邪の剣がある!そして我らもののふ(武士)がいる!出来ぬ筈がない!
ああ、アインビルにオリオンこちらへ来い!アインビルは上半身を脱げ!」
秀郷はアインビルとオリオンを呼ぶ。
その間いつの間にか集まった龍驤、雲龍、天城は不思議な歩法をし、鳳翔と葛城は何も番えぬ弓をかき鳴らす。
そして戦乙女たるジャービス達は一列に並び舞いながら円を作るとその中央向け柏手を打つ。
「あれは…。」
「龍驤らは反閇で鳳翔と葛城は鳴弦でこの場を清め、ジャービス達は外界と内を区切っている、ということよ…。」
「つまりはフェアリーサークル、結界の一種。つまりはあれは人方屋という訳ですかな?」
「御名答ですな。将軍閣下。」
声に振り向けばイオージマに乗っていた海兵隊の司令官の姿があった。
しかも何かワクワクしてる。
海兵隊員達はそれを見てヒソヒソと話し合う。
「(なあ司令官って…。)」
「(ああ大の…。)」
「(つまりはこれからあるのは…。)」
藤原秀衡、いや日本最高峰の武士俵藤太は笑いジェーナスの方を向く。
見ると私!?という顔をしていつの間にかイオージマの近くまで来た蛭子命を見上げるジェーナス。
その手には蛭子命から貰ったであろう扇、否軍配が握られていた。
「ははは!では魅せようか藤原…いや、俵藤太土俵入り、天覧・上覧相撲英仏海峡場所を!!」
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最終更新:2022年11月14日 22:44