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銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ サセボ異界紀行十七冊目


日本に居たあらゆるFFR国民、そして集うことの出来る全てのFFR国民が自発的に集い戦艦リシュリューの神体に御前にてFFR史上否、
世界史にFFRが誇るべき観閲式が挙行された。
ここはFFRが超えるべき目標の本拠である九州亜大陸の大日本帝国海軍の一大拠点サセボであるがそんなことは関係ない。
我らが指揮官の神体がそこにあればそこは我らが指揮官旗下の兵卒(FFR国民)がその御旗の下に集うべき場所なのだ。

その女神の神体を前に集うは集結出来たFFR各軍より選抜された精鋭達、彼らは見事な銃剣捌きを披露。
軍楽隊と国民らは我らが指揮官に奉ずる聖歌を歌う。
それを見守るは現世に降りた我らが指揮官、全てに勝る母、戦艦リシュリュー。
その隣にはFFR国民であっても否、皆FFR【軍人】であるからこそ敬意を表するお忍びで訪れた大日本帝国の先代大元帥やティエルクマスカ連合特務大佐の姿もある。
二国を代表する軍人、そして何より我らが指揮官を前に無様な姿をFFR軍人として晒せる筈もない。

そこへ古めかしい金属製の履帯と直列6気筒空冷ガソリンエンジンの音を響かせ一両の戦闘車両が姿を現す。
25mmという小口径の主砲と第一次大戦の古い設計、先の大戦の主戦場においては些かも役に立たなかった。
だがそれ以上に奮戦し多くのフランス人いや【人間】を救ってきたFFRが誇るべき【戦友】である。

偉大なる元帥の下で共に戦った在りし日の姿を取り戻した【戦友】はその姿をFFR国民の前に示す。
その場の或いは遠くFFR各地で映像に映るあの時の【戦友】を知る老兵達は、救われた者達はその勇姿を思い出し涙を流す。

それに乗りハッチより顔出し敬礼するは戦車乗りの服装をした一人の女性、FFR国民のよく知る人物。
親しみと皮肉を込めて知謀と冠されるが今この時はその冠は身につけていないのはFFR国民誰しもが理解している。
FFR国民、我らが指揮官旗下の一兵卒の戦車乗りとしてこの場にいるからだ。

我らが指揮官の御前で【戦友】に乗る戦車乗りはハッチに潜り込むと【戦友】のその砲に火を吹かせ空砲が響き渡る。
その数二十一発、FFRにおいても聖なる数字である三の倍数だ。
FFRにおいては初期FFRの心を支えた先達の墓標を守る【冥府の女神】、多くの者の育て上げた【先生】そして【我らが指揮官】、
或いは【鉄人】、【元帥】、【提督】のFFRが敬愛すべき偉人らを示す。
若しくはそれら六に国民、国土を含めたFFRを足した七の倍数でもある

自動化はおろか砲手や装弾手もおらず車長がそれらを兼務するにも関わらず【戦友】の淀みない砲声が佐世保の港に響き渡る。
FFRの戦車乗りが高い技量を持つことがよく分かる。

そして全ての砲弾を撃ち終えるとハッチより顔出し戦車乗りは我らが指揮官に敬礼を捧げる。
顔を出した戦車乗りの丹念にメイクしたその顔と洗ってパリッとしていた筈の戦闘服は煤で汚れていた。
砲が古いせいもあり硝煙が逆流したのか、或いは設計がまだ甘いので隙間が多かったのか定かではない。

だがFFR国民は煤に塗れたその姿を笑わない。
勤勉に己の職務を全うし我らが指揮官に奉仕するその姿こそFFR国民たる証。
そして降臨された我らが指揮官も言っていたと伝わっていたからだ。煤や埃、油塗れの働き者の手こそ己の誇りであると。
その煤まみれの姿こそが何よりの勲章であった。

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sideアインビル


日も暮れて戦艦リシュリューの前でのイベント(観閲式)を終えた我々は充てがわれた貴賓室に引っ込んだ。
扉の向こうからは楽しげな声が聞こえる。
ファーダと艦魂リシュリューの許可の下で戦艦リシュリューにて乗員、FFR国民参加の無礼講の宴会が各所で催されているからだ。
ファーダと自分が引っ込んだのはいれば萎縮してしまうだろうという想像もある。
なおワイン樽とおつまみ群はファーダ提供でお送りしている。


「しかし金剛は速攻で連れて行かれたわね…。」


ファーダリシュリューはこの場にいないファーダ金剛の行方についてボヤく。
ファーダ金剛は礼砲終わり次第やんごとなき方のお付きの方に引っ張られ黒塗りの車、それも恐らくはトヨハラの最高級車やんごとなき仕様、に押し込められ連れ去られた。
まあ、神剣の儀式で熱田か神宮に連れて行かれただけで特に害はあるまい。
本人に連れて行かれる際に溶鉱炉に沈む某ターミネーターの如く親指立てて余裕あったし。


「しかし、それがファーダ大統領のリシュリュー刀ですか…。」

「ああコレ?」


自分の漏らした言葉にファーダは腰の剣の一振りをこちらに見せる。
それはイベントの際にファーダマリーよりファーダリシュリューに捧げられた剣だった、まあ一時預かりという形であるがその際にいささか騒ぎとなった。
FFR総指揮官代行として任を受けた際に拝領だか受け継いだだかした指揮刀であるとか。
しかしまあ何となく雰囲気が他のリシュリュー刀と違う様に感じる。

そうそう騒ぎといえばそれ以上の騒ぎとなったのがイベントの際にファーダがFFR国民と触れ合う機会があったがその時のことだ。
子供らは出し物として「この美少女ほどの乙女はあるまい!」と誇らしげに歌い、親らは顔を赤くしたのであった。
その歌を聞いてファーダマリーらも顔を赤くしていた。
まあそれはいいだが歌い終わり子供ら全員がファーダリシュリューに宣誓をしその宣誓を聞きその場の全員が顔を青くしたのだ。

これに先立ち、FFR国民を前にファーダマリーがこの【我らが指揮官】は霧の向こうの先達を心配した【我らが指揮官】がその身を分けた分身であると我々にとって表向きの説明をした。
そしていつの日か霧の向こうに帰らなければならないといいうことも。
その場の全員が悲嘆に暮れたが納得出来る説明であったようだ。

曰く、我らが指揮官は古くは竜女メリュジーヌ、聖女ジャンヌ・ダルクと幾つもの名と姿を持ちFFRを救おうとしてきた。ならば艦娘の姿もあるだろう。
曰く、我らが指揮官はアフリカでは己が一部から別存在を創造するなどしたので己を分かつ程度のことは出来るだろう。
我らが指揮官とは戦艦リシュリューとは一体…?
お陰でファーダリシュリューは内心頭を抱えていたようである。表には出さなかったが。

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そして霧の向こうへの帰還を聞き子供らが行った宣誓が【軍に志願しオセアンの下へ転属願いを出し霧の向こうの我らが指揮官と共に戦う】といった内容であった。
実質自発的でポジティブな自殺志願であった。
その場の大人全員が血相を変え慌てふためき、【我らが指揮官】の顔色を伺った。
見るからに最大級の禁忌だったのであろうか?
それに対するファーダの反応であるが…何も言わずに子供らの代表だった少年の方を痛みを感じる程度、頬を赤くする程度に手加減して引っ叩いた。
ファーダの言葉と行動にその場の全員がぽかんとする。

転属するなどと自惚れるのもいい加減にしろ。お前程度の年齢で戦争の役に立つとでも思っているのか。野垂れ死に弾除けにすらならぬと断言する。
それはファーダの側にいる艦魂リシュリューの意志でもあったようだ。彼女はしきりに頷いている。
そして何よりもとファーダは言う。


「貴方達のその行動はFFRや若者を守るために散った提督や元帥に泥を塗る行為であることを分かっているのかしら?
貴方のその行動はFFRを立て直そうと未来を担う若者の為に尽力した鉄人の意志を無駄にするものであること分かってるのかしら?
そして何より貴方の両親やマリー達大人達を悲しませる行為なのよ。」


その言葉にハッとする子供達は周囲の大人達を見回す。
大人達は皆ファーダの言葉に涙を浮かべ頷く。


「懸命に生き抜こうとしても病故に敵に囲まれやむを得ずオセアンの下へ転属を願い出る者がいるのは仕方ないでしょう。
そしてその中には幼い者がいてもその様な理由ならば彼らをリシュリュー喜んで送り出しやオセアンは喜んで彼らを迎え入れましょう。
しかし貴方達が転属するには早すぎる。
真にリシュリューやオセアンの役に立ちたいのならばベッドの上で死ぬまで生き延びて見せなさい。
多くを学び、多くを知り、自分を鍛えなさい。それこそがリシュリューが送り出し、オセアンが迎え入れるべき兵士の姿です。」

「「「「Oui!Notre Commandant!」」」」


我らが指揮官の訓示にその場のFFR国民が答えた。

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以上になります。転載はご自由にどうぞ。

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最終更新:2022年11月14日 22:57