412:トゥ!ヘァ!:2022/11/18(金) 19:16:12 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
大ゲート世界 情勢解説
ゲート出現当初は福音としてもてはやされたが、同時にもたらされた様々な災厄により204X年現在ではゲート開通=幸運という認識ではなくなっている。
開通後に現れた異世界の軍勢やウィルスにより滅んだ国や都市は少なくない。
とは言え完全な疫病神という認識でもない。ゲート開通後の交易でうなるほどの希少資源を手に入れて一躍一大輸出国になったモルディブやニュージーランドの例がある。
また現在の地球世界において異世界資源の入手が死活問題であり、切っても切れない関係性が構築されている。
比較的安全なゲート、もしくは自国で対応できる範囲のゲートと開通したとしても、必ずそれが繁栄に繋がるとも限らない。
例として中米のとある国はゲート開通後も開通先の異世界諸国と国交を開かず、ゲート周辺を封鎖し続けたが、その結果異世界側の国々と些細な勘違いから戦争状態に移行し、
アメリカが介入するまでの事件へ発展したこともあった。
また別の例としては開通先の異世界が中世程度の世界だと侮り大々的に進出したはいいが、度重なる現地住民や魔物からの襲撃に耐えかねて撤退したという事例もある。
これが有名なシリアの例。
ゲート先の異世界に武力侵攻した場合に必要なのは短期的な決戦戦力ではなく、長期的な治安戦を戦う国力と体制ということを理解せず、技術力や戦力差のみに奢って後先考えずに侵攻しては消耗戦に耐え切れずに撤退した例は枚挙に暇がない。
特にアフリカ、中東、南米の国々でこの事例が多く、アフリカに至っては逆侵攻をくらって国家崩壊の引き金となった件もある。
このため現在の地球ではもっぱら外交によって異世界側の国々との交流が主流となっている。
逆にポストアポカリプス系の文明が滅んでいる世界などに対しては初手軍事侵攻からゲート防衛のための拠点作りを優先することが推奨されている。
ユーロシアなどは国内にこの手の世紀末系ゲートが多数存在しているため、多くの世界へ軍を派遣し、治安維持と資源採掘を行っている。
まとめると204X年現在においてゲートとは禍福両方を招く存在と認識されており、良くも悪くも開通したゲート先の情勢を把握して、それに適した対応することが重要とされている。
ゲートを通して繋がった異世界だが、これには様々な種類がある。
文字通りゲートの数だけの異世界があるのだ。
これらの異世界は大別して二つに分けられている。
魔法式世界か科学式世界かである。
科学式がゲート開通前の地球と同様の科学技術により発展した世界。
魔法式が名前の通り魔法技術により発展した世界である。
更にここから高度発展世界と低度発展世界に分けられる。
これは単純に言うと現代地球換算で19世紀以降の文明度が平均となっている世界が高度発展世界で、それ以下の文明度が平均となっているのが低度世界である。
最もこの高度、低度の分類わけでややこしいのが低度に分類されている方が必ずしも脅威度が低いとは限らないこと。
例として日本で開いた第七世界(ドラゴン族さんところ)は文明度では低度発展世界に分類されているが、日本と交流のある龍族の戦闘力は非常に高く、単純に推察しても純粋な身体能力のみで平均して1950~1960年代の軍事力に相当している。
このためぱっと見文明レベルが低そうだと侮り、雑な軍事侵攻に踏み切り痛い目を見た国は案外多い。
またこれらの分類以外にもポストアポカリプス型世界と分類される事例もある。
通称世紀末世界。何かしらの要因によって主要な文明が滅びてしまった世界である。
疫病、災害、資源不足、終末戦争。要因は様々だが現代国家と呼べるものは残っておらず、生き残った人々が幾つかのグループに分かれて細々と生き続けている世界が多い。
中国やロシアに発生したゲートに、この手の世界と通じているものが多く、一度高度な文明が発達した経験のある世界ばかりだから、資源的にも掘りやすいところは採掘し尽くされている地域も多い。
もっぱらこの手の世界における活動は現地の生存グループの支援やジャンクの山の回収や廃棄された採掘施設の調査や修復などにより少しでも採算を得ようとするものになりがちである。
とは言えそこは異世界と言うべきか、以外な技術を発見した例も存在する。
中国のゾンビウィルス。日本の機械式パワードスーツ。ロシアのクローン製造技術。
一度高度に文明が発達した名残からか、意外にも高い技術力の残滓が垣間見えることも少なくない。
413:トゥ!ヘァ!:2022/11/18(金) 19:18:58 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
異世界人と一口に言っても多様である。まあ様々な世界にゲートが通じているのだから当たり前であるが。
大まかに魔法式文明の住民と科学式文明の住民に別れる。
これが面白い話であり、地球人と同じ科学式文明でも身体に微妙な差異が出ている例が非常に多い。
まあ進化の系統が違うのだから当たり前ではあるのだが。
例として大凡地球人類と同じ進歩を歩んできたと思われる異世界の人類においても、超能力が普及している文明であれば脳構造に差があったり、魔法文明なら魔力量や運用能力の差があり、サイバーパンクな世界の人類であれば電脳と繋がるためか神経構造に差が出ていたりする。
特に魔法式文明の住民と地球人の差には目に見える違いが存在している。
魔法式文明で生まれ育った異世界人は地球人と比べ明らかに多量の魔力を内包しており、魔力操作能力においても地球人より優れた能力を発揮する人物が多い。
また魔法式、科学式問わず亜人と呼ばれる住人。いわゆるエルフや獣人といった類の多くも人類より強力な身体能力や超能力、魔力操作能力を保有している例も多い。
こればかりは地球が魔法技術を習得し始めたばかりのため仕方のない差と言える。
このため地球人よりも高い身体能力を保有する異世界人や亜人種は非常に多い。
因みに上記の身体能力や魔法運用能力の差は全てPSを始めとした機械や魔道具で補える範疇だったりする。
具体的にはきちんと鍛えた魔法戦士やら獣人やエルフよりも地球製PS着込んだ警察官の方が強い。
多くの異世界で地球製パワードスーツが人気な理由である。
色々な世界で大人気の地球製PS。現在主流の第四世代型や一つ前の第三世代型は多くの異世界において大概の相手に対して戦力的優位を保てるレベルである。
そんな多くの異世界でよく言われるのは地球のパワードスーツは一体何を想定して、こんな性能にしているのかという話。
そもそも現在の地球におけるPS開発というのは日本が始まりであり、その日本にしても仮想敵は当時から派遣していた米国の四大ゲートの敵対勢力を想定したものであった。
このため当時から軍用PSの類は非常に高い性能を求められており、第一世代PSの初期ロットにおいては余りの高性能ぶりに乗る人間を選ぶ必要があるという本末転倒を発揮していたほど。
その後は性能を下げ一般兵でも扱えるようにしたのが第一世代の後期型である。
このように開発の歴史から高性能が求められた兵器のため、現在でもその路線の影響が少なからず残っているのである。
何より今でも日本を始めとした各国のPSの仮想敵は他国の正規軍か米国四大ゲート向こうの敵対勢力であるため、下手な性能の兵器では役に立たないという前提が存在し続けている。
「魔法を極めるよりパワードスーツ着込んだ方が強い」
これが現在の地球世界における認識である。
因みに魔法やら武術やらを極めた人間がパワードスーツ着込むともっと強いという実例もある。
414:トゥ!ヘァ!:2022/11/18(金) 19:20:00 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
第一世代
PS開発初期の兵器。
初期ロットは米国四大ゲートから現れる敵対勢力へ対応すべく開発されたタイプで、一部の精鋭を前提に開発したせいで非常に高性能。
このせいで一般兵士ではまともに乗りこなせず、下手すれば大怪我か事故死するレベルであった。
また同時にかなりの高コスト、難整備であり、数を配備できない欠点が存在した。
これらの欠点を克服し、一般兵用に性能を落として普及させたのが第一世代後期型となる。
第二世代
第一世代の反省を生かし、一般歩兵の戦闘力、生存力の向上とPSそのものの普及を前提として開発された世代。
このため性能は二の次であったが、一般歩兵の戦闘力、生存力の強化と軍への普及には成功した。
反面大量に製造されたため、後の時代では多くが民間に払い下げられ、時代を経てからそれらが更に払い下げられた結果テロリストやゲリラの手に渡る事例が続出してしまった。
第三世代
普及型軍用PSの戦闘力強化を目的として世代。
この世代から魔導シールドやレールガンの搭載と運用が可能となった。
ここら辺から異世界の戦力相手でも優位を取れるようになってきており、大凡の異世界における魔法戦士やら超能力者やら亜人やら何やらと互角かそれ以上に渡り合えるようになった。
大型の魔物やら魔獣やらを相手にする人々からしてもグッドサインを出す傑作世代である。
第四世代
現代の地球で主流の世代。第三世代の性能をそのままにAI技術を取り入れ運用性とコストパフォーマンスの向上を図った機体。
より的確に、より使いやすくなった世代で、補助AIにより物理的、精神的な生存性が非常に改善された。
カタログスペック自体は第三世代と左程変わっていないがAIの補助と燃費や反応速度、操作UIの改善と細やかなところが弄られており、実戦スペックは第三世代時代と比べ1.5倍ほど向上していると言われている。
ここら辺から米国四大ゲート向こうの敵対勢力相手にも戦力的な優位を取れるようになってきた。
また大概の異世界において現地の精鋭歩兵戦力(上位超能力者やら魔王軍四天王やら円卓の聖騎士やら)をPS部隊のみで圧倒できるようになっている。
第五世代
現在開発中の次世代型。
特殊空挺作戦隊やデーモンスレイヤーズなどの各国の最精鋭部隊などに試験配備されている最新鋭機。
第一世代に立ち返り、単独で戦況を変えられることを求められた超高性能を求めて開発されたモデルで、この世代の開発と普及成功を以てアメリカ四大ゲートの異世界戦線を終結させることを目標としている。
最もコスト的に試験機レベルの性能を一般兵にまで普及させることは事実上不可能のため、結局は第一世代時代同様に性能を下げた廉価版が普及モデルになることが予想されている。
慣性制御装置と亜空間格納庫の標準装備が第五世代の定義となる予定。
ゲート出現以降で各国は展開能力の高い精鋭部隊の設立が相次いだ。
これはいつ何時、どこでゲートが発生し、更にそのゲートを通り異世界の軍勢が出現するかわからないため、この事象に対応するための緊急展開部隊の設立が急務となったためである。
日本の特殊空挺作戦隊や欧州の魔導空中機動隊、ユーロシアの第一親衛空挺団、アメリカの衛星軌道降下部隊などが有名。
これらの緊急展開部隊が行うのはゲート発生時において、先んじて戦場に到着し、ゲート周辺地域の確保と防衛である。
周辺の住民の存在しない、または少ない田舎や郊外なら大火力ばら撒いて確保すればいいだけなので楽なのだが、都市部や集落の中心などにゲートが発生した場合は困難が予想される。
その場合は極力民間人を傷つけないように武装にも制限が掛かることが多いため、精鋭と呼ばれる腕の見せ所となる。
また異世界戦線と言われる激戦地への投入も積極的に行われている。
これは基本的にゲートの大きさによって大軍の維持するのが難しい戦線が多いために、少数で決定的な戦果を出せる精鋭戦力が欲されているためである。
なお補足するとこういった緊急展開用の精鋭部隊よりも、きちんと準備を整えた大軍団の方が戦力的にはずっと上である。
あくまで先触れとなり投入された地域を先んじて確保するための海兵隊的役割や戦線における火消し部隊や突破口を開くための一番槍などが彼等に求められている役目と言えよう。
415:トゥ!ヘァ!:2022/11/18(金) 19:21:01 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
パワードスーツが歩兵の基本装備として普及しているのは御存じだと思われるが、それ以外に様々な兵器が存在している。
PA。パワーアーマーはパワードスーツを大型化した兵器。
PSより大型で全高は4~5mほど。その巨体に見合わず生身の人間と遜色ない柔軟性を備えている。
装甲車や戦車が入りにくい都市部などにおける機動性を持った装甲兵器として開発された。
PSとの違いは着込むか乗り込むか。PAは乗り込む方。
戦車は変わらず陸戦の王者である。
昨今の地球製戦車は主砲がレールガンとなっており、魔導シールドや電磁装甲を備えている。
このため攻撃力と防御力は旧世代戦車の比ではない。
動力はディーゼルエンジン主軸に魔力貯蔵用のマナバッテリーと電力貯蓄石ことエナジーコア。
マナバッテリーは魔導シールドなどの魔法を発動するためのエネルギー源で、エナジーコアはレールガン駆動のための補助動力である。
戦闘機も変わらず空の王者。
この時代の戦闘機は魔導シールドを完備し、地上からの魔法攻撃やレーザー攻撃を無効化している。
反面武装は旧世代からそこまで様変わりしておらず、機銃とミサイル、自由降下爆弾などが主軸。
これは結局物理火力が一番効きが良いということで落ち着いたため。
またこの時代ではシールド装備の影響で対空ミサイルの効力が下がっており、必然ミサイル合戦のみでは決着がつかない事例が多発。
結果ドッグファイトが起きる頻度が上がっている。
これに対して破片と爆風でダメージを与えるのではなく、直撃させて航空機を落とす方式の対シールド用の高速突破ミサイルが研究されてきている。
地上攻撃機は重武装化が加速しており、30mmガトリングやロケットポッドといった既存兵器以外にも対地レールガンなどが搭載されている。
また魔導シールドも対地攻撃を防ぐことを重点が置かれており、一部では機体下部のみの電磁装甲搭載型も存在している。
海では戦艦が復活している。
これは防御技術の向上、魔法技術による魔導シールドの開発、そしてレールガンの実用化によるもの。
何よりも海上で繋がったゲートなどにおいて異世界側を威圧するのに丁度いいという政治的な理由も絡んでいた。
昨今の迎撃、防御技術の向上によりミサイルが確実なものではなくなったため、改めて砲撃戦に回帰してきているという部分も存在する。
また軍事的な観点ではGPSや通信基地、気象・立地データの収集などが整備されていない世界へ侵攻する際に丁度良い支援火力になるという点も評価されている。
ミサイルはゲート出現以前の時期と比べ効力が下がっている。
高出力レーザー兵器の開発、魔法技術による迎撃と防御の確立、装甲技術の発展によるダメージ効率の低下。
無論長射程の無人誘導兵器の需要は依然高いままのため、現在でも開発と配備は続けられているが、昔のような神通力は消え去って久しい。
迎撃レーザー対策に魔導シールド発生器を内蔵したタイプや、シールドや電磁装甲を貫通させるための極音速運動エネルギー弾頭ミサイルなども開発されたが、どれもコストや威力で問題を抱えており、現在の環境を塗り替えるほどの成果は得られなかった。
ヘリや装甲車も少し変わった。
魔導シールドの実用化と迎撃能力の向上により戦闘ヘリの類が復権した。
そしてレールガンの普及で再び失墜した。
理論上戦闘ヘリ搭載レールガンの方が出力と射程で勝って優位なのだが、やはり地上戦力に落とされやすいのがネックのままである。
一応補足するとゲリラやテロリストの類にはレールガンは満足に普及してないので、既存の対空火器ばかりなこれらに対しては改めて強力な手札に返り咲いた。
まともな対空手段のない異世界への進出においても強力な兵器として活躍しているが、調子に乗ると普通に強いドラゴンやらの空飛ぶ魔物に絡まれローター破損からの墜落事故などが起きている。
装甲車の類は大型化した。
PSを着込んだ兵士を運ぶために車体が巨大化したのである。
また大型魔導シールド発生器を携えて簡易的な歩兵の壁になるなど部隊の迅速な展開や補助で活躍している。
無人兵器の類は普及して久しい。
ドローンボットと呼ばれる人間歩兵と遜色ない性能を持った兵器で既存歩兵の代わりとして大々的に投入されているのだ。
最も鼬ごっこは軍事兵器の常である。無人機が導入されれば、それらへのハッキングやら電磁パルス兵器やらが開発され、それに対策した無人機が投入されといった具合で正規軍同士のぶつかり合いでは今一安定性に欠けている。
特に米国の四大戦線などにおいてはマシン軍団によるハッキングからの乗っ取りやエイリンやカイジュウによる電磁パルスによる無力化などの事例が発生しており、未だに完全な有人戦力の代替となれない理由の一つとなっている。
416:トゥ!ヘァ!:2022/11/18(金) 19:23:30 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
投下終了です
地球製兵器は米国戦線の教訓から対化け物想定ばっかりなので、性能が対人戦基本の他所の世界の兵器よりも数段高く設計されていたりします。
最終更新:2022年11月18日 23:53