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憂鬱SRW GATE 自衛隊(ry編SS「バーン・ノーティス」

  • 平成世界 西暦2009年 アメリカ合衆国 アメリカ国防総省 ペンタゴン 会議室

 半ば以上に査問会の様相を呈した「東部ファルマート地域開放・自由化委員会」の会合の場から連れ出され、その男は深いため息をついた。
 彼の名はウィリアム・スコット・リー。アメリカ陸軍中佐。
 特地に派遣されていた米軍の一員であり、機動兵器アレイオンのパイロットを務めた指揮官であり、地球連合の戦いを観戦武官としてみた人物だ。
 加えて言えば、特地における帝国についての情報を多く収集しており、地球連合との伝手もあって情勢にかなり精通していた人物であった。
その経歴を買われたからこそ、前線での勤務からペンタゴンへと引き抜かれて「東部ファルマート地域開放・自由化委員会」に参加していたのだった。
 そう、だった、というように過去形にすぎない。先ほど行われた会合において、解任を言い渡されたのだ。

(まったく……「より情報に精通した後任」とやらが来たからお役御免とは)

 リーに下されたのは委員会でのアドバイザーからの解任および特地における勤務の命令。
 これを端的に言えば事実上の首と左遷。火炎放射器が出てきて追いやられる形となったのである。
 上層部からは原隊復帰か特地における機動兵器の運用研究の二択を迫られ、後者を選んだ。
 しばらくの休暇の後にこの後方から最前線への転属の予定だ。最前線送りという名の左遷である。
 正直、この解任がだいぶ政治的な意図を含んだものであるというのはリーにもわかっていたことだ。
 つまり、帝国がヴォルクルスの被害により分断され、半ば無法地帯となった東部地域への米軍投入に否定的だったことを咎められたのだ。
投入するにしても、慎重を期し、十分な準備期間を置いたうえで、徐々に徐々にと進めていくことを提唱したのだ。
特地は広すぎるし、情勢はこちらの常識が通用しないし、ましてこれまでの海外とは状況が違いすぎるのだ。

 これは現地の情勢や状況、さらには特地における帝国の国家体制を踏まえたうえでの結論だった。
 帝国と一言では言うが、ファルマート大陸における最大の国家は、今日における国家と必ずしも合致するものではない。
どちらかと言えばインドに存在した藩王国というものが存在し、あるいは皇帝の権威の下で過去の時代に存在した統治体制が敷かれているのである。
そこに土足で踏み込んでいけば、どうやっても反発は必須だ。殊更に群雄割拠となり、同じ帝国を構成していた国家同士で相争っているのだから。
 アメリカ合衆国で言えば、シヴィル・ウォーだ。それも、二つに割れたどころではない、とんでもない数の勢力が争っている。
そんなところに突っ込めば何が起こるか?決まっている、敵の敵は味方の理論は通用せず、新しい敵とみなされ、全方位から攻撃を受けるのだ。
 地球連合が事実上帝国を後援していることに対抗するため、という政治的な要求はわかる。
 だが、その為にどれほどの兵士をファルマート大陸に送り込み、戦いを強いるつもりかとリーは疑問を呈したのだ。
無論、完全に反対することはせず、あくまでも時間をかけてのアプローチを提案した。

 だが、それが積極的ではない、臆病風に吹かれたなどと言われたのだ。
 政治は、目に見える成果を可能な限り早く求めているのだと。
 そして、彼らは侮っていた。一様に同じような態度、そして目をしているのだ。

(あれは……)

 あれは、見覚えがある。大人が子供を見る時の目だ。
 所詮は子供にすぎず、自分たちの力を超えるはずもないという、侮りと憐憫の視線だ。
 だが、祖国と言えども、相手が悪すぎるとリーは判断している。
 しかして、祖国の決定はリーが守るべき国民の意志であり、文民統制下にある軍人としては従うしかないのだ。
祖国に忠誠を誓った軍人は、祖国に叛逆することを許されない。その意志に服従することを求められるのである。
 だが、唯々諾々と従うだけで良いはずがないだろうにとも思うのだ。
 求められるままに突っ込んだ結果がベトナムや中東といった泥沼だったのを忘れるべきではない。

(いや……)

 ペンタゴンの廊下を歩きながらも、リーは考える。自分に何ができるかを。
 幸い、ファルマート大陸の後方基地での勤務だ。引き続き自衛隊や地球連合との接触もできるはずだ。
そこで得たものを可能な限り発信し、広めていくことができる。本来の業務とは外れることになる。
 しかし、備えておくことに越したことはない、そのように考えた。
 斯くして、ウィリアム・スコット・リー中佐は再びファルマート大陸の土を踏むこととなる。
 彼の赴任と行動が、のちに伊丹を通じて地球連合とつながり、多くの米兵や民間人の命を救うことになるのは、まだ先の出来事であった。

624:弥次郎:2022/10/11(火) 00:10:47 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
ちょっと長くなりすぎて、メッ!されました。
短いですが、ウィリアム・スコット・リー中佐に何があったかについて。
リー中佐の後任の専門家がどんなのかって?政治の人間が聞きたい言葉を自動的に吐き出してくれるよ

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最終更新:2023年09月08日 21:07