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現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その9
それから数日後、外出・外泊許可を貰ったカナとターボ、そして南坂トレーナーの三人は、カナの実家のある大阪へとやって来ていた。
件の人物とは、母親経由で既にアポは取ってある。夕方頃に実家に到着した三人は、早めの夕食を摂った上で時間が来るまで待機していた。
南坂「それで、その人の名前は何というのですか?」
カナ「確か・・・安川 浩二(やすかわ こうじ)と言っとったわ。皆からはヤスさんって呼ばれとる」
南坂「問題は、ターボさんのトレーニングを引き受けて貰えるか・・・ですね」
カナ「せやな。だからこそ、直談判での頼み込みやな」
ターボ「ターボもちゃんとお願いする!もっと強くなる為にも!」
カナ「・・・せやな。まずは交渉してみん事には、話にならんしの」
キモタマフトスギル(以下キモタマ)「カナ―!ヤスさん来たわよー!」
三人で話している内に約束の時間となり、カナの母親であるキモタマフトスギルがカナ達を呼ぶ声がした。
カナ「来た様やな。ほな、行こか」
一階の店舗に降り、カナが母親に声を掛ける。
カナ「あんがとな、オカン。で、ヤスさんは?」
キモタマ「奥の個室(四人部屋)に通したわ。終わったら、店を手伝ってな。今日も忙しいから」
カナ「分かったわ。ほなターボ、トレーナー。行こか」
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二人を連れて、カナは奥の個室へと向かう。個室の前に立ち、一声掛けてから襖を開ける。
個室の中に、角刈り頭にカイゼル髭・無駄を極限まで削ぎ落とした鍛え上げられた体をした男性が居た。
どうやら彼が、件の男性・ヤスさんの様だ。
カナ「ヤスさん、久し振りやな!」
安川(以下ヤス)「久し振りね、カナちゃん。プロになってから、随分活躍しているようじゃない」
カナ「まぁボチボチでんな。いきなりスマンの、会って話を聞いて欲しいってのを承諾してくれて」
ヤス「あのカナちゃんが、わざわざそんな事を言ってきたのよ?どんな内容なのか、ちょっと興味が湧いた訳。で、後ろの二人は?」
カナ「ああ、こっちはウチが今所属しているチームカノープスのウマ娘・ツインターボと、同チームの南坂トレーナーや」
ターボ「はじめまして。ツインターボだ!」
南坂「はじめまして。カノープスのトレーナーを担当している、南坂と申します」
オカマ口調で話すヤスさんに元気良く挨拶するターボと、名刺を出しながら丁寧な挨拶をする南坂。
ヤス「あら、これはご丁寧にどうも。じゃあ、アタシも名刺を」
そう言って、南坂に名刺を渡すヤスさん。名刺には
安川フィットネスクラブ・代表取締役 安川 浩二
と書かれていた。何と彼は、日本全国に多数のジムを抱えるフィットネスクラブの社長だったのだ。
名刺に書かれていた肩書を見て、三人は驚きの声を上げる。流石のカナも、社長だという事は知らなかったらしい。
カナ「ちょ!?ヤスさん、社長やったんかい!?」
ヤス「あら、言ってなかったかしら?」
カナ「今初めて聞いたわ!?んなお偉いさんやったなんて」
ヤス「まぁアタシは書類仕事よりも、現場で生徒さん達と一緒に汗を流すのが性に合ってるのよ」
ヤス「さて、話ってのは一体何なの?カナちゃん以外にも居るという事は、ただ事では無いと見たけど?」
カナ「おっとそうやった。実は・・・」
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相手の意外な肩書に驚いていたカナだったが、本題である頼み事を話すカナ。
ゴーストウィニングというウマ娘にターボが勝ちたいと願っている事。だが現状では、勝利するには不可能に近い事。
頼みのトレーナーは既にキャパオーバー気味であり、指導が不可能に近い事。そこで、数多くの人達を見事に鍛え上げたヤスさんに、ターボを徹底的に鍛え上げて欲しいという事。
それ等の事を話すカナ。
ヤス「・・・成程。話は分かったわ。ただ・・・アタシが専門としているのはあくまで人間。ウマ娘の場合は、正直未知数よ?」
カナ「確かに、人間とウマ娘は違う。せやが、体の作りの多くは人間と一緒や。やから、十分に可能性はあると思う」
ヤス「でも、仮にアタシが引き受けるとしても、肝心のトレセン学園側はそれを許可するの?何せ、アタシは部外者よ?」
カナ「・・・それを言われると痛いが・・・せやが、他に手段が思い付かんのy」
と、その時。それまで黙っていたターボが、ヤスさんの前でいきなり土下座する。
その光景に驚く三人だったが、そんな事には構わずターボはヤスさんに全力でお願いをする。
ターボ「お願いだ、おっちゃん!ターボの事を、徹底的に鍛えて欲しい!」
カナ「ターボ!?」
南坂「ターボさん!?」
ターボ「ターボは、もっともっと強くなりたい!ゴーストウィニングに勝てる、そんなウマ娘になりたいんだ!」
ヤス「・・・・・」
ターボ「ターボ、以前は同期だったテイオーと戦いたかった!でも、JURAファイナルで戦うまで・・・他のレースで戦うのは叶わなかった!」
ターボ「他のスピカのウマ娘達とは、戦う事すら出来ていない。ましてやゴーストとは・・・野良レースで戦っても、悉く返り討ちに遭った!それもこれも、ターボが未熟だからだ!」
ターボ「前にターボが負け続きだった時にテイオーが教えてくれた、『諦めない事が大事』という事は・・・ターボにとって何よりも価値のある事なんだ!」
ターボ「でも・・・今のままじゃ『諦めなくても、駄目な物は駄目』ってなっちゃう。そんなの・・・そんなの、絶対に嫌だ!」
ターボ「だからこそ、このままで終わりたくない!トリー達やテイオー達が走ったターフの光景を、ターボも一緒に見たい!」
ターボ「だからこそ、今よりももっと強くなりたい!その為なら、どんな苦難だって乗り越えて見せる!だから・・・だから・・・ターボの事を強くしてくれ!」
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ターボの今の思いの籠った願い。その声は、何時しか涙声に変わっていた。
カナ「・・・ヤスさん、無茶を承知の上で頼む!ターボの願い、どうか叶えたってや!」
南坂「私からもお願いします。ターボさんがここまで思い詰めている事に、私自身も忸怩たる思いを抱いています」
南坂「ですが・・・私が未熟故に、私だけではターボさんの思いを叶えてあげられないのも、事実なんです」
南坂「トレーナーとして恥ずべき事なのを承知の上でお願いします。どうか、ターボさんの思いを叶えてあげて下さい!」
頭を下げるカナと南坂。
三人の願いを無言で聞いていたヤスさん。そして・・・徐に切り出す。
ヤス「・・・三人共、頭を上げて。藁にも縋る熱い思いを聞かされたら、断れないわね」
ターボ「・・・!!それじゃ・・・」
ヤス「いいわ。どこまでやれるかは未知数だけど、ターボちゃんの事を、徹底的に鍛え上げてみせるわ」
ターボ「あ・・・有難う、おっちゃん!!」
ヤス「ただし・・・トレセン学園にはちゃんと許可を取るようにね」
カナ「ホンマおおきに、ヤスさん。トレセン学園の説得は、ウチとトレーナーに任せてや!」
南坂「本当に、有難うございます。あ、ですがお仕事の方は・・・」
ヤス「ああ、仕事の方は大丈夫よ。既に会社の方は、アタシが居なくてもちゃんと回る様になってるし。だから代表を退いて、何か新しい事を始めようと考えてた所なのよ」
南坂「そうだったんですか・・・」
ヤス「さて、無事許可が取れたらバリバリ行くわよ。覚悟しておきなさいね、ターボちゃん」
ターボ「うん!ターボ、強くなる為なら、何だってやる!」
ヤス「ん?今何でもやるって言ったわね?言質は取ったわよ?」
カナ「・・・ヤスさん。サラっと怖い事言わんといてや」
そんな訳で、新たにヤスさんという強力な助っ人の助力を得られる様になった。残るは、トレセン学園の説得のみである。
果たしてターボがどれだけ強くなるのか。現時点では、まだ誰も分からないのであった。
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以上です。新たな新キャラ、ヤスさんの登場とターボ達の必死のお願いの回となりました。
オカマ口調ですが、例のドイツの社長さんとは何の関係も有りません(ヲイ)。
ターボ師匠のブートキャンプの時間は、着々と迫りつつあります。最終目標がターフの亡霊である以上、頑張って鍛え上げないと(汗)
さて、残すはトレセン学園への説得だけですね。・・・理事長のセリフの、あの二文字を今から考えておかないと(汗)
では、また次回。
wiki掲載は、自由です。
最終更新:2023年01月14日 09:26