474:194:2022/12/20(火) 20:55:31 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その14


外にまで聞こえる大声で叫んでいたその日の夕方、並走トレーニングを終えたターボは臨時で追加トレーニングを行っていた。一応南坂トレーナーには、許可は貰っている。
まぁ並走トレーニングを散々した後なので、何時もよりは回数や距離は少なめとなっているが。
一通りのメニューを終え、食事がてら今日の出来事をヤスさんに話すターボ。


ヤス「成程。周りが凄過ぎるせいで、碌に見向きもされない、と」

ターボ「そうなんだ!ターボ、次の有馬記念で勝ちたい!・・・おっちゃん、何かアドバイスは無い?」

ヤス「大きく出たわね・・・まぁ確かにターボちゃんは強くなったわ。他の誰よりも練習を重ねて来たし。ただ、流石に有馬となると・・・ねぇ」

ターボ「ええっ!?あれだけ練習しても、まだ足りないの!?・・・そんなぁ・・・」

ヤス「練習だけではどうにもならない事も有るのよ。でも、もし諦めないのなら・・・」

ターボ「諦めないのなら?」

ヤス「走りに対して、どれだけの対価を払えるか。そこがカギになるかもね」

ターボ「走りに対価・・・?今一つ、よく分かんない」

ヤス「以前のJURAファイナル準決勝での、ターボちゃんの走りがいい例よ」

ターボ「JURAファイナルの・・・?」

ヤス「あの時、ターボちゃんはトウカイテイオーと戦って勝つ為に、生涯大逃げの道を捨て去ったわよね」

ヤス「その結果、テイオーとの対決と勝利と言う栄光を掴んだけど・・・準決勝後、ネット上とかで随分叩かれてたわよね。南坂ちゃんと一緒に」

ターボ「あれは!・・・ターボが不整脈を患ってたから」

ヤス「知ってる。だけど、それを押してまでテイオーと戦いたかったのよね?」

ターボ「・・・うん。テイオーと戦って勝ちたいってのと、トリーがツインターボ号だった時に叶えられなかった夢を、代わりに叶えたかったから」

ヤス「何かを得ようとすれば何かを失う。俗にいう等価交換って奴ね。・・・ま、アタシはそういうのは、あまり好きじゃないけどね。それに、ターボちゃんの走りはそういうのとは違うと思うわ」

ターボ「違う?」

ヤス「ターボちゃんの走りは、人に勇気を与える希望の走りだと思うの。自然と応援したくなる、そんな走りね」

ターボ「希望の、走り・・・」

ヤス「だから、何が有ろうが絶対に諦めない事。諦めない走り・・・それが出来れば、有馬は勿論ゴーストウィニングとの戦いにも、勝ち筋が見えてくると思うわ」

475:194:2022/12/20(火) 20:56:01 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
翌日


ターボ「うーん・・・」


学園のトレーニングルームでウェイトリフティングをしながら、一人悩むターボ。ヤスさんから言われた事を、頭の中で反復してみる。
絶対に諦めない走り、と一言で言うが、自分はそれなりに実行して来た筈だ。だから、今の自分が有る。
まだ何が足らないのか?足りないピースは何なのか?
だんだんと頭が煮詰まって来る。


ターボ「うーん・・・。ターボ頭を使うのは苦手なんだけどな・・・」


一旦バーを置き、寝転がったままの状態で更に考えるが・・・・・頭から湯気が出始めている。目もグルグル回り始めている。
オーバーヒート寸前な状態だ。


トリー「お姉ちゃん・・・こんな所に居たの?」

カナ「何や目を回し始めとるな。どないしたんや?」

ターボ「・・・トリー?それにカナも」

トリー「並走トレーニングに来ないから、探してたの」

カナ「考え事か?」

ターボ「・・・うん。実は・・・」


そう言って、昨日ヤスさんに言われた事を話すターボ。


トリー「・・・『諦めない走り』、か」

カナ「・・・ちぃと、抽象的やな」

ターボ「うん。分からないからここで考えてたんだけど、頭がこんがらがってきて」

トリー「既にオールカマーや、JURAファイナルでやって来た筈だけど・・・」

カナ「・・・何かが足らん、と言いたいんやろうな」

ターボ「テイオーとの走りで見せた『諦めない走り』の更に上を行く走り・・・どういう走りなのかな・・・?」

476:194:2022/12/20(火) 20:56:31 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
三人で考えるも、やはり答えが出ない。
と、そんな三人に声を掛けるウマ娘が。


テイオー「あっ、ターボ師匠」

ターボ「テイオー!?何でここに?」

テイオー「ボクの名前が聞こえたから、ちょっと見に来たの。あ、トリーちゃんとカナちゃんもこんにちは」

トリー&カナ「「あ、こんにちは」」

テイオー「聞いたよ、有馬に出るんだって。・・・カイチョートイッショニハシレルトカ、チョットウラヤマシイナ」

ターボ「お、おう・・・」


ターボが出走出来て自分が出走出来ないという現実に、ちょっとばかりしっとりモードに入るテイオー。


テイオー「・・・テイウカ、サンニンッテネイチャトイッショニ、ゴーストノデビューセンミニイッタンダヨネ?メチャクチャウラヤマシインダケド?」

カナ「・・・まだその事言うとるんですか?余りしつこう言うてると、またマックイーンさんにお仕置きされるで?」

テイオー「ウグッ!?!?」

トリー「・・・確かメジロ家の主治医さんが突然出てきて、ノーモーションで脚に注射したんだっけ?残響音有りな絶叫が響いて、ビックリしたんだけど」

テイオー「ヤメテヤメテ!?ボクガワルカッタカラ、ソノコトヲオモイダサセナイデ!?!?」


頭をぶんぶん振りながら詫びるテイオー。どうやらトラウマになっているらしかった。


テイオー「・・・コホン。その有馬だけど、うちからはスぺちゃんとマックイーンが出るからね。二人とも負けないって気合入れてたよ」

ターボ「ターボ負けないもん!有馬で勝つのはターボだ!」

テイオー「あはは、凄い自信だね。でも凄いのは、自信だけじゃないよね」

ターボ「へ?どういう事?」

テイオー「あれ?知らないの?ターボ師匠の猛特訓を見て、他のウマ娘達もその影響を受けて頑張るぞ!って気合入ってるんだよ」

トリー「そうなんですか?」

テイオー「うん。実際オールカマーでも結果を出してるしね。それに触発されてるみたい」

477:194:2022/12/20(火) 20:57:01 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
三人共、流石に驚いていた。打倒ゴーストウィニングと言う目標を達成する為に、ヤスさんの猛特訓をこなして来ただけなのに、知らない所で周りに好影響を与えていたとは。
その事実に、ターボもちょっとだけ鼻が高くなる。
と、ここでターボが閃く。『諦めない事が大事』と言う言葉は、そもそもテイオーが教えてくれた言葉だ。
もしかしたら、ヤスさんの言葉の真意を解く手掛かりが得られるかもしれない。
早速テイオーに、有馬を走る秘訣を聞く。


ターボ「なあテイオー!」

テイオー「ん?なーに?」

ターボ「テイオーって、GⅠ走る時はどんな気持ちだった?有馬や・・・他には皐月賞やダービーとか!」

テイオー「GⅠの思い出って事?うーん、そうだなぁ・・・GⅠと、他にボクが体験した事を語って行くけど、それでいいかな?」

ターボ「うん!」


目を閉じて、足先をトントンと地面を付きながら思考するテイオー。
そして、徐に話し始めた。


テイオー「ボクは以前、夢が有った。会長みたいなウマ娘になるって。だからまずは、クラシック三冠を無敗で勝利する事が目標だったんだ」

ターボ「ふんふん」

テイオー「でもその夢は、怪我のせいで達成出来なくて。その後は無敗のウマ娘になるぞって思ったけど、これもマックイーンとの戦いに負けて止められちゃった」

ターボ「ふむふむ」

テイオー「その時は悔しくて泣いたりもしたけど、マックイーンが『これからは私があなたの走る理由になりますわ』って言ってくれたんだ。もう一度、ターフで勝負しようって」

ターボ「成程。それで?」


興奮しながらテイオーの話を聞くターボ。
内心『テイオーのライバルは自分一人でいいのに』とは思った物の、流石にそれは口にしない。

478:194:2022/12/20(火) 20:57:31 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
テイオー「そして三度目の骨折。周りは励まそうとしてくれてたのは分かってたけど・・・辛い現実を見せ付けられて、心が折れて、一時は本気で引退を考えた」

ターボ「辛い現実?・・・もしかして、こっちの世界のアニメでやってた」

テイオー「そう、マックイーンの走りを見て『もう自分は、あんな風に走る事が出来ないんだ』って。いつも通りなマックイーンの姿を、直視出来なかった」

ターボ「・・・アニメでそのシーン見たけど、辛すぎてターボも泣いてしまったぞ」

テイオー「・・・でも、キタちゃんやトレーナー、チームの皆。そして・・・ターボ師匠のお陰も有って、もう一度ゼロからやり直そうって決意で来たんだ」

ターボ「・・・ターボも頑張った甲斐が有ったぞ。皆の思いが、ちゃんとテイオーに届いたんだって」

テイオー「そんな中、今度はマックイーンが怪我して・・・あの時、マックイーンはボクの前で泣いていたんだ。何時も気丈に振舞うマックイーンが号泣している所なんて初めて見たし、辛いのも痛い程分かった」

テイオー「だからこそ、僕は誓ったんだ。マックイーンを勇気付ける為にも、奇跡を起こして見せるって」

ターボ「それが、この次の有馬だよね!」

テイオー「そう。正直自信は無かった。体も脚も、本調子からは程遠かった。でも、このレースだけは絶対に勝つって誓った。そして、奇跡は起きた」

ターボ「ターボもあの時は感動したぞ!テイオーが戻って来たって!」

テイオー「・・・今思えば、あの奇跡は自分の為じゃなくて、誰かの為の物だったから起こせた奇跡なのかもしれない。もし望みが独り善がりな物だったら、ボクは負けてたよ」

テイオー「それに・・・この奇跡はボクだけが起こした物じゃない。皆の思いも、確かにあった。勿論、ターボ師匠の思いもね」

テイオー「僕が何気なく言った『諦めない事』、その言葉を誰よりも実践しようと走り続けるターボ師匠にボクは全力で挑みたかった。そして、勝ちたかった」

ターボ「それが、JURAファイナル・・・」

テイオー「そう。そして、決勝で全てを出し切ってぶつかり合った。最終的には僅差で負けたけど、それでも後悔だけはしていない」

ターボ「・・・・・」


(奇跡、か・・・。自分の為じゃなくて、誰かの為に・・・)

(つまり、誰かの為に走るのがターボの理想の走りなのかな?)

(うーん、あとちょっとで答えが出そうな気がするんだけど・・・)

479:194:2022/12/20(火) 20:58:01 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
テイオー「どうしたの、ターボ師匠?」


怪訝そうな顔をしながらターボに声を掛けるテイオー。


ターボ「あ、いや。何でもない・・・いや、何でもあるぞ」

テイオー「???・・・・・そういえば、三人で深刻な顔をしていたけど、何かあったの?」

トリー「あ、はい。実は・・・」


テイオーに先程の事を話す。
ターボが目指すべき、諦めない走り。それが何なのかという事。
三人であれこれ考えるも答えが出ず、悩んでいた事を話した。


テイオー「・・・成程。それで三人で悩んでたんだ。で、答えは出そう?」

ターボ「・・・今のテイオーの話を聞いて、あとちょっとの所まで出かかってるんだ。おっちゃんの言っていた事の答えが」

テイオー「・・・そっか。・・・マックイーンあたりに『利敵行為だ』とか言われかねないけど、ターボ師匠にも頑張って欲しいってもの有るから。・・・ちょっと複雑かな」


苦笑しながら、そんな事を話すテイオー。
そのターボだが・・・頭であれこれ考えるのをやめる。やはり最後は、実際に走る中で見つけるしかない。
そう判断したターボは、テイオーへと顔を向ける。


ターボ「テイオー!あと一つだけ我儘を言って良いか!」

テイオー「え、何?」

ターボ「ターボと、一緒に走ってくれ!」


そういう訳で、急遽テイオーとの並走が行われる事となったのだった。

480:194:2022/12/20(火) 20:58:31 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
オマケ


キタサン「テイオーさん、聞いて下さい!ゴーストさんのデビュー戦の観賞に誘ってくれたんです!」

ダイヤ「他のスピカの皆さんも、来れる人は是非にって言ってました」

テイオー「ホント!?よーし、新たなライバルたるゴーストウィニングの走り、しっかりと目に焼き付けるぞー!」

沖野「・・・あー、テイオー。いま日にちを確認したが、この日は地方で出走だから見に行くのは無理だぞ」

テイオー「・・・・・、ええーーーーーー!??!?!?!」


第二話で骨折を言い渡された時の、ニコニコ顔からの変顔のシーンをこんな所で再現するテイオー。
やはりというか、予想通りに駄々を捏ねだす。


テイオー「ヤダヤダヤダヤダヤダ!!ゴーストノハシリミニイキタイミニイキタイミニイキタイー!!!」

マックイーン「・・・テイオー、みっともなく文句を言うんじゃありません。他の皆も見てますわよ」

テイオー「デモデモダッテ!!ネイチャヤターボシショウモミニイクノニボクダケナカマハズレトカ、アンマリダヨーーーーー!!!」

マックイーン「・・・言う事を聞く気は無いんですの?」

テイオー「ダッテダッテダッテ!!ミニイキタイミニイキタイミニイキタイーーー!!」

マックイーン「・・・分かりました。いう事を聞かない娘には、お仕置きですわ」

テイオー「ヘッ!?」

481:194:2022/12/20(火) 20:59:01 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
そう言って、指を鳴らすマックイーン。その直後、何故か部室の扉が開く音がし、誰かが入って来た。
冷や汗を垂らしながら、油の切れた機械の様な音をたてながら其方へ顔を向けるテイオー。


主治医「主治医です」

テイオー「デターーーーー!???!?!」


予想通り、メジロ家の主治医が。
予想可能・回避不可能な状況に、堪らず悲鳴を上げる。


テイオー「ナンデ!?ナンデココニイルノ!?アトナンデオチュウシャモッテルノーーー!??!?!」

主治医「それはお嬢様の主治医だからです」

テイオー「ワケワカンナイヨー!??!?」

キタサン「こっちの世界で見たアニメのシーンそっくり・・・」

ダイヤ「まさか目の前で見れるなんて・・・」


何処かズレたコメントをする二人。
そんな二人を他所に、マックイーンはお仕置きの執行を言い渡す。


マックイーン「テイオーが言う事を聞かないので、お仕置きを執行して下さいまし」

主治医「かしこまりました」

テイオー「『カシコマリマシタ』ジャナイッテb」


ブスリ!※ノーモーションで突き刺す


テイオー「ワケワカンナイヨーワケワカンナイヨーワケワカンナイヨ-」※残響音含む


トレセン学園に、テイオーの断末魔(笑)が響き渡ったのだった。

482:194:2022/12/20(火) 20:59:31 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
以上です。有馬に向けてのヤスさんのアドバイスと、それに悩むターボ師匠。
そして、テイオーとの会話を経て足りない何かを掴むために、テイオーと走る事になりました。
そしてオマケで、陣龍氏のネタへの感想の返信で、陣龍氏が言ってた「駄々こねるテイオーは主治医に任せる」のコメントをネタにしてみましt←殴
いや実際、こんなノリで黙らされたんじゃないかと(ヲイ)
さて次回は、再びぶつかり合うターボ師匠とテイオーの戦いとなります。どうなるかは、見てのお楽しみにという事で。それでは。
wiki掲載は、自由です。

483:194:2022/12/20(火) 21:01:08 HOST:KD106155011047.au-net.ne.jp
誤字を見つけたので、修正を。

480
  • 誤 ダイヤ「モカのスピカの皆さんも、来れる人は是非にって言ってました」
  • 正 ダイヤ「他のスピカの皆さんも、来れる人は是非にって言ってました」

wiki掲載時に、修正をお願いします。

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最終更新:2023年01月14日 09:39