590:194:2022/12/31(土) 18:20:29 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その15
前回、急遽走る事となった二人。練習用コースに向かい、それぞれストレッチをして全身を解している。
そこに、話を聞いた両チームのメンバー達が集まる。周りにいるモブウマ娘達も注目している様だ。
マックイーン「全く・・・本当にお人よしですわね、テイオー。『敵に塩を送る』と言う言葉を、ご存じないんですの?」
テイオー「あはは・・・成り行きでこうなっちゃってね。でも、他ならぬターボ師匠の頼みだからね。それに・・・」
マックイーン「それに?」
テイオー「ボク自身、ターボ師匠にリベンジしたい。だから・・・何を言われようと、ターボ師匠と走る。そして、勝ってみせる」
マックイーン「・・・全く、仕様がないですわね」
苦笑しながら、テイオーの行いを見守る事にしたマックイーン。まぁこの戦いで、現在のツインターボの力量が見れるのも確か。
そう言う意味では、少なくとも損は無いと言って良いだろう。
そこに、準備運動を終えたターボがやって来た。
ターボ「準備出来たぞ、テイオー。そっちは?」
テイオー「うん、ボクも。コースは芝の右回り、距離は・・・」
ターボ「実践形式で、2500mで!」
テイオー「・・・うん、分かった。それでいいよ」
沖野「よーしお前等、共に準備は良いみたいだな。それでは、よーい・・・・・スタート!」
スタートの合図と共に、ツインターボがロケットスタートで飛び出す。飽きる程繰り返して来た練習だ。最早出遅れる事は有り得ない。
少し距離を開けて、トウカイテイオーが追跡。機を窺う。
ターボ(感じる・・・。あの時の・・・JURAファイナルの時と同じだ。テイオーの息遣い、土を踏み締める音、そして・・・絶対に勝つという思い。全て伝わって来るぞ)
591:194:2022/12/31(土) 18:20:59 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
ツインターボは全力で駆け抜ける。かつての様に、途中で逆噴射して失速する自分はもういない。2000mでバテていたら、2500mの有馬で走り抜く事は出来ない。
早くも第四コーナーを抜け、最後の直線へと入る。大差を付けて、自分だけが直線に入る。最高に気持ちいい瞬間だ。
だが、ターボは油断しなかった。何故なら、テイオーの気迫をはっきりと感じ取っていたからだ。
ターボ(・・・テイオーは必ず上がって来る!最後の直線で勝負する気だ!)
ターボが予感した通りだった。テイオーは最終直線に入ると同時にスパートをかけ、一気に距離を詰めて来る。
テイオー(以前の戦いより、更に力を付けているのが分かる!流石はターボ師匠・・・でも!ボクは負けない!今度は、ボクが勝つ!!)
体のバネを利かせた力強い走りで、ターボとの距離をグングンと詰めるテイオー。
一方のターボは、流石に脚色が落ちて来たのを感じる。こんな模擬レースで、情けない。
そう憤慨するターボだったが、それでも走るのを止めない。最後の最後まで抗う。
キタサン「テイオーさん!頑張って!!」
ダイヤ「今度こそ、勝って下さい!!」
トリー「お姉ちゃん!負けないで!!」
カナ「気張れターボ!あと200mや!!」
双方のチームメイト達も、必死の声援を送る。
二人の差は更に縮まり、残るリードはクビ差程度。このままでは、追い抜かれるのも時間の問題だ。
ターボ(クッ・・・やはりテイオーは強い!!このままじゃ・・・!!)
焦燥感を抱くターボ。だが、脚が言う事を聞かなくなり始めている。
ターボ(こんな・・・やっぱり、ターボの力は・・・GⅠウマ娘に及ばないっていうの・・・!?)
592:194:2022/12/31(土) 18:21:29 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
絶望的な言葉が頭を占め始めていた、その時だった。
(トリー「・・・・・名馬って存在はね、ただ強ければ良いというだけじゃ無いと思う。それ以上に、皆に愛される事。皆に夢を見せられる事が大事だって、私は思うの・・・」)
ターボ(・・・・・トリー!?)
頭を過ったのは、かつてトリーが言っていた言葉。名馬として、強いという事以上に大切な事。
そして・・・あと少しの所まで出かかっていた答えに、遂に辿り着く。
ターボ(そうか・・・強ければ良いと言うだけじゃない。皆に愛され、皆に夢を見せられるという事・・・)
ターボ(ファンの皆は、ターボの走りを見て・・・辛い事・苦しい事に立ち向かう、希望や勇気を得ているんだ・・・)
ターボ(だから・・・走れなくなるその日まで、決して諦めちゃいけない!諦めないという事を、皆に届け続ける事!)
ターボ(それが・・・おっちゃんが言ってた、「人に勇気を与える希望の走り」なんだ・・・!!)
ターボの意識が、再びクリアになっていく。同時に、僅かだが脚の力が戻って来た。
それ等を振り絞り、ターボが最後のスパートをかける。
ターボ「ターボは諦めない・・・!!諦めて、堪るもんかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
テイオー「何ッ!?」
残り100mでの再加速に、テイオーは驚愕する。まさか、まだ力を残していたのか!?
対する自分は・・・最早余力が残っていない。既に一杯一杯だった。だが、それでも・・・気力を振り絞って必死に喰らい付く。
そして・・・二人はほぼ同時にゴール坂に到達。勝敗は、カメラ(ティ連製)による判定にもつれ込んだ。
カメラの映像を確認する両チームのメンバー達。結果は・・・・・1㎝の差で僅かにターボが先にゴールしていた。
593:194:2022/12/31(土) 18:22:02 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
テイオー「・・・・・はぁ~~~~~。また負けた、か・・・・・」
キタサン「うう・・・テイオーさん・・・」
テイオー「もう、キタちゃん泣かないで。ボクももっと力を付けて、次こそは!三度目の正直で勝利してみせるから!」
キタサン「・・・はい」
トリー「お姉ちゃん!・・・本当に、本当に凄い走りだったよ!」
カナ「やったの!あのテイオーさんに連勝!感動したで!」
ターボ「・・・ありがとう。・・・トリー」
トリー「何?お姉ちゃん」
ターボ「走っている時に、トリーが言ってた言葉が頭を過ったんだ。「名馬は強いという事以上に、皆に愛され、皆に夢を見せられる事が大事だ」って言葉が」
トリー「え・・・!?」
ターボ「だから・・・ターボは、走れなくなるその日まで、皆に届け続ける。『諦めないという事』を」
トリー「お姉ちゃん・・・」
カナ「ヤスさんが言うてた事の答え、辿り着けた様やな」
ターボ「テイオー!本当に有難う!おかげで答えに辿り着けた!どうしてウマ娘が諦めてはいけないのか、その答えがやっとわかったぞ!」
テイオー「・・・そっか。ならば、ボクも頑張った甲斐が有ったってもんだね」
二人の青春その物な光景に、周りのメンバー達も苦笑する。
だが・・・少し離れた場所で見ていたゴーストウィニングは、少々深刻な表情をしていた。
ゴースト(・・・凄い。やはりライバルと認めたのは、間違いじゃなかった。一つ一つ、着実に成長している)
ゴースト(対する此方は・・・まだまだ全盛期には程遠い。絶対的な勝利を得る為にも、これまで以上に頑張らないと・・・)
594:194:2022/12/31(土) 18:22:33 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
今回の出来事でまた一つ成長したターボを見て、そんな事を考えこむゴーストだったが・・・。
いきなり両方のこめかみに拳が当てられ、グリグリされる事に。
ゴースト「ちょっ!?いだだだだだだだだ!??!?!?!?」
堪らず悶絶するゴースト。こめかみグリグリの下手人、それはゴールドシップだった。
ゴルシ「おうおうおう、なーに一人で深刻な顔をしてるんだ?おめー」
ゴースト「・・・い、いきなりこめかみグリグリとか、何するのさ」
ゴルシ「何考えてたか、当ててやろーか?大方今回の二人・特にターボの走りを見て、ちっとばかし焦ってたんじゃねーか?」
ゴースト「うぐっ」
図星だった。
考えていた事がバレて、少々驚くゴースト。
ゴースト「な、何であっさりと分かったの?」
ゴルシ「そりゃ、あのレースを見た上でそう言う顔をしてたら、誰だって分かるっつーの。・・・・・ま、焦ってもどうにもならねーぞ」
ゴースト「え?」
ゴルシ「ウマ娘としての経験が、ターボの方が上なのはどう足掻いても変わらない。だったら、焦った所で碌な事にならねー。ならば、それとは違う要因で圧倒すればいい。簡単じゃねーか」
ゴースト「・・・・プッ、アハハハハ」
ゴルシ「何だよ、何かおかしい事でも言ったか?」
ゴースト「いや、そうじゃないよ。ただ・・・何ともゴールドシップらしいって思ってね」
ゴルシ「何だ何だ?人が折角心配してやってるって言うのに」
ゴースト「ゴメンゴメン。・・・有難う、ゴールドシップ」
ゴルシ「おっ、どうやら元気出たみてーだな。よーし!ツインターボに勝つ為に、今からアタシと二人でベーリング海にカニ漁に行くぞ!カニを取り尽くして、億万長者の仲間入りだ!」
ゴースト「・・・ゴルシに感謝した自分が馬鹿だった」
気遣いを見せつつも、やっぱりいつもの乗りなゴルシに、さしものゴーストも呆れるしか無かったのだった。
595:194:2022/12/31(土) 18:23:06 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
その後のターボだが、更に猛練習を積んだ。
朝は誰よりも早く起きて、夜は誰よりも遅くに寝る。
走り、泳ぎ、自らの肉体を徹底的に鍛え上げた。
勿論、それでも他の強豪ウマ娘達の力は圧倒的だった。
だが、それ以上にターボは頑張った。諦めないという気持ち、それを応援してくれる全ての人達に届ける為に。
そして、有マ記念当日・・・
ターボは中山競バ場の開場と共に控室に向かい、勝負服に着替える。
そのままベンチの上に座り、瞑想をしていた。
遅れてやってきたメンバー達は、その姿に驚いていた。
マチタン「凄い・・・体中からオーラが溢れているみたい」
スラテン「まさに鬼気迫る・・・と言った感じですね」
ビーフ「こんなターボ先輩、初めて見たっすよ」
南坂「どうなんでしょう、今回のターボさんは」
ヤス「かかっているのとは違う様ね。入れ込みすぎかもしれないけど」
コンコン。
南坂「はい」
ガチャ
係員「ツインターボさん、時間です。本バ場まで来て下さい」
ターボ「・・・よし、やるぞー!」
イクノ「頑張って下さい、ターボさん!」
ニンスナ『カノープス初のGⅠ、必ず掴み取るでござるよ!』
ネイチャ「見せてやりなさい、今までのターボとは違うって事!」
トリー「・・・お姉ちゃん。頑張って!」
カナ「信じとるで、ターボ!有マ記念、キッチリ制したれや!」
ターボ「うん!皆、ありがと。じゃ、ターボ行って来る!」
そう言って控室を飛び出していくターボ。レースは、すぐそこまで迫っていた。
596:194:2022/12/31(土) 18:23:36 HOST:KD106155012125.au-net.ne.jp
以上です。ターボとテイオーの模擬レースの様子と、有マ記念直前の様子と相成りました。
テイオーとの対決の結果ですが、当初は引き分けにするか否かで悩む事に。ですが、ターボの成長イベントという事で、僅差でターボの勝利という事に。
地力自体も上がっているので、妥当と言えば妥当かと。もっとも、その代償としてマックイーンとスぺの二人からこれまで以上に警戒される事となりましたが(汗)
そして初めて、ゴルシを少しだけはっちゃけさせてみました。・・・まぁ、他の皆さんの足元にも及ばないですがorz
レースの結果は、来年の正月にも持ち越しになりますね。できるだけ早く書き上げたいとは思っていますので、気長にお待ち頂けたら幸いです。
それでは皆様、よいお年を。
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最終更新:2023年01月14日 09:40