675:194:2023/01/08(日) 19:00:30 HOST:KD106155008125.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その17
レース後半、もう間も無く第三コーナーへと差し掛かろうとしているその頃。
肝心のターボは何を思っていたのか。
後ろを振り向かなくても、他のウマ娘の位置は大体分かる。ミホノブルボンは控えた。先団とは大体十バ身程。もっと引き離したいが、ここはぐっと我慢する。
ターボ(・・・ゴーストを倒す為の特訓で、ターボは本当に変わった。『がまんする事』を実践出来る様になるなんて、以前じゃ考えられないや・・・)
以前のターボだったら何も考えずに全力で走り、その後に逆噴射して追い抜かれて負けていた。何度も。何度も。
大逃げを捨てるつもりはさらさら無い。だが、格上を倒すには脚の使い方を覚える必要が有った。
例えば最後の直線。ここからの差しや追い込みで敗北するウマ娘を、何度も見て来た。
それに打ち勝つには、ガソリン一滴分でいいから脚を残した状態で戦う必要が有った。
毎日流し続けた汗。誰よりも鍛え続けたこの体。他のウマ娘よりも重ね続けた練習。
それだけは、何が有ろうと裏切る事は無い。
だが・・・それだけではまだ足りない。
もう一つ。諦めない心。テイオーとの二度目の対決で、遂にその本質を掴む事が出来た。
ターボ(テイオー、トリー、カナ。見ていてくれ。ターボの、決して諦めない走りを!)
ターボが第三コーナーに差し掛かり、いよいよレースは終盤へと突入した。
赤坂「さぁ、レースも後半から終盤へ。ここで後方に控えていたエイシンフラッシュとマチカネフクキタル。ウイニングチケットとメジロライアンがジワジワと」
赤坂「いや、前団です!ビワハヤヒデとナリタブライアン、更にスペシャルウィークとメジロマックイーンがここで仕掛けて来た!」
まだ第三コーナーを回っている最中という悪条件下で、ほぼ同時に仕掛ける四人。
ハヤヒデ(やはりか、ブライアン・・・!!)
ブライアン(やっぱり姉妹だな。考える事は同じか。行くぞ、姉貴・・・!!)
スぺ(周りはターボちゃんを余り意識していない・・・。でも、だからこそ何をして来るか分からない。ならば・・・ここで仕掛ける!!)
マックイーン(あの娘の事です、脚を残しているのは明白。ならば・・・ここで仕掛けて潰すのみ!!)
676:194:2023/01/08(日) 19:01:00 HOST:KD106155008125.au-net.ne.jp
赤坂「さぁ仕掛けた四人が、まず二着の位置に付けているミホノブルボンに襲い掛かります!」
ブルボン「まさか・・・ターボさんが落ちる前に仕掛けるなんて!?」
ハヤヒデ「残念だったな。私の理論では、第四コーナーを回って残り100m地点で捉えられる!」
ブライアン「あんたもツインターボも、ここでブッちぎる!」
ブルボン「・・・まだ!速度修正!ここで抜かせない!」
必死にスピードを上げるミホノブルボン。だが、四人の勢いがそれを上回っている。
距離はじりじりと縮まり、遂にミホノブルボンを捉える。
赤坂「差した!ビワハヤヒデとナリタブライアン、そしてスペシャルウィークとメジロマックイーンがミホノブルボンを追い抜き、更に加速!そのまま第三コーナーを抜けていく!」
ミホノブルボンは決して遅くない。作戦も間違ってはいなかった。だが・・・それ以上に四人の脚が凄過ぎたのだ。
赤坂「一方ツインターボが、ツインターボだけが第四コーナーを回り切った!後は中山の直線だけだ!」
赤坂「しかしビワハヤヒデとナリタブライアンだ!スペシャルウィークとメジロマックイーンだ!この四人の脚の方が勢いがある!差をグングン詰めていく!」
四人の凄まじい勢いに、カノープスのメンバー達は顔面蒼白な状態になっていた。
ビーフ「ああっ!このままじゃ追い抜かれるっす!」
イクノ「ここまで速いとは・・・」
マチタン「マックイーン、本当に脚を怪我した走り!?まるで全盛期じゃん!!」
ニンスナ『これが・・・一流のウマ娘・・・!』
スラテン「そんな!?ここまで来て!!」
ネイチャ「ああもう!?何か、何か策とか無いの!?」
カナ「くっ、揃いも揃って化け物過ぎやろ!!」
トリー「お姉ちゃん!!何とか、何とか逃げ切って!!」
赤坂「ツインターボはこれで一杯か!?必死に粘るが苦しそうだ!そして後ろの四人がやって来る!」
677:194:2023/01/08(日) 19:01:30 HOST:KD106155008125.au-net.ne.jp
あれ程有った差が、三バ身・二バ身・一バ身と瞬く間に縮まっていく。
誰もが思った。ツインターボの先頭はここで終わると。最後はこの四人の対決になる。そう確信していた。
四人))
四人もそう確信した、その時だった。
その時、南坂は確かに目にした。
南坂(あれは!?)
ターボの身体が、淡い光に包まれている光景を。
それはかつて、沖野トレーナーから聞いた話と同じ光景だった。
~回想中~
南坂「ゾーン・・・ですか?」
沖野「ああ。ウマ娘達がレースで走っている時にゾーンと呼ばれる現象に入る時がある。そいつはウマ娘毎に条件が異なるんだが・・・」
南坂「その状態になると、どうなるんです?」
沖野「その状態に入ると、何時もよりスピードが出たりスタミナを温存出来たりするらしい」
南坂「そんな物が・・・。まるで『無の境地』ですね」
沖野「俺も詳しい事は分からんが・・・発動条件の一つとして、そう言うのが求められるのかもな」
沖野「因みにウチのメンバーだと、マックイーンやスカーレット、ゴールドシップとか辺りがゾーンに入りやすい。逆にウオッカ辺りは一番入りにくいみたいだ」
南坂「いざという時の力、という奴ですかね。何だか羨ましいですね」
沖野「いや、ゾーンに入る条件もよく分からん事が多いし、何より入ったから必ず勝てるという物でもない。ま、あくまで参考意見。『そういうものが有る』位に覚えておけばいい」
~回想終わり~
678:194:2023/01/08(日) 19:02:00 HOST:KD106155008125.au-net.ne.jp
テイオー(諦めない事が大事だからね!)
ターボ「諦めない・・・」
ヤス(ターボちゃんの走りは、人に勇気を与える希望の走りだと思うの。自然と応援したくなる、そんな走りね)
ターボ「諦めるなんて、嫌だ!」
トリー(・・・・・名馬って存在はね、ただ強ければ良いというだけじゃ無いと思う。それ以上に、皆に愛される事。皆に夢を見せられる事が大事だって、私は思うの・・・)
ターボ「絶対に・・・諦めてたまるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ターボの魂の叫びが響く。
そして・・・その走りに魂が籠った!
赤坂「ツインターボの先頭はここで終わ・・・・らない!?いや、再び加速し猛然と引き離していく!!」
ハヤヒデ「何っ!?」
ブライアン「何だとっ!?」
スぺ「そんな!?」
マックイーン「な、何て底力ですの!?」
四人共驚愕していた。まだそんな力が眠っていたというのかと。
ハヤヒデ「くそっ、ならばもう一度差し直す!」
ブライアン「ここまで追い詰めたんだ!もう一度追い抜いて見せる!!」
スぺ「まだっ!!このままでは終わらせない!!」
マックイーン「それがどうしましたの!メジロの誇りに掛けて、絶対に勝って見せますわ!!」
四人は更に全力を振り絞り、ツインターボを追いかける。だが、その差が全く縮まらない。
ルドルフ「攻めあぐねている様だな。悪いが、追い付かせてもらったよ」
ブライアン「・・・会長!?」
スぺ「何時の間に!?」
679:194:2023/01/08(日) 19:02:30 HOST:KD106155008125.au-net.ne.jp
四人が梃子摺っている間に、ルドルフが四人に追いつく。
いや、シンボリルドルフだけではない。グラスワンダー、ウイニングチケット、ゼンノロブロイ、エイシンフラッシュ、更にはミホノブルボン等も一気に差を詰めて来る。
ツインターボを除いてダンゴ状態となっていた。
赤坂「さぁ各ウマ娘達が最後の直線でスパートをかける!残り200!果たしてツインターボを捕らえるのは誰なのか!?それともツインターボが逃げ切るのか!?」
このレースを見ていた誰もが、ツインターボが捉えられるのは時間の問題。そう確信していた。
しかし・・・
ルドルフ「くっ・・・!」
フクキタル「何で・・・!?」
差が全く縮まらない。こちらは既に全力のラストスパートだ。使える脚は全て使っている筈だ。
なのに・・・何が起きているというのだ!?
スぺ「そんな・・・!?」
マヤノ「何で・・・!?」
ロブロイ「どうして・・・!?」
距離は既に100を切った。差は僅か半バ身程。あと一息で追い付き、追い抜ける。その程度の差の筈なのに・・・
)))
他のウマ娘達は戦慄した。ツインターボの、決して大きくないその背中が、全てを拒む絶壁に見えていた。
ターボ「これが・・・これが・・・諦めないって事だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
ツインターボ、咆哮!
最後まで抜かせる事無く、中山の直線を駆け抜けた
赤坂「逃げ切った!ツインターボが逃げ切ったゴォォォォォォォォォォォォル!!!!!」
誰も予想だにしなかった結果に、競バ場が揺れに揺れたのだった。
680:194:2023/01/08(日) 19:03:00 HOST:KD106155008125.au-net.ne.jp
以上です。キリがいい事も有って、ここで一旦締める事にしました。・・・今回で終わらせる筈だったのに、どうしてこうなったorz
ゾーン云々ですが、所謂一つの無の境地みたいな物と言う解釈だと思っています。ワンナウツの渡久地も、そんな事を言っていたし(マテ)
ゴルシがゾーン?と思う人も居るかもですが、圧倒的な強さで勝利しているレースだと、案外自分の意志で発動させていても不思議ではないかなと。
次回は、レース後の様子になります。漸く有マ記念編が終わるよ・・・(白目)
wiki掲載は、自由です。
682:194:2023/01/08(日) 19:29:15 HOST:KD106155008125.au-net.ne.jp
誤字を見つけたので、修正を。
675
- 誤 それに打ち勝つには、ガソリン言って気分でいいから脚を残した状態で戦う必要が有った。
↓
- 正 それに打ち勝つには、ガソリン一滴分でいいから脚を残した状態で戦う必要が有った。
wiki掲載時に、修正をお願いします。
最終更新:2023年01月14日 09:43