888:モントゴメリー:2022/11/21(月) 22:56:02 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
「フラッシュデッキ・カーニバル」
ここは、数多ある世界線の一つ。この世界の日本にもいわゆる「転生者」たちが存在していた。
そうでないと『提督たちの憂鬱』二次創作の基準を満たさないからね、などと言うメタ視点などつゆ知らず、彼らは「より良い明日の日本のため」暗躍していた。
しかし、この世界の転生者たちは他の世界線とは異なっていた。端的に言えば「経験不足」である。
過半数が転生初体験であり、後にそれなりに見つかった経験者たちもほぼ全てが中堅以下だったのだ。少なくとも『衝号作戦』の真実を知ることができたレベルの者たちはいなかった。
さらに言えば初体験者の中には「あの」嶋田式潤滑油や大蔵省の魔王レベルの人材はいなかった。
ある意味当然である。あのような普通に人生送っていても英雄になれるであろうレベルの人材がそうそういる訳がない。
なので、この世界の日本は史実世界よりは確実に繁栄しているが、憂鬱世界と比較すると色々物足りないというちょっと残念な状態であった。
そんなこんなでワシントン軍縮条約は大体史実通りの内容で締結され、さらにロンドン軍縮条約が結ばれる時がやって来た。
こちらも史実通りになるかと思われたが、ここからこの世界の歴史が動き始めることになる。
まず、「排水量1万トン以下の空母も制限すべき」という合意が行われ、小型空母の保有に制限が設けられた。
しかし、そこでアメリカ代表団が「巡洋艦の保有枠内で、補助空母を保有できるようにすべき」と主張。
いわゆる「航空巡洋艦」を認めろ、と言ってきたのである。
当時の
アメリカは「小型空母を多数保有した方が、大型空母を少数保有するよりも有利である」と考えていたために生まれた主張である。
対して日・英「その艦種は空母枠で扱うべき」と主張して真っ向から対立することになる。
史実ではこの後「戦艦には艦載機発着能力を持たせない。飛行甲板を持つ巡洋艦も保有枠の25%までとする」という合意がなされ決着するのであるが、この世界では異なった。
日本代表団はアメリカ代表団にある取引を持ち掛けたのである。
——日本のカテゴリーa(=重巡洋艦)の保有比率を対米・英7割(史実では約6割)に引き上げてくれるならば、航空巡洋艦を認めよう
889:モントゴメリー:2022/11/21(月) 22:56:33 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
この発言に
アメリカ側は心を揺さぶられ、イギリス側は内心で動揺し始める。そこにさらに日本は畳みかけた
——さらに、日本の空母保有比率を7割に引き上げてくれるならば「航空戦艦」も認めよう
アメリカ側は完全に前向きになったが、逆にイギリス側は断固反対の姿勢を取った。
軍縮のための条約なのに、これでは軍拡の容認になってしまう、と彼らは主張したが本音を言うなれば「我々だけが損しているではないか!?」である。
その後各国間で激論が交わされ、最終的に以下のような内容で妥結した。
- 航空戦艦及び航空巡洋艦の建造は艦種保有枠内でこれを認める
- 上記の艦艇の排水量は、その半分を「空母」保有枠に振り分ける
- 上記の艦艇の飛行甲板は、帰着機能のみで発進機能を有してはならない
- 各国の空母保有枠を拡大する
- 日本のカテゴリーa保有枠を対米・英7割に引き上げる
ここに「航空巡洋艦(フラッシュデッキ・クルーザー)」並びに「航空戦艦(フラッシュデッキ・バトルシップ)」の誕生が決定付けられたのである。
この結果に日本代表団…より正確に言えばその中の転生者たちは満足していた。
彼らはもとより航空巡洋艦も航空戦艦も作るつもりはなかったのである。史実を知る彼らは、未来の戦場でそのような「キメラ」が活躍する余地など存在しないことを知っている。
拡大された空母保有枠は、全て純粋な航空母艦に活用するのである。
また、上記の条件では新艦種は航空機発進能力を持たないように思われるが、「飛行甲板」が制限対象なのでカタパルト発艦は制限されていないのである。
これを利用して、カタパルトの開発促進を成し遂げるのである。
(史実アメリカ海軍も使った手法)
さらに、当初の要求であった重巡保有比率の対米7割を達成したことにより海軍内部の「艦隊派」の誕生を阻止、もしくは弱体化を進める。
議会の方も上記及び空母の保有比率拡大を「成果」として大々的に宣言して野党の「統帥権干犯問題」論を封殺する腹積もりである。
(実際、与党にいる転生者たちはその方面に向けて全力をあげていた)
しかし、この転生者たち。詰めが甘かった。やっぱり経験は大事である。
海軍主流派である大艦巨砲主義者はこの条約を見てこう考えたのである。
——戦艦を航空戦艦にすれば排水量の半分を空母枠に振り向けることが出来る。ならば、2隻を改造すれば浮いた枠で新造戦艦を1隻建造出来る!!!?
転生者たちが気付いた時は既に手遅れであった。
ここに、扶桑型及び伊勢型戦艦は航空戦艦に改造されることが決定したのである。
890:モントゴメリー:2022/11/21(月) 22:57:08 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。
「大陸スレ限定のローカル企業(ネタスレに出張所あり)」と思われている私ですが、人生初SSはここ架空戦記スレに投稿したのですよ。
ここに凱旋いたしました。
先日の議題であった「扶桑型・伊勢型を空母にするにはどうすれば良いか」に対する私なりの回答でございます。
本来はもっと内容を詰めなければならない
(航空戦艦の要目、排水量とか備砲制限とか)
のですが、あふれ出るエラン・ヴィタールを抑えることが出来ませんでした。
ここからは皆さんのお力を借りたいと存じます。
どんなふうに改造するかも、私よりもひゅうが先生やyukikaze先生以下先輩方が適任かと思って未定です。
艦これの伊勢型改二みたいにするのも良いですし、チャームポイントの艦橋を残しつつ、開戦前にアングルド・デッキを増設するのもいいかもしれません。
もしくは、完全な全通甲板式でも。
891:モントゴメリー:2022/11/21(月) 23:00:51 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
あ、全通甲板式にするのは「開戦前に」です。
最終更新:2023年01月15日 09:04