909:加賀:2022/11/23(水) 09:36:03 HOST:softbank060085051181.bbtec.net
コォォォーーーンッ
コォォォーーーンッ
コォォォーーーンッ
「……ファック……狙ってやがる……」
『ガトー』級潜水艦『アルバコア』のソナー員は聞こえてくるピンガー音に冷や汗を流す。海上では日本海軍の海上護衛総隊の護衛艦が高速でスクリュー音をかき混ぜていた。
「ソナー、狙えるか?」
「……無理です。奴等の護衛艦艇は10以上はいます。しかもこの真上にも3隻はいます」
なら船団を狙うのも無理か……艦長がそう判断した時、ソナー員はハッとして思わず上を見る。
「探知されました!?」
「急速潜航ォ!? 深度120!!」
「アイサー!!」
『アルバコア』は慌てて海水を吸い込み深度を下げていく。しかし、ソナー員はイヤフォンを投げた。
「爆雷……来る!?」
その瞬間、『アルバコア』の左右と上で投下された爆雷が爆発、『アルバコア』は揺れたのである。
「……どうだ?」
「駄目です。油の一つも浮いてません」
「しぶとい鯨だな」
第一護衛艦隊旗艦『天龍』の艦橋で第一護衛艦隊司令官の中島寅彦中将は舌打ちをしながらそう呟く。中島の眼下では一式18サンチ9連装対潜噴進砲が再装填されていた。後方の艦尾でも97式爆雷(史実3式爆雷)が深度調整され再投下の準備をしていた。
「だが……奴も此処までか」
『天龍』の周囲には『松』型駆逐艦4隻が展開しており更に上空には台湾から飛来した901空の東海も飛行していたのだ。
「敵潜水艦逃走!! 深度120!!」
「爆雷は深度140で調整。噴進砲も再装填完了次第連続発射!!」
「ハッ!!」
再装填が噴進砲が再度爆雷を発射していく。そして『アルバコア』が撃沈されたのは11分後の事であった。
「……史実がまるで夢のようだな」
再度船団に追い付いた中島中将は誰にも聞かれないようポツリと呟く。史実では壊滅的だった日本の海上輸送路は三回目となると堅持されていた。これは
夢幻会のお陰でもあるがやはりは『ネルソン』達艦娘達が協力しているのが一番の要因だろう。
特に『ネルソン』と『ガングート』はType144/147ASDICやT-34中戦車、JS-2戦車を提供したりと日本陸海軍を喜ばせていた。二人の夫でもある橋本がそんなある日に尋ねた事がある。
「どうしてそこまで協力してくれるんだ?」
これに対し二人はニヤリと笑ってこう答えた。
「旦那がいる。それだけに理由はあるのか?」
「アドミラル・ハシモトがいる日本だからこそなのだ。そして日本酒もラム酒に匹敵する程美味い」
910:加賀:2022/11/23(水) 09:36:35 HOST:softbank060085051181.bbtec.net
「全く……我々はツイているのかツイていないのやら……」
その時の光景を思い出した中島中将はまた苦笑するのである。そして中島中将が指揮する輸送船団は1隻も欠ける事なく内地に辿り着き満載していた資源や物資を内地に吐き出すのである。
「そうか、無事に門司に到着したか」
横須賀鎮守府内の一角にある海上護衛総隊司令部では艦隊総司令官の新見中将が満足げに頷いて報告してきた部下を下がらせる。
「これで海上輸送路の堅持は何とか可能だな」
そう呟いていると廊下をドタドタ走る音が聞こえてきたと思ったら扉がガチャリと開かれた。
「新見のおっちゃん、見てくれよこれ!! でっかいサツマイモが取れたぜ!!」
「もう大ちゃんったら、ちゃんとノックしないと……」
そう言って入ってきたのは『松』型駆逐艦の駆逐艦『日振』と『大東』である。大東は両手に掘ったばかりの大きめのサツマイモを新見に見せる。それに対し新見はニコニコと笑みを浮かべていた。
「ハハハ、構わないよ日振。大きいな大東。それで焼き芋でも食べるか?」
「おぅ!! 丁度三つも大きいのあったから一つは新見のおっちゃんにやるよ!!」
「それは有り難いな。焼く場所は大井に聞いたらいいよ」
「分かった!! 大井のおっちゃんに聞いてくる!!」
「ま、待ってよ大ちゃん!?」
二人はドタドタと走りながら首席参謀の大井中佐のところに向かうのである。
「……あの子達の為にもこの戦争……負けるわけにはイカンな」
『同じく』
YesロリータNoタッチを真髄する新見ら海上護衛総隊の夢幻会面々は改めてそう誓うのであった。
911:加賀:2022/11/23(水) 09:37:22 HOST:softbank060085051181.bbtec.net
ふと受信した三回目の海上護衛の戦い。
なお、海上護衛総隊はロリコン伯爵の面々です(何)
最終更新:2023年01月15日 09:09