204:加賀:2022/12/27(火) 17:45:15 HOST:p4163136-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp


 第334独立混成機動大隊の快挙に第23師団司令部は歓声をあげ、翌日の7月5日に機動大隊は小林垣一少将が指揮する西岸攻撃の撤退支援を行ったりする。

「クソッ、これでは最悪全滅させられるかもしれんぞ……」

 大隊長の重見伊三雄大佐(夢幻会派)は撤退してくる小林兵団を見ながらそう呟く。機動大隊は撤退支援のために敢えて渡河(渡河材料は用意していた)をしていたのだ。

『大隊長、我等が抑えます』
「西住ッ」

 そこへ第334独立戦車小隊の4両が重見大佐の前に現れる。

「奴等の砲弾は我々の装甲を貫通出来ません。そこを利用します」
「……済まん。何としても撃退してくれ」
「大隊長……別に全て倒しても構わんのだろう?」
「死亡フラグはやめろ」

 ポロロンとカンテレを引きながら某サーヴァントの台詞を言う島田に重見はツッコミを入れるのであった。なお、ソ連軍は第11戦車旅団と第8装甲車旅団から戦車145輌、装甲車68輌で攻撃を仕掛けてきたが第334独立戦車小隊に阻まれ、更には試製57ミリ速射砲一個小隊、機動88式野砲一個小隊の射撃が行われ結果として戦車121輌、装甲車58輌を喪失した。

「好機だ、このまま押し進め!!」

 関東軍司令部で報告を受けた辻中佐はそう叫んだが誰も同調はしなかった。またこの日、陸軍は更なる支援を受けた。

「おい、見ろよ」
「ありゃあ海軍さんの航空機じゃ……」

 ノモンハンの空に海軍航空隊が到着したのである。派遣されてきたのは『赤城』『加賀』『龍驤』『鳳翔』から選ばれた精鋭90機と基地航空隊から選ばれた120機の合わせて210機の第三連合航空隊である。

「こりゃあ凄いもんだ……」

 第三連合航空隊に参陣し94式艦戦で飛行する坂井三郎二等航空兵曹は眼下の地上を見ていた。地上には敗走するソ連軍が蟻のように逃げていた。そのソ連軍を艦爆隊や艦攻隊が急降下爆撃や水平爆撃で爆弾を叩きつけるのである。

『坂井さん、右上方4000に敵戦闘機だ』

 そこへ坂井の一番機である岩本徹三二等航空兵曹が無線機を通して言ってきた。無線機は改良され以前は雑音しかなかったのが今では良好に会話が出来るようになっていた。

「了解です。行きましょうか」

 坂井ら94式艦戦隊はソ連空軍のi-16等と空戦するのである。なお、i-16の操縦手背面には装甲板が装備されていたが坂井らは関係なく発動機等を狙い撃ちをして撃墜するのであった。

「おのれヤポンスキーめ……」

 極東からの報告にモスクワ、クレムリンの主であるグルジアの髭親父ことヨシフ・スターリンは苦虫を噛み潰したような表情をする。

「ですが同志書記長、8月からの攻勢に間に合うよう『試作戦車』3輌も派遣しています。これで奴等は終わりです」
「ウム……」

 部下からの報告にスターリンはそう頷くが一抹の不安があったのである。そして8月20日0615、遂にソ連軍の攻勢が開始されたのである。この時、日本軍第六軍(わざわざ新設された)は二個師団と一個旅団のみだった。対してソ連軍は狙撃兵4個師団、騎兵2個師団、戦車7個旅団、重砲3個師団であり戦車441輌、装甲車385輌、76ミリ以上の野砲・重砲292門、高射砲87門、対戦車砲130門と圧倒的だった。
 なお、日本側の戦車は僅か第334独立戦車小隊の4輌だけだった。だが、その4輌が世界戦車史上の戦いをするのである。

「砲弾はタップリとある。遠慮する必要無し」

 ソ連軍の攻勢を聞いた西住大尉は五十鈴軍曹に笑って言う。これは夢幻会派のおかげであり4輌は砲弾不足はなかった。
 この時の第334独立混成機動大隊はフイ高地に井置捜索隊と共に布陣していた。

『Ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!』

 フイ高地に攻めてきたのはソ連北方軍兵員6000名、戦車200輌、装甲車123輌であった。まず最初に吹き飛ばされたのは科学戦車であった。科学戦車を先頭に突撃してきたソ連軍だが『ホイ』の75ミリ戦車砲によって僅か4分で撃破されたのである。

205:加賀:2022/12/27(火) 17:46:24 HOST:p4163136-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
「往くぞッ」

 そして右往左往するソ連軍の戦車隊に対し島田車と池田車が突撃を開始する。行進間射撃をする毎に2輌ずつ撃破されるのを見たソ連軍は直ちに2輌を撃破しようとしたがフイ高地からの機動88式野砲4門と機動大隊が保有していた九七式曲射歩兵砲12門が砲撃を開始。遅れて井置捜索隊の94式37ミリ速射砲4門、山砲2門も砲撃を開始して北方軍は大混乱に陥ってその日はフイ高地を突破出来なかったのであった。だが、フイ高地の井置捜索隊らも食糧が尽きかけており重見大佐の判断で23日の夜中にオポネー山まで撤退したのである。
 そして8月24日に第23師団主力と第7師団森田旅団が白昼堂々と猛進する無謀な突撃を敢行したのである。

「あの馬鹿野郎どもめ!!」

 オポネー山の守備を井置捜索隊に任せて第23師団司令部との連絡を取ろうとした第334独立混成機動大隊が猛進する第23師団主力と森田旅団を発見し重見大佐が思わず罵倒するが重見大佐は師団主力らを救うために右翼に回って支援に入る。また、海軍航空隊の支援もあって第23師団主力と森田旅団は窮地を脱して翌25日に後退するのである。
 そして第334独立混成機動大隊はノロ高地を死守する梶川大隊等を救うべく狙撃兵第82師団と同57師団の後方に回り込んで突撃を開始したのである。

「これは人生にとって必要な戦いですか?」
「恐らくな」

 徹甲弾を装填する下地の言葉に島田は笑みを浮かべる。安芸軍曹はすかさず引き金を引きBT戦車を撃破する。

『此方池田、奴等の後方に敵戦車!!』
「何?」

 島田車の後方にいた池田車からの無線に島田はキューポラを開けて見ると『怪物』がいたのである。

「馬鹿な!?」

 島田がそう叫び直ぐに引っ込むと『怪物』ーーKV-1戦車の試作車が砲撃してきたのである。

「~~~ッ被害は!?」
「貫通されていません!! 装甲で助かりました!!」

 島田車は砲撃されたが60ミリの装甲により砲弾を弾いたのである。

「だが……KV-1がいるのは想定外だな……」
『島田、下がれ。ヤツはホイがやる』

 そこへ西住大尉の『ホイ』が現れ砲撃する。徹甲弾は弾かれKV試作戦車に火花が咲き誇る。

『チッ』
「西住、側面だ。我々が泳ぐ、その隙にやれ」

 島田車は左右の之字走行をしてKV試作戦車からの砲撃を逃れる。その隙に西住大尉の『ホイ』がKV試作戦車の側面に展開して砲撃する。

「やりました、敵戦車撃破!!」
「……西住に後退の文字は無い」

 撃破したKV試作戦車を見て笑みを浮かべる西住大尉である。そしてノロ高地も何とか梶川大隊らは撤退してバルシャガル高地に後退するのである。バルシャガル高地には山県大佐率いる歩兵第64連隊と第7師団歩兵第26連隊の一個大隊が展開しておりその後方では砲兵団主力も展開していた。
 ソ連軍はこのバルシャガル高地を史実と同じく7個狙撃兵連隊、一個機関銃狙撃兵旅団、一個装甲車旅団で攻撃したが第334独立混成機動大隊の攻撃によって頓挫してしまうのである。

「またしてもあの4輌の戦車か!?」

 ジューコフでさえ頭を抱えてしまう程であった。ソ連軍は大局的には勝ちつつあったが局地的には全て第334独立混成機動大隊に敗北しているのである。重砲隊が砲撃しても4輌は耐える程であり(152ミリ砲の射撃にも耐える設計なため)結局は4輌を破壊出来ず取り逃がしてしまうのである。
 結局、バルシャガル高地は停戦成立まで守り抜く事は出来たが第334独立混成機動大隊がいなければ到底無理な事であった。
 ちなみに第334独立戦車小隊は停戦成立までに敵戦車423両、装甲車368両を確実撃破する戦果を収めるのである。(損失は0)

206:加賀:2022/12/27(火) 17:50:00 HOST:p4163136-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp
以上が後編になります。次回はノモンハン後になるかなと。
Q KV出てるやん
A 極東からの報告にスターリンの判断で投入させました。なお、この試作戦車は日本軍に鹵獲されます。

次回 『ノモンハン後』

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最終更新:2023年01月15日 09:22