738:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 17:56:54 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
日蘭世界 パワードスーツ開発の歴史 リメイク改(あらため)


1970年代。
ここらはリメイク版と同じ。
小型モーターとてこの原理を利用した初歩的なアシストスーツが登場する。

介護や農業などで活躍。



1990年代。
ここら辺からが怒涛の時代。

日本の手に寄り実用的なパワードスーツ(PS)が開発される。
性能的にはまだまだ前線運用できるほどの代物ではなかったが、運搬作業などでは既存のアシストスーツ以上の成果を誇った。

この時期は大凡史実でも2020年代に開発されているPSやその延長線上。

また実用PS開発以外にも感覚フィーバック付きの生体信号を用いた遠隔操縦技術の開発。
思考操作可能な車椅子や自転車の実用化など様々な新技術が発明されていった。



2000年代。
軍用の第一世代PS登場。

従来の歩兵の動きを拡張する代物であり、歩兵の汎用性や行動時間が非常に伸びた。

日本が軍用モデルのPS開発に成功したことから、世界中で軍用PSの開発が更に加速しだす。

この時点では防護に関しては既存の防弾プレートを重ね着する形となっている。
武装に関しても従来銃火器が流用されており、火力そのものの向上は少なかった。

反面携行可能弾薬数や各種物資の増加、装着者の行軍、戦闘時の肉体的負担軽減の効果は大きく、戦闘可能時間、火力投射可能時間は飛躍的に向上している。

同時にこの時期からAI関係において一種のシンギュラリティ到達がなされ、同技術の進展が爆発的に加速しだした。


このAI技術を用いてAIをPSの駆動操作の補助として導入した1.5世代PSが後に登場。
搭載されているAIについてもこの時点では従来の膨大なデータの中から情報を取捨選択するタイプの特化人工知能(従来型AI)である



2010年代。
第二世代PS登場。開発は日本とオランダの共同開発。
PSへ本格的にAI技術が投入され出す世代である。

パワードスーツの駆動操作に関して汎用人工知能(AGI)と呼ばれる新世代AIを搭載。
従来の特化形式のAIと異なり、自律した思考を持ち、幅広い範囲の問題解決力を持った自律思考型AIである。

PS動作の補助を行いながら、装着者との人間的な対話を行うことが可能なAIの登場は単なる兵器の性能向上に留まらず、兵士のメンタルケアや状況判断能力の改善などにも効果が及んでいる。

PSの稼働率、装着者のメンタルなどにおいては大きな改善がもたらされた世代であるが、反面PSの性能そのものには大きな変化が起きてはいなかった。

変わった点と言えばPS技術、AI技術の蓄積によって、整備性、生産性、運用性などの改善、安定化が進み、従来よりも信頼性がありながらも低コストで製造することが出来るようになったのだ。

安定した兵器であることが確立された世代であり、この世代から世界のPS生産数や稼働数は今まで以上の爆発的な伸びを見せることとなる。


同時に汎用人工知能(AGI)搭載により稼働率の改善と運用処理能力の飽和が起きた。つまるところ高い発展性の確保に成功した。
最もフレームの頑強性や出力は第一世代と比べ、そこまで大きく引き離せるような性能ではなかったため、専ら武装や装甲の追加などは限定的であった。


結果各国はこの溢れた情報処理リソースを使い様々なカスタマイズ機を生み出すこととなる。
これらのカスタマイズ機は2.5世代機と評される。

特に日蘭のPSに対して性能面で劣りがちだった英仏米の三カ国はピーキーに性能を振った局地戦闘タイプを多く生み出し、限定的状況ながらも日蘭の汎用PS相手に優位に立とうと試行錯誤を重ねることになる。

この試行錯誤の多くは運用面やコスト面の問題で、大きな成果となれる事例は少なかったが、後に第三世代PSが発表された際の対抗馬を生み出す切っ掛けとなる。

739:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 17:57:27 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
2020年代。
第三世代PS登場。開発国は日本。
従来火器を無力化し、今までのPSでは運用できなかった大火砲を以て、真正面から敵軍団を圧倒する。
そんなSF小説やアニメの中にだけ存在していたような兵器が現実に現れた瞬間であった。

後にドラム君の愛称で呼ばれるそれは、宇宙服のようなずんぐりむっくりの体系で、頭部に円柱状の近接防護用電弧放電壁展開防護装置が存在していた。

全高2.5m。
新開発の特殊ケブラー素材とカーボンナノチューブで編まれた繊維装甲の中に磁性流体を取り入れたリキッドアーマー、その奥に存在するセラミック・カーボン・特殊プラスチックによる複合装甲と、最後の要である衝撃吸収、拡散ジェル層&合成ゴムの三重装甲により真正面から12.7mmを防ぐことが可能。

武装は重機関銃を転用した12.7mmマシンガンを標準装備とし、大型防盾ユニット、回転式弾倉型大型ショットガン、対戦車ロケットを束ねた収納した多連装ロケットランチャーなどの従来のPSでも運用に苦労するような重武装の数々を軽々と使用可能。


また大型でずんぐりむっくりな体系に関わらず、その動きは非常に俊敏。
新規開発された新フレームと大出力モーター、人工筋肉からもたらされる膂力は重いはずの装甲と武装を持ちながらも従来PSや生身の人間のそれに勝るとも劣らないレベルを実現している。
特に第二世代時代から改良の続いたリキッドアーマーの採用により大幅な軽量化に成功。

鈍重そうな見た目で割と軽い。
そのため走ると結構速いし、軽快にな動きを見せてくれる。
伏せ撃ち、ローリング、ジャンプなど何でもござれ。

これらの動きは軽量化のみならず第二世代から続く汎用人工知能(AGI)によって制御されており、今までの運用で培ってきた情報処理能力を存分に活用したものである。

特徴となっている頭部のように見える円柱状の装置は専用に開発された小型の電弧放電壁展開防護装置である。
これはロケット弾や迫撃砲弾、ミサイルなどの第三世代機の弱点となりうる攻撃の迎撃を可能としている。
同時にこれらの攻撃を察知するためのセンサーユニットにもなっており、外部情報の収集にも役立っている。


真正面から従来火器を弾きながら、自らは大火力を叩きつけるその有様は既存の戦術を大きく変えるだけの衝撃を世界へ与えた。

以降第三世代PSの条件は真正面から12.7mm弾を弾きながらも、既存PSと遜色ない運動性を両立させたものとなった。

最も第三世代共通の悩みとして総じてコストが高い点が挙げられており、以降のフルアーマー型共通の悩みとなる。


この第三世代が登場した初期において日蘭ことOCU陣営以外では2.5世代PSをよりピーキーに特化させたカスタマイズ機が登場する。
局地的な戦闘に特化させ、第三世代相手にも対抗できる性能を実現しようとしたのである。

この動きは以前からの2.5世代開発により培われた各種ノウハウにより大凡実用化に成功したが、反面そのピーキーさが原因となり扱いにくい難物となったものが多かった。
これに関しては各国が自前の第三世代PSを開発するまで、根本的な解決とならず各国を悩ませる問題の一つとなり続けた。


また第三世代PSはその装甲と火力、運動性を両立するために非常に高い出力、膂力を実現している。
これは拡張性が高いと言われた第二世代ですら比べ物にならない拡張性の実現をも成功させており、実用化以降は第二世代以上の様々なカスタマイズが生まれることとになった。

例に埋もれず、極端にカスタマイズの進んだものは3.5世代機と命名され、第二世代以上の拡張性を持った第三世代機は各国の情勢に則り様々な形へと変化していった。

740:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 17:58:13 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
2040年代。
ハイに第三世代、ローに第二世代のハイ・ローミックスは長らく続いたが、遂に第四世代登場した。開発は日蘭による共同開発である。

コンセプトは第三世代の小型化。

無線送電技術の更なる発達、バッテリー及び発電機の小型化及び大出力化、各種技術の燃費改善などにより実現された。

高出力の磁場により銃弾事態を逸らし、その衝撃力を大きく緩和する電磁装甲の実用化により第三世代相当の性能を保ちながら小型化に成功した。
具体的には全高2.5mの着ぶくれた宇宙服から、全高2m以下のフルプレートアーマーくらいにはスリム化した。

新開発のフレームは機体重量の軽減と更なる運動能力の向上を獲得しており、かつてない程にPSの機動力を底上げしている。

特に出力面においての向上が著しく、肩部に搭載された電孤放電装置は25mm弾までの完全なる迎撃能力を獲得。
つまるところ同装置が生きている限りは25mm以下の弾丸は全て迎撃可能ということになる。最も流石にそれをやっては電力が尽きるが。

電力に関しては搭載された高性能バッテリーの他に無線送電機能を本格的に実装。
これは味方の施設、兵器、艦艇からの送電は勿論、天候が良ければ発電衛星からの受信すら可能としている。

同時にいざという時に電力不足を補うために接触式またはケーブル連結による電力奪取機能を搭載。
味方もしくは敵の破壊された兵器などから電力を頂戴することが可能である。

この電力供給能力から近年開発された歩兵用レールガンも第五世代管制による無線送電により単機での運用も可能としている。


またその高い運動能力により非誘導兵器による直撃は非常に困難。
同時に腕部ワイヤーと背部バックパックによる限定的な三次元機動能力の獲得に成功。
従来の機動性特化型カスタマイズ機と同等かそれ以上の機動性の獲得に成功した。

膂力に関しても第三世代の小型化に違わず、非常に剛力。
カービンモデルの12.7mmライフルを主武装とし、軽武装、重武装問わず従来の銃火器の過半は利用可能。


これらの機能はやはり高性能な汎用人工知能による補助されているが、第三世代からの反省からAIが機能しなくなっても、そのまま作戦行動が可能となっている。
最もAIに寄る補助がなくなった場合は高い三次元機動などは完全にマニュアルとなる。

同時に更に発展した次世代AIと無線送電、接触送電による大電力の確保により、この世代からはアクティブステルス機能が実装されている。
アクティブステルスと銘打ってるが実質はECMやハッキング機能であり、従来の専用装備がなければ行えなかった電子戦能力を標準搭載したわけである。

このため単なる正面戦闘のみならず、潜入ミッションなどにも対応できる高い汎用性を実現した。


生身の兵士相手ならば単機で中隊レベルの戦闘力を保証されるほどの高性能兵器として仕上がった。
反面コストの面では第三世代以上になってしまっているが、今後このフルオプションの初期ロットモデルから徐々に性能を制限した廉価版の開発に移っていく予定である。

741:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 17:59:22 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
〇用語

  • パワードスーツ
2040年までには第一から第四までの世代がある。

大凡一般的な歩兵装備となっているのは第一世代や第二世代であり、全身装甲型の第三世代は普及後も配備数は限られている。

これは単純にコストの問題であり、装甲部位が限定的で重量も軽く済む第二世代スタイルの方が普及兵装としてはコストパフォーマンスに優れているため。

フルアーマー型の第三世代の運用は国や部隊により違っており、専門部隊として固められているところもあれば、一つの小隊に数人程度の割合で配備されているところもある。

第四世代に関しては登場したばかりなので、2040年代現在では、まだ日本とオランダのみに少数配備されている程度である。




  • オープン型とフルアーマー型
パワードスーツの方式の一つ。

第二世代までにみられる着込む形で正面や背後などに装甲を集中させ、他は露出させているのがオープン型。

ある意味乗り込む形に近しい方式でプレートアーマーのように全身を保護する形で装甲をが存在しているのが第三世代や第四世代のフルアーマー型である。

どちらも利点欠点があり、オープン型は装甲を限定出来てるため軽く作りやすく、コストも安い。
反面防御力には限りがある。

フルアーマー型は装甲の厚さの差はあれど全身が守られているため防御力は高い。
反面重く、装甲材の分だけコストもかかる。




  • 汎用人工知能(AGI)
史実でも研究、開発が進んでいる次世代型の人工知能のこと。

いわゆる集積されたデータの中から勝ちパターンなどを見出すのが既存のAI。
特化型人工知能と言う代物。

対してAGIは自ら学習して、その経験則に添って思考、それにより推測を行うという代物。
従来の特化AIと比べて汎用的で幅広い目的で流用が可能なAIとなる。
わかりやすく言うと学習型コンピューターというやつ。

より人間に近しい思考をするAIというのが、この汎用人工知能というわけである。




  • レールガン
実用化されて久しいが陸戦兵器でもまともに運用可能になったのは割と後の時代。
2040年代でも主流は大電力を用意できる大型戦車であり、電孤放電防壁装置とレールガンの併用が可能になったのはつい最近のことである。

歩兵用レールガンは開発されたはいいが結構デカいためPSの補助がなければ実用的な運用は望めないレベルには巨大。
また何より燃費がクソ悪いため一発ごとにバッテリーカートリッジを使い捨てるような扱いにくい兵器となっている。

このため現状の歩兵用レールガンは小回りが利かず、燃費も悪いためそこまで使い勝手の良い兵器とは言えず、正直ミサイルや大口径セミオートライフルの方が使い勝手が良かったりする。

これに対して第五世代は自前の最強膂力と無線送電による充電能力があるため、燃費の悪い歩兵用レールガンでもある程度融通が利く。

最も第五世代装着者たちからは既存の大口径銃器をくれと懇願されるのが大半であったが。

742:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 18:00:04 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
  • アクティブステルス
電子的なステルス能力のこと。もしくはハッキング、クラッキングまたはジャマーやECMやECCMとも言う。

レーダーや光学画面など電子的な目を同じく電子的な手段で眩ませる、また騙す方法でステルスを達成させるのがアクティブステルスである。

2040年までには日蘭世界でも一般的なステルス技術の一つとなっており、このため逆に単純な熱探知、磁気探知、有線誘導などが改めて再評価され始めている。




  • リキッドアーマー
磁性流体を用いた衝撃に反応して瞬時に硬化する装甲のこと。
扱われている物質と硬化硬度次第であるが、歩兵用銃器の大半には効果的。

反面あくまでその硬度で物体の貫通を防ぐことに特化されており、衝撃そのものは普通に通るので装着者を完全に守れるものではない。

また利点の大半は重量が比較的軽い点と柔軟性であり、装甲車や戦車サイズとなると使われている砲弾の巨大さからそこまで機能しない。

防弾プレート化させ、電力をPSに頼る形で第二世代PSの後期から採用され始め、第三世代で大々的に主装甲として採用された。

このため第三世代PSでは従来の強固な合金装甲の採用率を下げることが可能となり、重量とコストの大幅な軽減を可能とした。

弱点として電力を流さないと硬化しない点と大質量攻撃は流石に防ぎきれない点。




  • 電磁装甲
説明に合った通り磁場によって弾丸の勢いや向きを削いで、威力を弱めるタイプの装甲。
実用化に至った出力は馬鹿にできず、12.7mm弾すら装甲で弾けるようになる。
とは言え流石に20mmなどは無理。ここら辺からはもう電孤放電防壁の出番。
副次効果として鉱物系の破片なども弾くことができる。

ある種様々な兵器に利用可能なように見えるが意外にも応用できるものは少ない。
戦車や装甲車においては昨今の砲弾はHEAT弾やAPFSDSなどを化学エネルギーを用いた代物のため、ちょっとやそっと勢いや向きを逸らした程度では大きな効果は得られない。

特に軍艦サイズになると使われる砲塔やミサイルのサイズが大きすぎて、余り効果は期待できない。
特に他の兵器よりも一足早くレールガンの搭載に成功している戦艦を始めとした大型艦艇においてはレールガンの威力、貫通力が高すぎるため、現状発揮できる電磁装甲の性能では気休めくらいにしかならない。

何より一定以上のサイズの兵器になると放出する磁気によって磁場感知式の地雷や機雷に探知されてしまう。
これが昨今のアクティブステルスによる電子的な騙し合い合戦において不利に働く可能性を秘めており、電磁装甲の実用化以降は世界中で俄かに磁気探知型兵器復活ブームが起きたりしている。
最もすぐに対策が行われ、このブームは一過性のものとなった。

大型兵器の方では専ら電孤放電装置が運用されている。




  • 電弧放電壁展開防護装置
2000年代以降に本格的に実用化された迎撃装置の一つ。

文字通り電孤を放電して迎撃するのだが、本来は衝撃や爆風を緩和するための装置。
主に至近弾やトップアタックにおける爆風や散弾をどうにかするためであり、本来は弾丸そのものを迎撃するものではなかった。

しかし理論上は出力次第では弾丸、砲弾そのものの迎撃が可能。
HEATや榴弾などの化学エネルギー弾頭に対しては誘爆による迎撃が可能である。
一般的なミサイルやロケット相手にもぴかいちの迎撃性能を誇る。

同じく理論上ではあるがAPFSDSなどの運動エネルギー弾頭に対しても出力次第で通用するようになるのだが、これには更なる非常に大電力が必要。

このため運動エネルギー弾頭迎撃可能なレベルの出力は基本的に基地設置型か大型艦艇搭載タイプでなければ意味がない。
最も艦艇搭載レベルであっても戦艦砲クラスの大質量の運動エネルギー弾頭の迎撃は不可能である。

また近年はこの電孤放電防壁対策として純粋な質量弾として扱う運動エネルギーミサイルなどが開発され、専ら地上兵器相手に運用されている。

743:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 18:01:45 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
  • ドラム君
正式名称は80式装甲駆動鎧 士魂号。
2020年正式採用。全高2.5m。80式とは皇歴2680から。
フルアーマータイプであり、着込むというよりも乗り込むといった感じ。

従来のPSと比べ物にならない性能を誇る機体である。
新開発の特殊ケブラー素材とカーボンナノチューブで編まれた繊維装甲の中に磁性流体を取り入れたリキッドアーマー、その奥に存在するセラミック・カーボン・特殊プラスチックによる複合装甲と、最後の要である衝撃吸収、拡散ジェル層&合成ゴムの三重装甲により真正面から12.7mmすらも防ぐ頑強性を実現。

火力面においても12.7mm重機関銃を通常火器として使用しており、その他にも様々な重武装の運用を可能としている。

パッと見だと弱点に見えそうな頭部の円柱ユニットすらロケットやミサイル迎撃用の電弧放電壁展開防護装置なのだから悪辣と言える。

装着に関しては着込むというよりも乗り込むといった形に近い。
平時においてはPSの背部部分が左右に展開しており、そこから搭乗者が乗り込むのである。
以降にも様々な第三世代が登場するが、大凡は背後が開いて、そこから乗り込む形となっている。
これは正面は装甲の頑強性が優先されるため、どうしても装甲が薄くなりがちな乗り込み口は正面に持っていきにくいためである。

オプションとして実弾を用いた自動迎撃装置や本来は複数人で運用する重対戦車ミサイル、大型弾倉付きの20mバルカン、単発式の専用90mm高速低圧砲などが存在する。

また見た目よりも軽量とは言え、その質量から放たれるぶちかましは圧巻。
生身の人間相手ならミンチ確定で、軽車両程度ならば体当たりで横倒しすることも理論上可能。薄い壁など勢い付けたタックルならば粉々にできる。


一見最強に見えるが勿論弱点も存在している。

わかりやすい弱点は背後であろう。
乗り込み口として開くためどうしても正面装甲よりも薄い。

またドラム君の代名詞の一つであるリキッドアーマーも背部部分には少ない。
構造的に磁性流体を用いた衝撃効果アーマーなのだが、背部は乗り込みのために左右に展開するわけなので、どうしても防御範囲的に限界があるのだ。
なおこの背後問題を解決しようと後に股下部分を開かせ、そこから乗り込む形の第三世代機なども登場したが、今度は脚部部分の装甲に不安を抱え、装着のための時間が増え、即応性が低下するなど一長一短であった。

このため乗り込む操縦者は背後にだけ既存の防弾プレートを着込んだまま乗り込むなど涙ぐましい対応を重ねたが、基本的に戦車同様この手の問題は根本的な解決には至らなかった。

また頭部の放電防壁装置兼メインセンサー以外にも機体各所に外部情報取得のためのサブセンサーが存在しているが、この部分は装甲化しにくく、リキッドアーマーで覆うこともできないためある種の弱点となっている。
このサブセンサーは主に腕部、脚部、脇部、肩部に存在している。


お次は頭部ユニット。
これは頭と言われているが、別に搭乗者の頭が入っているわけではなく、実際には搭乗者の頭の上に更に別の装置がある形である。

絵面的には一番上に、電弧放電防壁装置、その下に発電ユニット、更にその下に搭乗者の頭部が来る。
2.5mという大きさはこれらの搭載を実現するために必要な大きさであった。

この電弧放電防壁展開装置に関しても別に万能の迎撃装置ではなく、もっぱら対戦車ロケットや迫撃砲弾、手りゅう弾などを迎撃し、またその衝撃を大きく緩和するための装置である。

元々非常に燃費の悪い装置であるが、迎撃対象をRPGや小型の迫撃砲、手榴弾などに限ったことから出力の低下を可能として、大きく燃費の改善に成功した代物となる。

最もそれでも燃費が良いとは言えず、連続稼働可能は2~3発程度であり、それ以降はチャージが必要となる。


また理論上対戦車ミサイルも迎撃できるが、ドラム君に搭載しているモデルでは出力に不安が残る。
これに関しては後に装置やバッテリーの改良により改善していき、同時に12.7mm以上の大口径弾に関しても迎撃能力を獲得していく。
とは言え少なくとも初期モデルにおいては対戦車ミサイルの迎撃には不安が残っていた。
この点においてはAI補助を用いた手動またはオプション装備による自動の実弾迎撃が行われた。あとは素直に逃げるか隠れるか、チャフやフレアやECMやらと色々な手段で補完されている。

744:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 18:02:42 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
この頭部の電孤防壁装置そのものは一応装甲化されており、正面装甲同様12.7mmの弾丸にすら耐える想定である。
電孤放電する際には円柱の頭頂部が展開され、放電が行われる。
このため展開中もしくは展開機能のある頭頂部は少々装甲が薄く弱点となる。

また電孤放電する関係上磁性流体を用いたリキッドアーマーで覆えないため円柱ユニット部分に関してはチタン合金を含めた複合装甲となっている。
このため素材的にもパーツ的にも頭部ユニットが一番高かったりする。

そしてこの放電防壁装置は一種のセンサーにもなっており、これが機体のメインセンサーにもなっている。
つまり頭部に見える円柱は本当に頭部なのだ。
無論頭部以外にも様々な位置にセンサーが存在しているため、頭部ユニットを失っても機体の目が完全に奪われることはないし、火力的にも問題はないのだが、情報収集能力と迎撃能力の低下から頭部を被弾し失った場合は速やかな撤退が推奨されている。

この頭部への保護に関しては電孤放電装置の性能が向上するまでは素直に動かし続けて狙いを付けられないようする以外には効果的な手段は左程存在しなかった。


最後の欠点が機体操作の多くが搭載AIに頼っているという点である。
この規模の機体を満足に動かすには高度な機体制御が必要であり、それに高性能な汎用人工知能が必要なわけだ。

このため搭載している演算装置(CPU)が破壊された場合はまともに動けなくなってしまう。
なお第二世代までのPSならば演算装置が破壊されも、動きが多少鈍くなるだけでPSそのものは動かせるし、最悪は自力でパージも可能である。

対策として機体の各所に多数のCPUが搭載されており、一つ二つ破損した程度ならば問題なく運用できるのだが、機体動作の低下は避けられない。
また複数のCPU搭載は機体コストの悪化に繋がっている。


そして最大の欠点はやはり取得、維持コストだろう。
最新技術の塊なのだからこの点どうしても仕方ないと言えば仕方ない。

この点に関しては量産が行われた結果の量産効果と技術革新による各種コストの低下により徐々に解決していくこととなる。


まとめると背後が弱く、頭部を失うと困り、少々重く、コストも高いといった具合である。
最もその性能は本物であり、動きも鈍いわけではないので真正面から大概の敵は粉砕できる。
流石に戦車や重装甲車の類は厳しいが。

事実この機体が登場してからは各国の軍は頭を悩ませており、同レベルの第三世代PSを開発するまで苦労することになる。

745:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 18:03:23 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
  • 第四世代PS
日蘭が共同開発した次世代PS。
日本名は零式装甲駆動鎧 雷電。2040年採用。零式の名称は皇歴2700年から。

第三世代の小型化を目標に開発された新世代PSであり、20年かけて開発された期待の新星。

小型、スリム化されており、全身を覆うスマートな鎧のような形となっている。
背部パックが上に上がり、背後が開く形。そこから着込んでいく。

装甲面は12.7mm弾すら受けられるレベルまで低減する電磁装甲。
その内部のセラミック、カーボンナノチューブによる複合装甲。
最後に耐衝撃ジェルと特殊ゴムによる保護層となっている。

そして何よりも小型化が進み、両肩に搭載可能となった電孤放電防壁展開装置である。
小型、高出力化が進んだ結果RPGや迫撃砲弾のみならず、対戦車ミサイルや25mmまでの大口径弾の迎撃能力まで獲得した。
無論これらが迎撃できるのだから、それ以下の弾丸も無力化可能。
最も常時展開していては速攻で電力が尽きるが。

また同装置展開中は電力が集中するため、給電能力や電子戦能力が低下する。


従来のPSでは専用装備やカスタマイズされて行っていた電子戦能力が標準搭載されており、生半可な電子的防御、電子的攻撃は無力化される。
同時に電子的な目線を無力化するアクティブステルス機能でもある。


電力消耗が激しい装備が多いため、無線給電能力が標準搭載されている。
これにより無線送電能力を持つ衛星や艦艇、基地、航空機からの迅速な充電が可能となった。
理論上支援があるのならばエネルギーに困ることはない。

同時に各機能の燃費を補うために接触式及びケーブル式による充電も可能。
このため破壊された敵味方の兵器からも発電機やバッテリーが生きていれば、そこから電力を吸い出すことがある程度可能。
最もこの方法では効率が悪く、吸い上げられる電力は吸い上げ先の残存電力の半分以上は無散してしまう。
このため出来れば味方施設における正規の充電が推奨される。


第三世代の小型化だけあり、見た目にそぐわない高い出力と膂力を発揮でき、20mm機関砲や7.62mmバルカンならば保持しながら連発可能。
流石に30mm以上では単発射撃でないと反動を吸収しきれなくなるが。


機動力に関しても抜群の物を誇る。
腕部に内蔵されたワイヤーと背部のジェットパックによる疑似的な三次元機動を可能としている。
最もジェットパックと言っても飛ぶというよりは跳ぶといった感じに跳躍を補助する代物である。


総合的に第三世代の小型化の目的を達しており、コンセプト通りの性能を発揮していると言える
最もこの性能は歩兵戦においてはオーバーパワー気味であり、アクティブステルスを用いた潜入任務まで可能にするレベルの電子戦能力などは使いどころが少ない。

このため現在計画されている廉価版では電子戦能力の削減や接触・ケーブル式の電力収奪機能の廃止、電孤放電防壁展開装置の出力制限など、より歩兵戦や味方との連携に合わせる形の調整が予定されている。

746:トゥ!ヘァ!:2022/12/05(月) 18:06:10 HOST:FL1-122-133-164-39.kng.mesh.ad.jp
投下終了

日蘭世界の技術力が想定より高かったので、それに合わせて改めてリメイクのリメイクです。


ドラム君は依然と比べて多少大型化。
代わりにRPGや迫撃砲の迎撃、衝撃緩和能力の付与と重量の軽量化を追加。


第四世代は前の第五世代のリメイク。
高性能すぎるので普及版では色々性能や機能カットされそう。

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最終更新:2023年01月15日 10:14