203:モントゴメリー:2022/12/19(月) 23:56:54 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
無幻世界支援ネタ——アメリカ海軍 「オマハ」級軽巡洋艦(戦時改装後)——
基準排水量:約7000 t
全長:169.3m
全幅:16.8m
出力:9万馬力
速力:最大約32ノット
乗員:士官、兵員約450名
兵装:38口径12.7cm連装両用砲×5基
50口径7.6㎝高角砲×6基
37mm4連装機銃×4基
同連装機銃×4基
20mm連装機銃×10基
爆雷投射機×2基
53.3㎝3連装魚雷発射管×2基
同型艦:8隻
【概要】
アメリカ海軍の艦艇。
旧式化し戦力価値が低下していたオマハ級軽巡洋艦に改装を施し、可能な限りの対空能力と最低限の対潜能力を付与したものである。
両者共に当時のアメリカ海軍が最も欲していたものであり、特に対空能力はアトランタ級の量産が達成されるまで防空巡洋艦の主力を務めた。
合衆国海軍で最も古い巡洋艦であったが、合衆国海軍終焉の時まで前線に立ち続けた偉大なる老兵でり、その最後の逸話もあって戦後の評価も高い。
【計画】
オマハ級は元々「偵察巡洋艦」として設計された艦であり、設計思想としては時代遅れであった。
船体そのものも老朽化しており、燃料タンクに海水が混入することも日常茶飯事であった。
そのため、第二次世界大戦前には「前線への投入には不適格」とされ、後方に下げられた。
10隻の内2隻はソ連へ屑鉄同然の値段で売却されたほどである。
しかし、珊瑚海海戦が彼女たちの運命を変えることになる。
同海戦に結果、合衆国海軍の巡洋艦戦力は大打撃を被った。
そして艦隊全体の対空能力及び対潜能力の不足という課題も浮き彫りとなった。
海戦後主導権を握った良識派たちもそのことは承知しており、対策を取ろうとした。
しかし、戦前の失策のツケはここでも響き、最適解となるアトランタ級防空巡洋艦は3隻で建造がストップしており、リソースはクリーブランド級軽巡洋艦に振り向けられていた。
もちろん、クリーブランド級もそれなり以上も対空能力を有しているが、対艦戦闘が優先されており機動部隊の護衛ではなく水上打撃艦隊の方に優先配置されていく。
そこで、アトランタ級及びその改良型が揃うまでの時間稼ぎとして、船体規模ならばアトランタ級に匹敵するオマハ級の大改装計画が持ち上がり、承認されたのだった。
204:モントゴメリー:2022/12/19(月) 23:57:31 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
【設計】
まず対空能力の向上が最優先事項に指定された。
そのため、主砲の15.2㎝砲は全て撤去されアトランタ級と同じ38口径12.7cm連装両用砲が5基搭載された。
甲板スペースという点ではもう2~3基搭載することも可能であったが、アトランタ級一番艦アトランタがトップヘビーで安定性が低かったことを教訓とし、敢えて控えめな数字となった。
その代わり、護衛駆逐艦用のより軽量な50口径7.6㎝高角砲を6基搭載し、37㎜機関砲や20㎜機銃もアトランタ級と同等かそれ以上に搭載されている。
また、対潜兵装として爆雷投射機が2基設置され、突貫工事ながらソナーも増設された。
(そのため速力が若干低下している)
巡洋艦という大型艦に本格的な対潜兵装など不要である、という意見もあったが現実に国際連盟軍の潜水艦による被害が等比級数的に拡大している中、駆逐艦の数すら不足しているのだから他に選択肢はないのである。
雷装については当初全廃する予定であったが、53.3㎝3連装魚雷発射管2基は維持された。
(連装発射管2基は撤去)
これは、魚雷が無ければ敵大型艦と遭遇した際打つ手が無くなる、とアメリカン・ジャスティス世代が主張したからである。
実際、珊瑚海海戦では夜戦ではあるが水上砲撃戦が発生したので一定の理がある主張であり、乗組員の士気にもかかわる事項であるため比較的すんなりとまとめられた。
【運用】
オマハ級は上記の改装を8隻が受けることになり、順次ドック入りすることになる。
(2隻は戦前にソ連に移籍していたため対象外)
ハワイ沖海戦ではオマハとローリー、マーブルヘッドが参加し、戦闘機部隊と協同で防空戦闘を行いオルデンドルフ艦隊を最後まで守り通すことに成功し空襲での戦艦損失を防いでいる。
合衆国海軍終焉の地であるカリフォルニア沖海戦・ニューファンドランド沖海戦にも8隻全てが参加し最古参巡洋艦の意地を日英海軍に刻み込んでいる。
特に、「老兵と若武者の一騎打ち」と後世語り継がれる日本海軍最新鋭軽巡洋艦の阿賀野と正面から撃ち合い自らが大破しつつも阿賀野を退けたオマハや、英海軍戦艦アンソンに魚雷を命中させたリッチモンドの奮戦が著しい。
【評価】
オマハ級は合衆国海軍で最も古い巡洋艦であり、一時は戦力外通告もなされた。
しかし、崩壊しつつある祖国を救うために舞い戻った姿は正に「老兵」の理想像である。
彼女らが新たに身に着けた対空・対潜能力は合衆国海軍が切実に欲していたものであり、その働きは「ユナイテッド・ステーツ級を遥かに上回る」とさえ評価される。
それ故、戦後日本で開発された擬人化ゲームでの人気も低くはない。
【葬送曲】
最後に、オマハ級を語る上で避けることができない話をしよう。
カリフォルニア沖海戦終結直前、もはや海上にいる合衆国艦艇はオマハ以下数隻しか存在しなかった。
砲声と爆音の交響曲が終わり海域に静寂が戻り始めた時、弦楽器の演奏が聞こえてきた。
見れば燃え盛るオマハの艦上、その艦橋で一人の士官がヴァイオリンを弾いている。
生存者の証言によればその士官はオマハ艦長であった。
彼は新品少尉として初めて配属されてからオマハを愛しており、艦長としてオマハに戻ってきたことを誇りとしていた男であった。
そんな彼が奏でるのは「Old Soldiers Never Die」
それは文字通り老兵たるオマハとその妹たちに捧げるものであると同時に、「消え去る」定めである合衆国海軍への葬送曲であった。
それだけでも日露戦役における「常陸丸」の逸話を知る日本海軍将兵の心に訴えかけるものがあるが、それだけでは終わらなかった。
演奏と共に歌声が、それも戦場にはあるはずも無い女性の美声が重なっていくのだ。
見ればオマハ艦橋の影は一人から二人に増えており、声はそこから聞こえてくる。
その演奏と歌声はオマハの船体が海中に没するまで止まらなかったという。
この「戦場神話」こそが、ニューファンドランド沖のキアサージの「歌姫」と共に両海戦が「合衆国海軍の葬送曲」と名付けられた所以である——。
205:モントゴメリー:2022/12/19(月) 23:59:52 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
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最終更新:2023年01月16日 09:04