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憂鬱SRW GATE 自衛隊(ry編SS 「エリア52にて」2
- ファルマート大陸 アルヌスの丘 上空 平成世界主観2008年 XA-999 コクピット内
熱の壁を超えたダークスターは、少なからず空気との衝突により揺れていた。
先端部、それこそ武器になりそうなほど鋭い機首から生じているピンポイントバリアはほぼ機体全体を覆っている。
それは空気との衝突による衝撃や熱を遮断し、本来よりもはるかに小さいものへと減衰させている。
そしてそれでもなお襲い来るものは、機体の装甲材として利用されているエネルギー転換装甲が受け止めている形である。
とはいえ、だ。それらは確かに通常ならば生じる熱や衝撃を遮断するが、完全に0にすることはできない。
マッハ9という速度に飛び込んでいるダークスターのコクピットは、当然のように衝撃と振動に揺られていた。
「結構来る、な……!」
対Gスーツ、そして機体に備えられた対G機構が稼働するとはいえ、ストームの身体はシートに押し付けられていた。
一歩間違えば身体がぺしゃんこになってしまうだろう。いや、実際にはそうならなくとも、そうなりそうなほど圧を感じるのだ。
普通ならばこの脆弱な肉体の血のめぐりさえも滞る、そんな極限領域に踏み込んでいるのであるし。
(速度は……マッハ9.3……!)
HUDの表示は、自分がその速度域にいることを数字で示した。
この領域は、大気圏を通過する際のロケットにも等しい速度であり、文字通り瞬く間に距離を飛び越える世界である。
自分は今、世界最速だ。少なくとも、自分たちの世界の記録の中においては、飛行機を使ってならば最速だ。
それをかみしめるストームだが、恐ろしいことに気が付いた。
まだ、上がある。
実際のところ、ダークスターはさらに加速できる。カタログ上はマッハ10を超えたその先に踏み込めるのだ。
しかも、スーパークルーズモードであるならば多少速度は落ちるものの、速度を維持したまま長時間の航行が可能という。
(それにステルス性が重なるんだからな、とんでもないことになる)
無論光学視認による補足はできるだろう。
だが、現代において優先されるのはレーダーによる探知であり、光学視認ではない。
人工衛星による光学観測というのもあるだろうが、果たしてこれを確認してどう判断するだろうか?
この超音速ステルス攻撃機、ともすれば冷戦時代の爆撃機などよりも恐ろしいものかもしれないと、ストームは思うのだ。
(いや、今は無粋だな)
今はただ、この空を飛べる自由を楽しみたいのだ。
いくぞ、マッハ10。
そして、それをインカム越しに管制塔に伝え、ストームはさらにエンジンの力を解放したのだった。
のちに、キャンプ・アルヌスや自衛隊の特地拠点、そしてファルマート大陸では「真昼の流星」が観測され、噂話として出回った。
昼間だというのに光り輝くそれが、目にもとまらぬ速度で空を切り裂き、飛んでいったというのだ。
尾ひれ背びれのついたそれは、様々な憶測を呼び、やがては拡散していって止まらなかった。
その真実を知るのは、結果的に少数であったのだった。
362:弥次郎:2022/12/06(火) 00:02:26 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
短いですか、以上です。wiki転載はご自由に。
この後ちゃんと着陸しました。ファルマート大陸にやってきた宇宙人(地球人)はいなかった、いいね?
最終更新:2023年11月15日 20:13