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憂鬱SRW ファンタジールートSS 「1944年9月、ペテルブルクにて」7




  • F世界 ストライクウィッチーズ世界 主観1944年9月 オラーシャ帝国 ペテルブルク 502JFW基地 格納庫



 帰還したニパと定子、そしてバルバラの3機一個小隊は、珍しく無事に着陸して格納庫まで戻ってきていた。
 ついていないカタヤイネン、ブレイクウィッチーズの一人であるニパがいるにもかかわらずだ。

「あー、疲れたぁ……」
「ですね……」

 ストライカーユニットを外し、さらに腕部に装着していたストライカーアームズを外すと二人はそろって深い息を吐いた。
それは、レーダーで探知されたネウロイの群れの個体数が多く戦闘が長引いたこともあるが、魔力の消費が多かったことにも由来する。
そう、ストライカーアームズはストライカーユニット同様にウィッチの魔力を基にして稼働するのである。
ストライカーユニットに比べれば少ないとはいえ、稼働時間が延びれば当然要求量は増え、容赦なくウィッチから要求するのである。
 そんな彼女らを迎えたのは戦闘隊長であるサーシャだ。今回の迎撃任務においてストライカーアームズの着用を命じたのは彼女だ。
これはラルにも許可をもらっていたことであり、バルバラの言うストライカーアームズの性能や愛称を見ておきたい、という意図があってのこと。

「おかえりなさい。その様子だと……」
「普段以上に疲れたよー……戦闘自体は楽だったけどさ、数が多いし、コア持ちが混じっていて仕留めにくいし……」
「とりあえず、報告は待ってもらっていいですか?流石に一服したいです」
「ええ、許可するわ」
「あたしが報告先に始めておきますね」

 専用の発進ユニット---ストライカーアームズを受け止める機構を備えたそれから抜け、二人はふらふらと格納庫から出ていく。
 ニパにしろ定子にしろ、歴戦のウィッチであることは変わりない。それこそ、ネウロイに対してこれまで戦い続けたことがその証明だ。
それこそ体力や魔力に関しては保証があるほどに。しかし、そんな彼女らすら大変だったというのは看過しにくい。
 それに対し、オーカ・ニエーバから時々ウィッチとして協力してくれるバルバラは余裕の表情であった。
戦闘後の興奮はあるにしても、そこまで強い疲労感を感じさせるものではなかった。素早くストライカーユニットを脱ぎ、そこから記録媒体を抜く。

「こちら、ガンカメラと主観での戦闘の様子です」
「ありがとう」

 受け取るそれは、ストライカーユニットに内蔵されている電子記録媒体だ。
 HUDを内蔵したヘルメットが標準化されて久しい昨今、この手の戦場の様子を振り返るためのカメラに困ったことはない。
これまではカメラをウィッチが携行して撮影するのが限度であったが、今では映像としてたっぷりと記録ができるようになっている。

「あの二人、大丈夫かしら?」
「あー、大丈夫ですよ。ストライカーアームズって初心者は無意識に魔力を注ぎ込んでしまって疲れるってのが良くありますから」

 心配げなサーシャに、バルバラは手をひらひら振ってこたえた。
 バルバラ自身もティル・ナ・ローグで経験したことであるし、さらには何度も教育課程において教わったことでもある。

「詳しいところはブリーフィングルームで話しますね」
「お願いするわ」
「あ、整備士さん!ストライカーアームズはウチの整備班の人が来ていますから、一緒にお願いしますね!」
「了解!」

 賑やかになった格納庫に別れを告げ、二人はブリーフィングルームへと向かう。

555:弥次郎:2022/12/18(日) 23:16:07 HOST:softbank060146109143.bbtec.net

  • 502JFW基地 ブリーフィングルーム


 ブリーフィングルームには、地球連合から供与されている映像機器などが一式揃っている。
 それこそ、記録媒体の映像を即座に再生して確認することもできるくらいには、潤沢に揃っていた。
 映像の中では、ニパと定子が通常の火器に加え、ストライカーアームズを使ってネウロイと戦っている。
ニパが装備しているのは3連装マシンガン内蔵型の腕部ユニット、定子はグレネードランチャー内蔵型だ。
数で勝る相手に対してニパがばらまいて散らし、コア持ちや大型のネウロイに対して定子が接近して叩きこむという戦術をうまく組んでいるのがわかる。

 他方、主観であるバルバラは、いつもの通りワイヤードハーケン内蔵型を使っている。
今回の出撃においてカメラ役に徹しているバルバラは可能な限り戦っている二人の様子を視界におさめている。
無論、自分に襲い掛かってくるネウロイを打ち落とすことも忘れてはいない。
特に厄介な大型種に対してワイヤードハーケンを打ち込んで拘束し、そのままワイヤーを巻き取りながら肉薄して射撃を浴びせていくなど派手に立ち回るのだ。

「動きとしては……悪くないわね」
「あたしもそう思いますよー。事前で使い方を教えたとはいえ、うまく特性を生かせていると思います」

 ただ、とバルバラは先ほどと同じことを言った。

「ニパと定子さん、必要以上に魔力をつぎ込んじゃってますね……」
「さっきも言っていたけど、魔力をつぎ込むってのはどういうこと?」
「えっと、そこのマニュアルにも書いてあるんですけど……」

 そう言いながら、バルバラはマニュアルをぱらぱらとめくり、該当のページを開いて見せる。
 そこはストライカーアームズの駆動系、特にウィッチから供給されるウィッチがどのように消費されるかを解説したページだった。

「あった…ここです」
「稼働需要より多く供給された魔力は、内部機構により威力の強化や反動の制御、その他に使用される……?」
「はい。ウィッチの魔力を吸って、それを発射する弾丸の威力や貫通力、飛翔力とかに変換しちゃうんですよ。
 これは過剰供給によって壊れてしまうのを防ぐためのフェイルセーフって聞いています」
「壊れるくらい魔力を注いだウィッチがいたのかしら…?」
「まあ、魔力を込めれば通常よりも威力が高くなってネウロイを倒しやすくなるのは確かなんですよ。
 魔力を一転集中させれば威力が向上するっていうのは、よくやることじゃないですか」
「……確かに」

 では、なぜそれが疲労につながるのか?

「威力とかが上がっても、やっぱりその反動は来るんですよね。
 ニパなんか顕著ですけど、ばらまくマシンガンに威力を重視させすぎて、余計に魔力を吸われています。
 そして、その強化された銃弾をたくさん打つものだから反動が体に来てしまう。結果、疲れが出ちゃうんです」
「身体強化が働くはずじゃ……ああ、それも魔力を使うから」
「はい。マシンガンとかグレネードランチャーといっても、生身で使ったら大の大人でもひっくり返っちゃうものです。
 魔力で体を強化して使っても疲労するし魔力をさらに消費する。だからあんな感じになっちゃうんですよ。
 それに攻撃するんだ、という意志が無意識に魔力の消費に拍車をかけちゃうので……」
「……思わぬ弱点ね」

 サーシャとしては痛い問題だ。ネウロイがだんだん強くなっているのは周知の事実。
 その結果として、戦闘が長時間に及ぶことも珍しくはなくなっている話だ。
 だからこそ、ストライカーアームズの装備は戦闘力の底上げにつながると考えたが、まさかの欠点が浮かんでくるとは。

「これに関しては訓練を重ねて習熟してもらうしかないと思います、あたしは」
「課題は、まだありそうね」

 丁度その時、一服を終えたニパと定子が入室してきた。
 だが、サーシャは彼女たちには悪いがしっかりとデブリーフィングを行うことを決めた。
 戦いは楽にならないのだから、しっかり努力しなくてはならないと、そう自分に言い聞かせ。

556:弥次郎:2022/12/18(日) 23:22:47 HOST:softbank060146109143.bbtec.net

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早速使ってみたら浮上した問題…
不慣れゆえに無意識に力を使いすぎちゃった結果ですな。
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最終更新:2023年11月03日 11:11