872:弥次郎:2022/12/22(木) 21:46:16 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
憂鬱SRW ファンタジールートSS 「1944年9月、ペテルブルクにて」10
- F世界 ストライクウィッチーズ世界 主観1944年9月 オラーシャ帝国 ペテルブルク 502JFW基地 ブリーフィングルーム
その日、夕方のブリーフィングにおいて、502JFWへの雁淵ひかり軍曹の着任が正式に決定されたことが通達された。
ラル、ロスマン、サーシャの3名のお眼鏡に叶い、尚且つティル・ナ・ローグ側の基準も満たすことができたと判断されたためであった。
「彼女は次の定期便と合わせ、ペテルブルクに来ることになっている。
502と101向けの装備や補給品と同じ便だ。こちらからも哨戒機を出し、出迎えを行う形となる。
如何せん制空権の確保が確約できる状況ではないからな、ウィッチとAWACSのウォーザードで小隊を編成し出撃させる」
「人員に関しては、こちらで選んであります。そのため、一部でローテーションが変更になっているので、確認を忘れずにお願いしますね」
ラルとロスマンがその日の動きを説明する中にあって、管野は柄にもなく上の空だった。
どれくらいかといえば、ニパとクルピンスキーが心配そうに様子をうかがう程度にはであった。
「カンノー?」
小声で呼びかけるが、ニパの声に返事もしない。
顔と目はブリーフィングルーム前方のホワイトボードへと向けられているが、意識はまるで違うところを向いているのがわかる。
「直ちゃんどうしたんだろうね……」
「ちょっと前からこんな感じで……どうしたのかなぁ」
小声で会話するニパとクルピンスキーだが、彼女らにその理由はわからなかった。
彼女らは以前から、孝美の代わりにひかりが着任することを直枝が受け入れず反発していたことを知っている。
それこそ、試験の段階で落ちてしまって扶桑に帰るのが落ちであるとも、憚ることなく言っていたほどだった。
そのひかりが試験を突破し502JFWに配属になるというニュースを受けても、この反応だ。何かあったとみるが妥当である。
「……しょうがない」
クルピンスキーはラルの目がこちらを向く前に、管野の身体を揺さぶる。
「うぉお……!?」
「どうした、管野?」
「な、なんでも、ねえ……」
「そうか。上の空で話を聞くな。今後の部隊に大きくかかわることだからな」
ようやく意識がこちらを向いたか、とラルはため息をついた。
ブリーフィングの侵攻の妨げにならなかったのであえて無視していたが、ここから先は彼女にもかかわりのあることだった。
だからこそ、意識をちゃんと今この瞬間にしっかりと向けてもらわなければならない。
故にこそラルはその手で資料をめくり、次のページへと、もうひとつの本題へと入ることにした。
さて、と前置きし、502JFWと101の猛者たちの顔を一度見てから、口を開く。
「次の案件だ。喜べ、この502JFWに最新鋭機が配備されることになった。サーシャ」
「はい」
サーシャの操作でディスプレイに新しい画像が映し出された。
「これは……」
「ふーん」
「?」
パッと見にはストライカーユニットに見える。
しかして、その造形は通常のそれよりも鋭く、既存のそれと一線を画していた。
「カールスラントから提供されることになった、Me262です。
これまでとは違う、ジェットストライカーという区分になります」
「ジェットストライカーだぁ!?」
「管野、落ち着け」
「う、あ……はい」
その言葉に思わず反応し、デカい声とともに立ち上がった直枝は、しかしラルの言葉にしぼんだ声で返事をすると腰かける。
無理もないか、とラルは内心ため息をつく。ジェットストライカーについての情報を解禁され、彼女にその詳細を話したのは自分だ。
873:弥次郎:2022/12/22(木) 21:46:48 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
あの日、自分の所へと取るものとりあえず、まさしくおっとり刀という体裁で飛び込んできた直枝は、ラルにその詳細を問うた。
そして、ラルは隠せないと悟り、ある程度のことを語ったのだった。
元々カールスラントと扶桑皇国において研究が進められていた次世代ストライカーがそれであり、CMAの協力もあって開発と生産が進んでいたものだ。
従来のストライカーユニットを凌駕するスペックを発揮可能で、ネウロイにウィッチでも対抗できるようになると期待される新兵器である。
その詳細についてはさすがのラルもおいそれと口には出せない機密だったのだが、いよいよ実戦でのテストができるようになったようである。
そもそも、ジェットストライカー自体は2年以上前にはすでに完成していたのである。
ただ、それは地球連合---CMAが開発・製造したものであり、その時点ではストパン世界にとっては未知の技術の塊にすぎなかったのだ。
当然ながら飛ばすことも整備することもできず、原理がどのようなものであるかさえ理解するのに苦労した。
それをストパン世界で再現し、同じものを作り、実戦に投入して運用できるだけの体制を作ることにかなりの時間を必要とした
何しろ、既存のストライカーユニットの改良と生産、MPFの導入と配備、新型の武器などの開発など、リソースがどうしてもばらけたのだ。
むしろ2年程度という時間差でよくもまあ追いつけているとほめるべきところであった。
元々カールスラントや扶桑皇国においては研究が先行していたとはいえ、隔絶していたのを埋めたのは驚異的でさえある。
「一部の隊員は知っていることだが、このジェットストライカーは既存のストライカーユニットを超えるものとして期待されている。
だが、ようやく少数が生産され、実戦でのテストを行うという段階に入ったに過ぎない。
その生産されたジェットストライカーの一部が、我が502JFWにおいて投入される運びとなった」
「……わぁお、すごいね」
「新鋭機を……」
反応は様々。だが、好意的なものと少し不安気なものがあった。
無理もない、新兵器というのはすごいもののように思えるが、まだどう運用するか手さぐりな状態なモノなのだ。
無論、このオラーシャでの激戦においてそれだけの装備が必要になっていることは確かである。
だが、信頼性に欠ける装備をこの最前線に送り込んで本当に大丈夫なのかと、不安視してしまうのも無理からぬ話だ。
「実戦でのデータ採取の意味合いもある。
今後予定や運用計画については話を詰めていくつもりだが、ここにいる面々にもテストを頼むことになる」
「マジかよ……」
「これまでは後手に回っていたが、巻き返しの時が来た……かもしれない。
管野のように興奮するのもわからなくはないが、如何せん信頼性の乏しいものでもある……不安がないと言えば嘘になる」
だから、とラルは宣言した。
「訓練用シミュレーターにおいて、ジェットストライカーのデータを解禁した。
時間があるときにマニュアルを読むのと合わせ、試しに飛んでみてほしい。
我々は、誰かに力を借りるだけでなく、自分たちの力でも戦えるということを示し、希望を見せなくてはならない。
各員の努力に期待する」
以上だ、というラルの言葉とともに、その日のブリーフィングは終わりを告げたのであった。
まさに風雲急を告げる展開。雁淵ひかりの着任に加え、こんなビッグニュースが飛び込むとは。
誰もが大きな転換点を迎えることを確信し、これから来るであろう激動の日々に興奮を覚えるのであった。
874:弥次郎:2022/12/22(木) 21:47:51 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
Me262、502へ配備となりました。
まあ、ストパン世界純正のジェットストライカーとは言えませんが、原作よりかは安全性などは高いですから…
とりあえず、ここまででいい区切りとなったので、502JFWの観測は一区切りとさせていただきます。
まあ、ネタなどを挟むかもですがね。
そろそろロボットの戦いを描きたい。悲しいけどこれってスパロボなのよね(白目)
最終更新:2023年11月03日 11:14