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憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「鋼鉄の裁定 -あるいは天空神の見定め-」0



  • C.E.世界 融合惑星 β世界 β世界主観1999年9月後半 朝鮮半島周辺海域



 それは、膨大な群れだった。
 人が作り出した浮かぶ鉄の城が、堂々と海の上を進撃していくのだった。
 それはAFと呼ばれる機動要塞であったり、それに付随する大型艦船の群れであり、さらには空を飛ぶ航空艦艇の群れであった。
空母や戦艦などの目立つ艦艇だけでも数十を超える数が並び、巡洋艦や駆逐艦などに至ってはその倍以上に及ぶ。

 これが、今回の光州ハイヴ攻略作戦に参加する戦力の一部でしかないというのだから恐ろしい話である。
 艦隊は舞鶴を発し、隠岐の島と対馬を経由し、先遣隊が攻略し終え、拠点化が完了した済州島へと移動している。
 そう、現在進む現代のリヴァイアサンの群れにはさらに先遣隊がいるのだ。
 中継地点となりうる済州島は案の定BETAの支配地域になっていたが、その先遣隊によりあっけなく奪還された。
元々ハイヴもなければ面積的にも存在していたBETAの数は小型を含めても万単位にすぎず、支援砲撃と上陸支援の下で戦術機らにより駆逐されたのだ。
その後、迅速に拠点型AFが接舷して大量の作業用MTなどを大量に吐き出し、迅速な拠点化を開始し、瞬く間に必要な地均しや調査を終えてしまった。

 結果として判明したことは、BETAによると思われる掘削などにより、すでに多くの自然の造形は失われていたこと。
 そして、朝鮮半島に続くと思われる地下茎が何本も伸びており、そちらからそれなりの数のBETAの群れが吐き出されてくる、ということだった。
 先遣隊の地球連合軍はこれらの地下茎の位置を特定後、即座に封鎖に取り掛かる。潤沢な武器と探知機などを据え付けて殺戮空間を構築したのだ。
 同時に、ここを使っての調査を行えるように準備を進めた。BETAのこの手の地下の掘削能力は非常に高いため、その気になれば人類側もその地下茎を利用できてしまえるのだ。
地上・地下・空という三つのルートから進撃することはあらかじめ決まっていたことでもあり、地下は主として無人機の投入が決定。

 そして、舞鶴から到着した艦隊の受け入れが行われ始め、改めて情報の伝達や作戦の細かい話し合いが行われ始めた。
 このオペレーション・ジュピター、帳作戦は主に3方向からの攻略が実施されるため、3つの部隊に分かれている。
黄海---すなわち光州ハイヴの西側の海---の部隊、南---済州島から北進---の部隊、そして東側の部隊である。
それぞれが砲撃支援を行いつつ上陸地点を確保、そして揚陸を行い、ハイヴ目がけて進撃することになっている。
 ただ、東側の部隊に関してはどちらかといえば陽動に近い航空艦艇なら不可能ではないが、着陸地点の確保がうまくいけばという条件が付くのだ。
そうでなくとも、上陸させたた部隊に光州ハイヴ目がけた砲撃を実施させる予定であり、うまくいっても行かなくてもよい、というわけである。
おおよそ直線距離で200㎞もないというならば、そこは十分に射程範囲内、というわけである。

 そして、これらの部隊が行動を開始するとともに、別動隊が同じく行動に移る。
 即ち、光州ハイヴの次の標的となりうる鉄原ハイヴからの増援の阻止、という重要任務である。
 作戦行動が開始されるのは、厳密にはオペレーション・ジュピターの発令後なのだが、先んじて展開しておく必要があり、あらかじめ出発していた。

 事前の偵察活動によれば、鉄原ハイヴに存在するBETAの総数はおよそ300万以上と推定されていた。
 動体検知や音紋による解析などの複合的な解析の結果であるが、総数はまさしく破格というレベルの数だった。
これらは人類同様にジャンパーであるBETAにより増えていると推測され、光州ハイヴが危機となれば真っ先に攻めてくるだろうことは容易に考えられた。
少し前に起こった空前の規模の大攻勢でかなりの数を吐き出した後であろうに、まだまだBETAはその圧倒的な数を抱えていたのだ。
もっと想定を広くすれば、ブラゴエスチェンスクハイヴや重慶ハイヴ、あるいはウランバートルハイヴからも押し寄せてくるであろう。
そうなれば今度は500万という数に上るであろうことは想像に難くない。

 ともあれ、直近の鉄原ハイヴからの増援の排除は必須なのである。
 こちらには地球連合軍だけでなく、AL4の管轄にある国連軍、さらに大東亜連合軍と米軍の一部が参加することになった。
ともすれば光州ハイヴからの挟み撃ちを受けかねない、テジョンに展開しての防衛線の構築である。
しかし、ここにはAL4から供出された航空機動要塞の投入が決定されており、それが主力となる形だ。

936:弥次郎:2023/01/03(火) 18:52:29 HOST:softbank060146109143.bbtec.net

 そして、数的はともかくとして質的に主力を担う形になるのは地球連合軍だ。
 そも、大東亜連合軍や国連軍やら米軍やら帝国軍を、陸海空あらゆる手段で運搬して送り届けるのは地球連合である。
 それに奪還した地域の迅速な拠点化や防衛線の構築、さらに兵站線の確保などを行うのも地球連合軍だ。
個々には大量の作業用のMTやドローンの投入による破格の陣地形成能力が存在しているのだが、まあそれは些事。
 さらには艦艇の供出数やその質などについても当然上であるし、兵士たちの消費する物資などの供出元も地球連合軍である。

 しかし、正面戦力はと言えば、艦艇などを除けば少なかった。
 あくまで入れ物や運搬するモノ、消費物資などは用意していても、主戦力たるMSやACの数は総数としては少ない方だった。
あくまでこれは地球連合軍としては、という但し書きがあるのだが、それでも主力は限られていたのだった。
これは地球連合というか大洋連合としてこのβ世界に投じることができる数に限度があったためというのがある。
 加えて、敵となるBETAが想定以上に弱いということが判明し、質によって数をカバーできると判断したのもある。
地球連合とて戦力は有限だ。殊更にMSやMAといった高級戦力は別の戦線に振り分けたいのが本音のところ。
もしもBETAがこれまでの敵対的な異星人並みに厄介であれば数は増えていたであろうが、そうではなかった。
そうなるならば、質を高め、効率的に排除したほうが良い、という結論に至るのである。
 加えていうなら、どこぞの伊藤の如く、現地勢力に頑張れ頑張れと援助をした方が負担が小さい、と判断したのもそれに関与している。

 随分と長々と語ったが---そういった政治的な背景を以て、光州ハイヴ攻略作戦は幕を開けようとしていた。

 なお、作戦参加している部隊には敢えて明かされていないところもあるのだが、大洋連合軍とフロンティア船団は、最前線より兵力を展開していた。
即ち、戦場の安全確保のため、という裏の目的のためである。今回の「オペレーション・ジュピター」は端的に言って米国の邪魔が入る。

 作戦の準備段階においては国連や米国から供出される物資が不足していたり、派遣されてくる人員の数が「体調不良」とやらで不足したりしていた。
あるいは、輸送艦や輸送手段でトラブルが相次いでその対処に終われることになるなど、山のようにあったのである。
それだけでなく、作戦の流れについても一々細かいところまで、重箱の隅をほじくり返すがごときツッコミを入れまくった。

 そんなことがあり、作戦中も妨害を仕掛けてくると踏んで、地球連合軍とフロンティア船団はピケットラインを構築した。
それは内側ではなく外側に向けられた、陸海空宇の四軍を動員した大規模かつ綿密な防衛ライン。
G弾あるいは作戦の進行を妨げるものを一切排除するという、BETAに向ける以上の殺意の籠ったそれは、現在進行形で活動中だ。
 ほら、宇宙から、あるいは空から、はたまた海から侵入しようとする無粋な連中がいる。
 それらは適宜摘発され、阻止され、排除されていく。ゆっくりと話すことも多くなるであろう。

 そんな、裏側で動く者達の見守る中で、いよいよその時は目の前に迫っていた。
 それこそ、ピンと張った糸が今にもぷつんとちぎれてしまいそうな、そんな緊張感の中。
 天空神の名を戴く、その名に於いた裁定の下される作戦。それが、始まろうとしていたのである。

937:弥次郎:2023/01/03(火) 18:53:38 HOST:softbank060146109143.bbtec.net

以上、wiki転載はご自由に。
プロローグ的なアレです。

お茶を濁すアレでもあります。
次回から、本格的に作戦が開始されます。

まあ、今更ですがちょっとアメリカを繋ぐお仕事をやりながらになりますので、ゆっくりかもしれません。
2023年に発売されるゲームのためにも、今やらねばならぬゲームがあるのだ……!
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最終更新:2023年08月28日 22:08