828:弥次郎:2023/01/10(火) 20:52:16 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「鋼鉄の裁定 -あるいは天空神の見定め-」4.75
- C.E.世界 融合惑星 β世界 黄海上空 スペースノア級万能戦闘母艦「シロガネ」 β世界主観1999年9月後半 16:04
スペースノア級万能戦闘母艦を元とした「シロガネⅡ」は、黄海上から戦闘を継続していた。
大東亜連合軍および帝国軍の連合艦隊に追従する形で黄海に展開し、作戦開始を以てその砲撃力をいかんなく発揮していたのだ。
現在このシロガネⅡは艦種モジュールがカタパルトを含む格納モジュールに換装されているため、他のスペースノア級に比べれば劣る。
尤もそれはあくまでベースとなったスペースノア級と比較した際の話であり、β世界の艦艇と比べれば破格などというものではなかった。
現在は連装衝撃砲と連装副砲、さらにはVLSなどから火力を放ち、BETAの数の漸減を推し進めている。
その効率が、これまたとんでもない。無論現地勢力の戦力が弱いというわけではない、スペースノア級が強すぎるのである。
そもそも、惑星内で人間同士でドンパチするための戦艦と、惑星外から来る超テクノロジーを有する敵との戦いを想定した戦艦では仮想敵が違いすぎる。
一緒くたに比較すること自体が大間違いであり、優劣をつけるのは愚かしいどころの話ではないのである。
さて、そんなシロガネⅡであるが、砲撃戦を実行しつつも、同時に艦載機の準備を進めていた。
前述の通り、格納モジュールに換装されているため、シロガネⅡは艦載機をかなり搭載することができる能力を持っていた。
その艦載能力たるや、XG-70をベースに…というか最早新造したに等しい凄乃皇、さらにA-01の戦術機、MSとを全部乗せていたのだ。
伊達や酔狂で地球脱出を担うスペースノアの名を持っているのではない、というべきであろうか。
そして、その艦種モジュールの一角にあるブリーフィングルームにて、武は最終ブリーフィングを受けていた。
今回の作戦においてAL4の部隊に割り当てられた任務の最終確認を兼ねた説明をするのは何とあの香月夕呼である。
最初はパイロットスーツ姿の彼女の姿に思わず「マジかよ……」と武がつぶやいてしまったのだがそれはご愛嬌というか。
確かに彼女は横浜基地の副司令官として大佐という地位を与えられている。ついでに言えば彼女の頭脳は軍事行動においても役に立つほど。
しかし、それはあくまでも副司令官という役職に就くにあたっての階級であり、元々はと言えば彼女は研究者であり民間人だ。
彼女も一応軍人としての教育などは受けているが最低限度であり、他のことが優先されているのは言うまでもない。
実際、彼女は横浜基地の、ひいてはAL4のトップと言えるが、それでも最高責任者はパウル・ラダビノッド准将がになっている事からも窺える。
それはともかく、である。
ブリーフィングにおいて、今作戦におけるAL4部隊の役割は主に三つだと夕呼は子飼いの部隊に告げた。
一つ目は鉄原ハイヴからの光州ハイヴに駆け付けるであろうBETAの増援を他の軍と合同で撃滅し、ハイヴ攻略の助勢をすること。
既にAL4の意義は失われていると言っても過言ではない。実際、00ユニットは連合の手によりファンタズマ・ビーイングへと変化している。
それに加え、他の並行世界に干渉する技術も因果の流入による悲劇が想定されるため、その為の設備は失われている。
一応武は回収すべき数式を覚えていたのであるが、現在のところは無用の長物となっている。
ただ、AL4のために蓄積された技術や設備、そして香月夕呼の頭脳をスピンオフすることで、人類への貢献は続けられている。
今後の、戦後を見越したうえで何かやっておかねば、他人の金で無駄なことをしていたという誹りを喰らうのは香月博士なのだからむべなるかな。
二つ目は、BETAの情報収集である。
これまでに新種を送り出し、さらに行動パターンも変化していることが確認されているBETAの実態調査は不可避のことだ。
殊更に、直接BETAの拠点であるハイヴに近づき、そこから沸いてくるBETAと直接戦闘できるのは良い機会と言える。
地球連合が行った実験の結果からするに、BETAの個体はほとんど自我意識などはなく、単なる半自動機械のようなものと判断されていた。
逆を言えば、根っこにおいては行動指針を決めて指示を出している何かが存在していることになる。
そしてそれがハイヴ最奥に存在している反応炉---武の情報により頭脳級BETA---がこれを担っていることも判明した。
今回はその実証も兼ね、遠方のハイヴから来るBETAのデータを収集する、というわけである。
829:弥次郎:2023/01/10(火) 20:52:59 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
「現場においては、一応指揮系統のトップなのは私。とはいうけれど、やることがあるから私は実質飾りね。
シロガネⅡに設置されたCPからの指示と情報を基にして有機的に判断してもらうことになるわ。
ま、私じゃなくても現場指揮官ができる人間もいるわけだから、経験者に任せるわ」
それが最適と夕呼は判断した。
偉そうなことを言えるし、判断能力があることは自他ともに認めること。
けれど、それが戦場の真っただ中において発揮できるかといえば、微妙なところだ。
「……一応サポートというか分析役に徹するけど、私やピアティフとかは戦場でのストレスなんかほぼ初体験。
メンタルがおかしいレベルで頑丈なあんたたちとどこまで付き合えるかは不明瞭よ。悪いけど、助けてもらわなきゃならないかもしれない」
まあ、そうならないのが一番だけどね、と付け加え、ブリーフィングを最終段階に進める。
「私からは以上よ。
戦術機部隊、それにSKはそっちもそっちで実戦でのデータ収集があるわけだし、生存優先すること。
腕前は私でも怖いくらいだけど、死んでもらっちゃ困るわ」
それを付け足したのは、彼女なりの良心か。
勿論、今後のためになるデータ収集と新型OSの動作記録などは大いに参考になるものなのは確かだ。
それを搭載しデータを蓄積しているコンピューターを搭載した戦術機が無事に帰還することは極めて重要である。
それだけでなく、新型OSに適合するように改造を受けた戦術機のハードや機構がどう応答するかも貴重な資料となりうる。
これらを今後売りに出していくAL4としてはA-01の無事の生還は是が非でもというところ。これが三つ目、最後の目的だ。
さりとて、もしかしたら00ユニットになっていたかもしれない---そういう並行世界もあったかもしれない---相手だ、罪悪感が0なわけではない。
「現場指揮官のCさんからは何かあるかしら?」
咳ばらいを一つした後に、話を振られた先、モニター越しの参加のCは特にない、と告げる。
『香月博士の言う通り、A-01の最重要任務は生還することだ。
たかだかBETAにやられてしまうような、そんな軟な訓練はしていないつもりだ。
君たちは未だに若い。未来を作っていく君たちには、生きてもらわなくては困る』
だからこそ、と念押しした。
『諸君らが死なないよう我々も努力する。そして、諸君らも努力してほしい。
奮戦を期待する』
「はっ!」
その言葉に、全員が敬礼を以て返答する。
実際A-01は死ぬつもりは毛頭ない。新型のBETAが出ようが、膨大な数を相手にしようが、生き残るのだという強い意志がある。
それはたかだか八分という短い時間ではない、作戦完了し帰投するまでの長い時間の生存だ。
『行くぞ』
そして、この後に行われた一斉砲撃により光州ハイヴが丸裸になったのに少し遅れ、鉄原ハイヴからBETAが移動を開始した。
数は確認できただけで五十万を超える数。まだ吐き出されているというのだから、膨大どころではない。
それが攻略中の光州ハイヴの救援という目的なのは明白。故に、これの撃滅が必要となる。
いよいよを以て、AL4部隊の出番が迫っていたのだった。
830:弥次郎:2023/01/10(火) 20:54:05 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
以上、wiki転載はご自由に。
いよいよ原作主人公たちの出番です。
本当はSS本編の続きと行きたいところですが、ちょっとその前に設定とかを投下する予定ですので悪しからず。
832:弥次郎:2023/01/10(火) 21:15:02 HOST:softbank060146109143.bbtec.net
ご指摘がありましたので、wiki転載時には修正をお願いします
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「私からは以上よ。
戦術機部隊、それにKSはそっちもそっちで実戦でのデータ収集があるわけだし、生存優先すること。
腕前は私でも怖いくらいだけど、死んでもらっちゃ困るわ」
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「私からは以上よ。
戦術機部隊、それにSKはそっちもそっちで実戦でのデータ収集があるわけだし、生存優先すること。
腕前は私でも怖いくらいだけど、死んでもらっちゃ困るわ」
最終更新:2023年01月24日 10:43