749:モントゴメリー:2023/01/30(月) 00:01:37 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
日蘭世界ネタSS——某独立記念日的な情景——

  • 地中海洋上、フランス連邦共和国総旗艦戦艦リシュリュー内部、戦略指揮所

「艦橋見張り員より報告、7時方向より接近中の艦隊の視認。艦隊内に『ベニート・ムッソリーニ』及び『ドナウ・シンフォニー』を識別」
「事前連絡の通りです、OCUの臨時編成地中海艦隊でしょう」
「さすがはドゥーチェ、淑女を待たせるようなマナー違反はしないわね」

報告を受けながらFFR大統領…否、最高司令官代行であるマリー・マフタンはケーキを口に運ぶ。
上に立つ者は常に優雅で、平静を保たなくてはならないのだ。
…劣勢の場合は特に。

「彼らと合流して最適な陣形を組みなさい。『偉大なる9隻』の内3隻が揃ったこの艦隊ならば招かれざる異邦人たちの空襲も怖くは無いわ」

現在、地球は未知の地球外生命体から攻撃を受けていた。
地球存亡の危機に際し、人類は賢明にも再びを連帯することを選んだのである。

「対空砲火の密度を上げるために密集隊形を取りましょう。大型円盤が来たとしても容易に討ち果たせます」

事実、マルセイユに飛来した都市級宇宙船はリシュリューの主砲全力射撃により撃墜されていた。

「問題は制空権の確保です。やつら、戦闘機クラスの円盤にもシールドを持っておりますからな」
「現状、ミサイルでシールドを突破した事例は確認できておりません」
「12㎝クラスの電磁高射砲を直撃させれば撃破可能ですが、戦闘機による迎撃が出来なければ受け身の戦いしかできません」
「まあ、各国の要塞砲と戦艦主砲によって都市級を殲滅すれば大気圏内の戦闘は何とかなりますが、問題は衛星軌道上の母艦ですね」
「流石にあそこまで届く大砲はOCUでも保有してないでしょうからな」

つまり主導権は向こうにあるということだ。
——面白くない、本当に面白くない。

マリーが苛立ちながらケーキを平らげていると通信室から連絡が来た。

「代行殿、日本より通信が届きました」
「日本から?長距離通信は不通になっていたはずだけど」
「それが…モールス信号なのであります。それも平文で」
「…持って来なさい」

送られてきた文面を受け取ったのは国防参謀総長である。
「御守り」をポケットに仕舞いつつ彼女は内容を読み込む。

「——日本は全世界同時の一大反攻作戦を提案してきています。
 勝利のためには我々の力が必要なのでしょう」

フランス的エスプリ精神で翻訳しつつ参謀総長は笑みを浮かべる。

「成程ね。攻勢に出ることは賛成だけど、勝算はあるのかしら?」



  • グレートブリテン島、ドーバー海峡要塞「炎の壁」内、英国臨時王宮及び総司令部

「——シールドを無効化する手を見つけたと言っています!!」
「それで、攻撃時刻は?」



  • 北米大陸中央部、「ロング」回廊要塞内、4か国(アメリカ合衆国・テキサス共和国・新大陸共和国・カリフォルニア共和国)合同司令部

「日本からメッセージです!!」
「———攻撃は、今から4時間後だ」

全世界同時反攻作戦、「決」号作戦がこのようにして行われることになった——

750:モントゴメリー:2023/01/30(月) 00:02:09 HOST:116-64-135-196.rev.home.ne.jp
以上です。
ウィキ掲載は自由です。

昨日話題になった日蘭世界版「バトルシップ」
ちょっと違いますが「インディペンデンス・デイ」風味の一発ネタでございます。
ご笑納ください。

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最終更新:2023年05月03日 18:22