787:戦車の人:2023/03/29(水) 02:01:21 HOST:110-130-209-191.rev.home.ne.jp
合衆国連邦軍、州軍は1940年代の間に歩兵用小銃を突撃銃に切り替えることに成功していた。
M1小銃、M14小銃がそれに該当しており、かの軍需及び重工業集合体カモミールとスプリングフィールド造兵廠などが共同で開発を行った。
前者は史実のAK-47/AKM、後者はAK-74/AK-101に該当する突撃銃で、当初より直床銃床及び制退器の採用。プレス加工の徹底などを実施。
簡素、堅牢かつ操作性に優れており、またピカティニーレールシステムにも対応し、多くのアクセサリーの装備が可能など発達余裕にも優れていた。
生産はカモミール以外にS&Wやコルト。当時新進気鋭のスタームルガー等多数の企業で行われ、サードパーティによる多数の派生型も生まれている。
M1及びM14小銃の性能、信頼性、発達余裕に概ね合衆国軍は満足していたが、インドシナ戦争の教訓から新たな突撃銃を要求した。
何れの小銃も一般的な兵科部隊で用いるのに問題はないが、インドシナ戦争で軍事顧問団が交戦した強敵。
フランス外人部隊、あるいは本国から派遣された高練度部隊など、精鋭部隊を相手とした場合、命中精度で不足を感じる状況が複数発生。
もともとM1及びM14が平均的な練度の兵士に最適化した銃ということもあり、空挺や海兵もこの発案に参画し、新型小銃を求めたのだ。
この要求に大いに発奮_ある意味で航空宇宙開発や戦闘車両発注以上に気炎を上げたのが、今や合衆国お抱えの総合製造業たるカモミールだった。
史実旧ソ連及びロシアの工業製品を、西側の現代的な品質管理や工作精度で改良再現され続けた彼らが、何れ乗り越えようと決めていた課題。
かのミハイル・カラシニコフの名前をいだきながら「AK
シリーズ最大の失敗作」と言われたAK-12、そのリターンマッチの機会を獲得したのだから。
AK-12失敗の最大の理由は史実ロシアが旧ソ連の遺産を食いつぶし、基礎工業力という側面で最早限界を迎えてしまったこと。
また安直な西側市場への売り込みを急ぐばかりに、コンセプトが曖昧なままに開発と生産を強行してしまった事が大きな蹉跌となった。
しかし今やカモミールは筆記用具から宇宙ロケットまで広汎な市場を獲得し、日本の財閥に匹敵する資本力と技術力を獲得。
何よりも旧ソ連式工業製品の無念を晴らす熱意(日本の同業者に言わせれば変態)に満ち溢れており、二度と失敗を繰り返すつもりはなかった。
その熱意はオールライフルマンの掛け声とともに、空挺とともに最も過酷な戦場に赴く海兵隊。
くそ度胸ならなら誰にも負けぬと自負する海兵隊造兵廠の担当者が「いい殺しの顔だ、いい銃を作るだろう」と絶賛したという。
788:戦車の人:2023/03/29(水) 02:02:22 HOST:110-130-209-191.rev.home.ne.jp
そして心は熱くとも頭は冷静にという常識は十分カモミール側も踏まえており、まず一義として命中精度の向上とそれに見合う操作性。
また精鋭部隊が用いるというユーザーの要望だが、何れはM1及びM14を統合代替することが必至と判断しコスト高騰抑制も重視した。
故に銃床は強度、重量のバランスが取れたポリマー製の固定式が基本で、折畳ないし伸縮銃床はオプション扱いとなっている。
また加熱しやすく命中精度を大いに左右する銃身は、鋳造工法(ロストワックス)を得意とするスタームルガーの技術者を招聘。
最終的に共同開発とした上でコールドハンマー方式_冷間鍛造を採用。量産性と精度、強度の両立を図っている。
この製造法は工作機械が大きくなるデメリットが存在しているが、初期投資を惜しまぬ故の低コスト化はカモミールが最も得意とする点であった。
やはり史実のAK-12がAKM、AK-100
シリーズと差別化を図ることが出来なかった。そして今次新型小銃で一義とされた命中精度向上。
それに応えるべくカモミールはスタームルガーと共同開発で、駆動系を若干部品点数が増えることを承知でショートストロークガス圧式に変更。
銃身、本体、銃床の高強度化。やや大振りな制退器の採用のシナジーにより、大幅な反動低減と命中精度改善を成し遂げた。
その上で部品点数こそやや増大したが、基本的な整備は専用工具を用いず分解可能で、清水清掃で十分対応なレベルを維持した。
このあたりは工作機械大型化を甘受した上で、部品全体の強度を大きく取り、点数抑制に尽力した努力の昇華である。
結果として1957年に完成した新型試作小銃は形状こそM1及びM14_AKの系譜だが、内部構造などは史実西側小銃のそれに似通った。
バイポッドが存在しないことを除けば、史実日本の自衛隊が採用した89式5.56ミリ小銃に奇しくも似通った突撃銃として完成した。
これは偶然ではなくカモミール小火器開発部門には、史実日本の豊和工業で技術者として職を全うした者がいたことも影響している。
一部評論家に酷評されたが、その一方で堅牢かつ点数の小さな89式はAK-12復活に大いに貢献したのだ_流石に三点バーストは省略されたが。
T57の試作名称が与えられた新型突撃銃の試作型は陸軍空挺、海兵隊という非常に厳しい任務をこなす部隊共同の審査を受けることになる。
新しい工業製品故の初期不良は当然存在したが、総じてM14の長所を維持しつつ大きく要求された性能を改善したと高く評価された。
また総合製造業らしくカモミール側が分隊支援火器、銃身短縮カービン、マークスマンモデルを揃えたことも陸軍と海兵隊より好評を博している。
789:戦車の人:2023/03/29(水) 02:04:53 HOST:110-130-209-191.rev.home.ne.jp
初期不良の是正、製造コストのより低減(但し人件費は維持された、良い仕事は良い支払いは当然である)、部品点数のさらなる抑制を実施。
最終的に1965年にM16小銃として合衆国軍に晴れて採用されることで、史実AK-12の無念は幾らかでも晴らされることになった。
配備は緊急展開任務を担う第82及び第101空挺師団、そして海兵隊各師団からはじまり、精兵からやや品のない言葉で高評価を受けている。
またM16はM1の7.62ミリX39ミリ、M14の5.56ミリX45ミリ。そして特殊部隊向けに開発された6.8ミリX43ミリ新型実包の何れにも対応。
空挺、海兵隊では中距離以遠で安定した精度、威力を保つ7.62ミリ弾が主流として用いられた。
そしてM16の空挺及び海兵隊双方で良好な運用実績を検討の上で、合衆国四軍及び州兵はM1及びM14の統合後継として採用を決心。
一般的な兵科部隊では5.56ミリ弾モデルが好適と判断され、総生産数の中では最多を占めている。
事実5.56ミリ弾適応型は基本教練を受けた新兵であっても非常に扱いやすく、スケールメリットの恩恵で州兵でも採用が容易であった。
戦車兵、砲兵、航空兵の自衛用のカービンモデルも概ね5.56ミリモデルが主流であり、配備部隊の練度と用途で弾薬変更が行えたのも長所である。
M16は大量生産と部隊配備、そして要望に応じた改良と近代化。それに伴うスケールメリットを受け、M1やM14と同様に多様な派生型を生んでいる。
生産メーカーも多岐にわたっており、このあたりはカモミールが史実ロシア式製品が高品質で普及するなら構わないとパテントを抑えた点も大きい。
なおM16の整備維持キットには「紅茶とともに舐めるジャム」「ティーパック式紅茶」が付属しており、戦場で甘味とカロリーを必要とする兵に喜ばれた。
1965年の採用から21世紀現在に至るまで西側式AK-12たるM16は幾度も改良、派生型の開発を生みながら、実に数千万挺が生産されている。
ハワイ条約機構の中堅国家でも相当数がライセンス権を取得の上で生産、配備が行われ、2020年代現在でも多数が現役である。
配備先は軍隊だけではなく司法執行機関にも及び、合衆国各州のSWATなどでは6.8ミリ弾を用いるカービンモデルが半ば標準となった。
史実西側の汎用及び軍事技術を重んじる日本でも、低コストかつ日米共同規格弾を使えることから自治体戦闘警備隊等が一定数を採用している。
スタームルガーを筆頭とするサードパーティメーカー(M16では共同開発だが)の手により、セミオートや弾倉制限を行った民間向けも販路確保に成功。
7.62ミリ弾を用い20発弾倉を用いたモデルは、小型害獣駆除用などに各州で愛用され、農場や牧場の安寧も守り続ける役目も担った。
最終更新:2023年05月05日 23:59