66 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/02/07(火) 21:15:08 ID:softbank060146109143.bbtec.net [4/110]
憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「鋼鉄の裁定 -あるいは天空神の見定め-」8.75
- C.E.世界 融合惑星 β世界 β世界主観1999年9月後半 17:33 朝鮮半島 鉄原ハイヴ南方およそ250㎞地点
11-BernhardというネクストをベースとするシュープリスⅡの強みは、なんといっても機動性と運動性にある。
それは、設計ベースとなった03-AALIYAHと同じものである。
アーマードコア・ネクストの黎明期において旧レイレナードが、そのようにネクストの開発方針を打ち出したためだ。
つまり、機体の装甲を過剰には盛らず、高出力のブースターで空力的にも優れた機体を飛ばし、それでも当たる攻撃をPAでしのぐということ。
後の時代の視点から見れば、まさしく機動兵器の面目躍如と言える考え方のもとにネクストを設計したのだ。
実際のところ、この設計思想は先を行っていた考えであった。コジマ粒子によるバリアと慣性制御、重量軽減の効果で、機動力は素の時点で高い。
そしてここにテスラドライブなどを盛り込んでいけば、MSなどとも遜色のない速さを獲得できるというわけである。
しかして、戦訓の積み重ねから、その方針は軌道修正を強いられた。
同様の機動兵器を相手にした際に、PAをはじめとした防御機構などは容易く破られるものであり、装甲の軽視はそのまま生死にかかわると判明したのだ。
射撃戦だけでなく、機動兵器同士の白兵戦、それも近接格闘戦の重要性が見直されたということである。
そして、その影響を受けた11-BernhardベースのシュープリスⅡはかつてのそれから大きく変貌した姿と性能を得るに至ったのだ。
とはいうものの、11-Bernhardはそのコンセプトを違えてはいない。
軽量機よりのフレームで構成し、高出力のブースターによる高い機動性と運動性、さらに瞬発力などを実現している。
過去の時点よりも技術刷新が進んだこともあり、そのスペックはカタログ上も実測値も大幅に向上しているのだ。
まして、ベルリオーズというトップランカークラスのリンクスが乗るネクストなのだ、生半可なチューンはしていない。
では、そんな高次元にある機動兵器をBETAという標的に対してぶつけたらどうなるであろうか?
答えは簡単だ、蹂躙という言葉さえ生温い現象が発生する。
これはMSを操るファンタズマ・ビーイングのAやC、あるいはハスラー・ワンでも同じことが起こっていることだ。
そも、BETAの相手をする程度ならば実のところ大量運用の可能なMTによるごり押しでも有効なのだ。
それでも有人機が投入されるのは、それの方が効率がいいから、という理由があってのこと。
音速を刻み、シュープリスⅡはBETAを駆除していく。
戦闘さえ成立させない、圧倒的なまでの作業であった。
長期戦に備えて持ち込んでいたGA系列の装弾数の多い散弾バズーカとガトリングガンが、次々とBETAをミンチに変えていく。
実弾の嵐は実に効果的だ。ひたすらに敵に銃口を向け、引き金を引くだけでもいいのだから。
『……退屈になってくるな、これは』
ベルリオーズは1人、コクピットの中で言葉を漏らした。
一切に油断はない。かといって、全力を込めるほどでもない作業だ。
A-01からは距離を置き、ネクストの特性を生かすべく単独行動しているため、四方八方からBETAが寄ってくる。
それらを捌くのは速度と反応の連続によるもので、AMSの面目躍如といったところ。
ただ、自分の行動がA-01の戦闘の手助けになっていることはわかっているので、ふざけてはいない。
高度な電子機器を搭載しているネクストはBETAを強く誘引する。質や量の点では凄乃皇に負けているが、それでも目の前の餌には食いついてくる。
『遅いな』
警報が鳴るより早く、生身より視野が広い視界の中で多数の光線級がこちらを狙ったのを捉え、瞬間的に回避する。
クイックブーストの連発による、まさしくワープするかのような機動を連続し、一気に肉薄。そして十数体いたそれをバズーカで消し飛ばした。
当然ながら、動きの遅い光線級や重光線級にとってはまさに死神だ。移動速度が段違いすぎる。
まさしくギロチンの刃が落ちるがごとく、光線級の群れの命は切り落とされてしまった。
『侮るなよ』
67 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/02/07(火) 21:16:50 ID:softbank060146109143.bbtec.net [5/110]
その次の瞬間には、コアパーツ内蔵のレーザーガンが持続照射モードで出力された。
そのままの状態でクイックターンすることで、背後から迫った突撃級の群れを綺麗にスライスした。
いや、突撃級だけではない。要撃級や戦車級、さらにその後方にいた要塞級の群れまでもがまとめて切り裂かれた。
それ以上に、照射に伴って発生した強力な熱量で小型種も焼き尽くした。小型種でも馬鹿にならないので、良かったと思うことにする。
だが、その程度だ。まるで達成感がない。
はっきり言えば数個師団が飛び掛かってこようがネクスト相手には、アセンブリにもよるが十数秒持つかどうか。
それほどまでに隔絶しているので、勝つことは確定事項であり、後れを取ろうものならばリンクスから降ろされる案件である。
(敵は……まだ来るか)
千客万来、というのだったか。
これほどの物量をぶつけてくる相手に心当たりはあるどころではないが、それと比較すればぬるま湯もいいところだ。
ただ、戦術機という数段以上劣っている機動兵器で戦うA-01の護衛任務と考えるならば、少しは達成感を感じるものだ。
彼ら、彼女らの働きはこの世界の自助努力であり、連合に甘え切らず、自ら切り開こうとする動きそのもの。
決して摘み取らせてはならないものだ。甘やかすつもりはないが、かといって理不尽に摘まれても困る。
A-01の面々も、ベルリオーズにとっては教え子だ。その感情も含め、BETAに相対する。
『母艦級で圧殺するつもりか……』
そして地面が揺れ、次々に母艦級が顔をのぞかせていく。
だが、すでに母艦級などというのは何十体と処理した相手にすぎない。
これ以上に大きく、さらに攻撃能力を持つ殺意の塊を見てきて来たベルリオーズにしてみれば、鈍間な的にすぎない。
『……』
瞬時に武装を持ち帰る。射撃兵装を両肩部の武装ハンガーに預け、並列して備えられたレーザーブレードを二振り引き抜いて発振される。
それは、かつてレイレナードにおいて開発されたレーザーブレードの07-MOONLIGHTを踏襲した大出力ブレード『16-CRESCENTMOON』。
その名の通り、三日月のようにやや湾曲した紫色の刀身が瞬時に形成される。
そして、その月の名前を冠したレーザーブレードはネクストの、シュープリスⅡの爆発的な加速に合わせて残光を残しながら奔る。
奔った斬撃は十数以上に及んだ。どれもが、硬い母艦級の外皮を容易く貫通し、焼き尽くし、切り裂いた。
それが多重となって襲い掛かったのだから、出現していたいくつもの母艦級は瞬間的に寸刻みにされ、崩れ落ちていく。
『とどめ……!』
そして、内部にいて生き残っていた残存のBETAに、無情にも止めの一撃が走る。
シュープリスⅡは、上空へと瞬時に移動。眼下に見下ろすBETAの残存目がけ、両腕を大上段から一気に振り下ろした。
発生するのは、ジェネレーターから供給される大電力により出力されるブレード光波。
レーザーブレードでも大出力のそれを、二振りもまとめて振り下ろし、叩きつけたのだ。
カッ……!
発生したのは、瞬間的な無音と、その直後の爆発と破壊だ。
ブレード光波によって熱量と斬撃が叩きつけられ、そこにあったものを焼き尽くし、壊しつくす。
ほんの1分程度の戦闘で、出現していた母艦級とそれに付随する群れが消滅した。
『次だ』
だが、まだ群れは迫る。
それに合わせ、ベルリオーズは意識を切り替えると、音速を超えて戦場を飛翔した。
山猫の調べは、未だに止まらない。
68 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2023/02/07(火) 21:17:50 ID:softbank060146109143.bbtec.net [6/110]
以上、wiki転載はご自由に。
A-01を援護するベルリオーズでした。
次でいよいよ鉄原ハイヴ突入ですね。
あとは光州ハイヴへの部隊突入もそろそろなので、SSとしたいところです。
いつ終わるんだろこれ…(白目
最終更新:2023年05月14日 19:11