859 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2023/04/09(日) 23:10:10 ID:p582141-ipngn1402akita.akita.ocn.ne.jp [145/174]
憂鬱スパロボ 融合惑星ネタ 

戦後サブイベント 裏世界での邂逅

「こういう事は困るでありますな」

 仁科鳥子と紙越空魚から、ある意味警察沙汰より厄介な事になったと連絡を受けて、きて欲しいと頼まれた小桜が訪れた建物の入り口で待っていた女性は開口一番にそう言った。
場所を調べる為に使った端末のマップアプリに表示されていた住所と建物から嫌な予感はしていたが、やはり現実と言う物は非情らしい。
 地球連合・・・現在この星に存在する中でも最大の大国の大使館前で周囲を見ていた自分を見つけて、そう声をかけて来たという事はそういう事であろう。

「あ、あのー、連絡を受けた小桜ですが二人は此処では何を・・・?」

「此処ではなんでありますから中で・・・」

 有無を言わせない雰囲気で通された巨大な会議室には、件の馬鹿二人も既に座っており、小桜自身も彼女等の隣の席へと案内された。目の前には緑茶が置かれている香りや色合いを見るととても安物では無く茶菓子なのか置かれた羊羹も高そうなものである。茶とお茶請けを配膳し終わった後に、案内して来た女性が対面に位置する席に座った事で
話が始まる様であった。
 受付か案内役だと思って居た若い女性が、そのまま今回の問題を担当していた事以外に思いつつも彼女の話へと耳を傾ける。

「さて、改めて自己紹介をさせて頂くであります。自分は21代目葛葉ライドウと申す者、今回はこの世界独自の異界調査の、部隊を派遣していたでありますが・・・そこの2名と銃撃戦となり一時調査を中断して二人を拘束して戻ってきた次第で有ります。」

「じゅっ、銃撃戦!?」

大変だったでありますよ~という思ったより呑気そうな言葉を流しつつ、てっきり開いた裏世界の出口が大使館にでも繋がって居たのだろうかと考えて居た小桜は思わず声を上げる。
しかし、同時に聞き捨てならない言葉が有った事も耳に届いていた。

「ちょっと待ってくれ、連合が裏世界に人員を送っているなんて冴月からもDS研からも聞いて居ないぞ!?」

「そりゃ、此処で異界開きをしたのは初めてでありましたからな、連合としても未知の異界でありましたから態々自分が呼ばれた訳でありますし・・・」

「その言い方だとまるで裏世界が幾つも有る様な言い方だな?」

「そ、それに!裏世界に貴方と居た怪異は何ですか!?」

「なに?」

「アレは連合で使っている無人歩兵の異界・・・あなた方のいう所の裏世界用のカスタム機でありますが?」

「それで信じられるともでも?アレじゃまるで・・・」

「・・・」

 ライドウの説明に対してそれ迄沈黙していた空魚は突如口を開いた。矢継ぎ早に話す彼女の言葉は聞き取りずらいが要点を纏めると、どうやら彼女の右目で見た時にこのライドウと言う女が連れていた存在は余程異質に映ったらしい。
 質問を浴びせられていた当の彼女は、自分の前に置いていた緑茶を飲みながら何か考え込んでいる様であったが、空魚が一通り言葉を吐き出すのを待って徐に口を開いた。

860 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2023/04/09(日) 23:11:02 ID:p582141-ipngn1402akita.akita.ocn.ne.jp [146/174]

「成る程・・・聞きたい事は解ったでありますが・・・良いのでありますか?」

「な、なにが・・・」

「知れば唯では済まない情報が存在するという事は、ああした世界に身を浸している其方ならわかると思うのであります」

「その口振りだとあなたの使っていた装備は、秘匿性の高い又は軍事機密に属する物であるという事ですか?」

 ライドウと空魚との会話に口を挟んだのは鳥子であった。彼女は家族が軍と関わりが深かった事からそう言った物にもある程度理解があり、ライドウの口調からそれが軍事機密に属する物であるという事を察したらしい。しかし、ライドウは鳥子の言葉に少し違うと言うと話を続けた。

「確かにそれもあるであります。
 この手の調査や行動に関しては通常は軍事行動・・・それも秘匿レベルの高い物で有るのは確かでありますがこの場合自分が言いたいのは、知る事で縁がつながる事であります」

「縁・・・?」

「つまり、あなたが話す事は所謂自己責任系の話ってこと?」

「オカルトに関してはそっちの方が話は早いのでありますな・・・そういう事であります。知ればソレと縁を作るという事。縁という物は些細な事でも繋がるであります。
 そして簡単には切れない、関わる度、知る度に縁は深く成りやがて因縁となる。そうなればもう足抜けは出来ないであります」

「つまり、今ここでその話を聞いたら私も巻き込まれるって事か?勘弁してくれ!私は巻き込まれるなんで御免だぞ!」

 ライドウと鳥子や空魚の話をどこか他人事に聞いていた小桜も流石に自分も巻き込まれるとなれば黙っている事は出来ず、持っていた湯飲みをテーブルに強く置いて抗議した。唯でさえこの二人に散々に怖い目に遭わされていた小桜からしたらこれ以上の面倒ごとに巻き込まれるのは勘弁願いたい物で有ったからだ。しかし、その事を聞いたライドウは
怪訝な顔をする。

「?巻き込まれるも何も・・・小桜女史はこの手の怪異を研究しているのでないでありますか・・・コレからDS研に接触する以上はあなたは寧ろ彼女達以上に深く知らなければならない立場でありますよ?」

「え・・・?はぁ!?」

 思わず声を上げたまま固まってしまった小桜を肯定と見たのかライドウはさらに話を続ける。

「我々の仕事はこの星に発生している異界・・・其方で言う所の裏世界の調査であります。そうなる以上、データを抱えるDS研に接触するのは必然であります。
 女史もDS研の客員研究員だった人物との関係を今でも続けて居るのであれば、当然関わってくることであります。対して其処の二人はあくまでもフリーで危険地帯に入り込んでいる一個人である以上、関わらないのであればこれ以上の関係は当然薄くなるであります。だから、今ならまだ引き返せるという事であります。」

 ライドウにそう言われた小桜は力なく椅子に座り込み頭を抱えた。自分がまきこまれる事が確定した事のショックは思ったよりも大きくダメージは深刻な様子で有った。

「さて、それでは改めて・・・と言いたいところでありますが、二人とも覚悟は決めている様でありますな」

「どのみち裏世界で会うなら余計な騒動は避けたいし・・・」

「私も今回みたいなことが有ると困るかな?」

「解ったであります。しかし、コレに関しては大きな機密に関する事でもあり、二人にも当然守秘義務はついて回るでありますよ?」

「そこは・・・ほら・・・元から銃刀法に引っ掛かる事しているし・・・」

「それはそうでありますな・・・」

これまでの会話からライドウが話の解らない人間ではないという事が解り若干打ち解けた雰囲気となった3人と未だにショック状態から気絶してしまった一名を置いて話は進む
話を一端切ったライドウは全員のお茶を入れなおすと再び対面の席へと座り真相を話し始めた。

861 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2023/04/09(日) 23:11:50 ID:p582141-ipngn1402akita.akita.ocn.ne.jp [147/174]
「先ほど言ったようにコレは高度な軍事機密に関わる話であります。
 二人が目撃した自分が連れていた存在は悪魔と呼ばれる存在であります。そして、それを召喚、使役するのがデビルサマナー・・・自分は大洋連合の中心である日本、その帝都守護を預かる葛葉ライドウの21代目と言う訳であります。」

「悪魔って・・・」

ライドウの言葉に眉を顰める二人であったがそう言った事も織り込み済みなのか話は続けられる。

「悪魔と言っても単に一神教に置ける敵対者という事では無く・・・多くの怪異や神話に語られる神々等の超常の存在を我々召喚師は悪魔と呼ぶのであります。」

「そ、そう急に言われても俄かには・・・」

「こればかりは見せた方が早いで在りますな」

 そう話したライドウはおもむろに端末を出すと操作を行う。それと同時にライドウの後ろに光の柱が伸び、その中から彼女達が裏世界で見た全身を赤い装甲で包んだ兵士が2名と民族服と思われる物に身を包んだ少女、茸と骸骨を混ぜた様な形容し難い見かけの存在が現れたのである。

「空魚・・・」

「うん、あの女の子も人間じゃないし・・・私達の見た奴だ・・・」

「いま自分が召喚したものは其方の見たヨミクグツを除くと、チェルノボーグとモーショボーと呼ばれる悪魔であります・・・まあ、信じる信じないは其方の自由でありますが・・・」

「すくなくともあなたがとんでもない物を飼っている事は解りました・・・」

「まあ、此方と接触すればいやでも見る事に成るでありましょうから、今はこうした能力を持った存在が連合の裏には居るという事を知っておけばいいであります」

 そう言うとライドウが呼び出したとする存在は、再度光に包まれると現れた時と同じように光の中へと消えた。それを確認したライドウは再度淹れていたお茶を飲み干し鳥子と空魚の方へと向き直した。

862 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2023/04/09(日) 23:13:52 ID:p582141-ipngn1402akita.akita.ocn.ne.jp [148/174]
「さて、自分の事を知ってもらった訳で在りますが・・・ここからはビジネスの話であります。連合側としては二人との契約を望んでいるであります。」

「契約って言うと守秘義務とかそっちの?」

「端的に言えば此方も人が足りないのであります。だから、二人を連合の裏世界の調査員として雇いたいのでありますよ、勿論依頼して危険地帯に赴いて貰う以上、相応の報酬は渡すであります。」

「それは魅力的ではあるけど・・・それって今までも大して変わりないしメリットはそんなに無いんじゃ・・・」

「それと武器に関してであります。二人は今は裏世界で拾った武器を使用しているでありますね?見た所、裏世界に落ちている武器がほとんどでありましたし・・・」

「まあ・・・」

「料金とは別途に此方からある程度武器弾薬を含めた装備の支給を行うであります。」

「それは有難いかな姦姦蛇螺の時は武器も足りなかったし・・・」

「ほう、その存在は初めてしりましたな・・・自分が見たのは八尺様とくねくねだけでありましたし・・・」

 裏世界での情報をライドウと交換しながら彼女たちの話は続いて行く。その後、間もなく巻き込まれる事の確定した小桜も再度起き上がり話を詰める事と成るがその後小桜も例に漏れず悪魔の存在を疑った事で召喚されたライドウの仲魔たちを見て再び気絶し、説明の手間が更に掛かってしまった事をここに記しておく。
 また、報酬として定期的な裏世界報告だけでも高額な謝礼が振り込まれる事知った二人だが大学のレポート以上に大変な調査報告書を作る事になるのであるがコレは別の話である。

863 名前:ナイ神父Mk-2[sage] 投稿日:2023/04/09(日) 23:14:27 ID:p582141-ipngn1402akita.akita.ocn.ne.jp [149/174]
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最終更新:2023年08月27日 15:41