704 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/04/18(火) 21:09:12 ID:p0026446-vcngn.gifu.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp [11/22]
とある日の昼食時、令和日本のゲート派遣軍トップの伊勢中将が読んでいた新聞をテーブルに投げ出し何とも言い難い表情を浮かべていた。
それを見た昭和日本の栗林中将、平成日本の狭間陸将の二人が伊勢中将の座っていたテーブルに腰を掛け話しかける。
「どうされました伊勢中将、何か問題でも?」
その質問に対し伊勢は投げ出した新聞を2人に渡し、「まあ読んでみてください」と答えた
「では失礼して、なになに、稲垣首相木下氏を大臣格全権としゲート世界に派遣」
「ふむふむ木下氏の派遣により政権は交渉での事態の収束への決意を世界に示した。早期の和議が見込まれる…と」
「読んだ感じ、伊勢中将がそのような表情を浮かべるような内容は見当たりませんが」
「そうですね、早期の和議が見込まれるの下りはやや勇み足のような気はしますがこれはただ、早期に解決してほしいとの願望が現れたものと言えますし、そう難しい表情を浮かべるようなこととは思えませんが」
「いえ、狭間陸将この人事によって少なくとも我々令和日本だけは早期に解決すると決まったようなものです。
少なくとも、稲垣総理が発表した「帝国」に飲ませる4つの条件を早期に「帝国」がのむのは確定したようなものです。
少なくとも令和の世ではそう判断するだけの人事だと言えるのです」
「それは興味深い話ですね」
と、昭和平成両日本の外交官がコーヒー片手に現れ会話に加わる。
「そう確信されるほどにその木下氏は優秀な方なんですね」
その言葉に伊勢は
「優秀?そんな可愛いものじゃない。あれは化け物いや、もっと名のつけしがたき異形の何かだ」
「な、なんかすごそうな人ですね、一体どんな人なんです」
「ふむ、彼についての予備知識があったほうが驚かなくてすむでしょう」
そう前置きして伊勢は話し始める
木下とは帝大での同期だったのですがその時点ですでにその企画立案実行力は群を抜いてましたよ
彼は帝大の軽音部に所属していたのですが、自分がバンドを組んで演奏するのではなくライブをプロデュースする方をメインに活動してたんですよ。
そのプロデュース力はすごくてアマチュアに過ぎないサークルのバンドが下手な芸能人より大きな箱を連続でフルハウスにしてましたからね。
実際就活の時期には大手の芸能事務所やメディアからプロデューサーとして働かないかとの誘いがあったくらいです。
705 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/04/18(火) 21:09:56 ID:p0026446-vcngn.gifu.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp [12/22]
そんな彼が選んだ進路が官僚でした。そこでも彼の能力は群を抜いてて、数々の難題を解決してたみたいです。
ただ奴は官僚としてかくあるべしという規範を屁とも思ってなく。きわどい、それこそ違法すれすれのスタンドプレーを連発してました。
それだけに上とは衝突を繰り返してました。結果さえ出せれば家庭などどうでもいいと公言してその通りに行動するからいい加減頭にきた上に閑職に回されそうになったんですが。
それに待ったをかけたのが今の副総理兼財務大臣の和泉藤高議員です、議員は不幸は分かち合うものだろうと言って他の省庁に転属させて仕事をさせるのを繰り返しました。
それが木下を日本史上最強の官僚にしたと思いますね。
彼は上の受けは悪かったですが部下からすれば上司の無茶ぶりの防波堤になり無茶な行動は多いが結果はしっかりと出している、それに部下の査定も公正で冷や冷やさせられることを除けば理想の上司だったと言ってましたからね
そんな木下の転機が稲垣政権の発足だった、和泉議員づてに木下の存在を知った総理は「そんなに優秀なら上の方でこき使え」
そう命令したそうですよ、そうなるともう水を得た魚です。一番難しい部署に落下傘降下よろしく派遣されては陣頭で指揮を執る
何しろいろんな省庁に回されてきたからコネやらなんやら持ってるから、彼が一声かければほぼ全省庁が動く。
前に一度一緒に仕事をしましたが働きやすかったですよ。彼に相談すればすぐ反応が返ってきて支援が飛んできましたからね
ここまでなら普通に優秀で済むんですが、そんな彼の名を高らしめるじけんが3年前に起りました
アラビア半島の小さな首長国の間でかなり大きな油田が発見されたのがきっかけでした
双方ともにその油田は自分たちの者だと主張して戦争一歩手前になったんです。最初は周辺の首長国が仲裁に入ってましたが効果がない。
それでアラビア半島の覇権国家であるオスマントルコ帝国に仲裁を頼んだが両者一向にひかない
困り果てはトルコ帝国は日本に仲裁を頼んできたんです、もうこれでだめなら戦争しかないそんな状況でした
706 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/04/18(火) 21:10:36 ID:p0026446-vcngn.gifu.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp [13/22]
そんな状況で日本は最強のカードである木下氏を全権として派遣したんです、あとはあっという間でしたよ。
まず両国の首長を呼び出して、木下とその通訳の4人だけで人払いをした密室で2時間それであれだけ揉めた案件が解決しました。
両者に株式49%日本に2%開発は日本が請け負い利益を株式の%に応じて配当するとの、穏当な形に落ち着いたみたいです。
しかしその会談に参加した通訳は
「あんな恐ろしいと思ったことは今までなかった、これからもないことを祈る」
とだけ言い残し
両首長は
「絶対にもめ事を起こすな起こせば日本が、木下がくる」
とひどくおびえていたそうですよ。それ以降アラビアでは聞き分けのない子供に
「聞き分けが無いとキノシタがくるよ」
と叱るようになったそうですよ、旅行者に聞いたので間違いないはずです。
そのあと同窓会で一度だけ会ったんですが、その時今までとは違う、こんなに恐ろしい男だったか?と思いましたね
「これが私の知る木下という男です」
「はぁ、なんというか」
「正直私は彼の相手をする帝国上層部に同情してますよ、昭和平成の御両所、この戦争早期に集結する可能性が高いから
両国ともに落としどころをどうするかを早く決定したほうがいいと政府に伝えるべきです。出ないと今勢力圏下にあるイタリカを失うことになる。
そう伝えてください」
そういうと伊勢は新聞を脇に挟んで去っていったのであった。
707 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/04/18(火) 21:17:32 ID:p0026446-vcngn.gifu.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp [14/22]
というわけでゲート
夢幻会の憂鬱でした
wikiへの掲載はご自由にどうぞ
稲垣政権のエース完了ですがスタンドプレー上等の問題児でした
物事は結果を出すのが重要で家庭はどうでもいいと考えてる人間なので
権限が大きくなるほどその能力を発揮する人物です
次回はヤオ登場で炎竜編です
下記貯めた分が切れたんで間があくかもしれませんがよろしくお願いします
冷石でした。
最終更新:2023年05月19日 20:37