747 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/04/19(水) 17:46:38 ID:p0026446-vcngn.gifu.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp [17/22]
ヤオ・ハー・デュッシは歓喜の絶頂から絶望のどん底に突き落とされていた

「…申し訳ないが、君の要請に応じることはできない」

通訳の少女がそう茶色と緑の人達の代表者の言葉を無情にも翻訳し発した時に


  ゲート 夢幻会の憂鬱

ヤオが通訳の少女に何かの間違いであってくれと縋り付こうとしたとき
大きなノックの音が入り口から響いた

「おう、伊勢。水くしゃーやないか。こんな大事な話にワシを呼ばんとは」

そんな言葉を言いながら底抜けに明るいオーラをまとった貧相な小男が入ってきた。

貧相、そうその小男は小さいうえに痩せぎすで、アンバランスなほど大きい目がより男を貧相に見せていた
しかしその発する底抜けに明るいオーラがそれを中和している、そんな印象を与えていた。

「おう、そちらのダークエルフのお嬢さんやな、わしらに助けを求めにこさっせたのは」

笑顔を向けられたヤオはぺこりと頭を下げるしかなかった。
その男の登場が絶望のどん底にあったヤオに再び希望を抱かせることになる。

「そんで、話はどうなっとる?うけるんか?」

「いえ、断る旨を今伝えたところです」

「なんでまた」

そうとわれ伊勢は彼女の部族の元には他国の国境を越えねばならず、そのため受けるわけにいかないことを男「木下吉郎対特地全権」に話したのである。

「ふんふん、なー伊勢よなんでわしを呼ばんか。其れこそわしら外交官の仕事やろが。
おい、環と昭和平成の外交官を呼んで来い」

そう言いドッカと空いている椅子に腰掛ける。その言葉に慌てて彼をその部屋に案内した令和日本軍の下士官が部屋を飛び出ていった。

数分後部屋には昭和平成の外交官と木下の補佐官が来ていた。

「まー、そんで軍が敵対しとるわけでもない国の国境を超えるわけにあかんで軍を派遣できん。そー言っとるわけやが」

「ええ、そういうわけで要請を断ることにしたのですが」

「たしかにそうやにゃ、けどな、通れんから断るちゅうのはいかにも無情すぎる。
レレイちゃんそのダークエルフのお嬢さんに伝えてくれんか?これからワシがちょっと行って軍通れるよう交渉してみるでその話受けるって」

「木下全権いきなりそのようなことを言われては…」

「伊勢、昭和平成両国はともかく令和(うち)はワシが全権を委任されとる。そのワシがやるゆうとるんやぞ」

その言葉に伊勢は黙る

「おい環、こっからその国の首都まで一番早いので何日かかる?」

「はい、ココから最速の乗り物を使い護衛なども含めると3日はかかるかと」

「そか、レレイちゃんつたえてくれんか?一週間以内に国境を軍が通れるようにしたるって。
そんで炎竜をひと月で退治したる」

はあとため息をつきつつ伊勢は

「どうせ木下全権の事ですから、我々に国境沿いまで移動しておけというのでしょう?」

「おう、伊勢。わかっとるやにゃーか。ああついでやで、交渉が始まる日に対炎竜戦を想定した実弾演習もたのむわ」

ヤオは急な話についてけず目を白黒させて尋ねる

「ありがたいのですが、一か月というのは無茶です。部族の元まで移動だけでひと月以上かかります」

「その辺なら問題ありませんよヤオさん我々の移動力は歩くのとは比べ物になりませんから」

「ま、そうゆーことだぎゃ、それこそ大船に乗った気でおってちょ」

その言葉にヤオは涙ながらに礼を言うのであった。

「そんでまー、昭和と平成の司令のお二方あんたらはどうすん?一緒に来てくれるんならついでだであんたらの軍も国境通れるようにするけど」

「通れるようにしていただけるのであればわが軍は受けることに否やはありません」
「我々自衛隊もです」

「ほかほか。よし、伊勢、護衛と移動用の車両の用意せえ」

こうして木下の登場から数分急転直下で炎竜の退治に軍を派遣することが決まったのである。

748 名前:冷石[sage] 投稿日:2023/04/19(水) 18:00:40 ID:p0026446-vcngn.gifu.nt.ngn.ppp.ocn.ne.jp [18/22]
とりあえずゲート 夢幻会の憂鬱でした
wikiへの掲載はご自由にどうぞ

木下氏登場です尾張弁きついのは仕様ですが、普段使ってる言葉ですが文章にするのが意外と難しい

感想等お待ちしております。冷石でした。

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最終更新:2023年05月19日 20:37