78 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2023/03/22(水) 23:26:29 ID:110-130-209-191.rev.home.ne.jp [4/89]
では、お言葉に甘えまして…
この戦車は九七式や百式のような純国産戦車ではなく、M3やM4のようなレンドリース車両でもない異色の戦車である。
第二次世界大戦でいよいよ国家崩壊が現実のものとなり、ソ連は日英同盟等と事実上の軍事同盟を締結。
各種資源や補給物資供給の担保として、基礎冶金技術から装甲車両開発技術を担保として提供してきたのである。
その中には傑作と名高いT-34どころか当時としては最新鋭のT-44戦車の開発技術、生産ライン構築さえ含まれていた。
ソ連としては安全な後背地である日本でこの戦車の製造を委託し、自国への供給を強く望んでいた。
しかし赤軍将校団のクーデターなどによりソ連邦そのものが崩壊してしまい、日本は事実上無償に近い形で赤軍装甲車両技術を入手した。
T-44戦車は過渡期のT-43の技術問題を概ねに於いて解消し、装甲配置の最適化や乗員配置レイアウトの合理化の実施。
機動力も変速機こそ難物だったが不整地においても良好であった。第一生命MBTのはしりと言っても間違いではない戦車である。
ただし主砲の85ミリ砲は日英、合衆国と全く互換性が存在しないため、既にライセンス生産を行っていた17ポンド砲に換装が行わた。
機甲本部と三菱重工などではやはり17ポンド砲を搭載戦車が開発されていたが、T-44を原型とした車両は何より寸法と重量が控えめなこと。
鋳造砲塔、増設構造車体ともに避弾経始に優れ、鹵獲したパンターの長75ミリ砲の戦闘距離射撃にも十分耐える防御力を有すること。
軽快な車両、トーションバーサスペンション、水冷ディーゼルの組み合わせにより軽快な機動力を持つことから、本車が三式として正式採用された。
無論、全てが順調だったわけではない。原型のT-44は砲安定装置などを有さず、M4の垂直安定装置に慣れた戦車兵にはやや不評だった。
更にはソ連式の変速機が戦時急設計故に未成熟で、国産戦車のそれにすら信頼性と操作性に劣るのは、難点とすら評された。
火力と装甲の改善から初期不良に目を瞑られ一定数が前線に送られたが、たしかに戦える戦車だが扱いにくいという評価はつきまとった。
しかし試作戦車を勝ち取れなかった三菱重工、砲生産を担当する日本製鋼所等の尽力。ソ連式ディーゼルに興味を有する米英の技術協力獲得に成功。
最終的に海軍の水雷ジャイロの技術さえ用いた国産砲安定装置、合衆国及び英国と共同開発のトルクコンバーター式の半自動変速機等を採用。
これにより実用性を著しく改善することを達成しており、昭和19年以降の生産型は初期型とは別物の実効性能を戦場で発揮し始めた。
79 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2023/03/22(水) 23:27:36 ID:110-130-209-191.rev.home.ne.jp [5/89]
30トン代に抑えた車体重量とM4と大差ない寸法というのも、ソ連から技術現物を持ち出せたこともあり高い量産性を担保している。
これが何を意味するかと言えば、当時制海権と航空優勢獲得により安全化、効率化された海路を介して、次々と三式が到着するということである。
黄色人種の戦車など何するものぞ(実態はそれ程楽ではなかったが)と構えていたドイツ装甲部隊は、急速にその優位を失うことになる。
しかしドイツ軍も容易に勝利を譲る気はなかった。海軍こそバルト海のヨーロッパロシアに逼塞したが、陸では未だに負けていない自負が存在した。
また彼らはいわゆる劣等人種_我が国軍捕虜やロシア人、ポーランド人等を収容所で奴隷労働にさえ従事させ、生産効率を大幅に改善。
まず当面の主力となるパンター中戦車をG型という生産性に優れたモデルに集約させ、ヤークトパンター駆逐戦車とともに生産リソースを集中。
更には所期の計画ほど効果がないとされたE計画の技術を適用し、パンターの装甲配置効率化と駆動系信頼性改善を行ったパンター2。
今後、防御戦闘が多発することを鑑みて、やはりE計画の技術を援用して生まれた60トンの怪物-キングタイガーさえ生み出した。
17ポンド砲はこれら新型戦車に対しても有力ではあったが、初期のAPDSの性能不安定性などもあり、三式も何らかの性能改善を要求された。
まずは浸炭鋼板を増設した装甲強化型からはじまり、戦争の長期化に伴い日英共同開発で生み出された新型戦車砲。20ポンド砲への換装も行われた。
この新型戦車砲は砲身長66口径、84ミリという超長砲身戦車砲であり、被帽付徹甲弾を用いてさえ1000mで200mmを超える貫通力を有する。
無論、単肉水圧自緊の軽量構造で生み出され、当初より砲安定装置との連接を前提に作られた、高性能な戦車砲であった。
しかし三式に搭載するにあたっては砲塔直径、内部容積の不足などの不具合をきたし、重量増大に伴い砲塔旋回速度なども低下してしまった。
最終的には砲塔直径と内部容積の拡大、車体レイアウトの見直しを行い、根本から設計を改めた六式中戦車として昇華することになる。
とはいえそれまでの間は容積拡大のため安定装置をあえてオミットし、発射速度と砲塔旋回速度低下を承知で火力向上を行わねばならなかった。
このように生まれも近代化も異色の戦車ではあったが、最終的には六式という近代化型を含めて陸軍機甲部隊の大幅な戦力向上に貢献している。
また20ポンド砲という新型戦車砲はポテンシャルが非常に高く、新型弾薬採用だけでなく、ボーリングにより105ミリ高初速戦車砲に進化。
英軍ではL7の名前で採用されたこの105ミリ砲を搭載した六式改良型は、実に1960年代まで近代化を重ねつつ国軍機甲部隊を支え続けた。
80 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2023/03/22(水) 23:28:41 ID:110-130-209-191.rev.home.ne.jp [6/89]
英国製の戦車砲と合衆国式の変速機を備えたT-44、そしてイスラエルのティランよろしく最終的にはL7を搭載した和製T-54/55と相成りました。
D-10Tを採用するのも十分ありですが、将来の発達余裕や軽量性などを考えると20ポンド砲を前倒しにし、最終的にL7に繋げるのも宜しいかなと。
ソ連式の原設計故に居住性が悪い。装甲を貫通された後のダメコンが劣っているなど欠点もありますが、ナチスドイツ装甲部隊には恐らく対抗できます。
後はこの時の各種共同開発のつながりを用いて、後々に六式やセンチュリオンの後継として日英共同でチーフテン戦車が生まれるかもしれません。
ドイツ装甲部隊の猛威を目の当たりにしたパットン将軍も一枚かませろと、どこかM48やM103の血筋も入った戦車となるかもしれませんが。
合衆国から莫大なレンドリースがあってこそとはいえドイツ軍と総力戦を行いつつ、戦後MBTの始祖を作るとかソ連全盛期の戦車は凄いもんですね。
まあT-62以降が技術の焼き直しの繰り返しになりますんで、米英の血筋を交えて新たな戦車の開発が必須になるんですが…
最終更新:2023年06月18日 22:22