306 :YVH:2012/03/09(金) 00:10:12
※拙著>>40の加筆修正版です。

大日本帝国陸戦隊VS銀河帝国軍装甲擲弾兵の模擬戦。


 ー日本サイドー

「・・居るなあ・・一杯。射撃用意っ!敵さんが突っ込んできたら
 染め上げてやれっ!真っ赤にな・・・」


 -帝国軍サイド-

「日本側は陣地を構築して、我らを待ち受けております」

部下からの報告に、装甲擲弾兵総監・オフレッサー上級大将はニヤリと獰猛な笑みを浮かべて答えた。

「ほう・・・ゼッフル粒子散布下の設定で、銃撃戦とは面白い。
 たっぷりと教育してやろうじゃないか・・・第一部隊、突撃せよっ!」

総監の命令で、装甲擲弾兵の一団が訓練用の戦斧を振りかぶって
雄叫びと共に、日本側に突撃して行った。

 -日本サイド-

その様子は、こちら側からも見えていた。

「来たぞ・・マシンガン部隊、構え・・・撃っ!」

指揮官からの命令でマシンガン部隊は発砲を開始した。周囲に連続した銃撃音が響く。

それに怯む事無く突っ込んでくる装甲擲弾兵たちだったが、
次々と二十ミリ特殊染料弾に被弾して真っ赤に染まっては‘ナイゾウ ハレツデ シボウ‘だの
‘トウブ フンサイデ シボウ‘だの‘ウワン コッセツデ セントウリョクテイカ‘だの、
‘ダイタイブ カンツウジュウソウ シュッケツタリョウ サンジュップンゴニ シボウ‘だの
散々な判定結果を出して、日本側に敗退した。

次は日本の番である。

日本側は自陣の前に、両側に車輪の付いたミシンのボビン状の物体を大量に並べ、指揮官の命令で
それらを敵陣へと解き放った。
解き放たれた物、大英帝国軍から委託されて日本側で試作された撹乱用兵器‘パンジャンドラム‘は
IFFに反応しない生命反応を感知して、それらを追い回した。

 ー帝国軍サイドー

‘パンジャンドラム‘の群れが突入したこちら側は、大混乱になった。

「何なんだよっ!これはっ!?来るんじゃねーっ!!」

複数のボビンの群れに追われる者がいると思えば、

「くそっ!逃げても逃げても、追い付いて来やがるっ!!」

兎に角、必死に爆走してくる物体との鬼ごっこを強要されている者がいる一方

「く・・来るなーっ!!」

始めて見る、訳の分からないボビンの群れにパニックを起こす者等、阿鼻叫喚の世界が
彼方此方で出現していた。

パンジャンドラムに追い回されて逃げ惑う者たちが居る一方、一部の兵たちは
訓練用の戦斧で迎撃に出たが、戦斧が上手くヒットしてパンジャンドラムが横転した瞬間
内蔵されていた特殊トリモチ弾の洗礼を浴び、その場に張り付く事になった。

307 :YVH:2012/03/09(金) 00:10:53
そんな阿鼻叫喚の騒ぎの中、オフレッサー総監は自分を伺う視線を感じていた。
その視線に嫌な予感を感じた彼は、長年の戦場暮らしで鍛えられた勘に従い
急いで今居る場所から離れた。

刹那、今まで彼が居た空間を何かが高速で通過していった。
それは通過する瞬間ネット状に広がり、不幸にも射線上に居た兵を捕らえ
そのままの勢いで近くの壁面に彼を貼り付けた。

「ぬぅ・・・特殊部隊か、小癪な真似を・・・!」

貼り付けられた部下を見て、オフレッサーは忌々しそうに呻いたが
何かに気付いたのか、行き成り背後に持っていた訓練用トマホークを振るった。

「ほう・・・気が付かれましたか・・・」

トマホークには何も手応えはなかったが、丁度トマホークの間合いの外から
姿は見えなかったが、そんな声が聞こえてきた。

その‘姿の見えない何者か‘にオフレッサー総監は鼻を鳴らしながら答えた。

「フンッ。姿は見えないが殺気で位置が丸分かりだぞ。
 さっさと姿を見せろ」

その言葉が終わるか終わらないかの間に、声の聞こえて来た辺りの景色が歪み
銀色の仮面に生物的な装甲服(?)を纏ったドレッドヘアーの人物が現れた。
その両肩にはキャノン砲らしき物が装着されていた。先程の物はそこから発射された物らしい・・・

「お初にお目に掛かります。
 大日本帝国軍・第四特殊部隊所属、柘植正就大尉です」

姿を現した柘植大尉はそう自己紹介をすると、背中に装着されていた棒状の物を引き抜いた。
それは引き抜かれて柘植大尉が構えた瞬間、槍状に変化した。

それを見たオフレッサーは、自らも名乗りを上げた。

「・・俺が銀河帝国軍、装甲擲弾兵総監・オフレッサー上級大将である。
 掛かって来い大尉、稽古をつけてやる」

余談だが、このやり取りの間にも、幾つ物のパンジャンドラムがオフレッサーを襲ったが
それらは悉く野球ボールの様に‘トマホーク‘で‘ホームラン打球‘に変えられており
遠くに飛ばされては横転して、あらぬ方向にトリモチを虚しく吐き出していた・・・

 閑話休題。

総監の名乗りに大尉は短く‘・・参る‘と答え、オフレッサー総監に挑みかかって行った。
その後の激闘はA○Pを再現するという表現がぴったりするほどの激闘だった。
大尉が槍で一突きにしようとすれば、総監は巨体に見合わない俊敏な動きで避け
槍を戻そうとする大尉に横薙ぎにトマホークを叩きつけようとする。
それを大尉はバックステップで避け、着地と同時に腰にマウントされていた
フリスビー状の武装‘レーザーブレード‘をオフレッサー総監に投擲する。
それを総監はトマホークで叩き落そうとするが、その隙を窺っていた柘植大尉が
飛び込み前転をして総監の懐に飛び込み、腕から伸びた近接戦用ブレードで胴を横薙ぎにしようとした時
彼はトマホークを片手で持ちながら腰から戦闘用ナイフを引き抜き、それを受け止めた。
その瞬間、模擬戦終了の合図が響き渡り模擬戦は終わった。

日本側は帝国軍を翻弄出来たが、敵指揮官を討ち取り損ねた結果となり
画竜点睛を欠いた感が否めなかった。
この結果を踏まえ、大日本帝国軍三長官達は自軍の戦術ドクトリンの構築を
関係各部署に指示した。
また、帝国軍側もこの模擬戦の結果を見て、対日戦を想定したマニュアルの作成を開始したという・・・

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最終更新:2012年03月17日 13:59