570 名前:ひゅうが[age] 投稿日:2023/04/08(土) 21:16:30 ID:p6280002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp [142/235]


 ルノーG1R-bis戦車

全長:5.57m
全幅:2.94m
全高:2.8m
重量:32.5トン
武装:40口径75㎜SA44戦車砲×1 13.2㎜機関銃×1(ARL42砲塔)
装甲:主砲塔全面60+15㎜ 主砲塔全周60㎜ 車体正面60㎜ 側面40+20㎜ 
エンジン:ルノー(R)4ストロークV型12気筒水冷ディーゼル500馬力
サスペンション:トーションバーサスペンション方式
最大速度:48Km/h(不整地)

【解説】――第2次世界大戦中にフランス国軍が配備した中戦車である
戦間期に開発されたルノーD2戦車の後継として計画され、紆余曲折の末にペタン政権成立後のフランスにおいても開発が継続。フランスの枢軸側での参戦に際して大量生産が開始された
もともと歩兵戦車として開発されていた本車であるが、フランス独自ともいえる委員会方式による設計案の統制と発注先が次々に変更されたことによって開発は遅れに遅れ、モックアップが完成した頃には第2次世界大戦開戦を迎える
大戦勃発に伴い開発委員会は重戦車と随伴の軽戦車の生産に集中する決定を下すも、戦車設計者であったルノーは開発が最終段階に入っていた本車の完成を行うべきと強硬に主張
そうこうしているうちにフランスの戦いでフランスは敗北し第3共和政は終焉を迎えた
休戦条約下で開発が一時停止された本車であるが、バトルオブブリテンの終結に伴い情勢に変化が訪れる
大戦の長期化が予想され、ピエール・ラヴェル副首相ら親独派政治家によって枢軸国側に立つか少なくともフランス植民地帝国を連合国側から防衛するための「再軍備」が求められ始めたのだ
占領を免れたフランス国内では表向きは中立を標榜しつつ軍備の急速な再編成が進むことになる
さらにフランスの戦いにおいて高度な機動力を発揮したドイツの「電撃戦」により旧式化していたフランス戦車群の中にあって中戦車でありながらも当時としては強力な本車に白羽の矢が立った
独ソ連携によりソ連から提供されていたT-34戦車(生産は少数で終わったが枢軸国側に与えた影響は極めて重大であった)の情報もありフランス国軍はまずは独仏休戦条約の範囲内での本車の量産を計画
1941年2月には作業が再開される
この段階においても本車はルノーの先進的な設計から設計が旧式化しておらず、フランス国軍の期待は大きなものとなっていた
こうして1941年9月、初期型のルノーG1Rが完成し初期の部隊配備が開始される
このまま生産が継続されるかと思われた1942年5月、バルバロッサ作戦の開始により独ソ戦が勃発
この時点でピエール・ラヴェル首相の独断でソ連打倒後の対英参戦密約を結んでいた(これに反対していた首相のダルラン提督は辞任を余儀なくされていた)ペタン政権はソ連から捕獲された少数のT-34の供与を受ける
航空用ディーゼルエンジンを転用したアルミ製の新型ディーゼルエンジンに加えて主砲の76.2ミリ砲の威力とバランスのとれた車体構成に感銘を受けたフランス国軍当局は本車の大規模改修を決定
主砲を長砲身の40口径75ミリ砲に改修し、砲安定装置や初期型ではオミットされていた半自動装填装置の配置に加えてステレオ式測距儀を備えた新型の鋳造式砲塔ARL42への換装とともに400馬力ディーゼルエンジンをT-34用の500馬力ディーゼルエンジンに換装
防御力向上のために追加装甲を施しながらも安定して不整地で48㎞/hの快速を発揮することが可能となった
1943年1月のヒトラーによる総力戦演説とその後のフランスの枢軸国参加ののちは大量生産体制に移行し、1945年頃に予定されていたブリテン島上陸作戦に全師団に配備を間に合わせるべくまずはフランス本国軍に優先配備が開始された
結果として植民地軍への配備は大きく遅れ、帝国陸海軍とアメリカ軍による仏印進駐やマダガスカル作戦では(配備する手段がなかったとはいえ)配備が間に合わず、1943年末から1944年にかけてのトーチ作戦発動時には200両あまりがアルジェリアに配備されていたのみであった
しかし上陸してきたアメリカ軍相手には本車は大きな威力を発揮
ドイツアフリカ軍団のティーガーやティーガーⅡという巨大な「槌」ではなく「金床」として参戦初期のアメリカ軍を大いに苦しめた

571 名前:ひゅうが[age] 投稿日:2023/04/08(土) 21:17:06 ID:p6280002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp [143/235]
北アフリカ戦線が末期症状を呈していた1944年後半にはフランス本国内の師団における更新はほぼ完了
時代遅れの設計のために配備が断念された重戦車ARL42に代わり、ソ連から鹵獲されていた85ミリ砲に主砲を換装したさらなる改良型も実戦配備の途につきつつあった
だが海上における優勢は未だとることができず予定されていた英本土上陸作戦は延期が続き、結果として彼らは遊兵化してしまったことは否めない
また、この頃から本格化した連合軍の本土爆撃でまず標的にされたのがフランス本国の軍需工場であったこと(そして食糧生産力をはじめ戦争遂行能力を根底から砕かれていったこと)から改良型の生産は大きな遅れを見せていった
アントワープ上陸作戦時には既に末期症状を呈しつつあったペタン政権下のフランス本国においても1000両以上が健在であったものの、山下奉文元帥指揮下の遣欧第1軍集団によるフランス本国突入直前にペタン政権は連合軍に降伏
本格的な戦車戦は経験せずに済んでいるが、もし実現していたとしても恐竜的な進化を果たしていた第2次世界大戦後期の連合軍戦車に対抗するにはどうしても力不足であっただろうといわれている
派生型として155ミリ榴弾砲を搭載した駆逐戦車型も存在するが、少数生産にとどまっている

572 名前:ひゅうが[sage] 投稿日:2023/04/08(土) 21:50:39 ID:p6280002-ipoe.ipoe.ocn.ne.jp [144/235]
というわけで、需要があるかどうかわからないフランス戦車について一本
本当はARL44量産とかネタに走りたかったのですが、思いのほかマトモなものができてしまいました
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最終更新:2023年06月18日 22:18