840 名前:陣龍[sage] 投稿日:2023/05/03(水) 13:54:20 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [36/44]
『四式対空墳進弾』

第二次世界大戦時、アメリカ軍は従来の時限信管とは一線を画す近接信管と言う新兵器を開発し、大量に実戦投入するに至った。
時限信管には必須の時間調整も不要、敵機に対し最適な場所で信管が作動、炸裂するこの信管を搭載した砲弾によって、
対艦攻撃を仕掛けるドイツ航空隊に『爆炎と鋼鉄の壁』と称された程の濃密な対空弾幕を更に高精度にする域に至った。

そして一方、日本でもこの近接信管を独自に開発し、後にアメリカからレンドリースにて大量に入手した工作機械等を使い開発量産するも、
アメリカとは違い未だ発展途上であった日本の工業力では、砲撃時の衝撃に耐え得る近接信管を工場で量産する事は厳しく、
試験に置いては最良でも炸裂した日本製近接信管は三割未満と言う散々たる結果となり、この結果を見た戦後に日本の政財界並びに産業界が
異様なまでの熱意をもって、日本の基礎工業力向上に心血を注ぐのであるが、それはさて置き。

通常の砲弾搭載では時限信管より尚悪い有様になった日本製近接信管であったが、日本人固有の『勿体ない』精神と軍官僚等の
アメリカ等に対する見栄と言うかメンツが重なり、砲弾より掛かる負荷が少ないロケット弾に搭載して対空戦の新兵器とする事をでっち上げ、
かなり強引に見切り発車すら含めた量産配備が行われた。戦時中と言えどもこの件は問題ともされ、戦後の『幣原粛清』にて
問答無用に軍部の兵力激減をする理由の一つとされたとか。


そんな裏事情は兎も角、前線に送られたこの『新兵器』を受領した日本陸海軍航空隊は、訝し気な顔をしつつ数度実戦投入してその実力を確認するなり
諸手を上げてこの『新兵器』の更なる補給を要請した。ナチスドイツが開発した最初期型の物や後世で開発された対空ミサイルとは違い打ちっぱなしであるが、
先制で一撃目を一方的に撃ち込めると言う利点は強く、また炸裂すればほぼ確実に敵機を撃墜可能な高威力も、パイロット達を惚れこませるのに十分であった。
そして戦場で度々使いこまれるに連れ、先行した日本機が対空墳進弾をドイツ空軍の編隊へ一斉掃射し、回避運動を強いられたドイツ機へ
機体の頑丈さを生かした急降下、急上昇で背中や腹を見せた所へ突撃する米軍機、更に乱れた敵機の元へ日本機が格闘戦を挑むと言う、
一部ベテランは兎も角一般のドイツ航空兵には対応能力を飽和させる多重攻撃の戦法が作られて行った。対抗策としてドイツ側が分散するのならば、
各個撃破の好機として集中してくるのだからドイツ人にとって悪辣以外の何物でも無い。


その後、この日本製の新兵器を欲しがったアメリカ軍にも、本土での生産が整った事で一定数供与され、とある黒羊の部隊章と名物隊長が有名な
部隊に初配備され、そして続々と米英機も装備を始めたが、この被害を被っていたドイツ側の反応は何時もの総統閣下が日本を徹底してこき下ろす
演説を行っていた事で政治的に同様の兵器の開発は行えていなかった。そもそも近接信管を今更大量生産するだけの国家予算の余裕も無く、
更に既に世界初の対空ミサイルも使われていたからなのであるが、生産性の差からドイツ側がミサイル一発撃つ間に『四式対空墳進弾』が
10発降り注ぐ勢いで有る為、見た目の派手さは兎も角実質に置ける被害数の差は多かった。ドイツが誇る数多のエースたちも、
この近接信管付きロケットランチャーにより戦死を遂げたものも多い事からも、死に物狂いでナチスドイツ、引いては多くのドイツ人が否定した
『日本人の技術と工業力』は、紛れも無く列強級と称するに違わなかったはずである。

841 名前:陣龍[sage] 投稿日:2023/05/03(水) 13:57:16 ID:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp [37/44]
|д゚) 空気読んでない自覚は有りますがドイツ滅殺ルートで日本軍が投入して居そうな新兵器ネタを。
    原典製作者様であるひゅうが先制が否定すれば存在しない者として下さい

実際自力生産だと精度的に近接信管がアメリカ並に使える事は無い気もしますので、架空戦記とかでは
割と稀に良く目にする気がしないでも無いロケット弾搭載と言う事で

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最終更新:2023年05月27日 20:07