608 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2023/05/21(日) 09:04:35 ID:M014009102000.v4.enabler.ne.jp [5/9]
近似世界 【地中海海戦】2
【前哨戦】
9月下旬、連合艦隊司令部は捷号作戦の開始を宣言。作戦の為に編成された第三戦闘群に対して、アデン湾および紅海の枢軸国潜水艦隊を掃討することを命じた。
この頃までにスエズ運河を渡河しヨルダン川西岸近郊にまで到達していた枢軸国軍は、運河を通じて多数の潜水艦を地中海から紅海~アラビア海へと展開させていた。
第三戦闘群の護衛空母はアデン湾口に到着すると、積極的に対潜ヘリや哨戒機を発艦させて湾内の潜水艦を捜索・撃破していった。
枢軸国、特にドイツ海軍のUボートXXI型は高い速度と静粛性を持ち、米英海軍に対しては相当な優勢を保っていた。しかし、日本海軍のソナーや磁気探知機は既にUボートの確実な探知が可能なレベルに達していた。また、日本軍艦艇が搭載していた対潜前投兵器(対潜迫撃砲)も、高い精度でUボートにダメージを与える事ができた。
一説では、この時に25隻のドイツ軍潜水艦と7隻のイタリア軍潜水艦を撃沈したとされ、湾の制海権は早々に連合国側へと取り戻されることになった。
【スエズ上陸】
10月17日、日本軍はスエズ運河の紅海側両岸に海軍陸戦隊が第三戦闘群の戦艦、巡洋艦群の援護のもと上陸した。
スエズ市に駐留していたイタリア軍大隊が第一報を発信するも、同時刻に行われた第三戦闘群の護衛空母航空隊による空襲、イランから出撃した空軍の戦略爆撃部隊の爆撃によって、運河周辺一帯の枢軸国軍の陸上部隊は釘付けにされた。
スエズ市の橋頭堡の制圧を完了した日本軍は、後続の陸軍部隊の上陸を待ってからカイロ・アレクサンドリア解囲に向けて前進を開始した。
枢軸国軍は日本軍の上陸作戦の可能性を察知していたものの、イラン方面から陸路で進攻する可能性も捨てきれず、結果的に兵力を分散することとなった。
アレクサンドリア・カイロ両岸都市を包囲していたDAK(ドイツアフリカ軍団)と、その指揮官エルヴィン・ロンメルは、スエズ方面との連絡網の充実と、装甲部隊の機動力を生かした機動防御によって広範囲の守備を行おうとしていたが、度重なる空襲によって移動を制限され日本軍の上陸を許すこととなる。
10月18日に、ドイツ軍機甲師団の一部が遅滞攻撃を行うものの大損害を受けて敗退。
19日から20日にかけて上陸した山下奉文将軍指揮下の日本陸軍第25軍とDAKの主力装甲部隊が衝突するも、これを退けてカイロを解放。
この時の活躍から、山下将軍は「スエズの虎」と呼ばれることとなる。
22日にはアレクサンドリアを解放し、日本軍はスエズ運河の安全を確保することに成功した。
609 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2023/05/21(日) 09:08:20 ID:M014009102000.v4.enabler.ne.jp [6/9]
【キプロス沖海戦】
10月25日、主力である日本海軍第一および第二打撃群がスエズ運河に到着する。
同日の現地時間午前8時10分頃、第一打撃群の軽巡洋艦「阿武隈」を旗艦とした駆逐艦複数からなる先鋒部隊が運河の通過を始めた。
運河近辺に居た情報提供者からこの情報をもたらされた枢軸国は、機動が著しく制限される運河近辺で日本艦隊に打撃を与えるべく、イタリア海軍の空母3隻を主攻とする機動部隊を急行させる。
同時に、キプロス島の基地航空部隊へスエズ運河への攻撃を発令した。
午前8時30分、第二打撃群の攻撃隊(戦闘機64機+攻撃機128機)がキプロス島の枢軸軍施設に攻撃を開始する。
特に、キプロス中部のニコシア航空基地が重点的な攻撃を受け、駐機中だった戦闘機・攻撃機の全てが爆撃によって喪失し、滑走路も破壊されている。
8時35分にはティンボウ基地も爆撃を受け、離陸準備中のドイツ・イタリア空軍部隊は壊滅的な被害を受けた。
同時刻にアクロティリ基地にも攻撃が行われ、滑走路や離陸準備中の機体が半数近く破壊された。
キプロス島の枢軸軍は直ぐに、各地の掩体壕に分散して隠匿されていた機体を配備して再編成を試みたが、この空爆によって海空の連携は初手から躓くこととなった。
10時42分、空母「隼鷹」の偵察機がキプロス島の西方洋上で、攻撃隊を発進させている途中のイタリア海軍空母機動部隊を捕捉する。
この報を受けて第一打撃群の先鋒部隊は、スエズ運河中腹のグレートビター湖で停止し、「阿武隈」を中心とした輪陣形を組んだ。
同時刻、スエズ湾に待機していた第一打撃群の空母4隻から攻撃隊120機(戦闘機48機+攻撃機72機)が発進し、イタリア機動部隊を目指して北上していく。
11時20分、イタリア空母3隻より発進した攻撃隊120機(攻撃機90機+戦闘機30機)が、ポートサイド上空で日本海軍航空隊の迎撃部隊(戦闘機72機)と接触する。
本来、イタリア攻撃隊はキプロス島から出撃する戦闘機部隊の援護を受ける筈だったが、先の空襲によって予定が狂い、意図せず攻撃隊単独で突入する形となっていた。この戦闘で、イタリア攻撃隊はその過半(推定80機程度)を喪失した。
11時35分頃、乱戦の中で超低空に待避したイタリア攻撃隊の少数機がグレートビター湖上空に侵入したが、第一打撃群先鋒部隊の対空砲火によって全機が撃墜された。
同時刻、キプロス島西方洋上を航行していたイタリア機動部隊を第一打撃群の攻撃隊が捕捉した。
この際、キプロス島に残存していたドイツ空軍部隊(Ta183フッケバイン、31機)と、第一打撃群攻撃隊所属機(零式艦戦三二型乙、24機)による世界初のジェット戦闘機同士による実戦が行われた。
結果としては、十分な管制を受けた日本軍機が軽微な損害(損傷機5機、後に自力で帰還)のみでドイツ軍機28機を撃墜するという一方的なものに終わった。
11時39分、南東方向から突入した彗星攻撃機複数が高速緩降下爆撃を実行。
外縁部の駆逐艦が真っ先に攻撃を受けると同時に、速力で対空砲火をすり抜けて、イタリア海軍空母「スパルヴィエロ」に爆弾を投下。
投下された500キロ爆撃16発の内、10発以上が命中し、「スパルヴィエロ」の飛行甲板は瞬く間に炎に包まれた。
41分頃、別方向から突入した攻撃隊が空母「アクィラ」に爆弾を投下。
複数発の爆弾が、側舷を貫通して燃料・弾薬庫で炸裂。
「アクィラ」は中央部から大爆発を起こし、船体が真っ二つに折れて轟沈することとなる。
続く11時43分、空母を護衛していた重巡洋艦「ザラ」「フィウメ」に爆弾が投下され、相次いで大破する。
同時に、空母「ファルコ」の前部エレベーターに2発の爆弾が直撃し、格納庫内まで爆発の影響が伝播。飛行甲板が捲れ上がるように大爆発を起こし大破、後に轟沈した。
結果的に、イタリア機動部隊は空母3隻と重巡2隻、駆逐艦9隻、航空機180機以上を喪失した。
一方、日本軍の損害は攻撃隊の被弾損傷が20機程で、喪失機は無かった。
僅か数分間の間に、枢軸海軍の地中海における最大かつ唯一の機動戦力を喪失したことは大きな衝撃を以て迎えられ、以後、日本海軍への対処は艦隊と基地航空隊の連携を絶対条件として考えるよう通達された。
また、不足した戦力を補う為に、正統フランス政府(以後、枢軸フランス)艦隊の一部が地中海に転進した。
610 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2023/05/21(日) 09:12:08 ID:M014009102000.v4.enabler.ne.jp [7/9]
【零式艦戦三二型乙】
発動機を推力5300kgfのターボファンエンジンに換装。固定武装を20ミリ輪胴式機関砲2門から20ミリ回転式機関砲1門に変更し、射撃レーダー含む新型FCSを搭載した改良型。
機外兵装は主に空対空多連装噴進弾か、ポッド式の20ミリ機関砲を搭載していた。
この時期の空対空誘導弾は比較的誘導性能が低く、鈍重な対大型機専用となっている為あまり装備されていない。
【Ta183フッケバイン】
機体構造はTa 183 Design IIIで、推力1400kgfのターボジェットエンジンを搭載。固定武装は20ミリ機関砲4門。
他にも55ミリ空対空ロケットや、ルールシュタールX-4空対空ミサイルを搭載可能。
611 名前:奥羽人[sage] 投稿日:2023/05/21(日) 09:13:59 ID:M014009102000.v4.enabler.ne.jp [8/9]
以上となります。
地中海海戦の前半戦ということで、イタリア空母群は速やかに退場させられました。
最終更新:2023年06月23日 20:08