640 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2023/05/21(日) 23:50:24 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [73/123]
——Bouclier de Maréchal(元帥の盾)——
Bouclier de Maréchal(元帥の盾、略称BoMa)とは、フランス連邦共和国(FFR)において開発された簡易増加装甲である。
Bétton de Maréchal(元帥のべトン)を主成分としており、従来の爆発反応装甲と比較して製造・維持コスト共に低減に成功している。
第二次世界大戦後、OCUで開発された爆発反応装甲はその効果の高さから各陣営に急速に普及した。
FFRもその例に漏れず、特許の壁の隙間を芸術的センスでくぐり抜けて実用化し、ルノーG型やH型の増加装甲として採用した。
しかし、この爆発反応装甲というものは使用して見ると中々に厄介なものであった。
文字通り「爆発」するものであるから、起動した際に随伴歩兵が巻き込まれる事態が多発したのである。
また成形炸薬弾に対しては大きな効果を発揮するが、純粋な運動エネルギー弾には効果が薄かった。
運動エネルギー弾対策は爆発反応装甲の鋼板を厚くするという方法もあるが、どちらにしても随伴歩兵の被害は無視できない。
爆発するのであるから、装備する車両本体にも一定の強度を必要とされるのも問題だ。
主力戦車ならばともかく、歩兵戦闘車では不安が残るし一般車両には装備不可能である。
そして、爆発反応装甲は「爆薬」であるため専門知識と資格を有した兵士が管理しなければならず維持コストも意外と高いのである。
さらに、平時には爆薬を適切に管理するために保管庫に入れておかねばならないため必要となった際はその都度爆薬を充填しなければならない。
このように、爆発反応装甲というものは簡易増加装甲と言うものの決して取扱いは簡易ではないのである。
(実際、本家本元のOCUでは旧式戦車には採用されているが、現行世代の戦車は自前の装甲のみで爆発反応装甲は装備していない)
そこで、FFRが爆発反応装甲に代わる増加装甲として開発したのがBoMaである。
641 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2023/05/21(日) 23:51:51 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [74/123]
BoMaの基本構成は厚さ100mmのBé・Ma(元帥のべトン)である。
以前解説した通り、BoMaの強度は従来のべトン(=コンクリート)の12倍である。すなわち、厚さ100mmのBoMaブロックは厚さ1200mmの要塞外壁に匹敵するのである。
これはロシア帝国軍が採用したRPG-7の通常弾頭を確実に防ぐ能力がある。
(RPG-7の装甲貫通力は約300mm、成形炸薬弾のコンクリート壁への貫通力は装甲板のそれの約2倍である)
しかし、BoMaの構成要素はこれだけではない。BoMaは例えるならば「サンドイッチ」なのだ。
Bé・Maが「具」であるならば、「パン」の役割を果たす封入材の存在が不可欠である。
歴史を振り返るとコンクリートを増加装甲とする試みは幾度か見られる。第二次世界大戦中の米国陸軍や英国海軍が有名であろう。
しかし、これらは「失敗例」として記録されている。
期待した防御力を得られないばかりか、被弾するとコンクリートは粉砕されてその破片が周囲の歩兵を襲ったのである。
防御力に関してはBé・Maを採用したことで解決しているが、それだけでは被弾時の周辺被害はそのままである。
これでは爆発反応装甲と変わらない。
そこで、被弾時の破片飛散を防ぐ封入材が必須なのである。
BoMaは封入材の種類によりA型、B型に分けられる。
A型は「超高分子量ポリエチレン」を採用している。
これは、21世紀初頭の「我らが指揮官」改修にも採用された素材であるが、2010年代には民間にも広く普及しているため入手は容易である。
そしてA型は民間の中小建設会社でも製造可能であることを目標としており、その目標は概ね達成されている。
そのため、A型は主にフランス国内軍で採用されている「簡易型」という扱いである。
しかし簡易型と言っても超高分子量ポリエチレンは正規軍のヘルメットにも採用されたことがある歴とした防弾素材である。
このためA型の防御能力はRPG-7の2重弾頭、もしくはドイツ帝国軍の「パンツァーファウスト3」の通常弾頭に耐えられる水準となる。
そして、BoMaが爆発反応装甲と決定的に異なる点は運動エネルギー弾に対しても優れた防御力を発揮する点である。
実験ではA型でもルノーH型の105mm装弾筒付翼安定徹甲弾を完全に防いでいる。
コンクリート壁を破るには炸薬の爆発力が重要な要素となるので、炸薬がない「矢」である装弾筒付翼安定徹甲弾は不利なのである。
(それでも通常コンクリート壁換算で1000mm近い貫通力はあるのであるが)
本命であるB型は封入材にFoDi(悪魔の分岐路)とPeRo(ロランの皮膚)の複合材を採用している。
こちらも正規軍工兵隊ならば前線で製造が可能なほど生産難易度は低い。
FoDiの特性により小銃弾や小口径機関砲弾は着弾しても弾かれてしまい、着弾の衝撃はPeRoが吸収する。
FoDiの特性には成形炸薬弾も影響されるため、貫通力は大きく減衰されてしまう。
しかし、B型が最大の防御力を発揮するのは装弾筒付翼安定徹甲弾に対してである。
B型に着弾した装弾筒付翼安定徹甲弾は、FoDiの特性により横向きに大きな力が作用する。
これにより、装弾筒付翼安定徹甲弾の侵徹体は折れてしまう。
装弾筒付翼安定徹甲弾の貫通力は侵徹体の長さに比例するため、折れて短くなった侵徹体はそれだけ貫通力も低下するのである。
実験ではビヨット主力戦車の120mm砲に耐えたほどである。
日本軍の新世代戦車に採用された140mm砲に関しても、完璧ではないがその運動エネルギーの過半を消費させるであろうと期待されている。
また、べトンの塊であるため維持コストも大幅に低減されているのも特徴だ。
こうして開発された新増加装甲はBouclier de Maréchal(元帥の盾)と命名されて2010年代初頭よりFFRで採用された。
主力戦車のみならず、歩兵戦闘車はもちろん軽装甲車両にも問題なく装備できる本装備により、FFR陸軍各車両の生存性は大きく向上されたのである。
642 名前:モントゴメリー[sage] 投稿日:2023/05/21(日) 23:52:40 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [75/123]
以上です。
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悪魔の分岐路とロランの皮膚を活用したFFRオリジナルアイテムでございます。
当初はA型のみでしたが、悪魔の分岐路とロランの皮膚を考案したあとに
「これ…元帥のべトンと組み合わせたら最強じゃね?」
と天啓を受けてB型が生まれました。
最終更新:2023年06月23日 20:50