今なお合衆国四軍、司法執行機関で多数が用いられているカモミールM16自動小銃は、時代と共に近代化も継続している。
特に大きな仕様変更型として知られているのが1970年代に制式化され、80年代には広く輸出も行われたM16A5である。
A5の原型は日本国軍、戦闘警備隊の小銃・分隊支援火器弾薬更新トライアルに提出されたM720である。
1950年代ともなると欧州連合、英連邦双方で従来型小銃弾への対応を果たした戦闘防弾チョッキが幅広く普及。
大日本帝国はこれに対し1957年に共通弾薬火器構想に基づく新小銃、新型実包の開発募集を行った。
その気合の入れ方は国内企業だけでなく、満州連邦奉天増兵処や合衆国のカモミールなどの参与を募ったことからもうかがえる。
M16の原型となったAK-12の段階で7.62ミリNATO弾。あるいは高初速の6.5ミリグレンデル弾へ対応を果たし、M16はAK-12はその強度を凌駕している。
特に銃身、レシーバーの強度余裕は非常に大きいため、カモミールは特殊部隊向けの6.8ミリ中間弾ベースの強化実包を開発。
銃本体の持つ大きな強度余裕から問題なく対応を果たし、これをM720の名称で提出。日本軍や戦闘警備隊からの評価も良好であった。
しかし帝国日本の大手銃器メーカー。日ノ本製作所はAK-12よりも進んだ。史実のSIGザウエルMCXに相当するモジュラーライフルを開発。
更にはコストの上昇を承知で薬莢にアルミ、真鍮、スチールからなるハイブリッド素材を用いた高性能6.8ミリ弾を開発し最適化。
またAR-9を扱ってきた兵への習熟性もよく考えられており、やや高コストながら高性能と扱いやすさで69式突撃小銃として正式採用を勝ち取った。
これはAK-12やMP443の順当なブラッシュアップの成功と、それに基づく大きな市場確保に成功し天狗となっていたカモミール銃器部門。
その鼻を盛大にへし折ると同時に、史実西側の軍事技術の蓄積の厚み。それに大陸日本の国力をかけ合わせた恐ろしさを再認識させた。
彼らは紛うことなき先進技術を使いこなす強敵であり、我らは何時の間にか成功の連続でそれを甘く見ていたと反省を促された。
69式突撃小銃-日ノ本製作所名AR-69に敗れて以降のカモミール銃器部門は、この反省を次のチャンスへ活用すべきと決心。
まずは持ち味を活用するべく高品質素材とその低コスト化の開発をこれまで以上に推進し、製品全体の簡素化と堅牢化を追求。
その上で史実西側技術も自家薬籠中の元して、史実東側の無念解消以上のスタンスを目指し始めることとなった。
701 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2023/05/24(水) 18:52:54 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [163/261]
まずもって世界最強の国家。そして合衆国最大の同盟国にして、ハワイ条約機構の盟主である日本の共有弾薬火器構想の実働。
それは合衆国においても軍、司法執行機関が用いる小銃、分隊支援火器、狙撃銃などの実包更新の必要性の同義語である。
故に合衆国軍より、6.8ミリX51ミリ規格弾への対応銃器。まず突撃銃、分隊支援火器からの更新が国内複数企業に打診された。
日本の新小銃トライアルに破れたりとは言え、高い実績を持つカモミールにもお呼びはかかり、彼らは普段と異なり淡々と受諾。
日頃のノリの良さとは対象的にどこまでも冷静に、既存小銃と分隊支援火器をベースとした6.8ミリ口径火器開発に着手した。
当面は急速な実包更新に間に合わせることが肝要とカモミール銃器部門は決心、経営部門もこれを支持。
後にM16A3/A4の名前で正式採用される6.8ミリハイブリッド/非ハイブリッド実包に応じた、社内名称M740より開発を実施。
マイクロロッキングラグ、レシーバー、バレル、ストックといった主要部品を、高強度低コストな合金鋼と軽合金、合成樹脂で構築。
M720を含むM16既存型に比較して倍近い強度を更に確保し、高強度故のさらなる部品点数減少に努めた。
強度を重んじたため軽量化はさほどでもなく、従来型のM16に比べ200g程度の範疇に収まっているが、取り回しに不足はない。
また素材技術の向上により伸縮銃床の標準化を行い、戦闘状況に応じた全長の変化も無理なく達成している。
AR-69がAR-9の操作性を継承したように、M740も既存のM16に扱い慣れた兵士や警察官に寄り添ったのである。
一方の分隊支援火器については既にM1931の名前で普及している北米版PK軽機関銃、その改良型の開発に舵を切った。
軽便性という意味ではM1914やM1930の名前で採用されたRPD、RPKリファインモデルのほうが確かに好ましい。
しかしインドシナ紛争の戦訓において、これらは些か射撃継続と投射弾数に問題ありと一線部隊から評されたことも大きかった。
既にM1931は史実PKPと同様の空冷機構付銃身を備え、性能自体は申し分なく、後は軽量化とさらなる高強度化を追求。
M740と同一規格素材を適用することで、本体重量を7キロ代まで軽量化しつつ6.8ミリハイブリッド弾をほぼ無故障で射撃試験を突破。
当然部品点数も減少しており、M1914や1930の後継たる軽便な分隊支援火器としてやはりM1931A4の名前で採用を勝ち取った。
702 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2023/05/24(水) 18:53:41 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [164/261]
このように当面はカモミール独自の持ち味を活用し、合衆国内の市場をM16は維持することに成功している。
AR-69の民生版も米国内ではかなりの人気商品となったが、国軍や警察などにおいてはM16やM1931改良型の信頼は大きかった。
また安価な非ハイブリッド弾に対応。発砲をセミオートに限り弾倉を軍用の30発から20発としたシビリアンモデルも、良好な売れ行きを示した。
そしてカモミールが本当の意味で勝負をかけたのは、1970年代の終り_日米双方が6.8ミリ規格弾へ概ね更新を完了した頃である。
日本、
アメリカ、満州連邦、オーストリアなどの5.56ミリや7.62ミリ規格弾を用いる、ハワイ条約機構加盟国の国軍。
彼らの新世代小銃、分隊支援火器の更新はカモミールにとって大きな商機であり、また依然として高い技術を証明する好機であった。
正確には1978年より開発が開始された社内名称M760。後のM16A5小銃は、A3やA4と比べても設計が大きく一新されていた。
6.8ミリハイブリッド弾へ対応可能な高強度を獲得したことを用い、ほぼAR-69に比肩するモジュラーライフルへと設計を刷新。
必要とあらば一線部隊で特別な工具を必要とせず、銃身、駆動系、銃床など主要部品を迅速に交換可能な設計へ変更。
またAR-69採用当時に比べても更に進んだ防弾装備、そして実用化が見えてきたパワードスーツへの対応も行われている。
具体的には従来も行われてきたマルチキャリバー化を、7.62ミリハイブリッド弾やSLAP弾にさえ応じることで更に拡張させたのだ。
当然反動は大きく装填も20発弾倉となるが、マズルブレーキやサプレッサー、フローティングバレル、反動吸収ストック技術の向上で解消。
なお7.62ミリハイブリッド弾は最大のライバルでもある日ノ本製作所と共同出資で開発されたもので、性能は折り紙付きであった。
カモミールと日本企業との提携は実は歴史が長く、航空宇宙産業や戦闘車両。何より商業製品でのつながりは深かった。
日ノ本製作所としても急速に追い上げるライバルの一つであるカモミールとの提携は、技術面でも市場獲得でも都合は良かった。
かくして個人自衛用の猟銃から軍特殊部隊のマークスマンライフルまで、幅広くカバーしうる事実上の完全新型小銃が完成。
合衆国連邦軍や警察特殊部隊のタフガイ達は言うまでもなく、ハワイ条約機構加盟国軍の評価部隊にも幅広く試供を実施。
最小規格なら5.56ミリ弾を用いSMGに等しい小型版から、7.62ミリハイブリッド弾を用いるマークスマンライフルまで多様なモデルを提供。
703 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2023/05/24(水) 18:54:31 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [165/261]
同様の市場展開は当然、満州連邦奉天製作処の新型自動歩槍(後の86式)やオーストリア・ステアーのStg77も実施。
AR-69改良型・近代型を購入するには懐が厳しいが、同盟国と弾薬規格化を果たしたい加盟国市場でしのぎを削っている。
また日ノ本製作所と並ぶA&Nも同様のモジュラーライフルを市場展開を行い、まさに新小銃の戦国時代と言うべき状況に至った。
何れも性能、信頼性、コストのバランスの取れた優秀銃であり、どれかが一方的に市場を独占するなどということはなかった。
そのような厳しい競争の中でカモミール製のM16A5が合衆国内市場だけでなく、国外市場でもシェアを維持できたのは何故か。
これは銃本体の性能や信頼性だけではなく、カモミールという米国では異質な_どちらかといえば日本企業に近い体質が功を奏した。
一般に合衆国企業というのは非常に利害関係にドライで、カモミールもその例外ではないが、彼らはその上で取引先を見捨てない。
たとえ相手が左前になったとして、カモミールの傘下に入るに等しい状態となっても、アフターケアを含め支援する姿勢が支持されたのだ。
特にこれは加盟国の中でも中小国には有り難いシステムで、自国企業と合弁で代理店を構築。手厚い支援体制を継続したのだ。
このあたりはカモミールというより史実の平成日本より転生を重ねてきた者たちが、嘗て苦労させられた平成中期の史実。
極端なまでの自由化、リストラという名前の一方的な解雇、それに伴う契約内容の破綻などの苦い教訓に基づいている。
相手が違法行為などに手を染めない限りは、それこそ個人ユーザーに至るまでサポートが手厚い。その上で低コストがカモミールの売りの一つでもあった。
かくして完全には勝利しきれなかったものの_他国の同世代小銃も優秀品揃いだった_M16の系列は、21世紀現在でも多数が現役である。
その大多数が今やM16A5規格のモジュラーライフルであり、付属アクセサリを含めたマイナーチェンジも今なお継続されている。
無論、将来に向けた完全な新型小銃の開発も着手されているが、A5の性能と信頼性。発達余裕こそが最大のライバルとなっている始末である。
意外であるが最も多く売れたのは合衆国やハワイ条約機構の民間市場で、非ハイブリッド弾対応のセミオートモデルであった。
21世紀現在でも害獣駆除の需要は何処の国でも大きく、非ハイブリッドでも十分な性能、低コスト、分厚いカスタマーサポートが功を奏している。
悪質な犯罪者への販売防止などの努力もあり、軍民双方で何より安心して使える小銃として信頼を再度勝ち取ったのである。
704 名前:戦車の人[sage] 投稿日:2023/05/24(水) 18:56:27 ID:61-24-203-31.rev.home.ne.jp [166/261]
改訂版、以上となります。
今回の修正点は日本がどのような新型小銃の応募を行ったか、そこに一度はどう応じたのか。
また小銃以外に既に配備されているRPDやPK機関銃、その後継をどのように開発したか。
良質な顧客をカモミールが何故手厚くサポートしたか。この三箇所となりました。ご笑覧頂ければ幸いです。
最終更新:2023年06月23日 20:26