銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その二十一 ブリテンを統べるもの


『Lahaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』


魔女…解放されたローレライは怒りの歌を歌う。
今日という日は怒りの日、辱められた己の尊厳と捉えられた自分の不甲斐なさ全てを吸血鬼達にぶつける。
その歌でその場の第四帝国の吸血鬼達は鼻や耳から血、或いは血涙を流し血と臓腑を吐き出し絶命していく。


「ひぃぃぃぃ!?」「逃げろぉぉぉぉ!!」


その歌から逃れようと足掻くのは曰く主に祝福された者達、その実態は呪い、一生主の御下を歩くことは出来ない。
上位種と謳った傲慢なその姿は既になく自身が生み出した災厄に何故自分がと追われるその姿は見苦しい。
その中でも最も見苦しいのは吸血鬼達の長だ。部下を犠牲にし盾にして逃げていく。

それに合わせローレライも移動する。
魔女ローレライ…否ラインの乙女、女神の残照は己への不敬を、穢した者を決して許しはしない。
それが神というもの…ソレを見て米軍愉快な仲間達は焦る。


「どうすんだアレ!?」

「神剣ならどうにかならんのか!?」

『呪いの出力が上がっておる!現状守るのが精一杯…我らではどうにもならん!』


焦るのは柏木らも同じ、呪歌が止んだと思ったらまた始まった。


「ハァっ!!」

「シッ!!」


そのローレライを止めるべくナヨが、ネロが斬りかかる。
しかし金属音が響くだけでその刃は通らない。


「チィッ、硬い!」

「生半可な攻撃は通らんぞ!!」

「喰らえ!!」


アルトリアの聖槍も市街地でその真の力を発揮することが出来ない。
援護で銃撃も行われるが二人の攻撃が通らないならば通ることはなく文字通りの豆鉄砲でしかない。


「退いて!Fire!!」


ウォースパイトの砲撃やヴィクトリアスの航空攻撃も効果がなかった。
それらを気にせずローレライは歩みを進める。
ネロやウォースパイト達は一旦引くと柏木達の所に集まる。


「クソどうしろってんだ!?」

「アフロディーテサマ、あの歌を完全に止めるコトハ!?」

「外部へは最小限に止めてるけど…怒りから形振り構わず振りまいてるアレを完全に止めるのは無理ね。
生半可な実力じゃ腐っても女神だからあの通りだけど。」


フェルの質問に答える電子の歌姫の躯体に降りたアフロディーテ。
その姿は赤い髪ではなく電子の歌姫の緑色の髪の身体に女神としての衣を纏っている。


「そうだ!権能で大西洋異聞帯の様にアレを操って止めて下さい!そう「嫌よ。」、え!?」

「この身体はあの子のもの。あの子は誰かを傷つける為に誰かを心を蝕む為に生まれたんじゃないわ。
貴方達にそう願われて生まれた…この身体にある限り私はそれを逸脱する行いをする気はないわ。」


柏木は手段を思いつきアフロディーテに頼むが速攻で拒否され、アフロディーテはローレライに追い回される吸血鬼達に目をやる。


「あれ…残滓であれど女神を止めるなら寧ろあの弱きモノ…元人の吸血鬼共をさっさと始末した方が早いわよ。
人間が堕ちた人間にけりを付ければ納得もするでしょう。」

「ですがその為にはあれを一時的にでも止めなくては…。」

「対馬では大勢の深海棲艦や艦娘の協力があり、アマテラスサマもイザナミサマもいらっしゃいマシタ。
シカシそれらの方々より劣るとはいえ女神…この場でこの地の妖精サン達は協力してくれるでしょうが…、
アマテラスサマ達のいないワタシ達にそれが出来るでショウカ…?」

「それにヨーロッパは神去し後、一部は日本に流れ着きましたが…。」

237 名前:635[sage] 投稿日:2023/02/25(土) 17:42:13 ID:119-171-248-234.rev.home.ne.jp [52/92]

力を持ちながらもそれが出来るのか分からず唇を噛む柏木とフェル、
そして自分は何も力も持たない地位だけの英国の女王は手に爪が食い込む程に手を握る。
その女王の肩を叩く存在がある。


「いるよ。」

「貴女は…?」


声が響き女王が問う。その相手は白いキトンに青いヴェールを纏いその手に火を持つ女。
フェルと柏木がその名を呟く。


「「ヘスティア様…」」

「このブリテン島は神秘が薄れたけど…けど信じなさい。ここには薄れた神秘しか残ってないけど戻ってきた妖精達もいる…。」


その名は炉の女神ヘスティア、そしてヘスティアは大具足で巨人と戦う電を呼ぶ。


『今取り込み中なのですが!?』

「今すぐにキミの力が必要なの!!」

『だったら俺が変わるぜ!!』

『はにゃ!?ポルコ―トさん!?…お願いするのです。』


助けを申し出るのはとある少女と家族を助けた大西洋異聞帯の人工知性の生まれ変わり。
その申し出を受け電は大具足を降りヘスティアの下へと向かう。
ヘスティアは電に盾を…騎士達の円卓を、かつてのブリテンの中心を出すように言った。


「電ちゃん、円卓をここに…。」

「なのです!」


地面に置かれる円卓、その中央にヘスティアが火を置く。
それは文明の火、人が齧った果実の結果或いは巨神から与えられたもの。
そしてヘスティアの火は祈りを捧げるもの、人とそれ以外を繋げる架け橋でありその地の中央に座する存在。
火が灯された円卓はこの国の中心でありこの国の祭壇となる。
それを見送るとつかつかとアフロディーテは歩みを進める。


「貴女が祈りなさい、貴女が呼び掛けなさい。」

「え…?」

「女王陛下が!?」


声を掛けた相手は英国の女王。


「この地の王権を継ぐもの、この地の代表。この地の為に戦う存在は貴女しか喚べないわ。
この地に残った神秘の残照を撚り合わせ、人々の祈りを束ね。呼びかけなさい…。」


英国王室は極東の天津日嗣程神の血を絶やさず年月を重ねた存在ではなく無理難題も良い所。
それでも女王は頷いた。あの夢か幻かもしれぬ両親に誓ったのだ。二人に誇れる自分であると。
ヘスティアがその言葉に続く。


「相応しい器はある…戦艦ウォースパイト…戦争を忌む者、キミに降ろすんだ。」

「Really!?私は日本の艦ではないわ!そんなこと…。」

「キミにしか出来ない。その名の意味と勇気の代名詞となった名前、この地の守護者を降ろせるのはキミ以外にいないよ。」


そのヘスティアの言葉に戸惑いながらもウォースパイトは頷く。
アフロディーテは己が権能を以て、電子の歌姫の声を届ける。


『この地に生きる者達よ!この地を守りたいのなら…!隣に立つのもの守りたいのならば…!』


その声は届く。
今も戦う軍人達に、幼子を庇う親に、愛するものを守る市民に、守る為に戦い或いは歌い伏した者へも。


『歌いなさい…!祈りなさい…!祈りは力なり!力が祈りなれば!!』


女神…電子の歌姫は歌いだす。天命を受け大海原よりこの国は始まったと…。

238 名前:635[sage] 投稿日:2023/02/25(土) 17:44:13 ID:119-171-248-234.rev.home.ne.jp [53/92]

続き街角の市民が歌う。これこそがこの国の証と守護天使達が歌うと…。
戦う軍人達も叫ぶ。統べよ!ブリタニアよ紺碧の海を統べよ!と…。

全員が歌う。我らブリテンの民は断じて奴隷に成らじ!!


ブリテンの島中で叫ぶその声に押され女王は火の灯された円卓の前に立つ。


「ボクとアフロディーテ、ローマ皇帝ネロ・クラウディウス・クラウディア…そして騎士王アルトリア・ペンドラゴン…触媒としては十分なハズだよ。」

「ヘスティア様はドナタが来るのか分かってるのデスカ?」

「まあ…ね。完全な力持つ神はこの島にいないけど…前例あるしどうにかなるさ。」


フェルに渡された召喚の呪文(英国ver)を詠い女王が喚ぶ。古きブリタニアの神秘、とうの昔に失われたその残照を…。
民の声が、兵の雄叫びが、人々の歌と願いが呼掛ける。
女王が束ねるその祈り、その願い、その声に応える存在は確かにあった。

…しかし残っているのはものなどほんの僅か…戻ってきた妖精によりさらに少し神秘が戻ってきたがそれぞれが一柱にすら未だ足りない。
それぞれがならばと頷き合う。

アンヌヴンの大女王(Morgan le Fay)が…。
サン=タルバンの女王(Boudica)が…。
倒れなかった者(Andraste)が…。
湖の貴婦人(Viviane)が…。

己を民の歌う歌に歌われる存在(もの)とする…ブリテンの大地を守る為にその一つで彼女たちは一致していた。


電子の歌声が響く。この地に自由を見出した九柱の女神達。と。
伏せた市民が最後の力を振り絞った声が木霊する。汝の幸福の為に渚を整えたり、と
傷を負った軍人が血を吐く様に叫ぶ。比類なき美を冠ぶり正義を守る雄々しき心を秘めた祝福されし聖なる島、と。
皆が叫ぶ。女神よ、蒼き紺碧の海を統べよと。


嗚呼、降りる。神秘を失った島に…ブリテンに在った女神達が戦争を忌む者に降りる。
それはこの島を襲う戦争を忌む故に。

コリント風の重装歩兵の如き兜を被り盾を左に持ち右には海神の三叉戟(トライデント)。
妖精(ニンフ)を連想されるかの様な軽やかな白い衣…盾に描かれるはユニオンジャック。


「あの姿は…!」

「グレートブリテン島の擬人化、大英帝国を表す女神…!」


その名は…それはブリテン女神の総体…『女神ブリタニア』

239 名前:635[sage] 投稿日:2023/02/25(土) 17:44:52 ID:119-171-248-234.rev.home.ne.jp [54/92]



そしてウォースパイトの身体を借りる女神ブリタニアは柏木の方を向き言う。


「行きなさいMr.、Mrs.柏木…。あれを…ローレライを食い止めロンディニウムを守るはブリテンの女神たる私の役目…。」


それに頷きその声にを聞き終わる前、フェルはケッテンクラートを造成すると柏木はその後ろに飛び乗る。
フェルはそれを確認する間もなくアクセルを全開にすると夜のロンドンを駆け抜ける。


「貴方達はヒトとしての役目を果たして来なさい…。」


アクセルを吹かし去るケッテンクラートを見送るブリタニア。
ブリタニアは見送り終えるとローレライの方を向く。
その傍らに立つのは…。


「まさか姉上と共に戦場に立つ日が来るとは思いませんでした。」

「私はモルガンであってモルガンでないのですが…。」


騎士王アーサー王ことアルトリア・ペンドラゴン。


「かつては敵同士なれど現在(いま)は共にブリタニアを守る同士!頼むぞ、ブーディカ!」

「いやネロ帝…続けますが私はブーディカであってブーディカであ…!」


ローマ皇帝ネロ・クラウディウス・クラウディア。


「あートネリコ!姿形変わってるけど…ってことはこっちのトネリコか!?」

「え…あれがモルガン陛下!?」


駆け寄ってくるのは妖精國出身トトロットとパーシヴァル。


「はぁーまさかOld Ladyに神降ろしするなんて…。」


他にも源頼光やら源為朝(in浅間・智)、
仮面ライダーなゼルエやらシャルリとかウルトラマンなシビアにネメアに吸血鬼追って行った柏木夫妻…総勢十二名以上。
後、電…後に新生円卓とか呼ばれる面々である。


「ヴィクトリアスさんも英国艦だし他の方々も英霊とか異星人とかだし…なんか電だけ場違いな気が…。」

「いや、イナヅマ。ギャラハッド卿と融合してる貴女が一番相応しいと思うわ。」

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最終更新:2023年07月04日 21:33