銀河連合日本×神崎島ネタSS ネタ ゲートの先は神崎島もヤルバーンも無いようです欧州大戦その二十二 ロンドン市街戦終結
「シィッ!!」
「ハッ!!」
ローレライの攻撃を躱し、ナヨとパーシヴァルが一撃を加えローレライの体勢を崩す。
「どっせい!!」
そこへ更にトトロットが重い一撃をかまし吹き飛ばす。
ローレライとの戦闘だが女神ブリタニアの参戦とアフロディーテとヘスティアの二柱の支援により日本側の優位に進んでいた。
それにとどめを刺すこともなく遅滞戦闘を行っていることも拍車を駆けていた。
わざわざ殺す必要もない、ヒトの犯した罪を雪げば自ずとローレライは鎮まる。
『LaHAaaaaaaaaaaaa!!!』
呪歌はアフロディーテが尽く封殺、ヘスティアが皆に神秘殺しの火(弱)を与え、女神ブリタニアによるブリテン島からのバックアップがある。
そもそも負ける要素がない。
エンジンの駆動音を響かせ夜のロンドンを駆ける柏木とフェル。ケッテンクラートの履帯が石畳を削り上げ音を立てて曲がっていく。
黒い騎士なフェルが目標を見つけ叫ぶ。
「マサトサン!!」
「ああ!あいつだ!吸血鬼部隊の指揮官!!」
「クソッ!もう追いついたのか!?」
そこに居たのはローレライを操っていた時の小綺麗な姿からは予想出来ないほどに薄汚れた吸血鬼の姿。
元々は戦闘技術なぞない唯のアジテーター、周囲の者を扇動することでこの地位まで来た。
ローレライの攻撃を受け何も出来ず部下を盾にして逃げてきた臆病者。
己が元の性質をカリカチュアされ精神を弄くられたのだとも知らない哀れな罪人。
「わ、私は神に選ばれし帰天を行った使徒だぞ!?薄汚い人間はおろか貴様ら人間ですらない存在より高等な存在だぞ!
私を殺せばどうなるか分かってるのか!?」
そんなことを言う吸血鬼にフェルは怒りを抱く。
「あのハトサンがいつそんなことを言ったのデス…!」
フェルが叫ぶ。自分に異星の者すら道を示した存在が斯様なことを認めるものかと叫ぶ。
あの存在はこの地球(ほし)にある全ての生命を祝福していると。
そんなフェル(某焔の騎士)の肩を叩く柏木(某RX)。
「フェル…無駄だコイツ…対馬の時の左翼なんかと一緒…いや…弄くられてるみたいだからあれらより性質が悪い…。呪いでしかない。」
その言葉に己のは祝福だと激高する吸血鬼は懐から何かアンプルの様な物を取り出すと自分に打ち込む。
「真の帰天だ…私は自分の心に相応しき姿となる。ククク…これでお前たちは私に絶対に勝てない!!」
高笑いすると直ぐに苦しみだし己の身体を抱きしめる。
それを見て微妙な表情をするフェルと柏木、ココまで見事に小悪党振りを発揮しフラグ立てると思う所がある。
こんな奴がこれだけの被害出したのかと。
「なあフェル…。」
「何デショウマサトサン。」
「これってアレかな?」
「アレデショウ…特撮定番ノ…。」
そうしている間に吸血鬼に変化が起きる。
その身体は人間大から急激に数メートルへと巨大化し体中の組織が変質した悍ましい姿となる。
そして変化を終え自分の姿を建物のガラスに映る光景で見た吸血鬼は狼狽える。
『バカな…バカな…バカなバカなバカな!?首相に渡されたコレは帰天の為の薬のハズ!!』
「イヤ絶対アナタの性格だから合ってるデショウ…。」
437 名前:635[sage] 投稿日:2023/03/23(木) 07:23:47 ID:119-171-248-234.rev.home.ne.jp [87/92]
フェルは呟く。
蝙蝠の翼に山羊の頭に人間の身体しかし女性の乳房と男性器を持つ両性具有で左右の腕は女性と男性のもの…即ち悪魔。
「あれどう見てもバフォメット…だよなあ。」
『きっ貴様、貴様達のせいで!!』
「いや関係ないデショウ!?」
柏木の呟きで暴れ始める元吸血鬼、バフォメットぽい何かは周囲の建物をなぎ倒す。
しかし戦闘経験もなく訓練もしていない力任せ、彼の怪異殺し源頼光から防御重視短期集中ウルトラハードコースを施された柏木、
そして元ティ連機械化空挺団所属の弟子で現在も軍事訓練受けてなおかつ天照大御神のブースト受けてる二人に当たる筈もない。
ひらりひらりと躱され、太陽エネルギーの込められた一撃で元吸血鬼の身体にダメージが蓄積されていく。
「セヤ!」
『ぐわ!?』
フェルの一撃で体勢を崩す見た目バフォメット、その瞬間を頼光に扱かれた柏木は見逃さない。
叩き込まれた動作そのままに腰の太陽の力の込められたベルトより剣の柄の様な物を引き出す。
太陽の光のエネルギーがまるで刀身の様に伸びる。
なおネットではコメント数急上昇である。
剣術家でも杖術の使い手でもない柏木、彼が叩き込まれたそれを扱う為の動作は唯一つ、全身全霊で己の全体重を込めた一撃。
視聴者が昔見たヒーローそのままに元吸血鬼の身体に一筋の光を突きで打ち込む。
そしてそのままさらに全力でめり込ませると太陽エネルギーを流し込み元吸血鬼の背後より太陽エネルギーが噴出する。
『な、何故私がこんな目に…。』
「……。」
そんなことを呟く元吸血鬼に言いたいことはあったが柏木はめり込ませた光をそのまま横へ薙ぎ払い身体を引き裂いた。
薙ぎ払う勢いのまま身体を反転させる柏木、そして元吸血鬼に流し込まれた太陽エネルギーが解放され大爆発が起きる。
その刹那ローレライは動きを止める。
:一欠
:一欠
:一欠
:一欠
:一欠
その時の柏木の姿は言うまでもないだろう。コメントが全てを物語っていた。
こうして太陽(神)の子の活躍でロンドンでの戦いは終わりを告げ、
「ローレライが動きを止めたぞ!!」
「柏木がやりましたか…。」
ローレライは人の子が己に成したヒトの罪を雪いだことを知った。
吸血鬼達は敗走を始め兵達は歓声を上げ追撃、巨人らは女神ブリタニアが降臨した時点でこの地より退去させられていた。
その光景にロンドン中の市民や兵士達から歓声が上がる。
土着の大柄な妖精が英国陸軍の兵士の背中を叩き、ロンドンっ子がイゼイラ人にキスをする。
そんな種族を超え喜びを分かち合う光景がそこいらで見られた。
「おい!あれを見ろ!!」
そんな彼らに女神ブリタニアや騎士王アルトリア、そして女王が姿を見せるとさらなる歓声が上がる。
God Save The Queen、Rule, Britanniaなどの歌がそこらで歌われ始める。
日本人もイゼイラ人ダストール人もカイラス人もイギリス人もアメリカ人も神崎島の妖精も土着妖精も関係ない。
種族違えどこのブリテンを守り抜いた戦友達は肩を組み歌う。
その光景を見ながらフェルは呟く。
「何でショウ…なんかこう…戦いの終わりとして余りにもあっけないヨウナ…。」
「フェルフラグ立てんな…今はとりあえず勝ったことを喜ぼう…。」
「ソウデスネ。」
438 名前:635[sage] 投稿日:2023/03/23(木) 07:24:57 ID:119-171-248-234.rev.home.ne.jp [88/92]
未だ歓声やり止まないロンドンの街、ティ連や日本により街の至る所で炊き出しやら寝床の造成が行われている。
その喧騒から離れたバッキンガム宮殿。
緊急の避難所として解放されている他に臨時の本部でもあり銀連日本関係者高官には宿泊の為に個室も与えられている。
女王は激務どころでない働きによる疲れから既にベッドに入り、柏木夫婦も同上である。
そんな中宮殿の廊下に人影が一つ、その人影は窓から外を見ている。
「ここがロンディニウムに当たる都市…か…。みんな…今度は守れたかな…。」
先のローレライとの戦いに参戦した異聞帯のパーシヴァル。
彼は物思いに耽っていた。その脳裏に浮かぶのは思い出の空想だった日々か。
パーシヴァルは頭を振ると宮殿の廊下を歩き出す。
戦闘の後が廊下のそこかしこに残されているがこの宮殿は陥落せず。街も守り抜かれた。
常夜灯と窓から溢れる月明かりだけが照らす薄暗い廊下を歩くパーシヴァル。
宛もなく何かに導かれる様に…。
どのくらい彷徨っただろう。漏れる薄い月明かりに照らされた廊下。
その先に窓の月をぼんやりと見上げる銀の姿があった。
「ッ!…『 』…!」
その名を呼ぶ。
自分が姉と慕った記憶の中の姿まま、竜の骸と成り果てた筈の彼女がそこに居た。
こちらを向く彼女、記憶のままに柔らかな微笑みを浮かべる。
「ああ、パーシヴァルかい…話は聞いてるよ。」
記憶と同じ声音で言葉を紡ぐ。
「”初めましてパーシヴァル”、私の名はアルビオン。日本の龍だ。」
初めまして、片腕を出し握手を求める姉ではない”彼女”をパーシヴァルは呆然見る。
”彼女”であったが彼の知る”彼女”ではなかった。
運命とは角も残酷であった。
最終更新:2023年07月04日 22:02