285:陣龍:2023/03/01(水) 20:05:37 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
【『保護者』達の審査会】
「これはひどい…」
「なのです。なり立ての娘に寄って集って…」
「――――」
「あ、あの……飯崎、さん?」
「ホホエミガコワイヨー!!」
ダブルゴルシによる交流祭開催の儀が発表され、カフェテリアに居たウマ娘達がおウマさんのメジロマックイーン号と
サイレンススズカ号へ『虹の向こう』にどのような、どれだけの伝説のおウマさんが居るのか聞こうと殺到し、
アイドルの包囲陣が目じゃ無い胴上げ投手状態でてんやわんやになっている頃。ゴーストウィニングの元騎手とその元馬主は、
その『虹の向こう』から追い返された時の様子を、異世界の艦娘とおウマさん二名と共に視聴していた。
……シレっと約一名、群衆の対応を相方に擦り付けて抜け出し、群衆の外側でこの場に居るのだが、良かったのだろうか。
「しかし、これで腑に落ちたよ」
「なにがです?」
「如何に『虹の向こう』の名馬たちが更なる鍛錬を積み上げていたとしても、幾ら何でもゴーストが手も足も出ずに敗退するのがおかしいと思っていたんだ」
「……自分の愛馬がけちょんけちょんにされて納得いかないのも分かるのですが」
「理由はちゃんとあるよ、一応贔屓の引き倒しはしていない積り」
視界の端では胴上げモードのまま流れと勢いでカフェテリアの外へと搬出されて行くメジロマックイーン号とサイレンススズカ号が
例の『?でしょ…』の顔で、助けを求めてか右手を伸ばしつつ此方を見ているのを華麗にスルーし、
訝し気にゴーストの専属騎手であった竹内騎手兼トレーナーを見る電との会話に挟まりに行くトウカイテイオー号。
「若しかして、レースが三頭立てで少なかった事?」
「…?それがどういう事なのです?」
「なんかね、レース映像とか見ていたら、あのゴーストウィニング号って、他馬の動きと音に【紛れ込んで消える】って感じがしたんだ」
「……なのです?」
トウカイテイオー号の言っている事の意味が若干分からなくて、何時もの口癖で聞き返してしまう電。
286:陣龍:2023/03/01(水) 20:07:07 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
「んーとつまり……雰囲気と存在感を消すのが上手い、って言えるのかな?」
「そう言う事。実際、一緒に走った他の騎手からは『何時の間にか先頭に立たれていた』
『居る筈なのに居なくて、居ない筈が居る、そんな馬』『毎回毎回【幽霊】になるのは止めてくれ頼むから』と専らの評判だったよ」
「でも、それが余りにも頭数が少なすぎると、紛れさせる【音と雰囲気】が無さ過ぎて、仕掛けるタイミングとか、
動きとかを読まれ易くなる。まー、そう言う事なんだね、多分」
「一体どう言う理屈と原理でそうなるのです……?」
後それ評判って言って良いのです?、と思う電であった。
「……あ、あのっ。飯崎さん」
「――――あぁ、どうしたの、ライスシャワー号?」
「ひぅ……そ、その、ボールペン……」
「――――あらあら、気付かなかったわ」
一方少し離れた場所のテーブル席。【何故か】怯えた様なライスシャワー号の指摘を見ると、
飯崎鈴夏が右手に持って居たボールペンが、余りにも強く握り過ぎたせいでへし折れ、と言うか粉砕され、
インクが握られた拳の中から漏れ出ていた。
「え、ちょ、ちょっと、飯崎さん、一体何して…」
「――――丁度良かったわ。トウカイテイオー号、ライスシャワー号」
「ピエッ…」
「ひゃ、ひゃい…」
隣で行われた奇行が見えた為、声を掛けたトウカイテイオー号。表情こそ微笑んだまま、
だが一切合切有無を言わさぬ雰囲気を溢れ出させている飯崎鈴夏の一声で、
同じく呼ばれたライスシャワー号と同じく、蛇に睨まれた蛙の如く硬直する。
「――――ちょっとね、頼みたい事が有るの、私」
「ヘッ……」
「ひぅ……」
一言一句、何でもない筈なのに、何故かその場から動けなくなる鎖で縛られるかの如き感覚を覚えつつ、
実際に足が張り付いたかの如く動かなくなったおウマさん達。身体だけでなく、言葉も、思考すらも、上手く動かせなかった。
「――――どんな理由が、想いが有ったとしても、【向こう】でゴーストを傷付ける様な事が行われたのは、納得いかないの。だから……」
気付けば向かい合わせでしっかと抱きしめ震え合いながらも、飯崎鈴夏から目を逸らせないおウマさん二頭。
顔が青ざめ涙目になっているのは気のせいでは無いだろう。
「――――させてね……【 オ ハ ナ シ 】」
「「ピィィィィィィィィィィィィャァァァァァ!?」」))
何故か目の前の、優しく微笑んでいるのに全く笑って居ない女性の背後に『ごめんコレ無理ぽ\(^o^)/』と書かれたフリップボードを持ち、
煤けた笑みを浮かべ目を逸らす羅刹女と夜叉姫の姿を幻視しつつ、ライスシャワー号とトウカイテイオー号は
その場で抱き合ったままカフェテリアの一角で絶唱するのであった。
287:陣龍:2023/03/01(水) 20:09:54 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
『『むっ……主さんが何かドドドド感出してる気が』』
「ゴースト、今はそれどころじゃ無いから……」
「ネイチャー!ゴーストー!見てないで助けてー!?」
同時刻、カフェテリアの外では何故か低身長だからかおウマさんズと共に胴上げモードに巻き込まれた
有マ記念勝利ウマ娘なソニックムーブ()師匠、そしてそれを人垣の外から見ている亡霊ズと自然ちゃんが居た。
『『(ゾワワワッ)ヴっ!?』』
「……行き成りどうしたんですか」
『『前触れも無く、謎の悪寒と恐怖が……』』
「ゴースト君をボコボコにした事に誰かが怒ってるんじゃ無いっスかね、それ」
そしてまた同時刻、世界を超えた【虹の向こう】にて、日本競馬界の神話的二頭が前触れ無く襲来した謎の悪寒と恐怖に震えていた。
「……これで【四回目】になるんか、嬢ちゃん」
「【四回目】……?」
「……家のもんと二度と会えなくなる回数や……あの娘の、な」
「【二度と会えなくなる】……ですか」
『刺客』と『帝王』が謎の絶叫をしている一角からまた少し離れた場所。そこでは色々有った末にトレセン学園へ連れて来られた、
ゴーストウィニング号が属した牧場関係者の一人…御年70歳、今年で定年となる調教師が、
現在スペシャルウィーク号とアドマイヤベガ号と席を共にしていた。コンスタントに重賞馬を出し、
最後の担当馬がゴーストウィニング号と言う名伯楽と呼ばれる氏だが、当人は『馬が頑張ってるだけでワシャ唯の年よりじゃい』と否定している。
「……あぁ、スマンな。変な事言うてもて」
「あっ、いえ、そんな……」
「……【虹の向こう】で、私達は会えました。だから、大丈夫です」
それぞれ『家族』を失っている事に気付き謝罪する調教師だったが、総大将もダービー馬も、大丈夫だと否定する。
過去の事は兎も角、今では『お母ちゃん』にも『妹』にも何時でも会えるのである。
「そうか……未だ連絡寄越さんのか、あの阿保タレは」
「……誰か、待っているのですか?」
「あぁ、JRAの理事やってる奴やが、実はあの嬢ちゃんの相当遠い親戚らしくての、葬儀の時に知り合ったそいつの伝手で
馬のセリやら何やらをやったんや。馬に真摯で出来たヤツでは有るんやが、そのせがれが馬鹿げたテレビの真似事しとる阿保んぼでな……」
「そ、そうなんですか……!……ねぇ、アヤベさん……」
「……間違い無く、同一人物」
「あぅぅ……どうしてこんな事に……」
何とも言えない衝撃の事実を後から知らされて天を仰ぐスペシャルウィーク号。後にこのゴーストウィニング号の事も追加で知らされた件の理事は、
心労の余り倒れて救急搬送され、そして何時も通りのマスメディアに『仮病の雲隠れ(か)』と叩かれ報道された後、
天からの【裁き】がおウマさんの母君辺りにより落とされたりするかも知れないし、されないかも知れない。
【何故か】恐慌状態に陥った野党議員主導で制裁決議が出て来るのが先かも知れないし、そうではないかも知れない。
誰かが何かをするより先に、神格は全く無関与無関係な自然災害の局所地震で内部が痛んでいるらしいメディア関係の建物が損壊する方が先かも知れないが。
288:陣龍:2023/03/01(水) 20:13:32 HOST:124-241-072-209.pool.fctv.ne.jp
|д゚) 大体うまゆる的なゆったりギャグテイストの流れに御座いました、件の理事が更なる【業】を背負ってしまったがまぁええか(適当)
|д゚) 因みに凱旋門賞勝利後にメディアの暴挙に抗議などを正面切って叩き付けたのも多分この理事何でしょう、
それがまさか自身の息子がハッキングとかやらかして爆弾採掘発破誘爆させるとか御労しやの一言である、ゴルシもそう言っている()
最終更新:2023年07月09日 12:28