378 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2023/06/20(火) 00:09:48 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [38/102]
MAS7.5㎜小銃Mle1950bis(MAS50 bis)
口径:7.5㎜
全長:1200㎜(銃床折り畳み時約800㎜)
重量:約4kg
総弾数:20発(着脱式箱型弾倉)
想定射撃距離:800m
【概要】
フランス連邦共和国(以下、FFR)で制式採用された小銃。それまでの主力小銃であったMAS50を更新する目的で開発された。
1764年のタバティエール銃から始まりおよそ250年間、フランス軍の後装式ライフル銃を作り続けてきたサン=テティエンヌ造兵廠の技術、その一つの到達点である。
その最大の特徴は往年の戦車砲に匹敵する高初速であり、MAS50より受継ぎさらに磨き上げた速射性能と合わさり激烈なる威力を発揮する。
兵士たちからはMAS50bisと呼ばれ、揺らぐことのない信頼を保っている。
【計画】
FFR陸軍は、「暗黒の30年」の闇をMAS50によって切り拓き未来を掴んだ。
ボルト・アクション式という旧式な機構から諸外国に侮られながらもエラン・ヴィタールと共に突き進んできたのである。
そして夜は終わり、フランスに再び陽は昇ったのだ。
後世に「暁の20年」と呼ばれる高度経済成長期に突入したFFRにおいて、新式小銃導入の機運が高まるのは必然であったろう。
特に上層部においてそれは顕著であった。
「一分間20発射撃」という前線の将兵に負担を押し付ける方法で問題解決をしている現状に甘んじるつもりは彼らにはなかった。
彼らも「我らが指揮官」隷下の将兵にして同じ「全てに勝る母」の子供たちである。
年下の兄弟姉妹を虐げるような恥知らずにはなりたくないのだ。
しかしここで問題が発生した。新式小銃に求められる要目が定まらないのである。
既に各国で標準となっている突撃銃に更新すれば良いと当初は考えられていたが、
1980年代とは丁度昨防弾装備の急速な発達によって突撃銃の有効性に疑問符が付けられるような時代だったのである。
今更突撃銃を採用して他国の周回遅れになるような事態は避けねばならなかった。
諜報活動によると、OCU陣営は伝統の6.5mmアリサカ弾の薬莢を複合素材に変えた新型弾薬を開発し、高初速化することでこれに対処することを企図しているという。
しかし、FFRにはそれを模倣することは出来なかった。
特許の問題はさておくとしても、その複合素材薬莢を製造できる見通しが立たなかったのだ。
それならば、このまま7.5×54mm弾を使用し続けた方が良いと判断された。
では半自動式に更新するか?
この案は即座に却下された。
北米動乱において、義勇軍として参戦したFFRの兵士たちは、MAS50の発射速度で米軍のM1ガーランドに優越したのである。
半自動式になんてしたら、逆に火力が低下してしまう。
こうして思考の迷路に嵌ったFFR軍上層部が出した結論は、「決定の先送り」である。
何か新しい技術革新が起こるまでは現状のままで行くことにしたのだ。
以外にも、現場の将兵もこれを後押しした。
彼らは言った。———小銃は今のままでいいから、他の兵器を更新してくれ。
実際、この時期のFFR陸軍は装備更新の嵐であり、予算はいくらあっても充分ではなかった。
(海軍も空軍も同様。これに新設の宇宙軍も加わる)
よって陸軍は小銃更新を後回しにして、主力戦車や自走砲、迫撃砲や機関銃または対戦車兵器の更新及び増備を促進することに決した。
こうして時は流れ、21世紀の扉が開かれようとする頃。
サン=テティエンヌ造兵廠において新式小銃の試作品が完成し、これがMAS50bisの原型となる。
379 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2023/06/20(火) 00:10:25 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [39/102]
【構造】
MAS50bisの特徴は、新型銃身と新型ブリーチ(遊底)である。
従来のの薬室や遊底の設計ではこれ以上の高圧に耐えることができない。なので弾薬を単純に強化しても無意味である。
そこでサン=テティエンヌ造兵廠が開発した遊底はカムで回転する螺旋状になっており、強固な閉鎖を可能とした。
これによってより従来密閉できず無駄になっていた圧力をより効率よく利用して弾速を向上できる。
つまり、従来の弾薬のまま初速を向上されることで可能なのだ。
また、薬室に装着されたときに薬莢を取り囲むコレットも改良を施し、コレットのテーパー状のウェッジにより、引き抜き力を 50% 減少させることに成功した。
これで、ボルトの回転により多くのエネルギーが残すことできる。
この遊底はボルト・アクション式小銃用に開発されたが、半自動式小銃や機関銃にも応用可能な技術である。
銃身に関しては口径漸減砲、減口径砲などと呼ばれる方式を採用した。
これは第2次世界大戦中にドイツが試作した「ゲルリッヒ砲」と同じ構造である。
具体的には、通常のライフリングが刻まれた銃身部分を抜けるとスムーズボアが始まり、銃口部分はテーパー状にすぼまっている。銃弾がテーパーを通り抜ける際に発射ガスを有効に使うことができる。
これら2つの新規軸を採用した試作銃で7.5×54mm弾を発射したところ、初速は2倍以上の1700m/sを記録した。
これは運動エネルギーで言えば20,000Jを越えて、米軍の12.7㎜弾と同等かそれ以上となった。
実射試験では、通常弾頭でも距離600mで30mmの垂直装甲版を貫通し、タングステン弾頭徹甲弾を使用した場合は距離800mで同25㎜の貫通力を発揮した。
歩兵が装備する防弾プレートに対しては、通常弾頭で対7.7㎜級徹甲弾防御を距離200m、タングステン弾頭徹甲弾で同1000mを貫通している。
これは発展著しい各国の機動装甲服に対しても有効打となり得る能力である。
さらに、内部には焼夷剤が充填されている(いわゆる焼夷徹甲弾)ため目標の装甲服が油圧を採用していた場合、上手く配管等に命中させれば火災も期待できる。
これは、航空機を目標とした場合も同様である。
MAS50譲りの速射性能も改良が加えられた。
戦訓を検証した結果、当たり前であるが弾倉交換にかかる時間が発射速度を低下させていた。
そこで弾倉を従来の10連発から20連発箱型弾倉に更新し、人間工学的見地も取り入れた設計としてより交換しやすいものとした。
試験の結果、「一分間20発射撃」を習得したばかりの新兵でも無理なく30発/分の発射速度を達成し、熟練兵ならば50発/分も難しいものではなくなった。
「どの大隊にも1人はいる」と言われるMAS50で50発/分を成し遂げた兵ならば100発/分の記録を出すことも不可能ではなかった。
しかし、これでも事前想定よりも発射速度が伸びないと問題になった。
原因究明の結果、遊底の螺旋部分長さだけストロークが増えるため発射速度に影響が出ていることが判明した。
これは致し方無い現象なので、発射速度の低下は看過されることとなる。
銃剣も強化され、電磁震動駆動となった。これは、軽装甲車輌はもちろん装甲服が相手でもバターのように切り裂き得る、近接戦闘における切り札である。
装甲服の普及に伴い、最早既存の銃剣では対応することが困難であるという判断から導入された。
電磁震動方式は20世紀中から各国で提唱され、外科手術用のメス等では実用化されているが、刀剣類に採用されたのはこれが初である。
これは駆動させるのに十分な電力を確保するのが困難だったからであるが、21世紀のFFRにはPlaFaViPがある。
電力問題はこれで解決した。
(数年後には電源はFeLuZnに更新され飛躍的に稼働時間が伸びる)
なお、OCUでもリチウムイオン電池を用いれば同様の銃剣は装備可能であるが、彼らは大型剣やパイルバンカー等独自の近接用装備を開発している。
(仮想敵の装甲服に対して技術的に優越しているため、近接戦闘の研究に重きが置かれていないという理由もある)
380 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2023/06/20(火) 00:10:56 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [40/102]
【運用】
MAS50bisはMAS50より半世紀後という節目の年に制式採用され、21世紀の到来となる2001年には前線部隊への配備が始まった。
前線部隊での運用方針は、遠距離射撃戦の重視であった。
1700m/sという戦車砲に匹敵する高初速のおかげで、MAS50bisの有効射程は2000mに迫るものとなっていた。
そしてこの距離は、正式任官されたFFR軍狙撃兵ならば初弾命中も可能な数字である。
そしてこの特性を活かすために、全将兵にはMAS50bis向けの弾道計算機が配布された。
これを活用すれば、狙撃兵ではない一般兵でも距離800mを「必中距離」とすることができる。
将兵たちはそんなものが無くても当てられる、と不満であったが現場の努力に甘んじるのは上層部の怠慢にあたるので有無を言わさず配布された。
MAS50bisは大々的に宣伝されたが、その性能自体は秘匿されたため諸外国からはそれほど注目されなかった。
(2倍以上になった発射速度は脅威と見られていたが)
流石に21世紀となるとアフリカ州の反政府勢力も、国境地帯でも腹黒紳士たちとの交流会も減少していき、この銃の性能が露見することはなかった。
MAS50bisが真価を発揮したのは、2004年の四川事変に端を発するSRIG社制圧作戦である。
証拠と生き証人を確保するために砲弾の雨で滅菌するという戦法が取れないため、FFR軍は歩兵部隊による占領を企図した。
その際、MAS50bisを装備した将兵は、まずSRIG社が投入した無人航空機を撃墜していき、慌てて投入された汎用ヘリコプターも撃退してしまった。
装甲服に搭載された光学観測機器と支援用人工知能、そしてエラン・ヴィタールの組み合わせは小銃による対空射撃というWW1の風景を甦らせたのである。
続く地上戦では遠距離からの射撃で敵装甲服は勿論軽装甲車両も制圧していき、最後の銃剣突撃では正に「撫で斬り」と呼ぶにふさわしい惨状を現出させた。
観戦武官(監視役ともいう)として派遣されたOCUの士官はこの光景を見て、本国に
「フランス人は対戦車ライフルを小銃として全将兵へ配布している」
と報告し、OCU各国上層部はこの報告に一時混乱した。
…OCUの機動装甲服の開発速度が上昇したのは、間違いなくMAS50bisが関係しているであろう。
381 名前:モントゴメリー[sage] 投稿日:2023/06/20(火) 00:14:27 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [41/102]
以上です。
ウィキ掲載は自由です。
突貫工事で書き上げたので、詳細は明日で願います。
取り敢えずは、今回採用した技術はこれになります。
ttps://techlinkcenter.org/news/us-army-researchers-are-turning-it-up-to-11-to-make-hypervelocity-firearms/
発射速度は毎分100発が限界ですが、陣龍氏の
「FFR兵士なら機関銃クラスの速射でボルトアクションライフル運用できるやろ?」
というリクエストには答えられたかな?
(スレ191より)
最終更新:2023年10月22日 23:39