511 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/06/22(木) 19:31:41 ID:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp [106/153]
我流日本連合世界 アメリカの変革


2010年。ゲートの向こうより現れた日本連合と第二次太平洋戦争にてアメリカは負けた。
それは完膚なきまでにズタボロの敗北であった。

敗戦以降のアメリカの影響力は下がり、株式市場は急降下。
政権や軍は野党や民衆からの突き上げをこれでもかとくらい、中露は調子に乗る始末であったが、だからと言って米国という国が崩壊したわけでも、米軍が消滅したわけでもなかった。

米海軍は太平洋、インド洋の戦力の過半は消滅したが、欧州に派遣していた分は無事だし、米陸軍は本土にいた分は左程被害は受けなかった。米海兵隊も同様である。
唯一米空軍だけは欧州にいた部隊以外はほぼ壊滅していたが…


突き上げられたり、経済が混乱したりと散々な目に合っている最中であったが、米軍は戦後にすぐさま己の改革を始めた。
何せ戦力の半分くらいは壊滅状態なので改めて再編しなければならないからである。

そんな中で注目を浴びたのが第二次太平洋戦争における各種戦訓であった。
WW2以降は格上相手の戦いというものを経験してこなかった米軍はここにきて貴重な戦訓を得ていたのである。


まず制空権。従来の米軍は強力な空軍力で制空権を分捕るから地対空兵器による迎撃はおまけ程度に考えていたが、その常識が崩れた。

日連軍の圧倒的な制空掌握能力により上空援護をするはずの航空部隊はすぐさま壊滅。
地上部隊は空からの援護がないどころか、一方的に撃ち降ろされる状況での戦闘を余儀なくされていた。

この際に特に猛威を振るっていたのが日連軍の対地攻撃用の航空ドローンであり、地上からの迎撃により損耗率が激しい対地攻撃役をドローンで補ったこの戦術は制空権を失った米軍へと非常に突き刺さった。

有人機ならば地対空ミサイルを恐れて早々軽挙な攻撃はしてこないのだが、無人機であるドローン軍団はそんなもの恐れずに突っ込んできたためである。

部隊単位の地対空装備が限定的であった米軍はこれら日連軍ドローン部隊を効率的に迎撃できず、その飽和攻撃の前に屍を晒すしかなくなっていたのである。


次に得られのは圧倒的な電子戦下での戦闘である。
日連軍によるECMやハッキングにより米軍側のUAV及びレーダーは余り役に立たず、衛星通信を用いたデータリンクは常に途切れ途切れで意味をなさなかった。

データリンクを始めとする濃密な通信網で繋がる戦闘を前提としていた米軍は開戦当初から各地の部隊が孤立。
各個撃破の的となっていた。


総評すると制空権と電子権とでも言うべきものを取られた中での戦闘がどうなるかというのを如実に表したのが1:1444というべき戦果の差であった(1が日連、1444が米軍)

この際に日連軍と米軍の兵器や装備の差にはあえて言及しないでおく。
一言言うのならばハリウッド映画で異星人相手に戦う米軍の姿そのままだったとだけ。


まず米軍が手を入れたのは既存兵器の改良であった。
新型兵器の開発を促進したいのは山々であったが敗戦の影響で議会の混乱が長引いており、追加予算の承認が降りるか不透明であったためである。


改良と言っても既存戦車などの単独戦闘能力の向上である。
言ってしまえばデータリンクが途切れても戦闘力の低下を極力防ぐという意味合いであり、やったことと言えば新型照準器の搭載、補助AIの導入、赤外線や有線を用いた通信装備の追加。

新型照準器に関しては完全に手動で狙いをつけるように搭載されたもの。
補助AIの導入に関しては軍事用に頑強性を増したタブレットと照準器を接続し、命中率を補助させるという割とアナログ方式。

赤外線通信や有線通信の装備追加に関しては単純に無線通信が使えなくなった際の予備通信手段である。
これに各種信号弾などを使い、いざという時の連携を取る予定である。

512 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/06/22(木) 19:33:07 ID:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp [107/153]
また前線部隊への随伴用対空兵器の開発にも乗り出した。
とはいえやっていることは開発中であった陸上車載ファランクスの正規採用、M1やストライカー装甲車の車体を用いた対空車両の開発などである。

これは日連が多用した対地ドローン対策兼同軍のPS兵士対策を目的としたもの。


歩兵装備に関してはM14系列が復権した。昨今主流の5.56mm弾は日連PS部隊の防弾能力の前にほぼ意味をなさなかったためである。
このため少しでも威力のある小銃を求め主力としてM14系列が復権した。

また機関銃に関しても既存の5.56mm弾を扱うものでは限界があると小銃と同じように7.56mm弾を使用するものへと変更。
M240の増産、ミニミのMk48への改造。また倉庫からM60までも引っ張り出す始末である。

中には機関銃、重機関銃向けの対空照準器及び立脚の配備など変わったものも存在していた。
いかに米軍がドローン攻撃にトラウマを受け付けられたかがわかる措置と言えよう。


弾薬類に関しても小銃、機関銃問わずAP弾の割合を増加。
防弾装備に優れる日連PS兵へ少しでも効果がありそうなものを選んだ。


その他にもM79グレネードランチャーの軍への復権、ダネルMGLとM19自動擲弾銃の配備数増加、バレットM82の分隊単位の配備促進など。


対戦車兵器も大幅に配備数が増産された。これは日連軍機甲兵器対策というよりもPS兵対策の一環である。
主に既存のAT-4の配備数加速は勿論退役したはずのM72 LAWまで現役復帰の運びとなった。
因みに現場兵士たちからは軽いM72の方が評判が良かったそうな。

これら対戦車ロケットの類には新たに対ドローン用の対空弾頭が開発、配備されるなどここでもまたドローンへのトラウマが垣間見える。

この他ドイツからパンツファーファウストⅢやロシアのRPGシリーズを参考に使いまわしの効く安価なロケット発射機及び弾頭の開発(という名の既存品からの流用)など予算が限られる中でできる限りのことを進めていた。

本音を言えば試験中であるパワードスーツの開発を進めてほしかったが、前述したとおり議会が二転三転しているため追加予算が降りるか不透明というのが最大のネックであり、議会が平常化し、追加予算が降りたのは敗戦から2年経った後であったとさ。


空海に関しては特別語るようなことはない。
正直兵器の性能差が激しすぎて、陸軍のように小手先の改修では意味がないと悟っていたためである。

このため彼らはモスボール処理していた兵器群の復帰作業と共に新しい人材の育成、教本の改定、戦闘ノウハウ研究などを中心に改革を進めることとなる。

何にせよ再び正面から戦うのならば新型兵器が必須であるというのが空海の共通見解であった。


海兵隊は大凡陸軍と同じように既存兵器の改修やかつて運用していた兵器の復帰を進めた。
この際に陸軍と共同で進めたプロジェクトも多く、この時期の米軍の懐事情が垣間見える出来事の一つと言える。

513 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/06/22(木) 19:33:45 ID:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp [108/153]
これらの改革がなされ再編された米軍はかつての世界最強という姿からすれば正直みすぼらしさが目立つものであったが、しかし慢心を捨て去った米軍というのは表面に現れない強さを秘めるようになっていた。

その真価が発揮されたのはウクライナへのロシアの全面侵攻と、それに対する米軍の全面介入である。

このウクライナに投入されたロシア軍、または義勇兵扱いの中国軍は第二次太平洋戦争の戦訓から歩兵の重装備化とドローン兵力の増大を進めており、質の差はあれど当時日連の軍備体制に最も近しい軍隊と言えた。

そんな実質中露連合軍とウクライナの地でぶつかった米軍であったが、これまた前評判を覆し戦況を優勢に持ち込んでいた。

制空権に関しては復活した米空軍が新型のF-35およびF-36を用いて掌握。
中露連合軍はこれに対して米軍が投入した部隊の倍に値する数の航空部隊とロシア本土からの地対空ミサイルの物量戦にて対抗。

ウクライナ上空の制空権は結果的に拮抗状態となっていた。

歩兵戦に関しては分隊単位で馬鹿みたいに火力を増強した米軍はようやっと配備の始まったアシストスーツを纏い、大量の機関銃やロケット弾を持ち運び、その火力を発見した中露軍にこれでもかと撃ち込んだわけである。

このためウクライナ戦争中では同数の歩兵同士の打ち合いでは終始米軍側が火力で優位に立っていたと言われている。

これに対抗して中露軍がドローン攻撃を仕掛けようとも復活した現代の分隊統制対空射撃と随伴の対空車両により撃ち落とされる事態が多発。

また戦車戦に関しても現代に蘇った米軍突撃砲部隊により中露戦車部隊を打ち据えることに成功。

史実と違い本腰入れて侵攻した結果一時は首都から東は全て陥落していたウクライナ情勢を覆し、ロシア国境近くまで押し返すことに成功するなど大戦果を挙げていた。

日連との戦争に敗北してから数年。ここにきてようやく米軍は汚名返上できたと言えよう。

以降のアメリカは欧州諸国から見直され、中露から認識を改められ、ウクライナやポーランドといった一部の国からは熱烈に歓迎されるなど、かつてほどではないが幾らかの影響力を取り戻すようになっていく。

なお対抗馬の日連に対しては四軍揃って未だにまともに対抗はできないと常々話しているそうな。

514 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/06/22(木) 19:34:28 ID:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp [109/153]
〇設定

  • M1A3エイブラムス
第二次太平洋戦争の戦訓を用いて改修されたエイブラムス戦車。

とはいえ劇中で説明した通りローテク装備を追加しただけであり、性能そのものは既存のエイブラムスからは左程進歩していない。



  • M2ウィリアム
エイブラムスの車体を流用して開発された対空戦車。

ブッシュマスターⅡ 30mmチェーンガンを二門搭載し、独自の対空レーダーを搭載したタイプ。
外部設置式だが対戦車ミサイル発射機も設置可能。
見た目はドイツのゲパルトや日本の87式に似ている。

航空機というよりもドローンやヘリ、または対歩兵を前提に開発された兵器。

データリンクが途切れても自力で敵を探知、迎撃できるように専用の対空レーダーを搭載しており、独立戦闘能力に優れる。

基本形のM2タイプ以外にも25mmを四門に増設したM2A1型、機関砲をボフォース40mmにしたM2A3型などの派生系がある。

名前はベトナム戦争でアジア人を軽視しながら戦争にも負けたウィリアム・ウェストモーランドから。

どうやら命名者は第二次太平洋戦争での教訓を忘れないように反面教師としてこの名前を付けた模様。



  • M3ドワイト
M1エイブラムスの車体を流用して開発された無砲塔戦車。
追加予算がようやく降りた米陸軍において誕生した新型主力戦車第一号。

いわゆる突撃砲タイプであり、車高を低く抑え、全面装甲を増加。
火砲も榴弾砲を流用して開発された155mm戦車砲となっている。

敗戦後の米陸軍は機甲戦力の一新が急務であったが、だからと言って日連戦車に対抗できる新型が一朝一夕で開発できるとは思っていなかった。

そこで言い方は悪いが繋ぎとして考案されたのが無砲塔戦車である。

複合装甲万歳のこの時代ではいささか古めかしいスタイルであったが、装甲素材の開発で後れがちな米軍では単純に装甲と火力を盛りやすいことを理由に採用。
実際には追加予算が降りたとはいえ市民や政府からの目が厳しい昨今では無駄遣いできず、このため整備性や生産性も向上させやすいこのスタイルに落ち着いたという裏事情もあった。

ウクライナにて初の実戦投入。対日連戦車を想定した火砲は見事にロシア戦車や中国戦車を打ち貫き、多大な戦果を挙げた。

この際に反転攻勢にておいても投入され中露連合軍を大きく打ち据えた結果から現代の突撃砲は防御のみならす攻勢でも活躍できるという誤った認識が広まってしまう。
これに関しては単純に米軍がこの戦車を有効利用すべく血のにじむ思いで歩兵や他車両との連携ノウハウの構築と練習の積み重ねた結果ウクライナの戦いで上手く嵌めることができたというのが真実である。



  • M7 ランサー
米軍が新規開発した対戦車ロケット。詳しくはその発射機。

設計に関しては独のパンファ3、ロシアのRPGシリーズを参考にしており、安価で使いまわせる軽量な発射機を目的として開発された。

別にこれと言って特別なものや独自の設計は存在していないが、米軍の既存ロケット弾も使いまわせ、新規開発の弾頭と合わせても安価に生産、運用できたため、部隊火力向上を目指す米軍で瞬く間に普及した。

通常の対戦車弾頭以外にも対PS歩兵用に開発された対歩兵散弾弾頭や、対ドローン用の対空弾頭などが存在していない。

主に一発で仕留めるタイプではなく、複数初を同時に発射してPS兵やドローンを撃墜するタイプ。

515 名前:トゥ!ヘァ![sage] 投稿日:2023/06/22(木) 19:35:14 ID:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp [110/153]
  • M5アシストスーツ
米軍が研究中であったパワードスーツの類の開発を加速させ、ウクライナ戦争前に正式配備させた代物。

パワードスーツというが実態は兵士の動きや膂力を補助するアシストスーツの類であり、半ばSF世界に足を踏み入れている日連のPSとは比べ物にならないほど初期的な代物。

しかし部隊火力増強を掲げる米軍において大々的に採用され、歩兵一人当たりが携行可能な弾薬や装備の重量を飛躍的に増加させた。

主に歩兵の活動時間延長、携行弾薬数の増加を目的に開発されたため防弾能力は既存のボディアーマーを着込む方式となっている。




M8 ジャガーノート
米軍が日連の全身装甲型PSをモデルに開発した重装甲パワードスーツ。

対爆服の上から全身に増加装甲を追加し、高い防御力を実現している。
駆動には専用のアシストフレームを開発、採用している。

小銃弾程度なら物ともしない装甲と軽機関銃を片手でブッパできるだけの膂力を実現しているが、反面その動きに関しては非常に鈍重。
また稼働時間に関しても連続稼働2時間。実戦運用下では想定の甘さから内部フレームそのものの破損も目立つという欠点を抱えている。

しかし日連PS兵にトラウマを持つ米軍は今後のPSノウハウ蓄積もかねて正式採用した。

ウクライナ戦では中露兵士から米国のオークと言われ恐れられたが、当の米軍兵士からは鉄砲の撃てる棺桶と言われ余り歓迎されていなかった。



  • F-36
F-35からステルス能力や過度の電子戦能力を省いた機体。
日連軍の前では半端なステルス能力や電子戦能力はむしろデッドウェイトという判断から設計された。

機体フレームなどはF-35と共通だが、ステルス能力全般を省いたために大幅なコスト低下に実現。
第二次太平洋戦争で現役航空機が枯渇寸前までになっていた米軍においてハイ・ローのローを担う新世代戦闘機として代々的に生産、配備された。

ステルス能力が取っ払われたため対地攻撃装備ももりもりであり、海兵隊や外国にも採用され、敗戦後の米国軍事産業における大黒柱として活躍している。

空軍仕様のA型、海兵隊仕様のB型、輸出仕様のM型、海軍仕様のC型が存在している。
当初は空軍と海兵隊のみの配備予定であったが、次世代主力機の開発が思うように進まずF-35のみでは数が足りなかった海軍が急遽採用を決定した。

A型は既存の航空機同様の代物。B型は海兵隊用にVTOL機能を与えたもの。C型は海軍用に艦艇から離着陸できるようにSTOL性能に優れた改修がなされている。
M型は輸出仕様の総称で部品の幾つかが現地で取り揃えられるものへと変えられている。

516 名前:トゥ!ヘァ!スマホ[sage] 投稿日:2023/06/22(木) 19:37:36 ID:FL1-122-133-166-42.kng.mesh.ad.jp [111/153]
投下終了。

少し前に投稿した我流世界におけるアメリカの変化についてでした。
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最終更新:2023年08月03日 19:57