700 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/08/17(木) 00:04:18 ID:softbank126036058190.bbtec.net [20/57]

憂鬱SRW 未来編鉄血世界SS「幕間の物語」2


  • P.D.324 P.D.世界 火星及び諸コロニー群通商統合連合首都惑星「火星」 主権宙域 サイラ級主力戦艦艦上カタパルト


 火星に渡ってきておよそ1年が過ぎた。
 その1年という時間を経て、ようやくアイン・ダルトンは半人前を卒業することを許されたのだ。
 この半人前というのは、MSを用いて同水準あるいは同じレギュレーションの無人MTなどを超えられる腕前になったことをさす。
 また従来のグレイズなどのこのP.D.世界におけるMSを使った場合でも、同機種相手でも上位種相手でも勝利を安定してとれるようになった。
 しかし、火星連合軍の軍事顧問でありアグレッサーなど多数の役を担う企業連などからすればまだまだである。
故にこそ半人前。連携をしてくる無人MS複数相手にして余裕で勝利できるくらいの腕は本来要求されるのだ。
 とはいえ、そこまで要求しすぎてもハードルが高すぎるというのも事実である。
 そのため、火星連合軍のMSパイロットに求められたラインは以下のように定められた。

1.阿頼耶識の施術を受けたパイロットに対処できる
2.コジマ機関を搭載したMSに対応、勝利できる
3.治安維持戦や非対称戦だけでなく、局地戦や艦隊戦、MSを含む諸兵科連合の大規模戦に対応可能
4.MAを含む大型兵器への対応能力を身に着ける

 今後経済圏が進めるであろうコジマ系武装や阿頼耶識の標準化に備えた知識と技能。
 さらには今後出現するかもしれないMAへの対応能力とその場合の適応能力。
 要求したいところはまだまだ多いのであるが、これで妥協することにしたのである。
 そもそも、まだ一般的な軍人としての規範や倫理観を叩き込み、肉体を鍛え上げるという前段階もまだ未完了なところが多いのだ。

 そんな中にあって、即戦力として準備が早期に終わるのが、皮肉にも火星を苦しめていたギャラルホルンからの移籍者たちであった。
曲がりなりにも軍人として訓練や実戦を経験してきているわけであるし、MSパイロットだけでなくあらゆる人材がいたのだ。
火星連合に所属する国民から志願者を募って一から仕込むよりもよほど早いのもむべなるかな。
加えて、一兵卒だけでなく、士官などの経験者が含まれていたことも火星連合にとってはまさしく万金に値した。
ギャラルホルンの質が酷かろうが、士官というのは時間をかけた教育の果てでしか得られない人材であるからだ。
 しかし、残念ながら評価できる点はそこしかないため、結局はブートキャンプへ投入されるのが落ちだった。

 さて、アイン・ダルトンは下士官としての訓練を受け、阿頼耶識を搭載したMS程度ならば複数相手どれるほどの腕となった。
阿頼耶識などがない通常のMSを操る海賊ならば、それこそ片手までも相手ができるようにはなっている。
アイン自身も自分の成長をかみしめていたし、それを客観視することができるようになっていたのだ。
 また、推定で地球経済圏が送り出すであろうコジマ機関搭載MSに対する対処法なども身に着けつつあり、いっぱしの戦力たり得るとの評価を得た。

701 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/08/17(木) 00:05:17 ID:softbank126036058190.bbtec.net [21/57]

 そして、そんな一線級の人材にはそれにふさわしいMSが割り当てられることとなったのだ。

「MMS-006 ザクⅡ」

 大洋連合が過去に開発した黎明期のMS「ザク」をベースに開発された、火星連合独自の新鋭機である。
 より正確には、エイハブ・リアクターとコジマ機関を前提とした、ザクのリファイン機であるのだが、それはさておき。
 コジマ機関の搭載を前提としているだけあり、あとからコジマ機関を搭載したMSよりも高性能であり、優れていることは言うまでもない。
これからの火星連合軍を担う主力MSとして大いに喧伝され、火星連合を虎視眈々と狙う地球経済圏や海賊などの肝を冷やした。
 何しろ、デモンストレーションでは阿頼耶識搭載のMS複数機を単騎のザクⅡが一方的に叩きのめしてしまったのだから。
さらにはコジマ機関搭載型のグレイズなどを相手にした場合でも、圧倒的なスペック差を見せつけて撃破してみせた。
無論、いくらでもザクⅡを強く見せる工作はできるし、これがプロパガンダであるのは考慮すべきだ。
とはいえ、経済圏にとってみれば、貧弱と思っていた火星連合がそれだけの戦力を抱えているということを見せつけられ、戦略が大いに狂わされたのだった。
 これらを含む複数の新鋭機や新型艦艇などの存在が、経済圏との間での戦時における協定の締結につながったのはまた別の話だ。

 閑話休題。
 そんな新鋭機ザクⅡを擁する部隊に配属になったのはアインにとっては誇らしくもあり、同時に戸惑うものであった。
 生まれや出自で左右されるのではなく純粋な力量などをきちんと評価されたというのは非常に誇らしかった。
ギャラルホルンから共に火星連合に身を移し、現在は教官職を務めるクランクからも喜んでもらえたのだし。
 同時に思うのが、自分のような元ギャラルホルンの兵士が躊躇いなく登用されている事への戸惑いだ。
 アインとて愚かではない。自分のような出自の人間さえも登用を急がなければならないのが、今の火星連合の実情なのだと分かるのだ。
ギャラルホルンにいた時に散々聞いたことだ、火星連合は成立したてであり、碌な戦力がないというのは。
 それは一面で見れば正しいと、火星連合に属してわかる。急速に独立し、クーデリアの独裁で進む火星連合は、余裕がないのだ。
地球連合や企業連合の後援が無ければ、すぐにでも離散してしまいかねないほどに。

(だからこそ急いでいるのかもしれない)

 自前の力。あるいは結束。そういったものを構築するために、火星連合は急いでいるのだ。
 そして、余裕のなさを見せまいともしていると。
 ともあれ、そんな政治のことは今の立場においてはあまり関係のないことだ。

『CDCよりロメオ1、発艦を許可する』
「了解。ロメオ1、発艦!」

 刹那、カタパルトによりアインが乗り込んでいるザクⅡは宇宙へと飛び立つ。
 シミュレーターではない、実戦を意識した宇宙での演習訓練だ。
 グレイズなどとは比較にならないMSの脈動を感じながらも、アインは操縦桿を押し込み、形成されたバトルフィールドへと飛び込んでいった。

702 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2023/08/17(木) 00:06:01 ID:softbank126036058190.bbtec.net [22/57]

以上、wiki転載はご自由に。
アイン君視点がちょびっとしかなかった…
もっと市井にまでメインカメラを投入すべきか

作業BGMはアルルの女でした
+ タグ編集
  • タグ:
  • 憂鬱SRW
  • 未来編
  • 鉄血世界
最終更新:2023年08月26日 20:36