211 名前:モントゴメリー[] 投稿日:2023/07/14(金) 23:49:51 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [42/216]
日蘭世界SS——「守護天使」——
——1950年代後半、フランス連邦共和国(FFR)アフリカ州コンゴ県、ルブンバシ。
ここはFFRを構成するアフリカ州のほぼ南端、フランス人にとっては「地の果て」と言って良い場所だ。
それでいて北方以外の周囲を仇敵であるBCの領域と接する「最前線」である。
必然的に彼らとの衝突が多い地域であるが、立地上補給は非常に困難であった。
そんな彼らを物心両面で支えていたものは……。
「——見えた、来たぞ!!」
舗装もされていない滑走路と人力で組み上げた見張り台しかない飛行場に歓声が響く。
北の空に黒点が一つ浮かんでいた。航空機である。
今日は週に一度の定期便が来る日なのだ。
毎週火曜日に飛来するこれを、兵士たちは「火曜日急行」と呼んで何よりも待ち望んでいた。
黒点は徐々に大きくなり、飛行機の形となっていく。
それは特徴的な形であった。
上下方向に異様に長い胴体、その胴体の上下についている一対の主翼。そして4つのレシプロエンジン。
FFR空軍の大型輸送機、ブレゲー765「サハラ」である。
この異形の航空機はその巨体に似合わぬ挙動で危なげなく着陸態勢に入り、500mほどしかない滑走路に進入し無事に着陸した。
「サハラ」は標準状態で20トンの荷物を輸送することができる。
ここのような辺境にとっては正に生命線であった。
それは物質面だけでなく…否。それ以上に精神的な意味でも同様であった。
現地の将兵たちは、この機体を見るたびに“ああ、自分たちはまだ見捨てられていない”と実感したのである。
「サハラ」は遥か遠き本国との結びつきの象徴でもあったのだ。
この不格好な輸送機が「守護天使」という似合わぬ異名を持つのは、そのような由来があった——。
212 名前:モントゴメリー[sage] 投稿日:2023/07/14(金) 23:52:48 ID:116-64-135-196.rev.home.ne.jp [43/216]
以上です。
ウィキ掲載は自由です。
以前、ウィキ更新していた弥次郎様から
「アンタ、設定ばっかりでSS書いてないじゃないの」
と言われたような気がしたので(被害妄想)
細かいことは考えずに勢いで書いてみました。
1000字に満たない短編ですが、やればできるものですね(作成時間45分)
最終更新:2023年08月26日 21:05