394 名前:635[sage] 投稿日:2023/07/20(木) 07:59:57 ID:119-171-249-112.rev.home.ne.jp [20/24]

日蘭ネタ 日蘭世界においての民俗学的な感じな深海仏棲姫についてのネタ その2


〇〇社刊 死の国FFR FFR国教の水子供養の章より


フランスの水子供養について語るにはまず無名戦士の墓について語らねばならばない。
元々は蘭帝黎明期において防衛戦において命を落とした日本やオランダの兵士や市民の身元が確認出来ない遺体を弔う為に作られたものが発祥とされている。
その多くは宗教的要素を廃した剣の形をしている。
それらの大元を辿れば彼の蘭帝の忘れじの剣に行き着くのだがここでは置いておこう。
その後は各大戦での同様の膨大な犠牲者を弔う為に作られ、その後各国でも設置されるようになっていった。
その始まりは間違いなく支那植民地撤退・解放戦であろう。

彼ら、支那植民地軍と植民地政府は彼の戦いで出た膨大な犠牲者、それら名を失った死者をを弔わねばならなかった。

無名戦士の墓は名を変え名は知らねど人としての尊厳を奪われた者、尊厳を守る為にの戦った者を人として弔う為に作られた。
それらの遺体の多くは支那植民地の本国人らキリスト教徒(当時)であったがオランダに習い無宗教の墓碑が作られた。
それは亡くなった者の中には支那植民地の原住民、所謂支那人が少なからず居たのも関係している。
当時の支那人といえば植民地やフランスでの乱行が有名であるが無論そういった獣ばかりではなく、
支那植民地撤退・解放戦に従軍、或いは主や雇用主である本国人と共に逃げられず或いは逃げる途中に亡くなった者も存在する。
それらはキリスト教徒というわけではなかったからだ。

そうしてそれらに付随し人でない者ら、所謂シナヒトモドキの手で凄惨な最期を遂げた欧州キリスト教徒らの幼い子供、赤子、胎児も多く居た。
しかし欧州キリスト教徒にはそれらを弔う術は無かった。
というのも欧州キリスト教では贖い主により救われるのは洗礼が条件であり洗礼を受けていない者が救われることはないからだ。
そして幼い子供や赤子、胎児らは洗礼を受けてはおらず救いの対象になかった。
神学上では仮定の存在としてそれらが千年王国が降りる時まで過ごす場所があるがそれは一般的な認識ではなかった。

そんな幼い彼らをキリスト教徒として埋葬したのが蘭帝や日本のキリスト教徒(景教)達であった。
長期に渡り他宗教との交わりにより変容していた彼らはそういった油を注がれなかった者らを救う存在というのがあった。
景教においては賽の河原で積石をする子を救う地蔵菩薩の本地となった景教の聖母マリア。
蘭帝においては日本仏教における烏摩妃と同一視され、また景教の聖母地蔵菩薩本地説の強い影響を受けた(忘れじの大剣を産んだ)聖母マリアと習合した青い肌の魔女レナ。
共に多くの子らを救う為故か、菩薩の影響を受けた為か多腕の異形の姿をしている。

これらの像が建立され子供たちは弔われ、支那植民地の欧州キリスト教徒からは黒の聖母の様な聖母の異型の一つとして受け入れられ敬われることとなった。
そしてその文化は植民地の支那人も流入、支那人の神話における西王母や女?と融合し半人半獣の異形であるが幼くして亡くなった、或いは生まれなかった子を救う女神として祀られることとなった。
戦後暫くしこれら異形の聖母はフランス本土にも流入し元来存在した土着の女神をベースにした聖母信仰とも融合しひっそりとしかし広く信仰を集めることとなった。



中略

395 名前:635[sage] 投稿日:2023/07/20(木) 08:00:37 ID:119-171-249-112.rev.home.ne.jp [21/24]

時代が下りFFRという国家として成長する過程においてその途中には蜘蛛など始め様々な形を取ってきた異形の聖母の形状は概ね竜の尾を持つ女性という女禍にも似た姿に収束することとなった。
この姿はFFR国民となった支那人経由に加えフランスの古物語にも出る姿、そしていくつかのFFRアフリカ州にも同様の姿の創造神がいる故に親しみやすいというのもあったのだろう。

そして聖母の他の機能がFFR神話成立過程においてその多くはリシュリュー(我らが指揮官)にそして子供を守るという部分がジャンヌ・ダルク(先生)に吸収されていく中でもこの異形の聖母は残り続けた。
死という現世に対する影を内包する故であろうが同様に死を司るオセアンにその信仰が吸収されることはなかった。
これはオセアンが死んだ兵士…己が転属する意思を有する国民の死を己の領域とするだけでなく、
若者…いや、転属する意思も示せぬ年端も行かぬ子供や赤子、生まれてすらいない子をその下に送るのは鉄人や提督の遺言に反するが故にFFR国民が拒否したというのもあるだろう。
そして司るモノが聖母由来という我らが指揮官やそれに準ずる女神が受け持つレベルの権能故に特定の艦がこの機能を受け継ぐことはなかった。

ならば女神はどうなったのか…。
国家、国土が拡大する過程においてFFR神話は地の神話を吸収。
その主神らがリシュリューに統合されリシュリューは多くの姿、それこそ別人とも言える程違う性格と機能の神格を持つことが当たり前となった。
その神格の1つにFFRアフリカ州マダガスカルの創造神がある。
ザナハリィ、天上に住みながらと地に存在する異なる場所に同時にその姿がある多相の神。

そう、異形の女神の機能はリシュリューに属しながらもリシュリューより独立した存在として確立した。
それがリシュリューの影とも言える存在。
異形の聖母の性質と形状を受け継ぐFFRの女神ながらも艦としての実体はこれまでも、
そしてこれからも存在しないというFFRの女神としてはあってはならない存在である。
故に彼女がFFR神話において話に昇ることはない。
だがFFR国民の間でひっそりと、そして広く信仰されている。
そんな彼女の治める領域は現世と天上、そして地上を治めるリシュリュー、
幽世と海上を治めるオセアン(オセアンは海という言葉そのものでありFFR神話においては霧の向こうは海の彼方にあるとされている)と全く異なる場所にある。
いや、消去法的にそうFFR国民は認識したというのが正しいだろう。

それは海底、深く深く昏い水の底。
そこで異形の女神は幼く死んだ子供や生まれなかった子供らの養い親として子供らと共に静かに過ごしているという。
その名は語るのも憚れる故にFFR国民からは異名であるdame sous la mer(海底の女主人)等の名で呼ばれることが多い。

日本や蘭帝の人間からは絵札遊戯の登場人物の名で呼ばれ、
それ以外では長らくフランスの異形の水の女神の古名Melisande(メリサンド)の名で呼ばれていた。
現在学会では201X年の戦艦リシュリュードック拡張工事により出土した数百年前の日本人の記した碑文が決定的な証拠としてその名前で呼ばれることが多い。
碑文の名はMelusine、そう彼女の名は聖母Melusine(メリュジーヌ)である。

396 名前:635[sage] 投稿日:2023/07/20(木) 08:01:27 ID:119-171-249-112.rev.home.ne.jp [22/24]
以上になります。転載の際はこちらへの差し替えをお願いします。
変更点は文字化けした部分の変更だけですが…(多分中文の漢字が入ってた)
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最終更新:2023年08月26日 21:18