703 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/02/15(水) 22:35:35 ID:softbank060146109143.bbtec.net [81/110]
憂鬱SRW 融合惑星 マブラヴ世界編SS「鋼鉄の裁定 -あるいは天空神の見定め-」10
- C.E.世界 融合惑星 β世界 β世界主観1999年9月後半 国連総会
国連が主導した光州ハイヴおよび鉄原ハイヴ攻略作戦、「オペレーション・ジュピター」は成功裏に終わった。
二つのハイヴは反応炉が破壊され、内に抱えていた大量のBETA個体も排除され、さらに地下茎の封鎖なども推進された。
これによって太平洋方面からユーラシア大陸へと侵攻する際の橋頭堡が構築されたことになる。
極東ロシアのハイヴ陥落と合わせれば、ユーラシア大陸東部の奪還は漸進的に進むであろうことは明確なビジョンであった。
すでに最前線となる朝鮮半島は防衛ラインの構築をはじめとした各所防衛体制の構築が進められている。
直近にハイヴが3つもあることを考えれば、3方向から同時に侵攻を受ける可能性もあるわけで、その津波を受け止め、裁く能力が必須であったのだ。
その為、朝鮮半島自体の復興事業や民間人の帰国などは当面の間先送りとなることが決定した。
ここにおいてまた民間人を戻しては光州の悲劇の二の舞になるという判断がされたのだ。
さらに、この朝鮮半島の防衛ラインの構築には地球連合軍が主体となることが認められることとなり、国連軍はあくまで添えるだけという形となった。
これは大東亜連合や日本帝国からも要望があったことで、先のオペレーション・ジュピターにおいて国連軍はともかく米軍は信用ならないと判断されたためであった。
米国は抗議し、自国も噛ませろと言い張ったのであるが、如何せんオペレーション・ジュピターにおけるやらかしは看過できなかった。
そう、国連でさえも擁護ができないほどに、米国は先のハイヴ攻略作戦において役立たたなかった。
それどころか、事前の準備の段階から作戦中、そして作戦後においても妨害活動に精を出していたことが国連総会の場において証明されてしまったのだ。
これは現地にいた勢力---β世界各国、フロンティア船団、大洋連合、地球連合のいずれもが一致を見ていた。
事前の供出物資の滞納や納入品の誤り、衛士や兵士の事実上の戦線離脱、輸送トラブル、予定にない衛星軌道からの物資投入、G元素の持ち込みなどなど。
さらに連合が探知したところでは作戦領域ギリギリに持ち込みが禁じられているG弾を潜水艦で持ち込んでいたことも確認されていた。
未然に防がれるか現場での対処がなされなければ、作戦参加兵士の命どころか、作戦の遂行までも危うくなりかねないものばかりであったのだ。
この指摘を受けた米国は、あくまでも現場のミスや暴走であり、政府や軍は作戦に忠実であったと主張した。
つまるところ、上に問題はなく、下に責任などはあると主張して、半ば身の潔白を言い張ったのである。
この言い訳には、さしもの各国も国連もあきれ果てた。どう言い訳してもこれは現場のミスや暴走などで収まる範疇ではないのだ。
仮にそれが事実であったとしても、それが起きないよう管理監督を行うのが上層部の仕事であり、責任であるはず。
むしろ管理する側が恣意的な情報操作や指示の改変等を行ったことによってそれらが発生した可能性が高いといえた。
何しろ、国家の管理をたかだか個人や少数の人間で潜り抜けるなど極めて難しいことなのだ。
これを指摘されるも、米国は一顧だにせず、数々の証拠を捏造だとまで言い出す始末であった。
さらに反論するかのように、おもに地球連合が新型のBETAやハイヴ内部のG元素などを回収しなかったことをなじったのであった。
バンクーバー協定を持ち出し、データや鹵獲品などが地球連合などによって独占されているのは協定に反するとまで。
だが、それは事実とは異なる。新種のBETAであるダクト級のデータなどは採取されたし、どのようなものかはおおよそ見当がついていた。
それらの情報は国連を通じて各国にも開示されており、その気になればいくらでも閲覧可能なのであった。
そして、G元素に関してはそもそも危険物質ということで排除することがあらかじめ決まっていたことだった。
そう、
アメリカ主導で作戦が遂行される段階においてはG元素の回収は認められていたことであった。
他方で、大洋連合らが主導で作戦を行うにあたってはG元素の回収はしないことはとっくに明言されていて、それの承認も出ていた。
それを今更ひっくり返す発言を
アメリカがしたところで、何の意味もなく、むしろみじめにさえ見えてしまうほどだ。
705 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/02/15(水) 22:36:31 ID:softbank060146109143.bbtec.net [82/110]
という流れが最初から展開されたこともあり、オペレーション・ジュピター直後の国連総会は大荒れとなった。
作戦成功を純粋に喜んでいたのは米国以外であり、その米国は自国の案が結局使われなかったことを厭味ったらしく愚痴るばかり。
その態度からもわかるように、米国とそれ以外の国という対立構造がはっきり成立しているのだった。
米国の影響の大きい中南米や南米の諸国でさえも公然と米国を批判したことなどからも、その傾向はより強まったと言えるだろう。
連合がβ世界国連に提出したG弾の実戦投入によって発生するであろう影響に関するレポートが広まったことも、これを後押ししている。
G弾を大量に用いてBETAを駆逐した結果、崩壊寸前にまで荒れ果てるという予想図は、誰にも歓迎できるものではない。
まして、β世界のみならず、この融合惑星上のほかの世界やC.E.地球までも巻き込む可能性があるとあれば、誰だって躊躇う。
そうなった場合に責任をとれるのか?という問題に突き当たるのだ。
実際にG弾が実践投入されて謎の現象を引き起こして終わっていたので、有効であるのかは今一断言できないのだ。
それどころか、連合の指摘したことが起こる公算が高いことを証明している。
加えて言うならば、G弾の予想される効果範囲と威力が理想的に働いたとしても、今回のハイヴ攻略はできなかったという試算さえもあるのだ。
それだけの数のBETAの個体が存在しており、また大深度地下への影響力についても未知数なところが大きい。
また、BETAが脅威とみなしたG弾を優先目標として迎撃することを考えれば、どれほど正常に働くかという問題にぶつかった。
それを補強するデータを出したのが、オペレーション・ジュピターで新型のBETAを鹵獲したAL4であった。
頭脳級からエネルギーなどを供給する「ダクト」型BETAと、その先で形成されつつあった要塞光線級BETA。
これらの組み合わせによって生じるであろうレーザーは、既存の光線級のそれを遥かに超えることが予測された。
何しろ観測されたエネルギー量とG元素の量から言っても、受信された情報にあった「超重光線級」に匹敵するものが放たれるのだ。
衛星軌道上の宇宙艦隊が軒並み消し飛び、さらに地上戦力も艦艇も大部分を消し飛ばすという大出力。
それが今後のハイヴには標準で供えられる可能性があるのだ。そうでないとしても、飛行物に対する敵意を向けつつあるBETAにどこまで有効か疑問だった。
そも、G弾はラザフォード場を形成するにあたり、内包しているG元素を消費する。
しかして、その起爆にはこれまたG元素が必要となる。
ここまで言えばわかるであろう。G弾を撃ち込んだとしても、それほどの迎撃に晒されれば瞬時に無力化される、ということだ。
これは米国の人員に連合から派遣された外交官が丁寧に質問していく中で、米国の外交官の口から吐き出されたことであった。
誘導したともいうのだが、ともあれ、そういう事実が公式の場において引きずり出されたのである。
その他、様々なデータなどを並べたうえで、改めて地球連合は問いかけたのだ。
本当にG弾を主軸とするAL5のドクトリンによってハイヴは攻略できたのだろうかと。
それらの問いかけに対して、米国は今回の作戦は特殊なケースであるがゆえに参考にはならない、とお茶を濁した回答をした。
そして、連合の有する臨界半透膜やアンチレーザー技術を使うことによって確実に攻略できるようになると言い出したのだ。
地球連合が自ら提供するならば良し。そうでなければAL5の権限を行使して技術を接収し、これをG弾の改良に使えばよいと言ったのだ。
そうすれば確実にハイヴをBETAごと壊滅させることができるG弾が実現し、他の兵器など後始末だけになると嘯いたのだ。
706 名前:弥次郎[sage] 投稿日:2023/02/15(水) 22:37:10 ID:softbank060146109143.bbtec.net [83/110]
誰もが思った。違う、そうじゃないと。
G弾が有効打たりえないとデータやシミュレーション結果で示し、尚且つ起爆したら何が起こるかわからないので危険だと言ったのだ。
実際に起爆した結果、世界中で影響を及ぼしたどころか、並行世界や多次元宇宙にまで影響を響かせ、とんでもない事態を起こしかけたのだ。
融合惑星という形に落ち着いたのは全くの偶然、あるいは奇跡的な何かであって、次も安全であるという保証は0だ。
だというのに、それを見なかったことにした発言はさすがにその場の人間の堪忍袋の緒を切りそうになるのに十分すぎた。
もはや国連総会の場の空気は一触即発、何かの拍子に理性ある会議の場が崩壊しかねない状態に突入していた。
最もこの手の現象に詳しい地球連合やフロンティア政府など、もはや語る必要もない状況。
その状況に割って入ったのは国連であった。
次の瞬間には宣戦布告がなされてしまいかねない、とんでもない状況だ。
それだけは避けねば、という意志一つで飛び出したのである。
そもそも、と議長は震える声で言った。
この場はオペレーション・ジュピターの総決算であり、作戦の結果や新たに得られた情報を開示し合い、対策を検討する場であると。
今後AL計画をどう進めていくかを議論するのは時期尚早であり、ここで今すぐ決着すべきことではないと言ったのだ。
そういう意味ではすでに情報は出そろっているわけで、各国はこれらの新情報にいかに対応をしていくかを持ち帰って検討すべきと。
要約すると、ここで争わないで!今はいったん帰って!というもの。
悪い見方をすれば、問題の先送りだ。しかし、これ以外に言うべきがなかったのも事実である。
この国連総会の役目はほぼ終わったに等しく、あとは各国がどのように対応策を生み出すか、という段階なのである。
不承不承ながらも、国連の発案の下、いったんは矛を収めることにした。
連合にとってもここで完全に敵対するというのは割に合わない話であるし、AL5推進派の切り崩しも進んでいるわけで、今すぐ決着でなくてもよいのだ。
米国としては、自国以外が分からず屋になったことに呆れがあったことも後押ししていた。
米国の主観的にはAL5を推進する自国に媚を売っておきながら、いきなり正体不明の勢力に乗り越えたように見える。
いずれはこれまでの米国の貢献や援助などを盾にすればよく、そうでなくとも援助打ち切りなどをカードにできると、そう考えたのだった。
そういうわけもあり、一旦この場はお開きとなることになった。
アメリカは今後もAL5を推進していくことを宣言。BETA戦後に来るとされる他の外敵に対しても問題はないと自信を見せた。
他方の地球連合は、一時戦力の回復に努め、次なるハイヴ攻略などを以て戦局の打開および巻き返しを宣言した。
BETAのみならず、他の外敵の脅威が迫ることも前提に各国と共同歩調をとることも明言。さらには、米国のとった行動についての追求も行うと。
真っ向から対立する両者。しかし、どちらが信頼がおかれたかは言うまでもないだろう。
実際のところ、オペレーション・ジュピターにおいて裁定はなされたのだ。
即ち、真に頼るべきはよくわかっていない力などではない。
人の血と努力と知恵の、鋼鉄の如き力による裁定こそ真実なのだと。
707 自分:弥次郎[sage] 投稿日:2023/02/15(水) 22:37:51 ID:softbank060146109143.bbtec.net [84/110]
以上、wiki転載はご自由に。
案の定作戦後の国連の場は荒れました。
まあ、荒れない方がおかしいよねって。
この後証言録などを投下していこうと計画しています。
設定集などもオイオイネー(こいついっつもオイオイネーしてんな
最終更新:2023年08月28日 21:56