62:194:2023/08/27(日) 20:45:30 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
現代日本大陸化&銀連神崎島クロスSS ある日、日本が『超』大陸と化してしまった件サードシーズン?特別番外編 サードシーズン中のウマ娘達の出来事 その26
赤坂「桜舞い散る春の京都競バ場。最長距離で争われる戦い、天皇賞春が間もなく始まろうとしております」
赤坂「数多くの強豪ウマ娘達の夢の戦い。観客の皆さんは、今か今かと待ち侘びている状態です」
赤坂「実況は私、赤坂。解説は細井 澄子さんとなります。よろしくお願いします」
細井「よろしくお願いします」
赤坂「今回のレース、細井さんはどうご覧になられますか?」
細井「どのウマ娘も強豪揃いですからね。これは予想するのが困難でしょうね」
細井「その中で本命を上げるとすれば・・・やはりメジロマックイーンでしょうか。天皇賞といえばこのウマ娘、というイメージが有りますし」
細井「懸念だった繫靭帯炎も、粘り強い治療とこの世界に来た事で齎されたティ連の医療技術のお陰も有り、最早怪我を感じさせない走りが可能となっています」
細井「勿論それ以外にも、タマモクロスやスーパークリーク・イナリワン・ライスシャワーといった、過去に天皇賞春を制したウマ娘も複数出走しています。誰が勝利してもおかしくないでしょうね」
赤坂「有難うございます。此方の世界の競馬ファン達にとっても、まさに夢の競演。どの様な展開となるのか、今から楽しみですね」
赤坂さんの言う通り、ここ京都競バ場にはウマ娘達のファンは勿論の事、従来の競馬ファン達も多数押しかけ、満員御礼状態にある。
見たくても叶う事が出来ない夢。それが行われようとしているのだ。見に来ないという選択肢は無いと言えよう。
さて、各ウマ娘のゲート位置だがこの様になっている。
1枠①スーパークリーク
②テイエムオペラオー
2枠③エアシャカール
④マンハッタンカフェ
3枠⑤ナリタタイシン
⑥メジロパーマー
4枠⑦マチカネタンホイザ
⑧ライスシャワー
5枠⑨セイウンスカイ
⑩タマモクロス
6枠⑪ゴールドシップ
⑫イナリワン
7枠⑬メジロマックイーン
⑭メイショウドトウ
8枠⑮メジロブライト
⑯ゴールドシチー
63:194:2023/08/27(日) 20:46:00 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
各ウマ娘達が一人、また一人とゲートインする中、マチタンは心の中で改めて気合を入れていた。
マチタン(イクノは結果を出したけど・・・トリーちゃんとカナちゃんがゴーストウィニングに負けてから、ちょっと空気が悪くなりつつある・・・)
マチタン(ここで私が負けたら、そのままズルズルと行きかねない・・・。だからこそ、ここで絶対に勝つ!えい!えい!むん!!)
赤坂「さぁ最後の一人、タマモクロスもゲートイン。各ウマ娘、ゲートインが完了。体勢が整いました」
ガッチャン!
赤坂「スタートしました!出遅れたウマ娘は無し!綺麗なスタートとなりました!」
赤坂「ハナに立ったのはやはりメジロパーマー。グングンと加速し、後続に差をつけ始めています」
赤坂「四バ身離れて二番手にセイウンスカイ、少し離れてタマモクロス・ゴールドシチー・スーパークリーク、そしてメイショウドトウ。そのすぐ後ろにライスシャワーとメジロマックイーンはこの位置」
赤坂「一バ身離れてメジロブライト・テイエムオペラオー・エアシャカール・マンハッタンカフェにナリタタイシン。半バ身離れてマチカネタンホイザにゴールドシップ・イナリワンという順になっています」
赤坂「まずは最初の難関、高低差4.3mとなる淀の坂に各ウマ娘達が果敢に挑んでいきます」
細井「高低差のある坂を二度駆ける事になりますからね。ここでの消耗をどれだけ抑えられるかが、勝敗を分ける事になるかと」
赤坂「各ウマ娘、淀の坂を駆け上がり第三コーナーへ。続いて第四コーナーへと向かいます」
赤坂「先頭は以前メジロパーマー。差は五バ身程度。各ウマ娘、第四コーナーを抜けてスタンド前の直線を駆け抜けて行きます」
最初の位置関係に変化が無いまま、スタンド前の直線を駆け抜けて行くウマ娘達。その中で虎視眈々と先頭を窺うウマ娘が。メジロマックイーンだ。
懸念だった怪我を乗り越え、前年度の有マ記念の屈辱を経て更に力を付けて来た彼女は、再び力が漲っているのをはっきりと感じていた。
64:194:2023/08/27(日) 20:46:30 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
マックイーン(・・・流石はティ連の医療技術。最早怪我していた事すら忘れてしまいそう。)
マックイーン(有マでは不覚を取りましたが・・・天皇賞は絶対に譲らない!メジロの栄光を、この手で取り戻して見せますわ!!)
その思いを胸に、直線をひた走るマックイーン。そんな彼女の姿を、ゴールドシップは微笑ましそうに見ていた。
ゴルシ(・・・マックイーンの奴、すこぶる調子が良いな。やはり負傷を完治出来たのが大きいか)
ゴルシ(だが・・・だからといって、勝ちは譲る気はねーぜ!マックイーン!)
出走ウマ娘達の中でも特に調子の良いこの二人が、ここからジリジリとペースを上げていく。
一方、マチタンはというと・・・あくまで冷静に、勝負所まで脚を溜め続けている状態だった。
マチタン(やはりマックイーンの調子がすこぶる良い。だけど・・・それに引き摺られちゃ駄目)
マチタン(勝負所は、向こう正面!そこまで・・・しっかりと足を溜める!)
レースは後半戦へと突入。中間地点で南坂がストップウィッチ止める。
南坂「タイムは・・・1分37秒丁度。まずまずのペース、といった所ですか」
ターボ「マチターン!もっと飛ばせー!このままじゃ追い付けないぞー!」
ブリッツ「落ち着くのだ、ターボ先輩。追い込みはタイミングが命だ。今飛ばした所で、最後まで持たない」
イクノ「ええ。とはいえ、待ち過ぎても機を逸してしまう。さて、何処で仕掛けますか・・・」
カノープスメンバー達がそう言い合う中、レースは後半・向こう正面に移行する。
第二カーブを過ぎた直後、マチタンが動いた。
赤坂「マチカネタンホイザ、ここで加速を開始!これは超ロングスパートだ!」
ネイチャ「え!?ここで!?」
トリー「まだ1500は有りますよ!?」
カナ「ここで勝負とは・・・思い切ったの・・・」
ターボ「よーし!行けー!マチタン!!」
65:194:2023/08/27(日) 20:47:00 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
観客達が動揺する中、マチタンが加速していく。
意外な動きに、マックイーンやゴルシも驚きを隠せない状態だった。
マックイーン(残り1500で!?そこからのスパートで勝機が有ると!?・・・馬鹿にしないで貰いたいですわね!!)
ゴルシ(ほー。ここで仕掛けるとはなー。おもしれー、アタシも燃えて来たぜ!そろそろ本気を出すとしますか!っと!)
マチタンに呼応する様にスパートをかける二人。三人共に、淡い光に包まれている。
ゾーンだ。
カナ「淡い光・・・あれが『ゾーン』って奴か!?」
レインボー「実際に見るのは、これが初めてだわ」
トリー「でも・・・マックイーンさんやゴルシさんも同じく光ってます!」
ネイチャ「拙いわね・・・条件が同じなら・・・」
ニンスナ『地力に勝る二人が有利、と?』
ネイチャ「そうなるわね」
ビーフ「でも!でも!マチタン先輩もここまで努力を重ねて来たのは確かっすよ!」
スラテン「そうです!マチタン先輩を信じましょう!!」
必死に声援を送るカノープスメンバー達。肝心のマチタンはというと・・・
努力を重ねても尚、はっきりと存在する力の差を痛感していた。
マチタン(・・・ッ!!やっぱり、この二人は強い・・・!!)
マチタン(これだけ努力を重ねても、勝てないの・・・!?越えられない壁が、存在するっていうの・・・!?)
マチタン(・・・でも!!それでも!!私は・・・勝ちたい!!GⅠレースを、制覇したい!!)
マチタン(トレーナーは、体調を崩しがちな私を見捨てる事無く、ここまで導いてくれた!マチカネタンホイザ号も、『ありのままの私のファン達が居る』って、励ましてくれた!)
マチタン(チームの皆も、沢山力を貸してくれた!特にターボは、私達に希望をくれた!)
マチタン(応援してくれている皆の為に!『普通』のその先の光景を、その目で見る為に!)
マチタン「私は・・・!私は・・・!『普通』のその先に!辿り着いて見せる!!」
66:194:2023/08/27(日) 20:47:30 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
マチタンの光が、強く、強く輝いていく。
それに呼応する様に、力強く前へと突き進んでいく。
マックイーン「何ですって!?」
ゴルシ「うっそだろ!?」
物凄いスピードで喰らい付いてくるマチタンに、本気で驚愕する二人。
観客達のボルテージも最高潮に達していた。
赤坂「マチカネタンホイザ更に加速!猛然と先頭集団へと喰らい付いていく!メジロマックイーンとゴールドシップ、メジロパーマーを躱して最後のスパートだ!」
赤坂「残り200!メジロマックイーンとゴールドシップが並ぶ!その後ろからマチカネタンホイザ物凄い追い上げだ!」
ターボ「行けー!マチターン!」
イクノ「後少しです!」
赤坂「あと100!メジロマックイーンとゴールドシップ、両者一歩も譲らない!マチカネタンホイザも急速に差を詰めて来る!」
赤坂「あと50!三者並んだ!全ての力を振り絞って駆け抜ける!三者とも一歩も譲らない!」
赤坂「あと20!三者並んで・・・いや、マチカネタンホイザだ!マチカネタンホイザが僅かに前だ!ゴォォォォ―――――――――――ル!!」
赤坂「マチカネタンホイザァァァァァァァァァァァ!!」
ネイチャ「やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
カナ「やったで!!」
赤坂「あっと、マチカネタンホイザ倒れました!転がって仰向け状態で倒れています!カノープスのメンバー達が、彼女の元へと向かいます!」
ターボ「マチタン!!」
スラテン「大丈夫ですか!?」
67:194:2023/08/27(日) 20:48:00 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
倒れたマチタンの下に慌てて駆け寄るメンバー達。
ネイチャ「しっかり!」
ビーフ「目を覚ますっすよ!」
マチタン「・・・・・あれ?ここは・・・!?」
トリー「・・・よかった!目を覚ましましたよ!」
マチタン「・・・みんな?・・・って、レースは!?レースはどうなったの!?」
ブリッツ「・・・もしかして、何も覚えていないのか?」
マチタン「・・・淀の坂を超えた辺りで意識が遠のいていって。・・・気づいたら仰向けで倒れてたの」
レインボー「・・・丁度マチタン先輩の身体が輝きだした所ね」
マチタン「え!?私タキオンさんの薬なんて飲んでないんだけど!?」
カナ「いや、そう言う意味や無いねん」
トリー「・・・多分だけど、俗にいう『無の境地』の状態だったのかも」
ビーフ「・・・まぁ、何でもいいっすよ!マチタン先輩!遂に悲願のGⅠ勝利っすよ!」
マチタン「え!?本当!?」
68:194:2023/08/27(日) 20:48:30 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
ビーフのセリフを聞いて、初めて掲示板を見る。
1着の箇所に、はっきりと7番の数字が表示されていた。
胸に熱い思いがこみ上げて来る。その思いに突き動かされる様に、両腕を上げて雄たけびを上げた。
マチタン「・・・・・やった!やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
彼女の雄たけびに、観客達が大きな歓声を拍手を返す。
- のはいいのだが、興奮のしすぎか鼻血が出てしまった。
マチタン「・・・あ゛う゛。また鼻血が・・・」
南坂「落ち着いて。はい、ティッシュを」
マチタン「・・・あ゛り゛がと、トレーナー」
そんないつも通りのやり取りをしている所に、それぞれ二着と三着に終わったマックイーンとゴルシがやって来る。
マックイーン「・・・まさか、貴女に敗れるとは。今回は、御見それしましたわ」
ゴルシ「いやー、このゴルシちゃんを打ち負かすとはな。こりゃ、アタシもうかうかしてられねーな」
マチタン「・・・・・有難う、二人共」
ヤス「本当におめでとう、マチタンちゃん。でも、これで終わりじゃ無いわよ」
マチタン「勿論。他のGⅠも、制覇して見せます!」
南坂「それはまた追々。今は、応援してくれたファンの皆さんに感謝を」
マチタン「はい!」
観客席の前に行き、両手を振ってファン達に応えるマチタン。勿論、ファンサービスとしてゲーム版1着のアレ(やったやった!やったった~~~♪の踊り)も披露する。
ファン達からも、お返しの拍手と歓声が沸き起こる。
かくして、天皇賞春を無事制覇する事に成功。次は五月。今度はニンスナが出走するNHKマイルCが、始まろうとしていた。
69:194:2023/08/27(日) 20:49:00 HOST:KD106154151210.au-net.ne.jp
以上です。出走前からレースの勝敗まで一度に描写した為、随分と長くなってしまいました(汗)
すいません、描写力の限界から他のウマ娘達が空気となってしまいましt←殴
劇中のマチタンの走りですが、ゾーンの更に先にある物的な代物です。まぁゾーン自体、習得しているのがターボとマチタン、後は日本ダービーでトリーも獲得していますが。
残りのメンバー達も、獲得に躍起になるのではないかと思います。ゾーンが発動しても勝てるとは限らないとはいえ、それでも有ると無いとでは大違いですし。
さて次回は、ニンスナが挑戦するNHKマイルCの様子になると思います。お楽しみに。
wiki掲載は、自由です。
最終更新:2023年09月08日 14:17